物乞う仏陀 の商品レビュー
著者が東南アジアから南アジアにかけての国々でホームレスのような障害者と出会ってのルポ。先天的な身体障害者、知的障害者もいれば、稼ぐために手足を切断されたような子どもたちも出てくる。子どもたちの手足をほんのいっとき稼がせるために奪い、使い捨てのように扱うようなことがこの世の中で起こ...
著者が東南アジアから南アジアにかけての国々でホームレスのような障害者と出会ってのルポ。先天的な身体障害者、知的障害者もいれば、稼ぐために手足を切断されたような子どもたちも出てくる。子どもたちの手足をほんのいっとき稼がせるために奪い、使い捨てのように扱うようなことがこの世の中で起こっている不条理。「物乞う仏陀」という美しいタイトルとしっかり練られた文章と構成にぐんぐん読んでいけるのだが、それだけにちょっとあざといような感触も。 何かというと売春したりスケベ話をすることで男どうし渡りをつけていくのって、それが真実なんだろうけど嫌悪感。実際そうなんだからしょうがないじゃん的にしっかり利用している感じが嫌だ。しかもこの本、障害者のことは気の毒だ何だといっておきながら、買われる女性には無頓着なんだもの。そういうところにもあざとさを感じるのだろうな。 この本に限らずなんだけど、読みながらふと思ったので書いておくと、最近の世界放浪ルポって著者の言葉が陳腐だし感じがするんだよね。どこかで聞いた、誰かも同じようなこと言ってるって印象。たとえば、「無論、このような利用する利用されるといった構図は肯定されるべきものではない。しかし、それによって絶望と悲嘆に暮れる者もいれば、喜ぶ者もいる。あらゆる人間がひしめき合っている。それが都市の姿、バンコクの真の姿なのではないだろうか。」(p.125)みたいな感じ。「だろうか」って、ふんわりと保険をかけて言い切らないのも何だかね……。
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本当にこれは現実のこのなのか疑ってしまうような内容。特に最後のインドの話は、マフィア物のフィクションを読んでいると思い込みたくなるような内容だ。しかし、そんな現実も実際にあるのだということ。自分が生きているこの時代に場所を変えれば、日本でだってそのような非情なことは沢山あるのだろ...
本当にこれは現実のこのなのか疑ってしまうような内容。特に最後のインドの話は、マフィア物のフィクションを読んでいると思い込みたくなるような内容だ。しかし、そんな現実も実際にあるのだということ。自分が生きているこの時代に場所を変えれば、日本でだってそのような非情なことは沢山あるのだろう。それを知ったところで私がなにを出来るわけではない。しかし、知らないで良いということにはならない。 知ったからと言ってどうにもできない、、、。う〜ん堂々巡り。
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図書館で。 昔、アメリカ人の教授が学生時代にアフリカに旅行した時、初めて「貧困」というものに接した、と言っていたことをふっと思いだしました。 社会的弱者である障害を持った方や孤児が東南アジアの国でどのような扱いを受け、どうやって生き延びているのか。中々重たい事をよく見聞きしようと...
図書館で。 昔、アメリカ人の教授が学生時代にアフリカに旅行した時、初めて「貧困」というものに接した、と言っていたことをふっと思いだしました。 社会的弱者である障害を持った方や孤児が東南アジアの国でどのような扱いを受け、どうやって生き延びているのか。中々重たい事をよく見聞きしようと思ったものだなぁと読んでいて思いました。 ベトナムに行った時、道路の側にバナナがなっているのをみてのっぴきならなくなったらここに来たら飢え死にはしないで済むかなぁなんてぼんやり思ったことを思いだしました。いや、そんな甘いもんじゃないだろ、とも思うけれども気候が暖かいって大事。でもここにマフィアなどの組織が絡むと…弱者はさらに虐げられるんだなぁ…つらい。 カンボジアの青年は同じような経験をした仲間が居るという事と外国人の案内とかそれなりにする仕事があることが希望なのかなぁと思いました。する事が無い、奉仕される、施されるだけの生活では…未来も見えないだろうし。 でも作者さんの立ち位置がよくわからなくてその辺りはん?と思う所もありました。各地に日本のNPOが社会的弱者に手を差し伸べているのを感謝された、とありましたがきちんと訪れる先の福祉対策や制度を調べるならその辺りのプロから話を聞けばいいのにとかその活動を紹介したらいいのに、と思いました。お膳立てされたインタビューじゃ無くて現場の生の声を聞きたいんだ、ということなのかもしれないけど… でもそれだって全体のほんの一部の声だし、嘘か本当かも判断でき兼ねる。それに、行き当たりばったりでいきなり訪ねてきた怪しい外国人にそんな自身の生活の辛さや本心は見せないよねぇ…とインタビューを受けた人にちょっと同情しました。 ただ知りたいというだけで行動できるのはすごい。でも知ってどうするんだ?次のアクションは?という辺りがちょっと曖昧すぎて… モニョっとしながら読み終えました。
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著者である石井光太さんがアジアの国々の物乞いや障害者を訪ね歩き、その体験をまとめた本。 東日本大震災の被災地を訪ねた「遺体」を読み、深く心に刺さったので彼の本を他にも読みたいと手に取ったが、読みながら何度もつらさに手が止まった。 彼が出会う人々は実に様々だ。 戦争によって障害を...
著者である石井光太さんがアジアの国々の物乞いや障害者を訪ね歩き、その体験をまとめた本。 東日本大震災の被災地を訪ねた「遺体」を読み、深く心に刺さったので彼の本を他にも読みたいと手に取ったが、読みながら何度もつらさに手が止まった。 彼が出会う人々は実に様々だ。 戦争によって障害を負っていたり、先天的に障害を持って生まれたり、そして貧しさ故に障害を負わされた場合もある。障害を仕方のないものと受け入れる人もいれば、これは自分の業が悪いのだと諦める人、乞食という仕事にさえ誇りを持つ人もいる。 特に胸がつまったのは、インドのレンタチャイルドの実情だった。 彼らは幼い頃に誘拐され、物乞いする大人たちがより自分を可哀想に見せるために貸し出される。そして、子供としての商品価値が無くなれば腕や足を切断されるなどして、次は自分が乞食をさせられるのだ。 こんなことが世の中に起こっているのかと、衝撃だった。 もちろんもしかすると今現在では状況は多少なりとも良くなっているのかもしれない。ただ、わたしにはそうして暮らしていくことが普通になってしまった場所がそう簡単に変わるとは思えない。 日本で普通に暮らしていて想像する「障害者」とはまったく違う彼らの暮らし。 いつか世界中の人々が、普通にやりたいことをやり、幸せに暮らせる時代はくるのだろうか。そもそも幸せな暮らしってどんなものなのだろうと途方に暮れた。
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2008年(底本2005年)刊行。東南アジア、イスラム圏等各地の現地取材をベースに、各地域の貧困の実相を白日の下に晒してきた著者。本書は、南アジア・東南アジアにスポットを当てる。戦争・虐殺政権の爪痕が他地域よりも生々しい東南アジア(地雷、不発弾)固有の問題も含まれるが、総じて、貧困と治安不全に由来する南側諸国の問題点を喝破する。「魚を与えるよりも魚釣りの方法を伝授すべし」とは成長を促すための必要な視座だが、それが空々しく思える。殊に、マフィアの跳梁跋扈は治安と公務員の清冽さの重要性を雄弁に語る。 また、著者のイスラム圏関連書(「神の捨てた裸体 」)の読破時にも感じたが、本巻の対象地域に関しても、貧困や貧困層の有りように対して、宗教色や宗教的影響を看取することは難しい。
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東南アジアの最下層に生きる障害者の周辺を追うルポ。 枯葉剤の後遺症の先天性傷害者、 少数民族間での近親婚の繰り返しによる傷害、 地雷被害者、麻薬中毒から心身を喪失していく人たち、 事情は色々。 さらに上座部仏教やヒンドゥー教やキリスト教などの宗教が 生活に大きく影響する土地柄や...
東南アジアの最下層に生きる障害者の周辺を追うルポ。 枯葉剤の後遺症の先天性傷害者、 少数民族間での近親婚の繰り返しによる傷害、 地雷被害者、麻薬中毒から心身を喪失していく人たち、 事情は色々。 さらに上座部仏教やヒンドゥー教やキリスト教などの宗教が 生活に大きく影響する土地柄や南国人特有の気質が絡み。 物乞いを睡眠薬で眠らせ、臓器摘出するから本人は 斬りつけられただけと思っているとか、 攫ってきた赤子と物乞いに貸し出し、 成長すると手足切断して障害を持つ物乞いとして 搾取し続けるとか、凄まじい。 そうした生れ落ちた環境でたくましく生きていく人たちの 同じ人間としての活力とか胆力の違い、 ひいては生物としての生命力の違いを思い知らされます。 平成日本に生きる我が身に引寄せて考えるのも 忸怩たるものがありますが、科学技術や文明の代償に 失ったものの大きさが感じられて、不気味。
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ルポルタージュ風だがフィクション的文調。お金を払って読もうとする方にはここが最大の焦点。 個人的には強烈な違和感も、既に醸された物議。著者の明確な意図に基づくものと判明している。 そういう意味ではこの酸鼻なるタイトルは中味に如実。著者の恣意的な文学表現付き印象操作に惹かれる方には...
ルポルタージュ風だがフィクション的文調。お金を払って読もうとする方にはここが最大の焦点。 個人的には強烈な違和感も、既に醸された物議。著者の明確な意図に基づくものと判明している。 そういう意味ではこの酸鼻なるタイトルは中味に如実。著者の恣意的な文学表現付き印象操作に惹かれる方にはお勧め。そうでなければ、出来損ないの私小説のような語り口に吐き気を催すだろう。 ただ取材の内容は素晴らしく期待を満たすものであることは保障できる。 著者が好ましくない私は星4をつけました。
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[ 内容 ] アジアの路上で物乞う人々と触れ合い、語り合ってみたい―。 そんな思いを胸に、著者の物乞いや障害者を訪ねる旅が始まる。 カンボジアの地雷障害者やタイの盲目の歌手、ネパールの麻薬売人らと共に暮らし、インドでは幼児を誘拐して物乞いをさせるマフィア組織に潜入する。 アジアの最深部に分け入った衝撃のノンフィクション。 [ 目次 ] 第1章 カンボジア―生き方~買春と殺人 第2章 ラオス―村~不発弾と少数民族 第3章 タイ―都会~自立と束縛 第4章 ベトナム―見守る人々~産婆と家族 第5章 ミャンマー―隔離~ハンセン病と信者 第6章 スリランカ―仏陀~業と悪霊 第7章 ネパール―ヒマラヤ~麻薬と呪術師 第8章 インド―犠牲者~悪の町と城 [ 問題提起 ] [ 結論 ] [ コメント ] [ 読了した日 ]
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同じ作家さんの本を続けて読むのは3冊くらいまで、と、なんとなく自分の中で考えているのだけど(やはり、なんとなく飽きてくるので)、どうしてもハマりやすい体質のため、次々に読んでしまう。 重いー。 ベトナムやタイ、行ってみたいなーと思ったりした時もあったけど、とてもとても・・・。 ...
同じ作家さんの本を続けて読むのは3冊くらいまで、と、なんとなく自分の中で考えているのだけど(やはり、なんとなく飽きてくるので)、どうしてもハマりやすい体質のため、次々に読んでしまう。 重いー。 ベトナムやタイ、行ってみたいなーと思ったりした時もあったけど、とてもとても・・・。 同じ人間なのに、こうも"生きる"ということに違いがあるなんて。 だけど、笑顔があるのっていい。
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