繋がれた明日 の商品レビュー
彼女を守るがために殺人をおかした主人公、彼女からは「待ってはいられない。」と言われて、刑務所の中で罪を償う。身もだえする苦しさだったのだろうなと思う。出所してからも何の期待も持てないことはわかっていながらも「会いたい」という想いにふとした瞬間にかられたりする。古い友人が彼女に電話...
彼女を守るがために殺人をおかした主人公、彼女からは「待ってはいられない。」と言われて、刑務所の中で罪を償う。身もだえする苦しさだったのだろうなと思う。出所してからも何の期待も持てないことはわかっていながらも「会いたい」という想いにふとした瞬間にかられたりする。古い友人が彼女に電話連絡をとってくれた際に友人の雰囲気からして彼女からしたらもう思い出したくない過去になっていることを悟る。メインのストーリーは彼女とのことではなくて、殺人を犯して出所した主人公が様々な社会的制裁を受け、苦しみながら生きていく姿を書いているのだけど、なんだかそっちが気になってしまった。小説の巧拙としては、主人公も刑務所での仲間達も仕事仲間も自己分析が冷静な上に饒舌で豊かすぎる感受性の持ち主達。そのあたりが気になってしまった。。。。
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長編のほとんどを鬱々とした自分の気持ちを書いており暗い。最後の数ページに前向きな要素を残しており、ラストで良い話にしめているが読むものをずっと楽しまさせない。こんなに長い必要があるのかと思う
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ちょいワルだけど実はいいヤツ、という人物像にリアルでも創作でも好感を持てない身からすると本作の主人公に共感できるはずもなく。テーマには考えさせられることが多々あることは認めるが、好みとしては受け入れられず。
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昨年末までに読みきれなかった一冊。真保裕一作品は期待値が高くなってしまう。 主人公・中里隆太は交際相手にしつこく言い寄ってきた男をナイフで殺害してしまう。 彼は相手が先に手を出した事を主張するが、目撃者は隆太が先に手を出したと言う。 結局隆太は6〜7年の懲役刑を受け、少年院にて...
昨年末までに読みきれなかった一冊。真保裕一作品は期待値が高くなってしまう。 主人公・中里隆太は交際相手にしつこく言い寄ってきた男をナイフで殺害してしまう。 彼は相手が先に手を出した事を主張するが、目撃者は隆太が先に手を出したと言う。 結局隆太は6〜7年の懲役刑を受け、少年院にて服役する事となった。 そして26歳になった隆太は仮出所する。 保護司のから指導を受けながら、隆太は質素ながら慎ましく生活を始める。 しかし、彼の周辺に突如悪質なビラがばら撒かれた。 その内容は、彼の過去の殺人を示すものだった。。。 隆太の生活はいつまで脅かされなければいけないのか。加害者は一生普通の生活は出来ないのか。 という内容。 何だかどこかで読んだような、読んでいないような、そんな内容である。 東野圭吾の『手紙』にも似ているし、真保裕一の『発火点』にも似てる。でも違う。 上記作品との大きな違いは、この小説が“加害者本人”を描いている点であろう。 加害者家族、被害者家族の苦しみではなく、遂に加害者本人の苦しみを描いている。 殺人犯である隆太は、当然のように苦しい生活を強いられる。 周囲の目は気になり、厄介事が発生すればまず真っ先に疑われる。 物語の中で隆太は3度、何もしていないのにも関わらず警察に疑われているのだ。 それはやはり、彼が「殺人の前科を持つ」からに他ならない。 もし自分の近くに殺人の前科を持つ人がいたら、やはり近寄りがたい。 隆太は苦しみながらもその事実は「自分の撒いた種」として受け入れている。 それでも、理不尽な嫌がらせや周囲の視線を感じるたびに苦しんでいく。 そんな辛さが物語の全編に渡って書かれている。 正直楽しい小説ではない。 それでも何とかギリギリのところで生きていく隆太がどうなるのか、 読み進めたくなる物語である。 ただ、個人的に精神状態がよろしくない時に読んだ為、とても重かった。 救いがあるので良いが。3点。
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罪が許されることがあるのか。とりわけ損害を与えて弁償できるケースではない場合、それはどこまでいっても許されるものでもない。一方で刑期を終えて社会に復帰する場合、それ罪が許されたことと同じなのだろうか。お疲れ!といって迎ええるようなケースは身近にはないが、元服役人として、白い目で見...
罪が許されることがあるのか。とりわけ損害を与えて弁償できるケースではない場合、それはどこまでいっても許されるものでもない。一方で刑期を終えて社会に復帰する場合、それ罪が許されたことと同じなのだろうか。お疲れ!といって迎ええるようなケースは身近にはないが、元服役人として、白い目で見られることは想像に難くない。 中道のように、「どうせ」という思いや、「俺だけが悪いのか?」という感覚は、なにも犯罪が絡んだ世界だけの話でもないような気がする。 仕事上の失敗や、家庭内での不和が、「あのときそうしたのは自分だけのせいなのか?」と考えてしまうし、対人関係としても、出来上がってしまった人間関係の中では、「ほらまた」、「どうせ、こう思われてる」といった本ストーリーの主題そのものが日々展開されている。 だとしても、本人の思いや、周囲のいろいろな人の想いが、あるいは相手の考えにも想いを致したとき、本人の鬱屈した思い込みや相手の思い込みをも変えていき、新しい関係性そ存在意義が浮かび上がってくる。その点がうっすらと輝かしく描かれている部分が、すっきりとした読後感を誘った。
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誰が? というより犯罪者更生ものかな 主人公の成長が著しい。それを読む方に力が入って、ミステリーとしての楽しさは後回しになった。もちろん良い意味でよくできたお話だ。
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中洲が舞台のハードボイルド、街の描写が懐かしく読めた。 展開も早く一気に読める作品 違う作品も読みたい。
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殺人の罪を犯した少年院から仮出所した主人公に待ち受けた苦難の日々。人と接しながら心境の変化、成熟していく過程が綴られる。保護司という職業の輝きも発見できる。13.12.14
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この間読んだ「天使のナイフ」が被害者遺族の立場から「贖罪」「更生」を考えた作品で、こちらは犯罪者側から見た物語。そしてまたまたこないだ読んだ「悪人」から引き続き、悪人とは何だろう、と考えた。人の命を奪った以上、圧倒的に許されざる立場である殺人犯…の気持ちが理解できるか…。隆太に感...
この間読んだ「天使のナイフ」が被害者遺族の立場から「贖罪」「更生」を考えた作品で、こちらは犯罪者側から見た物語。そしてまたまたこないだ読んだ「悪人」から引き続き、悪人とは何だろう、と考えた。人の命を奪った以上、圧倒的に許されざる立場である殺人犯…の気持ちが理解できるか…。隆太に感情移入しつつ、もし自分の大切な人が被害者になったら…と考えると「-僕は人殺しだ。でも、僕だって人間なんだ。 」の言葉を絶対受け入れられないだろうと思う。隆太が自身の罪深さを認めつつ、ともすると「俺だけが悪いわけじゃない」と思ってしまうところに、人間がきれいごとだけではいかないってことを感じた。小説自体は作者らしいはらはら展開。でもきれいにまとまりすぎかな。ラスト、温かい心に囲まれる隆太。もし、私の大切な人を殺したのが隆太だったら…やっぱりそんなの納得いかないだろう。遺族も立ち直らなきゃいけない。きっと「許し」がキーワードなんだろうけど、難しいな…。…とやはり答えの出ない思考ループに陥る。とにかく殺人事件なんてなくなってしまえ、としか思えない。
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殺人事件の加害者と被害者、そしてその家族。 それぞれの立場で一つの事件を中心に、何故自分が、何故息子が、何故母が、何故妹がとそれぞれが被害者としての気持ちを恨みだったり、悲しみだったり、後悔だったりといった気持ちが書き綴られています。 確かに人を殺すという事は究極に許されない事...
殺人事件の加害者と被害者、そしてその家族。 それぞれの立場で一つの事件を中心に、何故自分が、何故息子が、何故母が、何故妹がとそれぞれが被害者としての気持ちを恨みだったり、悲しみだったり、後悔だったりといった気持ちが書き綴られています。 確かに人を殺すという事は究極に許されない事。 でもそのきっかけとなった原因を作った事は当人にしかわからないため、周りは奇異なる目でしか見ないし、被害者側は恨むことしか出来ない。 また、被害者のことを忘れないためにも恨み続ける事をして、自分自身の人生をそれに捧げてしまう。 その結果として加害者に対して、自身が加害者ともなる。 自分自身がそのような状況に置かれたことがないので、本当にわかったといえばそうではないが、非常に考えさせられる作品でした。
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