さよなら渓谷 の商品レビュー
秋田県の畠山鈴香が子供を殺した事件を思わせる物語を展開軸に、男と女の愛憎に切り込んでいる。主役は事件宅の隣家の住人。不思議な男と女が暮らしている。 実は学生時代にレイプした犯人と被害者が流れ流れてたどり着いた仮の住処だった。男と女ってこんなもののような気になった。
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『悪人』引き続き、作者の立ち居置が絶妙。場の雰囲気というか空気というか、割と低いんだけれど深過ぎるわけではない 登場人物と作者の距離感がとても心地良い。 短いけれど密度のある深い作品だった。 むしろ、『悪人』よりも良かったかもしれない。 終りのかなこの台詞を読んだときに題名の『さ...
『悪人』引き続き、作者の立ち居置が絶妙。場の雰囲気というか空気というか、割と低いんだけれど深過ぎるわけではない 登場人物と作者の距離感がとても心地良い。 短いけれど密度のある深い作品だった。 むしろ、『悪人』よりも良かったかもしれない。 終りのかなこの台詞を読んだときに題名の『さよなら渓谷』が結びつき、なんとも救われん感情を抱いた。 やっぱり人は独りでは生きられない。 (2008.06.26)
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吉田修一さんはついに、「悪人」以来、こうカチリと何かのスイッチが 入ったかのように、 ますます磨きのかかった文章を書かれるようになったと思う。 この作品は、ちょっとだけ読むつもりが、 思わずひきこまれて2時間ほどで一気読みしてしまった。 それぐらい、離れられなかった。 「・・...
吉田修一さんはついに、「悪人」以来、こうカチリと何かのスイッチが 入ったかのように、 ますます磨きのかかった文章を書かれるようになったと思う。 この作品は、ちょっとだけ読むつもりが、 思わずひきこまれて2時間ほどで一気読みしてしまった。 それぐらい、離れられなかった。 「・・・あの事件を起こさなかった人生と、 かなこさんと出会った人生と、 どちらかを選べるなら、 あなたはどっちを選びますか?」 主人公の渡辺は最後に、その答えがわかった、と書いたが、 どうなのだろう、 もしも、この時点でわかったならば(それが私の推測通りの答えならば) この問いは無粋な気がするし、 もしも、この答えが私の推測とは違う方であれば、 それはそれで、また尾崎の行動は奥が深いものに見えてくる。 装丁もすごく良いね。 カバーがモザイクになっているところが、にくい、と思った。
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