死体をどうぞ の商品レビュー
シリーズ第七弾。 旅行中のハリエットは、波打際にある岩の上で喉をかき切られた男の死体を発見します。 死体の側には剃刀が一振り。 しかも、ハリエットが警察に連絡を取る為右往左往しているうちに、満潮に乗って死体が海に流されてしまい・・・。 もともと“「事件」が大好物”なのに加え、...
シリーズ第七弾。 旅行中のハリエットは、波打際にある岩の上で喉をかき切られた男の死体を発見します。 死体の側には剃刀が一振り。 しかも、ハリエットが警察に連絡を取る為右往左往しているうちに、満潮に乗って死体が海に流されてしまい・・・。 もともと“「事件」が大好物”なのに加え、“愛しのハリエット嬢”がそれに巻き込まれているということで、マッハの速さで駆け付けるピーター卿。 例によって嬉々として真相解明に乗り出しますが、今回はハリエット嬢と一緒に調査できるというので、いつも以上にウキウキしている感じが伝わってきて、隙あらばハリエット嬢に求婚しまくるあたりもご愛敬でございます。(で、お約束のように断られるw) それにしても、前巻の『五匹の赤い鰊』といい、本作でも“”謎解き”にやたら頭を使う“脳トレ”要素が多めな気がして、“どうした、セイヤーズ?(いい意味で)”って感じでした。 いや、全然良いんですけどね! ま、さすがに暗号解読の部分は、まともに取り組むと白目をむきそうになったので、そこはピーター卿とハリエット嬢のテンポの良いやり取りを楽しむのに注力して読みました。 で、事件自体は動機の点で容疑者の目星はつきつつも、アリバイ等含めて「HOW」の部分の解明がなかなかややこしい案件だったのですが、ピーター&ハリエットを中心に登場人物達のウイットに富んだ会話に引き込まれて、楽しく読めてしまいます。 さて、話が進んで新たな事実が判明するたびに、ピーター卿の仮説(推理)が崩れて、考察し直さなくてはならなくなる等、苦戦を強いられはするものの(でも楽しそう)、最終的に“死体(の状態)”にトラップがあったということにたどり着くのは流石ピーター卿ですね! そして、我らがスーパー従僕・バンターもプロ級の“仕事人”っぷりを見せてくれて、もうどんだけ有能なんよ~と嬉しくなりました。 ということで、かなりのヴォリュームでしたが、ミステリとしては勿論、人間ドラマ(てか、キャラ達の掛け合い)も堪能できる、欲張りな一冊で満足させて頂きました。 余談ですが、本書の解説を読んで、バークリーも読んでみたいと思った次第です~。
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シリーズ7冊目▲砂浜にそびえる岩の上で作家が見つけた死体。喉を掻き切られ手元に剃刀。やがて潮満ち、死体は流され…▼長いが『五匹の赤い鰊』と違いスラスラ読めるリーダビリティーの高さ。活き活きとした御前!それは前巻もか。ならば、作者さまの分身降臨が故に筆が走った?さて、ミステリーで白...
シリーズ7冊目▲砂浜にそびえる岩の上で作家が見つけた死体。喉を掻き切られ手元に剃刀。やがて潮満ち、死体は流され…▼長いが『五匹の赤い鰊』と違いスラスラ読めるリーダビリティーの高さ。活き活きとした御前!それは前巻もか。ならば、作者さまの分身降臨が故に筆が走った?さて、ミステリーで白系ロシアな人が登場するとロマノフ王朝に絡みがちで、この時代だとvsボルシェビキもお約束とも。今回は被害者故にライトモチーフとして使われているようで。暗号だけがイマイチだが、とても良い出来、ピーター卿お試しでもおすすめ(1932年)
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長かった!でもどっぷりウィムジィ卿の世界に浸かりました☆ 犯人は、動機の面でも彼しかいないんだけど、ハリエットが邪魔する(笑)もちろんわざとではないんだけど。長いし、犯行時刻や自殺か他殺かをなかなか判断しないし、普通ならイライラするんだけど、ここが作者の上手なところで、各章の題名...
長かった!でもどっぷりウィムジィ卿の世界に浸かりました☆ 犯人は、動機の面でも彼しかいないんだけど、ハリエットが邪魔する(笑)もちろんわざとではないんだけど。長いし、犯行時刻や自殺か他殺かをなかなか判断しないし、普通ならイライラするんだけど、ここが作者の上手なところで、各章の題名でわかりやすく読み続けられます。 ことあるごとにハリエットに求婚するウィムジィ卿も楽しい☆いい加減揺れてるハリエットも、もうお受けしたら良いのにとも思ったり、相変わらず有能な従僕の服装のこだわり等、側面もおもしろい☆ 大好きなシリーズ。
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「そうね。それならファイロ・ヴァンス方式があるわよ。首を横に振り、『こんなものではすまない』と言って、犯人がさらに五人殺して容疑者がかなり減ったところで、誰だか見極める」 2023/2/11読了(再読) 事件解決の糸口が掴めないピーター卿にハリエット・ヴェインが古今の名探偵の推...
「そうね。それならファイロ・ヴァンス方式があるわよ。首を横に振り、『こんなものではすまない』と言って、犯人がさらに五人殺して容疑者がかなり減ったところで、誰だか見極める」 2023/2/11読了(再読) 事件解決の糸口が掴めないピーター卿にハリエット・ヴェインが古今の名探偵の推理アプローチを提案するが、ファイロ・ヴァンス方式は「むだが多すぎるよ。おまけにのろい」と即却下。確かに『グリーン家殺人事件』も一家全滅寸前まで待って解決だったもんね……。
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青天白日の身となったハリエットが、死体を見つけてしまう。ピーター卿、すかさず登場で、ダブル探偵でストーリーは展開します。 何ともこんがらがった事件!なのにカギは死亡推定時刻をひっくり返す「病気」だとは!
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またもセイヤーズ、恐るべし、と手放しで歓びたい所だが、今回はどうもそうは行かない。 まず賞賛の方から。 岸壁で1人のロシア人が殺されている、このたった1つの事件について600ページ弱もの費やし、さらにだれる事なく、最後まで読ませたその手腕たるや、途轍もないものである。事件がシンプルなだけにその不可能性が高まり、今回ほど本当に真相解明できるのか、危ぶまれた事件は(今までの所)ない。しかも最後の章でまたも驚きの一手を示してくれるサービスぶりはまさに拍手喝采ものである。 血友病を持ってくるとは思いませんでした。この1点でトリックが全てストンと落ち着くのが非常に気持ちよかった。 しかし―ここからが批判である―、腑に落ちないのは結局動機が何なのか判らなかった事。意外な犯人という点では今回は申し分ないだろうが、単なる一介の仲介業者が流れの理髪師に扮して殺人の供与をする動機が判らない。動機らしい動機といえば、直接手を下したヘンリー・ウェルドンの、姉の財産を独占すべく結婚させないために手を下したというのが最も強いのだろうが、どちらかと云えば彼は共犯格であるから主犯格であるモアカムの動機が全く見えないのだ―読み落としたのかな?―。 しかしポーの『黄金虫』ばりの暗号解読といい、バークリーばりの推理の連続といい、かなり本格推理小説を意識した作品であるとみた。動機の問題さえなければ5ツ星だったのになぁ。 余談だが、今回は表紙の装画に非常に助けられた。この装画がなければ現場の状況を克明にイメージできなかっただろう。イラストを描いた西村敦子氏に感謝。
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思いきりネタバレしてます。あとアントニイ・バークリー『ジャンピング・ジェニイ』を未読の方は読まない方がよろしいかも。 セイヤーズの本格指向の作品として前作『五つの赤い鰊』とセットで語られることが多い作品。幕開け早々に死体が現れる展開は前回以上の早さだけど、セイヤーズ最大の難物ともいえる前作と比べると、リーダビリティの面では格段に改善されている。 その最大の要因はなんと言ってもハリエット・ヴェインの存在になるのだろう、彼女とピーター卿の軽妙なかけあいは「ハリウッドのスクリューボール・コメディそこのけのギャグ合戦」と解説で法月綸太郎が絶賛するようにシリーズ中屈指の出来。 『鰊』にあった人物の書き分けの薄さも(容疑者みんな似たような画家だし…)本書では改善されており、中でも夢見る未亡人ウェルドン夫人などは忘れがたい存在です。法月がモース警部ばりと評する仮説の構築、瓦解、再構築の展開により前作にあった煩雑さは随分解消されており、文庫で600ページという厚さですがスイスイと読めてしまいます。(でも暗号解読のとこは飛ばしました)。 本書の真相で使われているアイデアはハウダニットへの拘りをもったセイヤーズらしいもので、それ自体は奇抜さ以外で評価するのは中々難しいかもしれませんが、伏線の一つを珍説としてギャグテイストのストーリーに溶け込ますことで見えにくくするテクニックなどは感心します。 「信じられないくらいごちゃごちゃしてた。それも全部、ほんとはわたしのせいなのよね。わたしがあんなに頭がよくて切れるところを見せなかったら、血の状態がどうだったかなんて誰も知らないまんまで、通りかかるずっと前にアレクシスは死んでたとわたしたち決めてかかっていたわ。こうややこしいと、通りかかってよかったのか、足をひっぱっただけなのか、自分でもわからないくらいよ」 p602 『鰊』同様にまたしてもバークリーを持ち出しますが、ハリエットが介入することによって犯行計画が頓挫しかけ、一方でアリバイが生まれ、崩れ、別のアリバイが生まれ…という本作の構造に私はロジャー・シェリンガム的な引っ掻き回しを想起して思わずニヤリとしてしま います。大元の犯行時間に齟齬があったというのが真相ならば、誤認したまま散々(構築/再構築で)検討していた推理はなんだったのか! というのを脱力感と評していた方が居たのですが、この徒労感あふれるシニカルな真相もいかにもバークリー風味 じゃないでしょうか?(ウェルドン夫人とアントワーヌの関係を示唆することで、犯人たちの犯行そのものも徒労であったとさせる皮肉さ!)。 例えば本作が シェリンガムサーガの一編として書かれたと妄想してみましょう。自殺で処理されようとする事件を引っ掻き回し浮かび上がった容疑者のアリバイ崩しに汲々としたあげく、結局犯行時間の誤認でしたと振り回される姿が浮かびませんかね? アンプルティ警部言うように自殺と評決されて涙目逃走するシェンリガムと続いて、エピローグでやっぱり殺人だったと明かされる……ううん、やっぱり『ジャンピング・ジェニイ』ってバークリー流の返礼なんじゃないのかなあ。 まあ、あんまり調子に乗ってバークリーのことばかり書いていると(しかも、根も葉もない憶測がほとんどだ)、ピーター卿のファンから石が飛んできそうなので(失礼!)これぐらいにしておくが…
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ハリエットは一人旅の途中に海辺で死体を発見したが、死体は潮にのまれて消えてしまった。ハリエットは彼女が事件に巻き込まれたことを知り飛んできたピーター卿と二人で死体の身元と死因を探り始める。 どちらかというとハリエットがメインの一冊。 (2002-01-27)
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執事のバンター有能すぎる。ピーター卿とのかけあいが面白すぎて大好きだー!! ヴェイン嬢とピーター卿の恋の駆け引きも素敵です。煮え切らないあたりがもどかしくてサイコー。 もちろん推理作品としても一級品。600ページというかなり分厚い部類の文庫だと思うが、この厚みを感じさせないほど...
執事のバンター有能すぎる。ピーター卿とのかけあいが面白すぎて大好きだー!! ヴェイン嬢とピーター卿の恋の駆け引きも素敵です。煮え切らないあたりがもどかしくてサイコー。 もちろん推理作品としても一級品。600ページというかなり分厚い部類の文庫だと思うが、この厚みを感じさせないほど展開に引き込まれてすいすい読めた。 こうなると、セイヤーズ影響を受けたといわれている執事ジーヴスシリーズも読んでみたくなるなぁ。
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長かった・・・。ピーター卿と麗しのハリエットの掛け合いが面白いけれど、二人の間の問題は結構根が深いのね・・・(主にハリエット側の問題で)ということがよくわかりました。でも、(ロマンス的には)そこがいい!
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