博物誌 の商品レビュー
「にんじん」などで有…
「にんじん」などで有名なジュール・ルナールの動物本。 色々な動物について、独特の解説っぽい文章やら掌編やらが書かれています。 「蛇」の章(?)は多分特に有名で、面白がって皆が言及している気が(笑) 起承転結がぼんやりした作品が多い気がします。なんとなーくさらーっと読めます。 一文...
「にんじん」などで有名なジュール・ルナールの動物本。 色々な動物について、独特の解説っぽい文章やら掌編やらが書かれています。 「蛇」の章(?)は多分特に有名で、面白がって皆が言及している気が(笑) 起承転結がぼんやりした作品が多い気がします。なんとなーくさらーっと読めます。 一文だけ取ってみると面白い、というような文章も多く、小説の冒頭なんかに引用できそうです。
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こちらがよく知ってい…
こちらがよく知っている生きものの描写の的確さに驚く。ということはあまり観察する機会もない動物たちも正確無比に違いない。ときおり現れる「人間」の描きかたも見事。「人間」の、動物や友人に対する酷薄が、生きものたちの持つ無垢や無感動をあぶり出しています。挿絵はボナールによるもの。
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159P ジュール・ルナール 1864‐1910。フランスの小説家、戯曲作家。フランス北西部メーヌ地方に生まれる。パリで高等中学に通うも高等師範学校進学は諦め、文学サロンや出版界に出入りする。兵役に就いたのち、職探しに難渋するが、1888年に結婚し、妻の持参金で生活が安定。翌...
159P ジュール・ルナール 1864‐1910。フランスの小説家、戯曲作家。フランス北西部メーヌ地方に生まれる。パリで高等中学に通うも高等師範学校進学は諦め、文学サロンや出版界に出入りする。兵役に就いたのち、職探しに難渋するが、1888年に結婚し、妻の持参金で生活が安定。翌年、文芸誌「メルキュール・ド・フランス」の創刊に参加し、筆頭株主となる。同誌には、のちに『にんじん』に含まれる短編も発表される。短編小説集、長編小説、短編連作、自然のスケッチ集、戯曲などを発表 ルナールによる自然観察記。動物に対する呼称が「彼 」「彼女」或いは名前で呼ぶので「誰」を指しているのかやや混乱する。時に愛情に溢れた賛美の文章で動物の生き生きとした姿を描写し、時に嫌いな動物だったのか或いは書くのが面倒だったのか、雑な一文で終わらせたり。しかしそんな雑な一文でもユーモアがあり楽しい 「にんじん」で知られるフランス文学者の博物学エッセイ。美文に酔いしれる。各項目ごとに挿絵があり、散文詩のようで短く読みやすい。挿絵は後期印象派のP.ボナール。 好きと言うか、賢治作品と並ぶ程愛してやまない本。なんてハイセンスな言葉の群れなのでしょう!「鹿」のお話を一番読み返しているかな…。 あらゆる生き物が簡明な言葉とユーモアで紡がれた俳文のような散文。不思議な本でした。比喩のセンスが秀逸!なのに、ちょいちょいシュールなボケ笑。ボナールの描く挿絵も力強くあざとさのないタッチで好きです。 ルナールの『にんじん』を読んで、簡潔で詩的な表現に惹かれていた。動物たちを図鑑のように並べつつ、しかし彼独自の詩的な表現で紹介しているのが面白い。『蝙蝠』が一番表現が独特で一貫性があって美しくて好きだ。一方で私自身があまり自然に囲まれて生きて来なかったから、入り込みづらい部分もあった。 作者の観察眼はすごいな。ねこがめちゃめちゃかわいかった。あと、蝙蝠の生まれ方がすごくメルヘンちっくでときめいてしまった。 祖母に貰った本。 詩のような、短歌のようなやさしくリズミカルな短文。 アイロニーに満ちた生物たちの日常を描いている。 薔薇の木のてっぺんには、無垢の乙女の色をした薔薇の花が咲いている。その花が惜し気もなく撒き散らす芳香に、彼女は酔ってしまう。花は決して人を警戒しない。どんな毛虫でも、来さえすれば黙ってその茎を登らせる。贈物のようにそれを受ける。そして、今夜は寒そうだと思いながら、機嫌よく毛皮の襟巻を頸に巻きつけるのである。
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蝶 二つ折りの恋文が、花の番地を捜している。 蛇 長すぎる。 鍬 ー サクサクサク・・・・・・稼ぐに追いつく貧乏なし。 鶴嘴ー 同感! こんなふうに観察して過ごせば毎日楽しかろう 絵も訳も良かった
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「にんじん」で有名なルナールの作品。鶏や牛や馬から蛇やカエルなど短い文章でその様子や動きをユーモラスに描いている。挿絵も入っていてイメージしながら読めた。「蛇 ながすぎる 。蝶 二つ折りの恋文が花の番地を探している」などインパクトのある文章が面白い。蝙蝠や雲雀などもこういう見方も...
「にんじん」で有名なルナールの作品。鶏や牛や馬から蛇やカエルなど短い文章でその様子や動きをユーモラスに描いている。挿絵も入っていてイメージしながら読めた。「蛇 ながすぎる 。蝶 二つ折りの恋文が花の番地を探している」などインパクトのある文章が面白い。蝙蝠や雲雀などもこういう見方もできるのかと感じた。2023年5月15日読了。
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ルナールの目線で庭を、いえを、眺める生活をして、動植物に感情移入したり擬人化してみたり、たまに 蛇 ながすぎる。 とか言って暮らしたすぎる~ そのためにはよくみて、かみしめて、生活しないとな~ ボナールの素朴な挿絵も相まって良くなってたので にんじんはヴァロットンの挿絵のやつを...
ルナールの目線で庭を、いえを、眺める生活をして、動植物に感情移入したり擬人化してみたり、たまに 蛇 ながすぎる。 とか言って暮らしたすぎる~ そのためにはよくみて、かみしめて、生活しないとな~ ボナールの素朴な挿絵も相まって良くなってたので にんじんはヴァロットンの挿絵のやつをよみたいなあ!
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動植物の観察日誌を手にした気分。書いた日の機嫌はどうだったのか、よく見かける光景だったのかどうか、そんなことを気にしながら読んでいた。蛇へのそっけない一言なんかは想像を掻き立てられ、カナリアの話などは最後まで責任持ちなさいとつい小言を並べたくなる。まあ、ほのぼのしないし和まない。...
動植物の観察日誌を手にした気分。書いた日の機嫌はどうだったのか、よく見かける光景だったのかどうか、そんなことを気にしながら読んでいた。蛇へのそっけない一言なんかは想像を掻き立てられ、カナリアの話などは最後まで責任持ちなさいとつい小言を並べたくなる。まあ、ほのぼのしないし和まない。自然に暮らす動植物と人間の関係って、愛おしくはあっても優しくはないよなと改めて思う。
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「博物誌」ルナール著・岸田国士訳、新潮文庫、1954.04.15 262p ¥240 C0145 (2021.06.18読了)(2021.06.14借入)(1981.07.15/35刷) 原著の初版は、1896年に刊行されています。45項目です。その後、1904年に70項目で刊行...
「博物誌」ルナール著・岸田国士訳、新潮文庫、1954.04.15 262p ¥240 C0145 (2021.06.18読了)(2021.06.14借入)(1981.07.15/35刷) 原著の初版は、1896年に刊行されています。45項目です。その後、1904年に70項目で刊行されています。この訳書は、1904年の版をもとに翻訳されています。 挿絵は、ボナールです。 小遣いで文庫本を購入して読み始めたのが、高校一年生の時です。そのころから何時かルナールの「博物誌」をいつの日にか読んでみたいと思っていたような気がします。 50年以上たってやっと読めました。 家畜や野鳥、身近な生き物などにまつわるエッセイです。ボナールの挿絵も楽しく見せてもらいました。ページ数の割には、活字の少ない本なので、すぐ読めます。 【目次】 影像の猟人 雌鷄 雄鷄 家鴨 鵞鳥 七面鳥 小紋鳥 鳩 孔雀 白鳥 犬 猫 牝牛 ブリュネットの死 牛 水の虻 牡牛 馬 驢馬 豚 豚と真珠 羊 山羊 兎 鼠 蜥蜴 鼬 蚯蚓 やまかがし 蛇 蝸牛 蛙 蟇 蜘蛛 毛虫 蝶 小蜂 蜻蛉 蟋蟀 ばった 螢 蟻 蟻と鷓鴣の子 あぶら虫 蚤 栗鼠 猿 鹿 かわ沙魚 鯨 庭のなか ひなげし 葡萄畑 鶸の巣 鳥のいない鳥籠 カナリヤ 燕 蝙蝠 鵲 鶺鴒 くろ鶫! 雲雀 こま鶯 かわせみ 隼 鴉 鷓鴣 鴫 猟期終る 樹々の一家 あとがき 昭和26年1月 訳者 (アマゾンより) 影像(すがた)は、素直に、思い出のまにまに蘇って来る――。 名作『にんじん』の著者が自然を愛で、草木禽獣のいのちを鋭く捉えた名著。 朝早くとび起きて、頭はすがすがしく、気持は澄み、からだも夏の衣装のように軽やかな時だけ、彼は出かける――。 彼は最も鋭い観察者である。愛情のこもった眼を、彼を取巻く自然に注ぎこみ、最も簡明な文体にその愛を凝縮させる。本書はわが国の俳文を思わせる軽妙な短文に、作者の純粋な生活の讃美、高邁で孤高な魂の哀しい表情を写し出した特異な作品である。(挿絵はボナール)
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ここにあるのは豊富な挿絵が添えられた、詩的な生物観察からなる短文の集まりです。著者は例えば以下のように生き物たちへの愛着を感じさせる視点で表現しており、俳諧の世界観を連想する方も少なくないでしょう。 蛙「彼女らは、睡蓮の広い葉の上に、青銅の文鎮のようにかしこまっている」 蝶「二...
ここにあるのは豊富な挿絵が添えられた、詩的な生物観察からなる短文の集まりです。著者は例えば以下のように生き物たちへの愛着を感じさせる視点で表現しており、俳諧の世界観を連想する方も少なくないでしょう。 蛙「彼女らは、睡蓮の広い葉の上に、青銅の文鎮のようにかしこまっている」 蝶「二つ折りの恋文が、花の番地を捜している」 本書には同著者の『にんじん』にあるような、幼少時に受けた辛い経験も多分に影響したことが偲ばれる、著者の人間嫌いな側面も所々で確認することができます。それは例えば次のような心情の披歴としても表れます。 蝦蟇「人間は、この世の中で、もっと胸糞の悪くなるようなものを、いくらも呑み込んでいるんだ」 おそらくルナールの没入するような自然と生物への愛好心と、人間を嫌う孤独な心性は表裏を為すものであり、そうでなくては生物への愛着を感じさせる視点と、どこか寂しげな感性を併せ持つ本書独特の味わいもまた生まれなかったのではないでしょうか。しかもそれだけでなく「蛇」にあるような読み手を吹き出させてしまうユーモラスな一面も存在しており、味わい深く豊かな魅力をもつ短文集だと感じます。 そして、この『博物誌』にせよ、『にんじん』にせよ、ルナールの作品は書名や装いから内容を的確に想像することが難しいため、相応の読者を獲得する機会を損なっているのではないかと考えてしまうところがあります。
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どこかの書店員さんの書評でオススメされていたので読んでみた本。 散文というか随筆というか…。 身近な生き物を独自の目線から美しい文章で表現し、綴られている。 言葉とリズムが優美で何度も眺めてしまう。 長い表現もあれば、一行しかない表現もある。 原文はわからないだけに、訳者の語彙力...
どこかの書店員さんの書評でオススメされていたので読んでみた本。 散文というか随筆というか…。 身近な生き物を独自の目線から美しい文章で表現し、綴られている。 言葉とリズムが優美で何度も眺めてしまう。 長い表現もあれば、一行しかない表現もある。 原文はわからないだけに、訳者の語彙力に魅了される。 現代書にはなかなかない美しいことばが詰まった本なので、たくさんの人に堪能してほしいな。
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