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抜け参り薬草旅 の商品レビュー

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5件のお客様レビュー

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2014/05/22

江戸瀬戸物問屋の小僧英吉は寝小便を治すためお伊勢さんへ抜け参りする。途中腹の調子が悪くなったことから薬草採りのの庄兵衛と出会い道連れになる。 庄兵衛さんが簡単に事件を解決しすぎるが、退屈しのぎにはなるお話でした。

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2014/05/11

当時は薬といえば薬草で、薬草採りの知恵たるや相当のものだったのだろう。権力を笠に着た武士ではなく、したたかな商人をヒーローに仕立てる粋な演出は、さすが出久根流だと感心する。

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2012/07/04

出久根達郎さんは「御書物同心日記」以来でした。 この人の小説を読むとこれこそ時代小説だ!と凄く腑に落ちる。 文章の洒脱さ、軽妙さ。無駄無いようだけど遊びがあってテンポがよい。 今回は東海道を舞台にした物語だった。 抜け参り、とはお陰参りのことで、現代の私たちには馴染みがないけれ...

出久根達郎さんは「御書物同心日記」以来でした。 この人の小説を読むとこれこそ時代小説だ!と凄く腑に落ちる。 文章の洒脱さ、軽妙さ。無駄無いようだけど遊びがあってテンポがよい。 今回は東海道を舞台にした物語だった。 抜け参り、とはお陰参りのことで、現代の私たちには馴染みがないけれど、当時は一代イベントだったらしい。 要は伊勢参りのことなんだけど、奉公人もお陰参りだけは、主人の許しを得なくても黙って抜け出すことが出来たらしい。 抜け参りをした少年洋吉と薬屋の庄兵衛が出会うところから物語が始まる。 嬉しいことに舞台になる沼津から由比は静岡東部に住んでいる私にとって非常に馴染みがある場所だし、当時の旅の様子が知れるのは読んでいて楽しかった。 また偶然にも先日読んだ「一朝の夢」で出てくる幻の黄色の朝顔が物語に絡んできたので、妙な縁が嬉しかった。 最後まで安心して物語に浸れる、落ちも出久根さんらしくすっきりと伸びやかだった。 旅ものを探している人に、楽しめる時代小説を探している人にお薦め。

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2012/02/21

天保元年,60年に一度の抜け参りの年,柄杓一本を帯に挟んだ奉公人達が〜日本橋瀬戸物町の瀬戸物問屋に奉公している洋吉は,寝小便が止まない所為で他の奉公人が伊勢への抜け参りに行って帰ってくるのを指を咥えて見ていたが,天照大神に祈って癖を直そうと一念発起するが,水に中って下痢をしている...

天保元年,60年に一度の抜け参りの年,柄杓一本を帯に挟んだ奉公人達が〜日本橋瀬戸物町の瀬戸物問屋に奉公している洋吉は,寝小便が止まない所為で他の奉公人が伊勢への抜け参りに行って帰ってくるのを指を咥えて見ていたが,天照大神に祈って癖を直そうと一念発起するが,水に中って下痢をしている所を助けたのは,薬草採の庄兵衛で,その弟子のようにゆるゆる西に向かう。薬屋を襲う連中を蝮で撃退し,黄色い朝顔の種を巡るごたごたを収拾し,跡取りが欲しい商家の娘に催婬剤を調合しようとする処を番頭の豆斑猫(まめはんみょう)を使った乗っ取りを阻止し,富士を描く絵師・富嶽が催眠薬を使って蔭参りの娘に刺青で赤富士を彫るのを阻止し,色呆けした大旦那をおとなしくするために活人形を拵える素行を改めさせ,久能山に住む山入り衆が新種の毒茸を発見し売る売らないの揉め事を解決し,安倍川の川止めで思わず凧合戦の駆け引きに巻き込まれて,由比の跡取りを蔭参りの人々が担ぎ上げる騒動を収め,洋吉は熱から醒め,凧師の弟子となって居着く〜江戸から伊勢へって出掛けていく人々の中には,道中で居場所をみつけて居着く者もいたのろう。この連作は『旅行読売』〜『問題小説』と掲載誌を変え,最後は書き下ろしとなった。漢方薬の知識と由比までの取材で書いたのだろう。中途半端な終わり方は致し方なしか

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2011/08/15

続けてお伊勢参りの話が。先の作品は正当なルールに則ってお伊勢参りに向かう話だが、こちらはアウトローな文字通りの抜け参り。正統な方は一年も前から全ての段取りを御師が請け負い、人員も素性の明らかなる者を伊勢神社に導くが、抜け参りは奉公先から飛び出して、他人の喜捨をアテに、謂わば脱走と...

続けてお伊勢参りの話が。先の作品は正当なルールに則ってお伊勢参りに向かう話だが、こちらはアウトローな文字通りの抜け参り。正統な方は一年も前から全ての段取りを御師が請け負い、人員も素性の明らかなる者を伊勢神社に導くが、抜け参りは奉公先から飛び出して、他人の喜捨をアテに、謂わば脱走とも取れるやり方で伊勢参りをするというお話だから、フザケタ内容になるのは致し方ないのかも知れない。今流行りの「御自分様」の団体が揃って、抜け参りするのも珍しくなかったらしい。お伊勢参りという免罪符があるものだから、雇い主も指をくわえてお咎めなしで、やりたい放題だった様だ、そんな話に薬草の話が処処に散りばめられて、好きな方にはオイシイ話かも。

Posted byブクログ