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古代文明と気候大変動 の商品レビュー

3.5

13件のお客様レビュー

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2021/06/20

人類史だけ見ていては気がつかないゲルマン人の大移動やら、ヒッタイトやマヤ文明の突然の崩壊、そうしたものが地球規模の気候変動で引き起こされたというのはとても興味深い。 地球が温暖化してくると、氷河が溶け出してメキシコ湾流を止め、偏西風を凪させるため、寒冷化が進むというバランスが凄ま...

人類史だけ見ていては気がつかないゲルマン人の大移動やら、ヒッタイトやマヤ文明の突然の崩壊、そうしたものが地球規模の気候変動で引き起こされたというのはとても興味深い。 地球が温暖化してくると、氷河が溶け出してメキシコ湾流を止め、偏西風を凪させるため、寒冷化が進むというバランスが凄まじい。人間は無力だなと感じてしまう。とはいえ、二酸化炭素の影響も無視できないように思われる。

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2019/09/01

地球は一万五〇〇〇年前、氷河時代を終えて温暖化を迎え、人類は“長い夏”に育まれてきた。絶えず変動する気候に翻弄されながら、古代文明はいかにして生まれ、滅びたか。気候学の最新成果を駆使し、その興亡史を鮮やかに描き出すとともに、洪水や干魃などの大災害に対する現代文明の脆弱さに警鐘を鳴...

地球は一万五〇〇〇年前、氷河時代を終えて温暖化を迎え、人類は“長い夏”に育まれてきた。絶えず変動する気候に翻弄されながら、古代文明はいかにして生まれ、滅びたか。気候学の最新成果を駆使し、その興亡史を鮮やかに描き出すとともに、洪水や干魃などの大災害に対する現代文明の脆弱さに警鐘を鳴らす

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2019/02/03

2万年の昔から数えれば、一番人間を殺してきたのは気候かもしれない。 メソポタミアも、シュメールも、アッカドも、ミュケナイも、ヒッタイトも、ケルトも、ローマも、マヤもインカも。 全ての過去の文明は気候にもてあそばれ、滅ぼされたといっても過言ではない。 干ばつや寒冷化による生活の破壊...

2万年の昔から数えれば、一番人間を殺してきたのは気候かもしれない。 メソポタミアも、シュメールも、アッカドも、ミュケナイも、ヒッタイトも、ケルトも、ローマも、マヤもインカも。 全ての過去の文明は気候にもてあそばれ、滅ぼされたといっても過言ではない。 干ばつや寒冷化による生活の破壊は一地域の飢餓にとどまらず、民族を移動させ、略奪・侵略・征服を促す。 そしてその波は連鎖的に広がり、世界のかたちを大きく変えていく。 南西アジアを覆った1万1000年前からの1000年にわたる干ばつ。 主にヨーロッパにて前6200年から400年間続いたミニ氷河時代。 前5600年、かつては湖であった黒海が誕生することとなった大洪水。 前3800年、地軸の傾きの変化により1000年以上にわたる乾燥化。 前3200年から前3000年までの急激な乾燥化と寒冷化。 紀元前2200年ごろ、火山の噴火により278年にわたる干ばつ。 紀元前1200年、1年で地中海地方の勢力図を大きく変えることになった大干ばつ。 そして19世紀にも、熱帯地方で2000万人以上の農民が干ばつから派生した事象で死亡した。 斯様な激動の1万5千年間は、過去40万年間の中で見れば最も気候的に安定した時代であり、 中でもこの100~200年間は、稀に見る気候に恵まれた時代であった。 もちろんこんな幸福がこの後も続く保証はない。 気候変動の原因は種々あるが、明日の気温低下が次の氷河期に繋がったとしてもなんの不思議もない。 過去の人類は、養える人数を減らし、危険な移動を繰り返すことでなんとか少数を生き残らせることができた。 現代社会は100年に1度の災害に対応可能なように制度・機構を準備することはできたが、 千年、万年に一度の異常に対しては何もできない。 明日の食料・燃料が人口の10分の1しかないとわかってしまったら、人は、国はどうなるか。 物語の中でしか想像されてこなかった大きな犠牲に直面するときは、いつか必ず来る。

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2017/01/23
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2008年(底本05年)刊行。著者はカリフォルニア大学サンタ・バーバラ校人類学名誉教授。環境考古学の観点から人類史を纏め、現代社会への警鐘をも加味した書を刊行し続ける著者。本書は、旧石器時代を中核に、エジプト、メソポタミア(シュメールからアッカド王朝も)、ローマ帝国とケルト人、中南米のマヤ文明とプレ・インカたるティワナク文明等、広範囲に叙述。エジプト古中新の各王国の大まかな変遷、あるいはアッカド王朝成立過程を環境面で切り取る等、無味乾燥になりがちな古代史もなかなか興味をそそる。が、やはり旧石器時代。 ジャレド・ダイヤモンドが森林保全を高らかに唄う一方、B.フェイガンは、生活圏における人類の増加(人口密度の稠密化)を問題にするように感じた。大きく一般化すれば(多少の地域・時代的差異はあるが)、植物性食物の経年的利用の可能(ドングリ等の堅果類から小麦等の穀物へ)→定住化と人口増→都市の形成→環境変動への脆弱化→乾燥(要因は多々)→都市の巨大化→支えきれない乾燥→崩壊へ、というシナリオが其処彼処で見られたということを指摘していく。「増えすぎた人口を…移民させる」で始まるフィクションが現実に必要とも思えそう。 本書に限らず、欧米の最近のサイエンス・ドキュメンタリーで地球温暖化が起こっていないことを前提とする番組は見ない。本書も人為的な温室効果ガス(CO₂よりもメタン)増大を環境負荷の大きな要因とし、温暖化→各地域における環境変動偏差の増大が、人類に与える影響に警鐘を鳴らす。温暖化が生じていない等の言説が一部あったが、グリーンランド氷床の消滅→大西洋深層海ベルトコンベアーの機能不全の懸念に想いを致せば、安穏な言い方が良くもできたものだ、とも。 ところで、本書にもあるようにメタンの温室効果が絶大であり、この放出が進んでいるとの情報がある(記憶違いかもしれないが、温暖化によるシベリア永久凍土の解凍により)。そもそも、かつて地球で起きた大量絶滅の要因として大気中のメタン濃度の増大があったと聞く一方、メタンを主成分とするメタンハイドレードの採掘を、日本の未来のE源として手放しで礼賛し推奨する動きがあるとも。手放しではなく、かかる環境負荷の懸念を払拭する対応策等、関連情報の開示の必要性を強く思う所以。

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2014/09/07

古代文明に大いに影響を与えた気候変動の様子がとてもわかりやすく書かれている。単なる歴史としても、古代の様子を明らかにした技術解説としても、昔々の物語としても読めて面白い。 ネイティブ・アメリカンの口承史たる「一万年の旅路」にあった、ベーリング海横断のくだりがどうも腑に落ちなかった...

古代文明に大いに影響を与えた気候変動の様子がとてもわかりやすく書かれている。単なる歴史としても、古代の様子を明らかにした技術解説としても、昔々の物語としても読めて面白い。 ネイティブ・アメリカンの口承史たる「一万年の旅路」にあった、ベーリング海横断のくだりがどうも腑に落ちなかったが、氷河期には海面降下していて陸続きだったとの話は、長年の疑問が氷解した。 年表が便利。

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2013/02/25
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

 近年、地球温暖化が一層の深刻を招き、温室効果ガスについての情報も広まっていったが、この本を読んでいかに地球が気温の変化を受けて現代に至るかがよくわかった。毎日を当たり前のように過ごしているが、20世紀から現在にかけて、地球の歴史から見て比較的気温は安定しているのである。我々の祖先は、過去7〜8万年の間に少なくとも9回の氷期をくぐり抜けてきたことが今日まで判明している。  よって、現在の温暖化は地球の気候変動のはてない自然のサイクルの一部なのだと主張する人もいるそうだが、著者は過去150年間の地球温暖化は、過去1000年におけるどの温暖化の時代よりも長期に渡っており、それは一部には我々人類の活動ゆえに引き起こされたものだと考えている。人間と自然環境および短期の気候変動との関係は、常に流動的であったのだ。  気候の変化が寒暖、乾湿をくり返して大きく変化してきた間も、人類はどこかで生きていた。その間ほぼずっと、気候が悪化すれば、住みやすい場所を求めて移動し、よい時代が戻って人口が増えれば、新たな場所に移っていくという暮らしが続いた。しかし、およそ12000年前に農耕が始まって以来、やがて一つの土地に定住するようになった。こうして文明が始まるのだが、増え続けた人口がその土地の環境収容力を超える日がやってくる。そこで大きく気候が変動すると、もはや対応しきれず、多くの人は死に、生き残った者は各地へ離散していくのであった。  気候の変動は、人類が温室効果ガスを増やそうと増やすまいと、いずれ必ず起こる。人間は自然とともに生きるしかないことを、より多くの人間が理解することがまず大切なのである。

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2013/01/31

 人類と気候の関係を、主に1万年以上前のいわゆる原始時代から紀元後1200年あたりまでの古代文明と呼ばれる文明が栄えた時代を通して考察している。気候という跡の残りにくいものを対象としているため、かすかな形跡から想像力豊かに何が起きたのかをシミュレーションしている。気候の変化に対す...

 人類と気候の関係を、主に1万年以上前のいわゆる原始時代から紀元後1200年あたりまでの古代文明と呼ばれる文明が栄えた時代を通して考察している。気候という跡の残りにくいものを対象としているため、かすかな形跡から想像力豊かに何が起きたのかをシミュレーションしている。気候の変化に対する防御策として中央集権化と土地の組織化が行われたという指摘はなかなか面白い。また、気候変動に対向するために集団を大きくしたことが却って気候変動に対して弱点をさらけ出す結果になっているという指摘も興味深い。

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2011/12/30

近年、地球温暖化が叫ばれ、確かに毎年、異常気象が発生し、我々の肌で直接感じられるまでになってしまった。その一方で、実は、温暖化に対する科学的根拠は十分に得られておらず、むしろ長いスパンで考えると実は地球は寒冷化に向かっているとの主張も存在する。 いずれの意見が正しいか、はっきり...

近年、地球温暖化が叫ばれ、確かに毎年、異常気象が発生し、我々の肌で直接感じられるまでになってしまった。その一方で、実は、温暖化に対する科学的根拠は十分に得られておらず、むしろ長いスパンで考えると実は地球は寒冷化に向かっているとの主張も存在する。 いずれの意見が正しいか、はっきりと結論づけるのは難しいしかし、現在の温暖化の直接の原因を作ったのは、人類であることは明らかである。(現在の温暖化の期間の長さ、程度の著しさ、などから、温暖化は確実に進んでいる説に筆者は支持している)。 そして、問題なのは人類の生活規模が今まで経験したことのないほど肥大化し、身動きできない状況にあることについて、これまでの人類史を地質学から明らかにされた気候変動の歴史と比較し、著者は現在の状況に警鐘を鳴らしている。 さて、私は、実のところ本書をまだ3章しか読んでいない。。(ヨーロッパ→シベリア移動、シベリア→アメリカ大陸移動) しかし、大事なことはさきほど述べた、人類規模の肥大化になるだろうと思う。 私が読んだはじめの3章は、まだ狩猟のみで生活していた時代について書かれている。この時代は、まだ、生き延びるために、食物を求めて、常に移動していた。それはまさに野性動物と同じである。 そして、彼らの生活に気候変動はもろに影響を与えた。冬が来れば温暖な地域を求めて移動し、夏が来ればまた別の涼しいところを求め動く。(本書では、この様相をポンプに例えている) しかし、彼らはごく小規模で集団を形成していたため、別の集団に会うこともなく、広大な土地を我が物のように移動することができた。 一方、現在の地球は、既にあらゆる地域に人々が住みついてしまっている。もう移動はできない。パンク状態だ。 そして、各集団はありえないほどに肥大化している。すると、柔軟な対応ができず、気候変動といった災害に対し非常にもろくなる。具体的にどうもろいかは、今より小規模とはいえ、本書に記される歴史が教えてくれるだろう。 (まだ読んでいないが、) 本書は、これから、農耕文化の時代に突入していく。その後、より高度化していく中で翻弄され続けた気候変動を解説していくことになると思う。もう、好き勝手に移動だけすればよかった時代ではなくなる。そういった時代の人々が、気候変動に対して、どのように対処し、または対応できずに滅びていったか。この後の展開が楽しみだ!

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2011/12/02

全世界で温暖化・寒冷化・旱魃・洪水などが同じように起きるわけでもないし、昔からちゃんと気候を記録してきたわけでもないので、どうしても推測になる所が大きいのはやはり難点。 要約 温暖・湿潤→人口増→文明発展→旱魃→(短期的であれば技術革新で克服)/(長期になると文明崩壊) 例 ...

全世界で温暖化・寒冷化・旱魃・洪水などが同じように起きるわけでもないし、昔からちゃんと気候を記録してきたわけでもないので、どうしても推測になる所が大きいのはやはり難点。 要約 温暖・湿潤→人口増→文明発展→旱魃→(短期的であれば技術革新で克服)/(長期になると文明崩壊) 例 BC2000年頃のメソポタミア BC2000年頃のエジプト(旱魃によりナイルの洪水が縮小、洪水を起こして肥沃な大地を作っているとされたファラオの権威失墜) BC1200年頃エジプト(穀物を蓄えるようになっていて自分たちは大丈夫だったが、外敵が侵入してきて戦争に) AD800年頃のマヤ(800~1000万人もいたらしい。直前まで湿潤化していて人口増・都市化(人口密度200人/km^2。今のイタリアと同じ)→旱魃→文明崩壊、小規模共同体社会へ。共食いのあとも) グリーンランドの氷床が解け、メキシコ湾流が止まったら、ヨーロッパは極寒の地に 20世紀は史上稀にみる恵まれた気候だった 気候大変動に対して人類は無力であり、場合によっては人口が半減するくらいの事態になりうる(というか少なくとも文明が崩壊したことは何度もある)

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2011/12/01

気候の変動が文明の隆盛に与える影響を、実際に旧大陸と新大陸の各地の文明が歩んだ道を追いかけながら考察する本。地球の気候が移ろいやすいこと、そして文明は適切な環境なくしては存在しえないことがよくわかる。気象学的な知識をある程度前提としているので、予備知識のない人には読み通すのは辛い...

気候の変動が文明の隆盛に与える影響を、実際に旧大陸と新大陸の各地の文明が歩んだ道を追いかけながら考察する本。地球の気候が移ろいやすいこと、そして文明は適切な環境なくしては存在しえないことがよくわかる。気象学的な知識をある程度前提としているので、予備知識のない人には読み通すのは辛いかもしれないが、興味のある人にはぜひおすすめしたい一冊だった。

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