1,800円以上の注文で送料無料

情報力 の商品レビュー

3.3

9件のお客様レビュー

  1. 5つ

    1

  2. 4つ

    3

  3. 3つ

    3

  4. 2つ

    2

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2018/12/22

 毎日新聞の著名な北朝鮮ウォッチャー、鈴木氏との対談。  2009年の著書なので、メインテーマの一つが「2012年の金正日の世代交代」となっている(実際は2011年末に、父親の死去に伴い、地位を継いでいる)。  たんに、核ミサイルを打って瀬戸際外交を繰り返すだけの貧弱な国ではなく...

 毎日新聞の著名な北朝鮮ウォッチャー、鈴木氏との対談。  2009年の著書なので、メインテーマの一つが「2012年の金正日の世代交代」となっている(実際は2011年末に、父親の死去に伴い、地位を継いでいる)。  たんに、核ミサイルを打って瀬戸際外交を繰り返すだけの貧弱な国ではなく、鈴木氏によるオシント(文書解析)からうかがえる、北朝鮮のインテリジェンス戦略の高さについて(そして、日本がそれに思う様やられていることについて)、色々語られている。  主体思想を中核とした金日成、それを含め父親の更なる神格化を促した金正日。  その中でも、金正日が中野陸軍学校からインスパイアされ戦略を積極的に用いていることや、北朝鮮は実は政治的に追い落とされたものでも、10-15年経てば中央に復帰でき、そのため亡命者数は意外に少ないことなどが述べられている。  あとは意外かもしれないが、公的に発表されている文章や、小説などからも北朝鮮の情勢は意外とうかがい知れるし、発表している方も案外、正確に読み解いてくれることを期待している。ただし、現地の人の文化や倫理、何よりその基礎となる語学やその細かなニュアンスに精通した人間がいてこそ、の話だが。  そういう人間を育成するには金も時間もかかるが(それでも成果が出るまで2-3年)必ずや日本の国益になるであろう。 <感想>  こういうのを聞いていると、佐藤氏の念願である日本版CIAやMI6が出来たらいいのになーと、単純に思ってしまう。  やっぱり情報を発信している側(北朝鮮側)も鈴木氏のことは意識していて、鈴木氏が毎日新聞に北朝鮮の社説を乗せると、その内容に呼応したものが次に発表されるという微笑ましい(?)やりとりも載っている。  あと、私事だが鈴木氏が同郷(滋賀県大津市)の人で驚いた。 鈴木氏が勧める北朝鮮本 北朝鮮王朝成立秘史 金日成と金正日 革命神話と主体思想 朝鮮民族を読み解く 北朝鮮はるかなり 闇からの谺 いま、女として 核と女を愛した将軍さま 拉致はなぜふせげなかったのか 告白 チャールズ・ジェンキンス テポドンを抱いた金正日

Posted byブクログ

2016/06/13

外務省元主任分析官である佐藤優氏と毎日新聞社の鈴木琢磨氏による対談。同書では、文書を利用して北朝鮮の情勢を読み解く「文書諜報」について話し合われている。 仕事で新聞を毎日6紙ほど読むのだが、毎日、東京は非常に北朝鮮に詳しく、それは鈴木氏をはじめ北朝鮮に強い関心を持つ記者個人の努...

外務省元主任分析官である佐藤優氏と毎日新聞社の鈴木琢磨氏による対談。同書では、文書を利用して北朝鮮の情勢を読み解く「文書諜報」について話し合われている。 仕事で新聞を毎日6紙ほど読むのだが、毎日、東京は非常に北朝鮮に詳しく、それは鈴木氏をはじめ北朝鮮に強い関心を持つ記者個人の努力に寄るものだろう、ということを強く感じる。 一方、様々な週刊誌で「情報分析」を行っている佐藤氏は、多少怪しげ(失礼)ではあるものの、興味深い記事も多くある。 同書では、鈴木氏の専門である北朝鮮と佐藤氏の専門分野であるロシア・中東への分析方法を巡り、専門となる地域の言語を高度に習得する必要性や分析方法などについて語られている。最後の章ではインテリジェンスとは関係のない、ビジネスマンにも必要とされる「整理力」「勉強力」についても話されている。 読み物としてはなかなか面白いが、互いに対する過度な称賛や自慢が繰り返されるために途中から多少胸焼けを感じざるを得ないのが欠点か。

Posted byブクログ

2014/06/21

 佐藤優の著書のうち、ロシアものとインテリジェンスものはおもしろいと思っているが、本書は後者で予想に違わずよかった。  共著者の鈴木琢磨は、毎日新聞記者だが北朝鮮ウォッチャーの第一人者であり、その分析は各国のインテリジェンス専門家も一目おくそうだ。その分析手法は新聞など公開情報の...

 佐藤優の著書のうち、ロシアものとインテリジェンスものはおもしろいと思っているが、本書は後者で予想に違わずよかった。  共著者の鈴木琢磨は、毎日新聞記者だが北朝鮮ウォッチャーの第一人者であり、その分析は各国のインテリジェンス専門家も一目おくそうだ。その分析手法は新聞など公開情報の分析で、文書諜報(またはOSINT)だと指摘する。過去の経緯、真意を解する語学力、情報の収集など、的確な分析は多年の洞察と経験の賜物と知れる。  著者ふたりの会話を通して、それらを浮き彫りにする。またこのような仕事につきものの膨大な情報の整理法などにも触れる。本書の発行は2008年とちょっと古いが、中身は古くない。北朝鮮に動きがあれば、鈴木氏の分析をまっさきに読むと決めた。

Posted byブクログ

2013/05/26

「ウソのような本当」 と「本当のようなウソ」北朝鮮という国家を軸として佐藤優・鈴木琢磨両氏がインテリジェンスの観点から語りつくした1冊です。大事なことの大半は公開情報にある。この真実を再確認しました。 『外務省のラスプーチン』佐藤優氏と毎日新聞記者で北朝鮮の事情にかけては右に...

「ウソのような本当」 と「本当のようなウソ」北朝鮮という国家を軸として佐藤優・鈴木琢磨両氏がインテリジェンスの観点から語りつくした1冊です。大事なことの大半は公開情報にある。この真実を再確認しました。 『外務省のラスプーチン』佐藤優氏と毎日新聞記者で北朝鮮の事情にかけては右に出るものがいないとされる鈴木琢磨氏による対談本です。『近くて遠い国』とされる北朝鮮。彼らのことをウォッチングしてきた鈴木氏と、ロシア人相手に丁々発止の外交工作を行ってきた佐藤氏の間に通じる『阿吽の呼吸』といいますか、情報にかかわる人間のスリリングさと、共に博覧強記であるので、思いもよらないところから繰り出される変化球に驚きながら、最後まで面白く読むことができました。 『本当に大事なことの大半は、公開情報を精査することによって浮かび上がってくる』 オシント(オープンソース・インテリジェンスの略)または『文書諜報』とここでは言ったりしますが、鈴木氏の北朝鮮に関するオシントの熱心さは本当に『第一人者』と呼ばれるものにふさわしく、もともと学生時代から朝鮮語を習得し語学に堪能なだけではなく、朝鮮大学校の図書館にあまりにも熱心に『情報収集』に励んで出入り禁止になったり、日本にある北朝鮮関係の文献を扱う専門の書店に足繁く通っていたりと、『本当の情報を取る』ということは並大抵のことではなく、しかも相手があの北朝鮮ともなると、ここまでのことをしてこそ、彼らの内懐に飛び込むことができるのだと、そんなことを思っておりました。 ここでは出版された年月上、金正日体制のことが主な話になっておりますが、ここで鈴木氏が後継者の問題に触れ、現在の視点からするとその分析が正鵠を期していたことにはつくづく驚きを隠せませんでした。佐藤氏もまた、独自のインテリジェンスからの観点で北朝鮮のことを見つめ、「北朝鮮は『死者』によって動かされている国家だ」という持論を展開したりと、最後まで飽きさせないつくりになっておりました。今後も北朝鮮に関しては注意深く見守っていきたいと思いますが、鈴木氏がここで勧めてある本や、ウェブサイトなどもチェックしつつ、「情報の自家中毒」にならない程度に加減を見据えてやっていければなと思っております。

Posted byブクログ

2010/04/05

佐藤氏の著書はこっちが無知なので毎度難しいのだが。これは対談なのでさらさら。電子媒体は他人に見られるから使わないって、佐藤氏が言うと怖すぎ。私のメモなんて見られても痛くも痒くもないし。自前のHDが壊れることを考えたら、外部に置いておいても変わらない。。

Posted byブクログ

2018/10/14

佐藤の凄みがよく伝わる。2週間後のために勉強するとすれば、基本書を5冊入手、まず1冊を熟読してエッセンスを頭の中に再現、覚え切れない部分をメモにとる、とのこと。

Posted byブクログ

2009/10/04

2009年5冊目の読了です。言論界の寵児佐藤”ラスプーチン”優氏と北朝鮮ウオッチャー(毎日新聞)鈴木琢磨氏の対談本です。朝鮮半島関連書籍ベスト10と勉強の仕方だけでも、一読の価値ありです。

Posted byブクログ

2009/10/04

元外務省の情報スペシャリストと北朝鮮専門家の新聞局員の対談集。おもしろいんは、北朝鮮の情報戦略の本質が日本にあって、それがどうして現在こうなっているかについて対談されている。私の気づきとしては、英語を学ぼうとする日本人は多いと思うが、語学を学ぶことの本質が語られている。情報力とい...

元外務省の情報スペシャリストと北朝鮮専門家の新聞局員の対談集。おもしろいんは、北朝鮮の情報戦略の本質が日本にあって、それがどうして現在こうなっているかについて対談されている。私の気づきとしては、英語を学ぼうとする日本人は多いと思うが、語学を学ぶことの本質が語られている。情報力というものは、すごくおくが深いが、ある国を知るにはどうするか、という基本的なことが納得いくように書かれている一冊だと思う。

Posted byブクログ

2020/07/15

北朝鮮という国について解説をした本、というよりも、北朝鮮のような「謎のベールに包まれた」というイメージがある国について、どのように情報を収集して、自分なりに分析をするか、という方法論についての、鈴木琢磨氏と佐藤優氏の対談。 まず、北朝鮮という国が、想像していたよりもずっとまとも...

北朝鮮という国について解説をした本、というよりも、北朝鮮のような「謎のベールに包まれた」というイメージがある国について、どのように情報を収集して、自分なりに分析をするか、という方法論についての、鈴木琢磨氏と佐藤優氏の対談。 まず、北朝鮮という国が、想像していたよりもずっとまともなシステムを持っていて、それぞれの行動には、意外ときちんとした意図がある、ということを理解出来たことが大きかった。 鈴木氏は、北朝鮮についての情報のほとんどは、新聞や機関紙など、一般の人でも比較的簡単に入手出来るソースを元に分析しているのだという。 データソースをいくら数多く集めても、正しく活用出来なければ意味がない。それを有用な情報にするには情報力(インテリジェンス)が必要になる。そのために、最も重要なことは、文化的背景まで含めて原文を正確に理解する語学力、特に「読む力」なのだということがよくわかった。 第四章は、佐藤氏と鈴木氏の、一般的な情報整理のやり方についてお互いに公開をしている。手書きのメモや、現物の資料の保存を重要視して、インターネット上の情報を軽視しているところは、あまり同意出来なかったのだけれど、三章までの、北朝鮮に関する二人の対談は、鈴木氏の豊富な経験からの、独特な見解がたくさん引き出されていて、読んでいてかなり面白く、タメになる内容だった。 「金正日がバカな国民をコントロールしている」「国家ぐるみで洗脳がおこなわれている」と言う人がいます。しかし、実際はそれほど単純ではない。私たちとあまり変わらない判断力を持った人間もいる中で、金正日がつくったシステムがうまく回っている。基本的には、徹底した監視と暴力装置が働いているのは間違いありませんが、それだけではない。北朝鮮が怖ろしく多様なシステムを持っていることを理解すべきです。(鈴木)(p.60) いまの北朝鮮をめぐるあらゆる動きは、2010年の「先軍五十年」へ向けて流れているように見えます。「先軍四十五年」は、彼らにとってとても大きな節目です。ましてや五十年という節目はとてつもなく大きな意味を持つ。金正日時代の総決算ですよ。そういった彼らの時間のモノサシを、私たちはもっと鋭く見きわめるべきです。(鈴木)(p.71) 作家に小説を書かせるシステムは、旧ソ連とよく似ていますね。モスクワの郊外にペレデルキノという村があって、そこに作家の別荘が集まっています。その村には作家以外の人は入れません。村には特別なレストランがあり、安く食事ができたりもする。スターリンの時代には彼を称える作品がそこで書かれていました。(佐藤)(p.111) 主体元号と大正元号が同じだということは、奇妙な偶然です。「北朝鮮では大正時代がずっと続いている」と考えてみると、北朝鮮への視点がガラッと変わります。(佐藤)(p.170) 東京の神田神保町は世界最大の古書店街です。神保町を歩いてみる。すると、自分の目に飛び込んでくる本があります。その本は、自分そのものだと言ってもいい。それが情報です。そのトレーニングを積み重ねなければ、膨大な情報に埋もれてしまいます。(鈴木)(p.216) 語学教育で一番重要なのは、「読む」ことです。緊急の必要に迫られない限り、会話を学ぶ必要はありません。(佐藤)(p.245)

Posted byブクログ