楡家の人びと(上) の商品レビュー
どくとるマンボウシリ…
どくとるマンボウシリーズとはまた違った北杜夫の魅力がわかる一冊です。読んでみてください
文庫OFF
楡のうびょいんの3代…
楡のうびょいんの3代の大家族を描く力作。
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小学生の頃、この作者さんのどくとるまんぼうが大好きでした。この作品は未読だったので読んでみたら… まぁ登場人物すべて嫌なやつばっかり(笑)ホントびっくりするほど共感どころか嫌な気分ですよこれは。 こんな親に育てられたらそりゃこうなるわ…ってのが代々続いていく。なーんの救いもない。...
小学生の頃、この作者さんのどくとるまんぼうが大好きでした。この作品は未読だったので読んでみたら… まぁ登場人物すべて嫌なやつばっかり(笑)ホントびっくりするほど共感どころか嫌な気分ですよこれは。 こんな親に育てられたらそりゃこうなるわ…ってのが代々続いていく。なーんの救いもない。 親子だけじゃなくその配偶者達もひどい。 事件も起きない。なんだかなぁ… 下巻も読みますけどね…
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ホテルのビュッフェみたいな作品。新しさ、面白さ、文章の美しさ、読み応え、あらゆる食に関する欲求をこの本は満たしてくれる。 病院ってのはすごいところだ。金と力と名声の集積地だね。祖父母が商売をしていたので分かる気がするけど、いい思いをすればそれが起点になるわけで、そうなるとマラソ...
ホテルのビュッフェみたいな作品。新しさ、面白さ、文章の美しさ、読み応え、あらゆる食に関する欲求をこの本は満たしてくれる。 病院ってのはすごいところだ。金と力と名声の集積地だね。祖父母が商売をしていたので分かる気がするけど、いい思いをすればそれが起点になるわけで、そうなるとマラソンの記録みたいにベストを更新していかない限り満たされなくなる。つまりいい思いをすればするほど「いずれ不幸になるかも」と感じる神経が鈍くなってより反動が大きくなる。楡家の人々は、基一郎に与えられ過ぎた分、不幸になっていると言い切っていいと思う。戦時中であることを差し引いても。 それにしても虚構に見栄を厚塗りしたような楡家の人々を清々しいほど滑稽に表現する作者の心意気は、実に痛快そのものだった。普通に表現すればいいものをあえてボロカスに言いまくるあたり、術中にはまった感あるけど本当ににやけるほどに面白かった。 上巻から印象的だったのをいくつか抜粋 ・大理石まがいの人造石を貼り付けた壁は白々と輝き、摩訶不可思議の塔は天を目指して屹立していた、その見せかけの絢爛さのみを狙ったごしゃまぜの不統一が、元より院代に分かるはずはなかった(43項) ・龍子はあくまで楡家の、基一郎のマニアじみたはったりとひさの目に見えぬ古い血の織りなせるあやしげな意思に操られている女なのだ(75項) ・しかし龍子はそんな言辞に耳もかさなかった。ケーエヌ丸と中腰の突っ張りが、すっかり彼女の意識を占領しまっていることは明らかだった(379項) ・あの人の症状ときたらそれこそとんでもない。なにしろ夜に寝ていて、急に呼吸ができなくなるっていうの。もちろん神経だわ。それで背骨を叩いて、それでようやっと呼吸ができるって言うんだから。金魚なんか水の中でも呼吸してるわ。(397項)
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親から「北杜夫の面白く無いやつ」と言われて、ずっと敬遠してきたけど、ここで読まないと一生読めない気がしたので手を付けることに。 楡脳病院(精神科専門病院)において、楡基一郎というエキセントリックな創業者と、その子供(養子)らの人生の悲喜こもごもを描く。 結構ぶ厚い上巻ではある...
親から「北杜夫の面白く無いやつ」と言われて、ずっと敬遠してきたけど、ここで読まないと一生読めない気がしたので手を付けることに。 楡脳病院(精神科専門病院)において、楡基一郎というエキセントリックな創業者と、その子供(養子)らの人生の悲喜こもごもを描く。 結構ぶ厚い上巻ではあるが、最初から真ん中辺までは、登場人物の人となりが順に説明されつつ、ホンの少しずつストーリーが動くが、基一郎以外の人物が軒並み地味であり、当然退屈である。 真ん中辺りで、二代目院長でもある徹吉の留学から関東大震災、喜一郎の死まではドラマチックに展開するのだけど、聖子、龍子、桃子の段で退屈な分に戻る。 というか、「大変なことになったのである」から、何が起こったのかまで10ページ近く引っ張られるのが、ドラマチックなところ以外で散見され、明らかに「ふざけている北杜夫」が時々見受けられるので、正直嫌な気分になるところがある。 話自体は父である斎藤茂吉かその上の代かはわからないが、実際にあった話を盛り込んで書かれているのであろう。ディテイルは非常に興味深いし、長編の割に息切れもせず上巻が終了したので、文学としてそれなりの価値は有るだろう。 ただ、ふざけている北杜夫がすけて見えてしまう読者には、非常に読むのが辛い1冊である。下巻につづく。
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東京の楡病院とそこで生活する人たちの話。院長である一家の大黒柱基一郎の影響を受けた子女の奔放な生き方に婿や嫁は馴染めない。2015.5.13
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北杜夫追悼。 10月に亡くなった北杜夫を偲んで。 珍しい小説作法である。 この小説の主人公はしいていえば、三島由紀夫が「大いなる俗物」と呼んだ初代当主の楡基一郎だろうが、それ以外の人物(例えば長女の龍子)も等価に描かれており、また作中には視点人物もいないために、読者にとって感情移...
北杜夫追悼。 10月に亡くなった北杜夫を偲んで。 珍しい小説作法である。 この小説の主人公はしいていえば、三島由紀夫が「大いなる俗物」と呼んだ初代当主の楡基一郎だろうが、それ以外の人物(例えば長女の龍子)も等価に描かれており、また作中には視点人物もいないために、読者にとって感情移入がきわめて困難である。いや、むしろそうした感情移入を阻むことにこそこの作品の方法があったのだろう。 すべてが客体化されているのだ。
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楡家と謂う玩具箱の中に詰め込まれた、高級を装う滑稽な玩具達の物語。喜劇なのか悲劇なのか。。総評は下巻読了時にて。
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「これが本当に50年前に書かれた日本の小説なのか ほとんどラテンアメリカ文学 描写の大袈裟/飛躍/風通しの良さ」byいそけん
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
…何も起きないww 北杜夫の特徴かもしれないけど、本当に淡々と時間が過ぎて、日常がすぎていく。 当たり前のように楡家の時間が過ぎていくのだけど どの家庭もそうであるように家の中と外での微妙な関係の違いとか おかしいと思っているのにその家庭ではそれが普通だったり、というような、そういう見逃してしまいそうなことが さらっと書いてある感じ。 こういう文体は好きです。
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