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古代文明と気候大変動 の商品レビュー

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13件のお客様レビュー

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2011/08/21

二度目の読了。 人類はかつて、気候が悪化すれば住みやすい場所を求めて移動し、よい時代が戻って人口が増えれば、さらに新たな場所を探し求めて移っていった。 しかし氷河期後の急速な温暖化を契機として狩猟生活から採集生活、そして農耕が始まり、その後は灌漑設備や都市を建設して生産性を高め、...

二度目の読了。 人類はかつて、気候が悪化すれば住みやすい場所を求めて移動し、よい時代が戻って人口が増えれば、さらに新たな場所を探し求めて移っていった。 しかし氷河期後の急速な温暖化を契機として狩猟生活から採集生活、そして農耕が始まり、その後は灌漑設備や都市を建設して生産性を高め、短期の干ばつや特別な豪雨など、頻繁に起こる小さな災害への抵抗力をつけながら、その土地の環境収容力ぎりぎりまで人口を増やした。 そして大きな気候変動が起きたときにはもはや対応しきれずに文明が崩壊し、多くの人が死に絶え、生き残った者が各地へ離散していった。 本書ではヨーロッパ、西アジア、北アフリカ、南北アメリカを中心に、様々な古代文明の盛衰が気候変動の状況と共に描写される。 この本の着眼点が素晴らしいのは、世界のいかなる文明も、短期的な気候変動には対応できたが大きなものには対応できなかったというところ。 よく古代文明を紹介する際に「彼らは環境を生かして繁栄しました。現代に生きる我々もお手本としましょう」というような言葉が登場するが、結局かの文明もその環境自体の変動により衰退したのである。 原著が出たのは2004年、訳書が出たのが2005年。著者と訳者はその時関心が高まっていた地球温暖化を念頭にコメントしているが、大震災と原発事故を経験してしまった今の日本に住む自分としては、その辺りも考えながら読まずにはいられなかった。 古代中国、日本、東南アジアについての記載がないのはちょっと残念だが、類書を探す楽しみにする。

Posted byブクログ

2010/11/01

 評価の高い本書だが、通して読んでいるとやや事象の羅列的な感じがして、「人類の運命」というほどの大テーマは今一つ伝わらないが、最終氷河期に、ベーリング陸橋から人類がユーラシアから北米大陸に渡った話や、黒海洪水説の辺りは、想像力を刺激された。  ただ、人間の営みは気候変動によって巨...

 評価の高い本書だが、通して読んでいるとやや事象の羅列的な感じがして、「人類の運命」というほどの大テーマは今一つ伝わらないが、最終氷河期に、ベーリング陸橋から人類がユーラシアから北米大陸に渡った話や、黒海洪水説の辺りは、想像力を刺激された。  ただ、人間の営みは気候変動によって巨大な影響を受ける、という当たり前の事は、よく理解できる。必読とまでは思わないが、読んで損は無いと思う。

Posted byブクログ

2009/10/04

氷床や海底のコアを用いた昔の気候の再現は定量的であるものの、それに基づく各地の古代文化の盛衰の記述は推測によるところが 多すぎる上に事実や定説との分離がはっきりしていない。しかしそれゆえに著者の想像力による生き生きした人々の営みの再現を容易に 追体験でき、現代文明への警鐘も情緒的...

氷床や海底のコアを用いた昔の気候の再現は定量的であるものの、それに基づく各地の古代文化の盛衰の記述は推測によるところが 多すぎる上に事実や定説との分離がはっきりしていない。しかしそれゆえに著者の想像力による生き生きした人々の営みの再現を容易に 追体験でき、現代文明への警鐘も情緒的な部分での強い説得力を持っている。

Posted byブクログ