切羽へ の商品レビュー
読み終わってから恋愛小説と気づく(^_^;) 料理や食材をおもい起こさせる文章がすごく色鮮やかで生々しくてすき。たしか他の作品もそんな感じだったでしょうか。 恋愛小説と気づいたのは読み終わってからだったが、まさしく恋愛小説。
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切羽とは、トンネルを掘っていくいちばん先のこと。 トンネルが繋がってしまえば、切羽はなくなるけれど、掘り続けている間は、いつも、いちばん先が切羽。 年上の優しい夫と小さな島で穏やかに暮らす主人公。 そう聞くと暖かくて満ち足りてて…とそんなイメージを持つ。 なのに、この物語では常に危うさや儚さみたいなものが漂っていて、なんだか緊張した。 妻であり、島の女である主人公。 それに匿われているかのような夫の陽介さんのことが気になってしょうがなかった。 いつか、彼は島の男になれるだろうか。 妻という存在は怖い。
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夫・陽介とのやりとりがとてもよかった。 セイが亡くなったしずかさんの家の片付けに行くと言えば、 「男手もいるか」とすぐに気が回り、口にする。 自分は行けないから心配して訊いたのだけれど、 後からダンボールを抱え、「足りないかと思って」と来てくれたり。 小さなことも話し合えて、助け合えて、 長くいっしょにいてもダラダラになっていない。 不倫で、小さな島のなかでこうももめごとを起こしても 平気でいられる月江がすごい。
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表面にはみせないけど、 揺れ動く女心 つながってしまえば、 トンネルになるけど つながる前の一番奥を切羽というらしい。 恋や愛やら… 好きな人と幸せになるお話かと思えば 最後は最初と同じ穏やかな時間。 だけど、 少しずつ変化していくんよね。 つながるか、切羽で終わるか。 ...
表面にはみせないけど、 揺れ動く女心 つながってしまえば、 トンネルになるけど つながる前の一番奥を切羽というらしい。 恋や愛やら… 好きな人と幸せになるお話かと思えば 最後は最初と同じ穏やかな時間。 だけど、 少しずつ変化していくんよね。 つながるか、切羽で終わるか。 もう少し…年を重ねたあとに もう一度読みたいと思います。 そのときには、 ただ好きな人のとこにいけばいい! トンネルをつなげよう!なんて 軽々しく思わないかもしれないなぁ。
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いやいや、これは好き嫌い、わかれるでしょう~。人妻のセイが新任教師に心揺らぎ、そして結局何もないというお話。ふんわり、もしくはゆるやかにお話はたんたんと進んでゆきます。 キューブリックのアイズ・ワイド・シャット?だっけ。あれで、女性は心で浮気をするみたいに妻が告白するシーンがあったとおもうんだけど、(10年前以上に一度みただけですが)結局は、それ? でも、物語の空気感みたいなものは荒野さんはやっぱりうまい。でも短編のほうがすきかもー
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とても美しい文体だ。ストーリーの起伏からすれば、退屈な位で、これと言って何が起こるわけでもない。退屈な日常を選び取った主人公の心の起伏だけが淡々と描かれる。にもかかわらず、南の言葉、島の風景とあいまって、とても抒情的に甘美な色を帯びるのは、文体の成せる技だろう。 心がうつうつとし...
とても美しい文体だ。ストーリーの起伏からすれば、退屈な位で、これと言って何が起こるわけでもない。退屈な日常を選び取った主人公の心の起伏だけが淡々と描かれる。にもかかわらず、南の言葉、島の風景とあいまって、とても抒情的に甘美な色を帯びるのは、文体の成せる技だろう。 心がうつうつとしていれば、巻き込まれるよくない美しさだ。だからこそ、人生そのもののように感じてしまう。 なるほど、江國香織が井上荒野を評していた感じが分からないでもない。http://www.shinchosha.co.jp/shinkan/nami/shoseki/473101.html 二人は男の人には理解し難いという意味で、そして文体の美しさという意味で似ているのかも。でも、物語の流れは対局。 井上荒野には、ゆっくりと奥の方から心を揺さぶられる。ゆっくりだから、気にしなければなんてことないのに、思わず、一度囚われると、ただ、ただ、その周りばかり回ってしまっている。淡くせつないんだなあ。 さて、疑問がふたつ。 ①南の方言。リアル地域の人にはどう映る? ②直木賞って、不自然じゃない?
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切羽とはトンネル工事で彫っていくときの一番奥の突き当たりのことだそうだ。貫通すれば、切羽はなくなるとのこと。奥深い意味合いはわからなかったが、島の生活、人間関係は、ほのぼのとした感じが出ており、結構楽しく読んだ。第139回直木賞作品。
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恋愛小説。男と女、島と本土と東京。 九州の離島で生まれたセイは小学校の養護教諭をしている。夫は幼馴染で画家。東京で知り合い島へ帰ってきた二人。 同僚の月江の元には「本土さん」が時々やってくる。不倫である。 そして近くに住むしずかさん。年老いて一人暮らしの彼女をセイは時折訪れる。...
恋愛小説。男と女、島と本土と東京。 九州の離島で生まれたセイは小学校の養護教諭をしている。夫は幼馴染で画家。東京で知り合い島へ帰ってきた二人。 同僚の月江の元には「本土さん」が時々やってくる。不倫である。 そして近くに住むしずかさん。年老いて一人暮らしの彼女をセイは時折訪れる。 そういう日々に石が投げ込まれるように、島に新しい男性教師・石和がやってきた・・。 恋愛の描写に独特な印象を受けた。多少露骨で生々しかったり。 長さも適度で飽かせず読ませられるが、胸を激しく突く感じは私はしなかった。 ゆるゆるじっとりした多少不快なテンポが恋愛のそういう部分と同調しているように思う。 でもこういうことが実際の恋愛では事実に近いのかもしれない。
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昔、1ヶ月ほど入院したことがあって、その時に母に「今期の直木賞買って来て」とお願いして差し入れてもらった作品です。 読み終わった時に「はぁ」とうっとりするような溜息を漏らしてしまいました。 とにかく物語の雰囲気がうっとりするぐらいの美しさで、目を閉じれば九州地方の小さな島の情景...
昔、1ヶ月ほど入院したことがあって、その時に母に「今期の直木賞買って来て」とお願いして差し入れてもらった作品です。 読み終わった時に「はぁ」とうっとりするような溜息を漏らしてしまいました。 とにかく物語の雰囲気がうっとりするぐらいの美しさで、目を閉じれば九州地方の小さな島の情景が鮮明に浮かんできます。 特にめまぐるしい展開もないんだけど、それがいい。 主人公の女性のたおやかな心の動きが、木々の息づかいのようにふわっと読者に届く。 「切羽へ」というタイトルもよく物語を表していて、物語そのものが生きているのではと思わせるようなびっくりする作品でした。 この作品が直木賞を取るのは当然ですね。 繊細な人の機微を感じ取って欲しい作品です。
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都会から離れた島で暮らす、養護教諭の私と、心優しい夫 東京からやってきた新しい教員の石和に惹かれている私であるセイ 憎まれ口ばかり叩いていたしずかさんの僅かな命と 本土さんの愛人である同僚の月江 何もない島で、毎日何かが少しずつ、変化している。 切羽。トンネルを掘っていくいちばん先が、切羽。 トンネルが繋がってしまえば、切羽はなくなってしまう。 掘り続けている間は、いつも、いちばん先が、切羽。 切羽のように、セイが寄せる石和への思いは、それ以上進むことはない関係。 意外と深い~。 本土さんと月江がいつもドキドキした。 読みやすい)^o^(
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