物乞う仏陀 の商品レビュー
著者の人間味溢れる記述に心打たれます。 天下から言葉を発するようなものでなく、 見たこと・感じたことを素直に記述する。 だからこそ、読むこちらに訴えかけるものが違う。 絵本→写真ルポ→本書と流れたので余計読みやすかったのかも。
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凄まじい実情。 東南アジアやインドに行ってみたいなと軽い気持ちで考えていたが、こういう面があることを知ると、怖いです。 人間って自分が生きるためにどこまで他人に対して残酷になれるんだろう。
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たった数百円の為に体や命が無くなる。日本のインフラ・社会保障のありがたみを認識した。 インタビュアーにもかかわらず相手の気持ちを読めない著者に苛立つが、こうした本の存在価値は大きいと思う。
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小説のようでもある。詩のようでさえある。しかしこれはノンフィクションである。題名の『物乞う仏陀』が示す独特な世界観を以って貧困の世界を描く。 衝撃度でいえば「第8章 インド」がもっとも貧困の闇を描いている。しかし他の章にもぜひ注目したい。「第1章 カンボジア」はさながら「羅生門...
小説のようでもある。詩のようでさえある。しかしこれはノンフィクションである。題名の『物乞う仏陀』が示す独特な世界観を以って貧困の世界を描く。 衝撃度でいえば「第8章 インド」がもっとも貧困の闇を描いている。しかし他の章にもぜひ注目したい。「第1章 カンボジア」はさながら「羅生門」のような雰囲気を持つ。「第7章 ネパール」のザグリと少女の話は呪術の持つ「現実的な」効用とともに希望を感じさせる。 特に私は「第5章 ミャンマー」が印象的だった。老婆の感情が瓦解する場面は胸が締め付けられる。現世を否定されることはいまの自分を否定することになる。だから輪廻転生の来世を信じる老婆。やりきれなさを感じずにはいられない。 ときには生命の危険を冒しながらも貧困社会へ入り込み、自然な目線で人々を捉える石井氏。彼を突き動かすものはなにか。慈善心とは違う。好奇心だけでは語れない。使命感という言葉がもっもとしっくりあてはまる。良し悪しではなく「知らなくては」と「伝えなくては」という思い。 多かれ少なかれ我々は差別や偏見を持つ。過度な拒絶と同様、過度な優しいも差別であり偏見である。文章はその要素、つまり視覚や嗅覚、触覚を徹底的に排除する。文字のみを通して素直に自分自身の感情と向き合うことができる。貧困を描くことに対する賛否両論はあるだろうが、その成果は大きい。
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こういうのは感想を気安く書けないけど、 僕はけっこう冷酷な人間になれるというか、 正義感って何なんだろうとかって思う。 でも読んでよかった。 こういう世界というか観点は、僕には少ない成分だから。
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日本だって60年前はこうだった。忘れちゃいけない、いろんな犠牲のもとに今の日本人がある。もっと必死に生きなくちゃ
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
アジア諸国で身体に障害を持つゆえに物乞いとならざるを得なかった人々、マフィアにより誘拐され障害者として物乞いを強要される人々等を描いたノンフィクション。そんな人々が著者には仏陀に見えたのか?悲惨な現実を突き付けられても、なすすべもないのですが…。
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カンボジア 生き方〜買春と殺人 ラオス 村〜不発弾と少数民族 タイ 都会〜自立と束縛 ベトナム 見守る人々〜産婆と家族 ミャンマー キリスト〜信者 スリランカ 仏陀〜業と悪霊 ネパール ヒマラヤ〜麻薬と呪術師 インド 犠牲者〜悪の町と城
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ノンフィクション。アジアの物乞いに魅せられた著者が、各国で出会った人々のエピソード集。 情熱大陸で著者を知り、気になって読んでみた。ノンフィクションってもっとお堅い文章なのかと思っていたけれど、短編ということもあって驚くほど読みやすかった。良くも悪くも、小説のようだと思った。読...
ノンフィクション。アジアの物乞いに魅せられた著者が、各国で出会った人々のエピソード集。 情熱大陸で著者を知り、気になって読んでみた。ノンフィクションってもっとお堅い文章なのかと思っていたけれど、短編ということもあって驚くほど読みやすかった。良くも悪くも、小説のようだと思った。読みやすすぎて、なんだかフィクションのように感じてしまう部分も。挟み込まれている会話のテンポが良いからかもしれない。けれど、その中にさらっと描かれている現実は、想像しようとしてもなかなかできない。 自分の無知を恥じたり、旅先で恋に落ちたり。ノンフィクション作家の人って、こんなに作品の中で自分をさらけ出すものなのだろうか…。ノンフィクションって、ある意味では小説以上に著者の個性が表れるんだなぁと思った。他の作品も読んでみる。
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一端の旅人として、ずっと読みたいと思っていた石井光太氏の作品。 古本屋で見つけて、ミャンマーへの旅をするにあたってジャストフィットやと思い、購入しました。 内容としては、アジア各国の街を歩きながら、乞食や障害者などの弱者に対してインタビューを行い、各国の実情を明らかにしてい...
一端の旅人として、ずっと読みたいと思っていた石井光太氏の作品。 古本屋で見つけて、ミャンマーへの旅をするにあたってジャストフィットやと思い、購入しました。 内容としては、アジア各国の街を歩きながら、乞食や障害者などの弱者に対してインタビューを行い、各国の実情を明らかにしていくといったもの。 ハンセン病患者の村を訪れたり、町の乞食を食事に連れて行って話を聞いたり、マフィアとの関係を調査したりと、本気のジャーナリストってすごいな、と改めて感じました。 今では日本でも障害者の人権が主張されるようになってきたけど、それっやっぱ経済的に余裕が生まれて、福祉を充実させたり、家計の中で障害ある家族にお金を使う余裕ができてきたからなんやというのを再認識しました。 障害者雇用なんてのも、雇用環境が整ってから実現するものやしね。 経済的に恵まれないアジア各国では、障害を持った子どもが生まれた途端、その家族は不幸になると、みんなが思ってる。 家計が圧迫されるだけでなく、隣人からは迷惑がられるから、人目を避けて生活しなければならない。 さらには、輪廻転生を信じる地域では、傷害の持った子どもが生まれたら、それは両親の悪業が要因だと思われて、村を追われたりする。 そんな不幸の要因とされている障害者は、自ら乞食や露天商になる道を選ぶ。 そんな状況が、もう何十年と続いているのが、アジアの障害者や乞食の現状である。 この作品では、そんな現状を明らかにしているだけで、ほんなら自分たちに何ができるかというところまでは書かれていない。 けど、作者はまず現状を自分が知りたい、そして多くの人に知ってもらいたいという想いで書いているんやと思う。 経済的援助や教育支援ももちろん大事やけど、こういった現実も知っておかなければならないと感じました。
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