この世の全部を敵に回して の商品レビュー
P38 霊能者の霊能力を疑うことは、一流のスポーツマンの神業めいた運動能力や各分野の芸術家たちの創造力、数学者や物理学者の驚異的な数学力を疑うことと同じである。・・・彼らはどうして例というものの存在を信じようとしないのだろうか。礼の存在を認めることがなぜそれほどにいやなのか。私か...
P38 霊能者の霊能力を疑うことは、一流のスポーツマンの神業めいた運動能力や各分野の芸術家たちの創造力、数学者や物理学者の驚異的な数学力を疑うことと同じである。・・・彼らはどうして例というものの存在を信じようとしないのだろうか。礼の存在を認めることがなぜそれほどにいやなのか。私からすれば、現に霊能者たちが出会い、語り、取り次いでいるそうした霊の存在というのは、躍起になって否定せねばならないほど重大なものではない。・・・霊というものを単に過大評価しすぎなのである。 P46 …つまり他人に迷惑をかけない範囲であれば一生哀しんでもらっても文句はいわない。だが、結局のところ、もしもその人が立ち直れず・・金の無心をしてきたり、何かの保証人になってくれといってきたり、なにやら怪しげな新興宗教への入信を勧めてきた場合には、断固として拒絶する。これがこの世界の人間全般の態度ではないだろうか。 他人に対してそうした冷静な態度をとることのできる私たちが、例え我が子に死なれたとしても本気で悲しむことなどできるはずがないと私は思う。悲しみという感情は燃えさかる薪の炎だ。灰のように降り積もる憎しみや怒りに比べればその命はもともと短い。 P48 こうした力にすがるときに私たちが何を願っているかを端的に言い表す言葉がひとつだけあると思っている。それは「例外になりたい」ということである。・・・そのような彼らの願いは、非常に効率的なものだと私は考える。・・・ただ問題なのは、彼らがそうやって効率的に動こうとするため利用する超越的な力というものは、所詮そんなものがなくても実現できる、高が知れたものにしか効力を発揮しないという点である。 P99 私たちの住むこの社会では、ある条件を満たした者は、千人殺しても一万人殺しても罪に問われないのである。・・・私たちの住む世界が、殺生という行為を根本的に否定できない社会だからである。
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友人が書いたものを紹介するという形にはなっている。 その文章が、この本の題のものだ。かなり、断定的に迫ってくる。え、え、と思っているうちにしかし、つい読んでしまう。そして、読み上げた時に、読む前の何なんだ、という防御の姿勢がなくな手いることに気がつく。
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白石さんとタイトルに誘われ購入。最初面白いと思ったのだが、段々失速。読んだら白石さんじゃないし、、もう少しメリハリがあるといいな。最初の文章「大切なことは生まれてきた事への意気地だ」が心に刺さって、なんとか最後の方は読んだ感じ。
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(2014.09.01読了)(2014.08.30購入) 川上弘美さんの書評を読んで興味を持ちました。古書店で探したら見つかったので購入してきました。140頁ほどなので、さっそく読み始めました。 小説かと思ったのですが、本の分類は、C0093ではなくて、C0095になっていますの...
(2014.09.01読了)(2014.08.30購入) 川上弘美さんの書評を読んで興味を持ちました。古書店で探したら見つかったので購入してきました。140頁ほどなので、さっそく読み始めました。 小説かと思ったのですが、本の分類は、C0093ではなくて、C0095になっていますので、エッセイでした。 小説を書く中で、人間の生と死についてあれこれと考えたことを一冊の本にまとめておきたくて書いたものと思われます。 人間は生まれてきて、いずれ死にます。自分で死を選ぶ人もいますが、病気や事故で亡くなることもあります。長く生きて天寿を全うすることもあります。 生きていてもしょうがないと死を選ぶ人もいますが、不死を願って不老長寿を願う人もいます。肉体は滅んでも、魂は生き続けると信ずる人もいます。 輪廻転生を信じて、因果応報を考えながら生きる人もいます。 人間の生と死にまつわるいろんな考え方を考察しながら、その考え方の中で、自分はどれを取るのかを述べて行っています。なかなか興味深い本でした。 高校生、大学生ぐらいの方にお勧めの本です。 【目次】 刊行者の言葉 この世の全部を敵に回して 第一部 第二部 ●金銭の簒奪者(12頁) 彼ら(子供たちと妻)は私がこれまで働いて得てきた金銭の容赦なき簒奪者である。もしも彼らという存在がなければ、私はいまのこの生活より格段に物質的に恵まれた暮らしを営むことができたに違いない。 ●よりよく生まれるための本(26頁) よりよき死を迎えるために説かれた本でさえ、死の直前までいかに「生きるか」を説いた本にすぎないし、よりよく生まれるための本は一冊もこの世界に存在しない。 ●死の確認(35頁) あなたは自身の誕生によって人生の始まりを確認したが、死によって自らの死を確認することができないのだ。 ●不死の世界(53頁) 不死の人間同志に特定の恋愛など必要だろうか? 当然、不死の世界での繁殖には何一つ意味がない。そもそも繁殖という概念が消滅するだろう。親子、兄弟、親友、そうした限定的人間関係もまた不死の世界では無意味である。誰も死なない世界で婚姻届を提出する人間は恐らく一人もいないだろう。 ●死とは(55頁) 私たちにとっての死とは肉体の消滅であると共に「私」という意識活動の停止である。肉体の死と意識の死、この二つが同時に起る現象がしなのである。 ●霊魂の永遠(56頁) 肉体が滅んでも、私という意識は死なずに天国か地獄で生き続ける (2014年9月10日・記) 商品の詳細説明(楽天) 人間は、どこから来て、どこに向かうのか——。生きがたい思いを漫然と抱くすべての人に、作者から突き付けられた八万文字分の言葉の爆弾。 (「BOOK」データベースより)amazon 私という人間は、生まれてこなくてもちっとも構わなかった。二十一世紀の「人間失格」。
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2013/07/31読了 読み手(作品内)の、この作者の呼称や、言わんとしている事からなんとなく漱石の「こころ」の先生ないしはKに似たものを感じる。 しかし内容は哲学の新書のようであった。 人の生き死にの意味を愛だの罪だの宗教だの運だのと、生死にかかわる一通りのことを唱えては釈...
2013/07/31読了 読み手(作品内)の、この作者の呼称や、言わんとしている事からなんとなく漱石の「こころ」の先生ないしはKに似たものを感じる。 しかし内容は哲学の新書のようであった。 人の生き死にの意味を愛だの罪だの宗教だの運だのと、生死にかかわる一通りのことを唱えては釈然としないという作者の解釈をひたすら読むこととなる。 人なら誰しも一度は考える、真横にいながら考えても分からない問いかけ。 それはこの作者もまた然りであった。 友人の一声 作者はこの手記に沿った人ではなく愛があったという解説は、本当なのか建前なのか。それに関してはなんとも言えなかった。 人間らしさに溢れた、やるせない一冊であった。
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一見、酷い言い分と思ってしまうかもしれませんが、なんと言うかもっと大局的な視点で見ていると思います。…それにここまで言い切ってもらうと気持ち良いです。結構共感する部分がたくさん有りました。でも誰にでも受け入れてもらえる作品とは到底言えない作品です。ですが、私は曇り空が晴れた気分で...
一見、酷い言い分と思ってしまうかもしれませんが、なんと言うかもっと大局的な視点で見ていると思います。…それにここまで言い切ってもらうと気持ち良いです。結構共感する部分がたくさん有りました。でも誰にでも受け入れてもらえる作品とは到底言えない作品です。ですが、私は曇り空が晴れた気分です。
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癌に冒され早世した友人が、長年書き続けていた手記。 内容は、タイトルや冒頭にあるような刺々しいものではない。 むしろ、自分や周囲の人間やそれを取り巻くこの世界を心底愛しているからこそ、その死を恐れ、死に囚われてしまった男の、もがき。 全編で死についての考察を繰り広げていますが、...
癌に冒され早世した友人が、長年書き続けていた手記。 内容は、タイトルや冒頭にあるような刺々しいものではない。 むしろ、自分や周囲の人間やそれを取り巻くこの世界を心底愛しているからこそ、その死を恐れ、死に囚われてしまった男の、もがき。 全編で死についての考察を繰り広げていますが、私にはそれが、悲鳴のようにも聞こえました。 とはいえ、延々と死をこねくり回しているだけの文章に途中からイライラ。 男なら腹くくれや!と何度も思ってしまった。
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白石一文本人の文章ではないのだろう、読みずらい文章です。 人が読むことを前提に書かれた文章ではなく、個人が自分の考えを、書きなぐった手記を本にしたものです。 「死」を相当に意識することで、存在を確認するという考え方に、大いに傾倒している内容だったと思います。 一瞬、ハイデッガーの...
白石一文本人の文章ではないのだろう、読みずらい文章です。 人が読むことを前提に書かれた文章ではなく、個人が自分の考えを、書きなぐった手記を本にしたものです。 「死」を相当に意識することで、存在を確認するという考え方に、大いに傾倒している内容だったと思います。 一瞬、ハイデッガーの”実存主義”を思い出しました。 人間の世界は、この世のすべては、死を意識して作り出されている。我々人間だけが、「死」について考え、それから逃れようとしているから。一方で、本の中では、”生まれ変わり”の概念もすんなり受け入れている。この考え方をすれば、現世を生きがいを持って生きていけるようになると思うのだが、現世は、「地獄の訓練プログラム」と評しておりかなり厭世的な捉え方をしている。飯田史彦さんの著作とは、随分と違うなと思いました。 最後の3行に書かれているのは、「あなたがあなたの中にある真実の哀れみをよみがえらせるだけで、この世界に仕込まれた憎むべきプログラム---貧困、暴力、戦争、差別、迫害、狂信などが無力化できることをあなたはもっと強く自覚しなくてはならない。」という言葉です。哀れみの心を持つことで、現世に起こる”地獄のプログラム”に心を乱されないで済むということなのか?慈愛の心を持つということなのか?確信できなかった。 それにしては、現世に対する慈しみが全く感じられない内容でした。
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最近よく見かける白石一文を読んでみようと、川上弘美の帯文句に誘われて購入。 でも、これじゃないのから読めば良かったと後悔。 小説の形態を取っているが、ストーリーなどはなく、登場人物の姿を借りた作者の、延々と続く人生観語り。 あくまで突然死した中年男性が残した手記を紹介するというフ...
最近よく見かける白石一文を読んでみようと、川上弘美の帯文句に誘われて購入。 でも、これじゃないのから読めば良かったと後悔。 小説の形態を取っているが、ストーリーなどはなく、登場人物の姿を借りた作者の、延々と続く人生観語り。 あくまで突然死した中年男性が残した手記を紹介するというフィクション形式にしたのは、 生と死を描くのが作家としてのテーマなら、そのテーマに直接言及すること自体を小説にしてしまうという、原液をぶちまけてやる、みたいな意気込みなのか。 でも、なんとなくキャラクターに自分の死生観そのものを延々と語らせるのって、逃げとも思った。作家名でエッセイで吠えた方が届くんじゃないのかな。 内容については、しつこくしつこく言及する人間というのに、うなずくものもある、でも大半はくどくて受け付けなかった。 生真面目な人の話を、ストーリーもなしに延々と聞くのは、やっぱり無理があんじゃないかなあ。ドキュメンタリーでもない限りは。
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ここまでネガティブだと、むしろ突き抜けているというか、いさぎよいというか・・、そういう人生は歩みたくないものだが、人の心はわからない。
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