最長片道切符の旅 の商品レビュー
実は初めて買った宮脇本。もう随分黄ばんでます。 思う存分鉄道に乗れて羨ましいなあ、と買った頃は思っていたのですが、今読み返すと、会社という後ろ盾をなくして一作家として生きていこうとする、悲壮な決意と不安感がそこかしこに表れているような気がします。 終着目前、八代駅でのやり取り...
実は初めて買った宮脇本。もう随分黄ばんでます。 思う存分鉄道に乗れて羨ましいなあ、と買った頃は思っていたのですが、今読み返すと、会社という後ろ盾をなくして一作家として生きていこうとする、悲壮な決意と不安感がそこかしこに表れているような気がします。 終着目前、八代駅でのやり取りはなんとも物悲しく、しかしユーモアに満ちていて、読んでいるこちらまで清々しい気持ちになれます。やっている事はどっぷりとマニア的なのに、淡々とした筆致がそれを忘れさせてしまうんですよね。
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カテゴリ:図書館企画展示 2013年度第1回図書館企画展示 「大学生に読んでほしい本」第1弾! 入学&進級を祝し、本学教員から本学学生に「是非読んでもらいたい本」の推薦に係る展示です。 佐々木恵介教授(歴史社会学科/史学)からのおすすめ図書を展示しました。 開催期...
カテゴリ:図書館企画展示 2013年度第1回図書館企画展示 「大学生に読んでほしい本」第1弾! 入学&進級を祝し、本学教員から本学学生に「是非読んでもらいたい本」の推薦に係る展示です。 佐々木恵介教授(歴史社会学科/史学)からのおすすめ図書を展示しました。 開催期間:2013年4月8日(月) ~2013年6月17日(月)【終了しました】 開催場所:図書館第1ゲート入口すぐ、雑誌閲覧室前の展示スペース ※「旅」をテーマに、お薦めの本を選びました。 1978年晩秋に、著者が北海道から鹿児島まで、1万3千kmあまりを当時の国鉄で旅した記録。鉄道マニアのバイブル的な本ですが、コンビニもファーストフードもほとんどなかった当時の日本列島の姿が、克明に描き出されていて、紀行文としても見事です。
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「時刻表2万キロ」が全線踏破なら、本書は北から南まで国鉄一筆書きの旅だ。北海道の広尾から、行きつ戻りつつ、鹿児島県枕崎を目指す。まず最長の定義調べ、国鉄の規程の確認、前代未聞の切符購入まで、普通の人からすると馬鹿馬鹿しいまでの情熱がここにある。荘厳ささえ感じさせる。 本書の中で...
「時刻表2万キロ」が全線踏破なら、本書は北から南まで国鉄一筆書きの旅だ。北海道の広尾から、行きつ戻りつつ、鹿児島県枕崎を目指す。まず最長の定義調べ、国鉄の規程の確認、前代未聞の切符購入まで、普通の人からすると馬鹿馬鹿しいまでの情熱がここにある。荘厳ささえ感じさせる。 本書の中では全国の各地名が登場するものの、描写はほぼ乗客に関するものだ。なのに各地の情景が目に浮かぶから不思議だ。いまでこそ青春18切符(もしや筆者を真似する人が続出してできたのかも)やインターネットがあり、飛行機も安価になり鉄道で旅をする必然性は薄れたものの、当時の限られた情報源で目的を持って制約を課して旅する筆者が羨ましくもある。 なお切符の写真も掲載してあると良かった。次回改訂には是非掲載いただきたい。
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オフィス樋口Booksの記事と重複しています。アドレスはhttp://books-officehiguchi.com/archives/3799862.htmlです。 著者の宮脇氏が北海道の広尾から鹿児島の枕崎まで、30日かけて電車に乗って旅をした話である。この本が出版された年...
オフィス樋口Booksの記事と重複しています。アドレスはhttp://books-officehiguchi.com/archives/3799862.htmlです。 著者の宮脇氏が北海道の広尾から鹿児島の枕崎まで、30日かけて電車に乗って旅をした話である。この本が出版された年が昭和58年であるため、廃線になっているか第三セクターに移行している可能性がある。状況が出版された時期と異なっているので、今後鉄道の路線を調べなおして、鉄道の取材ネタを増やしたいと思う次第ある。当面の間は、一筆書きがメインになりそうである。
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宮脇俊三氏が亡くなつたのが、2003年の2月26日。即ち没後10年といふことになります。 「旅と鉄道」誌でも時刻表特集の増刊で、宮脇氏没後10周年の記事を載せてゐました。 それでわたくしも『最長片道切符の旅』を取り上げてみます。 この作品は処女作『時刻表2万キロ』に続くもので、...
宮脇俊三氏が亡くなつたのが、2003年の2月26日。即ち没後10年といふことになります。 「旅と鉄道」誌でも時刻表特集の増刊で、宮脇氏没後10周年の記事を載せてゐました。 それでわたくしも『最長片道切符の旅』を取り上げてみます。 この作品は処女作『時刻表2万キロ』に続くもので、中央公論社を退職した宮脇氏が「一世一代の暇」を利用して敢行した大旅行の紀行文であります。 同じルートさへ通らなければ、どんな遠回りをしても片道切符な訳で、汽車に乗ること自体を目的とする旅行者としては、恐らく一度はやつてみたい旅ではないでせうか。 わたくしも含めて、たいがいの人はそんなまとまつた時間がとれないので断念してゐると思はれます。 せめて『最長片道切符の旅』を(指をくはへながら)読むことにしませう。 最長を求めた結果、乗車・乗船(連絡船があるので)総距離は1万3319.4キロに及び、通過する駅は3186にのぼりました。切符の通用期間は68日。 途中で駅員や車掌の好奇の目に晒されながら、この切符を道連れに旅をする宮脇氏。最後の一日は通用期間を過ぎてしまひ、新しく切符を買ふはめになりますが... 現在の(JR)最長片道切符は、かなり短くなります。北海道なんかは廃線が多くてずたずたで、四国にいたつてはまるまるカットされてしまふのです。以前は本州との連絡が2本あつたために、入りと出ができたのですが、今は瀬戸大橋線のみなので、入つたら出られないのであります。残念。 まあ普通の人ならやらない酔狂な行為ですが、宮脇氏はまるで事務仕事をするかのやうなテンションで淡淡と予定をこなします。傍から見ると「この人はこんなことをして愉しいのか?」と思ふかも知れませんが、本人は愉しくて仕方がないのです。内心は愉悦に満ちてゐるのに、何も知らぬ他人からは、用務客がつまらなさうに乗つてゐるとしか見えないのでせう。そこが面白いところですな。 この時代と同じ旅は最早できないけれども、本書の価値が減ずることはありますまい。 http://genjigawa.blog.fc2.com/blog-entry-82.html
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JRが国鉄だったころ、そして国鉄の路線が日本全国あちこちにあったころ「一筆書き」の旅にチャレンジした記録。 そのころの各地の風景や、今はなき鉄道路線のことなど、読むと旅愁にかられます。
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著者と旅をしているような錯覚を覚えるほど、文章を読むだけでその風景が眼前に広がった。 特に女の子と一緒に乗る12日目を楽しく読んだ。やり取りがのんびりとしていて心地よい。
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社内報で知って読み始めたが、単なる記録文ではない。読者の観察眼の鋭さが巧みな文章力によって簡潔に表現されている。「鉄ちゃん」は縁遠いものと思っていたが、思わず旅に出たくなり、コンパス時刻表を買ってしまった。しかし、今さらながら廃線になってしまった路線が多いことに気付く。いわゆる「...
社内報で知って読み始めたが、単なる記録文ではない。読者の観察眼の鋭さが巧みな文章力によって簡潔に表現されている。「鉄ちゃん」は縁遠いものと思っていたが、思わず旅に出たくなり、コンパス時刻表を買ってしまった。しかし、今さらながら廃線になってしまった路線が多いことに気付く。いわゆる「盲腸線」の類はほとんどなくなってしまっている。特に北海道。続いて「時刻表20000キロの旅」を読書中。佐高信の「国家と権力」も読んでいるが、つい「時刻表・・・」を手にしてしまう。
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最長片道切符の旅。色々うんちくありで楽しい。今となっては廃線だったりJRじゃなくなったりした路線もあって、良い。
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旅の第一日目は、昭和53年10月13日。昭和53年て、1978年だから、今から30年以上前、JRではなく、国鉄と言われていた時代の著者の旅行記。この旅行には制約がある。国鉄を使って、どの時点からどの時点に言っても良いのだけれども、同じ駅を2回通過してはいけない。その上で、乗ってい...
旅の第一日目は、昭和53年10月13日。昭和53年て、1978年だから、今から30年以上前、JRではなく、国鉄と言われていた時代の著者の旅行記。この旅行には制約がある。国鉄を使って、どの時点からどの時点に言っても良いのだけれども、同じ駅を2回通過してはいけない。その上で、乗っている電車の距離が最長となるコースをたどろう、という、そういう試みである。始点は北海道の広尾、終点は鹿児島の枕崎になるのであるが、さすがにコースはユニークだ。東北・関東を抜け、豊橋に到着したあとに、会津若松まで戻る。紀伊半島を通り、大阪に到着した後、ぐるっと富山まで戻る。「最長」を目指すわけだから、そういった遠回りが多ければ多いほど良いわけだ。かかった日数は延べ34日間。その間、ひたすら電車に乗っている。筆者は文章がうまく、また、電車での時間ばかりではなく、途中下車した場所での事柄なども書いているのだけれども、それでも、電車好きな人間でなければ、あまり面白いとは感じないのではないか。私は電車好きなので、面白かったけれども。
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