タンパク質の一生 の商品レビュー
60兆個の細胞、1ミリの100分の1ほどの大きさの細胞それぞれが80億個くらいのタンパク質を持っている! 各細胞の中では毎秒毎秒恐ろしい勢いでタンパク質が作られ続けている。ゆで卵は生卵には戻らないが、細胞の中ではそれに近いことが起こっている。凝集したタンパク質というのはもつれた毛...
60兆個の細胞、1ミリの100分の1ほどの大きさの細胞それぞれが80億個くらいのタンパク質を持っている! 各細胞の中では毎秒毎秒恐ろしい勢いでタンパク質が作られ続けている。ゆで卵は生卵には戻らないが、細胞の中ではそれに近いことが起こっている。凝集したタンパク質というのはもつれた毛糸玉のようなものだと思えばよい。ドーナツ状の穴の中を通しだんだんとほぐして、等 読んでいてなんかイメージできそうな気がします。
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本当かよ!?というようなことが私たちの細胞内で起きていることを改めて興味深く知ることができた。かつ、まだわかっていないことの追求の楽しさ、喜びを垣間見た。わたしも生涯探究心を失わずにいきたい。
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細胞生物学をシロウト向けにわかりやすく解説した本。ニュースでたまにIPS細胞にことがでたりするが、この本のように素人の基礎になる本を読んでおくと俄然として興味が沸いてくる。自分の仕事にはまったく関係ないのだが、前提知識なしで楽しめた。
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DNAからmRNAに遺伝情報が転写されてアミノ酸が合成されるプロセスは学校で習った気もするしよく知られている。本書は、そこから先のタンパク質の振る舞いについても解説した本。誕生−成長−輸送−輪廻転生+品質管理と章立てされている。まさに分子生物学の最前線なのだろう。 ・DNAはめ...
DNAからmRNAに遺伝情報が転写されてアミノ酸が合成されるプロセスは学校で習った気もするしよく知られている。本書は、そこから先のタンパク質の振る舞いについても解説した本。誕生−成長−輸送−輪廻転生+品質管理と章立てされている。まさに分子生物学の最前線なのだろう。 ・DNAはめちゃコンパクトに折り畳まれているが一本のヒモである。枝分かれなのない一本のヒモなので、そこから作られるアミノ酸の列も一本のヒモになる。情報の保存のためにはこれ大事。 ・分子シャペロン。アミノ酸の列=ポリペプチドがきちんと折り畳まれて(フォールディング)タンパク質になるのを手助けするタンパク質。まず、らせん状のαへリックスや平たいβシートを形作ってから、立体的な3次構造を作る。さらにサブユニットが会合して4次構造となる。ポリペプチドはきちんとフォールディングされるとは限らず、結構失敗して分解されたりしている。 ・アミノ酸には親水性のものと疎水性のものとがある。基本水分の細胞内部にタンパク質 がうまくなじむには外側を親水性にして、疎水性のアミノ酸は内側に配置しないといけない。また疎水性のアミノ酸同士は凝集しやすいのでそれもまずい。 ・システインに含まれる硫黄同士が結合するジスルフィド結合。タンパク質のフォールディングのクリップ的役割。 ・分子シャペロンは熱ショックタンパク質(HSP)・ストレスタンパク質としても働く。熱などのストレスがかかった時に誘導されて、タンパク質の変性を防いだりする。また変性したタンパク質を元に戻すシャペロンすらある。 ・合成されたタンパク質の輸送には、宛先指定に葉書式と小包式がある。微小管などの繊維が細胞内を走っており、小胞がそれの上を目的地まで走る。複雑。 ・アミノ酸はリサイクルされている。数分の寿命しかないタンパク質から、数ヶ月の寿命を持つものまである。時間遺伝子もタンパク質の分解を利用している。ピンで分解するユビキチン・プロテアソーム系と、バルクで分解するオートファジー系とがある。 ・品質管理のステップ。生産ラインのストップ→シャペロンによる修理→廃棄処分→細胞アポトーシスすなわち工場ごと閉鎖。うまくいかないとフォールディング異常病に。白内障、アルツハイマー、パーキンソン、プリオン病・・・ まさにミクロコスモス。これが自分の体で起こっていると真剣にイメージすると眩暈がしそうだ。
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小さなタンパク質の精巧な生成過程に感動した。 進化論だけではとても説明できないような気がした。 進化の歴史が自分の想像をはるかに超えるほど長いということだろうか。
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細胞の仕組みをそこで働くタンパク質を取り上げてその一生を追いかける。タンパク質の誕生、その成長、その輸送、輪廻転生、そして品質管理。DNAに保存された情報をmRNAに転写し、リボソームはmRNAを端から3塩基ごとに翻訳してアミノ酸を作り出す。そのアミノ酸はペプチド結合で一本のひも...
細胞の仕組みをそこで働くタンパク質を取り上げてその一生を追いかける。タンパク質の誕生、その成長、その輸送、輪廻転生、そして品質管理。DNAに保存された情報をmRNAに転写し、リボソームはmRNAを端から3塩基ごとに翻訳してアミノ酸を作り出す。そのアミノ酸はペプチド結合で一本のひものようにつながっていく。そしてこのポリペプチドを構造をもった形に整形して機能を持たせる。それでようやくタンパク質となる。どこにでもあるタンパク質であるが、その仕組みを知れば知るほど自然の作り出す精緻な仕組みに驚く。進化と一言でいうが、遺伝子の突然変異などによる試行錯誤と自然選択だけでこれほどの精緻な仕組みが出来上がるのだろうか?多数の試行ととんでもなく長い時間のおかげか。
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人間はおよそ60兆個の細胞で構成されているとのことですが、細胞という舞台では様々なタンパク質という名の役者が様々な役割を果たして極めて精緻なシステムを稼働させています。本書は、その様子をわかりやすく説明してくれています。細胞のなかで起きているタンパク質の製造工程や品質管理の巧みな...
人間はおよそ60兆個の細胞で構成されているとのことですが、細胞という舞台では様々なタンパク質という名の役者が様々な役割を果たして極めて精緻なシステムを稼働させています。本書は、その様子をわかりやすく説明してくれています。細胞のなかで起きているタンパク質の製造工程や品質管理の巧みな仕組みは驚かずにはいられません。とても好奇心をそそられました。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
2008年刊。著者は京都大学再生医科学研究所教授。 タンパク質。それは人体の固形部分(30~40%)の約20%を構成する。のみならず人体の恒常性維持や各種機能を発現させる物質でもある。 本書はそのタンパク質に関し、①それが作用する世界(細胞)、②誕生、③成長(分子シャペロンの働きを中心に)、④人体内での輸送・移動、➄タンパク質の死と再生(輪廻転生)、そして⑥機能性の維持・確保のメカニズム(品質管理)を解説する。 一言でいうならば難しい書だ。しかし最先端研究は元より、その一般利用にも思考を巡らせ得る書という意味で美味しい書である。 クロイツフェルト・ヤコブ病に関係するプリオン、あるいはアルツハイマー病に関係するアミロイドβなど、個人的関心に関わる事項にも言及されており、難しかったが、意味ある書だったと感じた。要再読か。
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ミトコンドリア! 元々何億年も前に、人間の細胞に進入して、そのまま共生するようになったバクテリア。つまり元を辿れば人間と別の生物だった。 分子シャペロン! タンパク質に関して言えば、およそ3か月でほぼ入れ替わる。 細胞のレベルにおいても、一年経つと身体を構築する全細胞の90%が...
ミトコンドリア! 元々何億年も前に、人間の細胞に進入して、そのまま共生するようになったバクテリア。つまり元を辿れば人間と別の生物だった。 分子シャペロン! タンパク質に関して言えば、およそ3か月でほぼ入れ替わる。 細胞のレベルにおいても、一年経つと身体を構築する全細胞の90%が入れ替わる。 体重の2割弱がタンパク質。 プリオン病(BSE狂牛病)伝播型プリオン ただタンパク質が細胞に入り込むだけでDNAは全く関わりなく増殖する。簡単にいえば、BSEに感染した牛肉を食べるだけで感染する。プリオンは熱に強く100度で煮沸しても一部が残存する。正常型プリオンは普通に体内に存在していて、それを巻き込んで伝播型プリオンが増殖していく。 怖い病気だ。
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【荒井善昭先生】 生物が生きているとはどういうことなんだろうと一度は考えたことがあるのではないでしょうか。タンパク質は確かに生体を構成し、比率も大き い重要な有機物であることは皆さんも認めることだと思います。しかし"一生"とあたかもタンパク質が生き物自体である...
【荒井善昭先生】 生物が生きているとはどういうことなんだろうと一度は考えたことがあるのではないでしょうか。タンパク質は確かに生体を構成し、比率も大き い重要な有機物であることは皆さんも認めることだと思います。しかし"一生"とあたかもタンパク質が生き物自体であるような題名がついていることにちょっと惹かれてしまいます。読んでみるとなるほど不思議な生体の仕組みに引き込まれてしまいます。狂牛病という病気が注目を集めた時期がありました。この狂牛病の原因は、生き物ではなくプリオンというタンパク質なのですが、恐ろしい変なタンパク質もあるものだと思っていました。しかしこのようなタンパク質の働きは決して特殊なものではないことが判りました。生体物質といったらまず上げるのはDNAでしたが、この本を読んで私はまずタンパク質かもしれないと思うようになりました。生きているということの考えが大きく変えてくれる本かもしれません。ぜひ皆さんも読んでみてください。
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