山魔の如き嗤うもの の商品レビュー
前作の「首無」に比べると、最後の七転八倒な推理お披露目が、 スムーズでおもしろくなかったというか、しっかりと順序だててくれたというか。 せっかくの刀城言耶が全編にわたって登場するので もっとぶっとんで推理展開して欲しかった、なんて思いました。
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※このレビューにはネタバレを含みます
【ネタバレあり】 刀城言耶シリーズ4作目。 今回はミステリ的よりもホラー的な面白さの方が強かった。今までの中で一番怖かったかも。山での怪異とか、立春が犯人に追い詰められるシーンなんて心臓止まるかと思いました。 このシリーズ、毎回立地が分かりにくいのと登場人物が多すぎるのが難点。今回も似た名前が多すぎて覚えるまで時間がかかりました。 それはこじつけだろう…という部分もいつもの如く推理が二転三転して、結局どの部分が正しくてどの部分が違っていたのかよくわからなくなってしまいました。煙に巻かれた気分。 立治と没交渉だった力枚や呆けている団伍郎と違って、広治とも交流のあったらしい月子が広治と平人が同一人物だと見抜けなかったというのはなんだか納得がいかない。あと、偲の関西弁が癪に触る。 文句ばかり言いましたがこのシリーズは大好きなので、続刊も楽しみです。
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忌み山でひっそりと暮らしていた一家が忽然と姿を消した。そして、村では惨劇が始まる――これは村に残存する「六地蔵様」に見立てた連続殺人なのか?ではなぜ…?刀城言耶シリーズ第4弾。 「忌み山」や山村の風習「成人参り」など、相変わらず民俗学的な雰囲気満載で堪能できました。また、ホラー...
忌み山でひっそりと暮らしていた一家が忽然と姿を消した。そして、村では惨劇が始まる――これは村に残存する「六地蔵様」に見立てた連続殺人なのか?ではなぜ…?刀城言耶シリーズ第4弾。 「忌み山」や山村の風習「成人参り」など、相変わらず民俗学的な雰囲気満載で堪能できました。また、ホラーとミステリーの融合もやはり見事で、冒頭の「禁忌の地体験談」には震え上がりました。 ただ、謎解きの部分は少々肩透かしを食らった印象でした。特に犯人の動機はこれだけの狂気と釣り合うのか…前巻にかなり驚かされたので、その分期待しすぎてしまったかもしれません。しかし、この独特の雰囲気、それでも緻密なミステリー、三津田さんさすがです!
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何故……!?なぜなの!? どうしてこれだけ良い材料と登場人物設定を用意してくれたのに、最終的に どうしてこの犯人と推理に落ち着いてしまうの!? 途中から何かの事情で大幅に結末を変更したのではないかと思うほど、 犯人を犯人たらしめる理由に強さがなく、伏線回収も中途半端だったように...
何故……!?なぜなの!? どうしてこれだけ良い材料と登場人物設定を用意してくれたのに、最終的に どうしてこの犯人と推理に落ち着いてしまうの!? 途中から何かの事情で大幅に結末を変更したのではないかと思うほど、 犯人を犯人たらしめる理由に強さがなく、伏線回収も中途半端だったように 感じてしまいました。 も、もっとあれじゃないですかー!せっかく芝居小屋とか子供の行方不明事件とか、 男女の関係を匂わせたり、金鉱という遺産相続をめぐる禍根的な設定があるんだから、 そのあたりを活かした結末がくるんだと思うじゃないですかー! そりゃないよー!って読後脱力してしまいます……。 こんなに文句をつけて申し訳ない……。 でもそれだけ大半のストーリーが面白かったから、最後のアレがどうしても 残念なんです。 まあそんな不満はさておき、読み物としては凄く楽しませてもらいました。 民族学的な風土の描写、日本ホラー的なゾッとする瞬間……。 さすが三津田さんという感じです。 一家消失の謎は早めに読んでいて分かると思います。 ミステリに明るくない自分が分かったくらいなので、普段から読まれている方にとっては 簡単なトリックに入るのだと思います。 100P目くらいで材料は出揃ったと記憶しています。 他の方も言っておられますが、推理パートに入ると話が二転三転とするので、 それを楽しめるかどうかが人によって分かれる部分かと。 時々「いいから早く本当の真相を言ってくれ」という気持ちにはなります。 しかし、これは推理小説としてみるなら、自分もこのパートに入るまでに一定の推理を 立てて読めば大変面白いです。 私はややこしい家系図を紙に整理し、家の見取り図まで作成する気合の入れようでした。 いわゆる答え合わせなわけですから、主人公の言耶に対し、「違うよ犯人そうじゃないよ!」 と思っていたら二転三転して自分の推理どおりに物語が進んでいく時などたまりません。 前半散々文句を言ってしまいましたが、要するに自分が穿った推理をしすぎただけです。 このシリーズを読むのはこの本が初だったのですが、今後他の本も読んでみたいと思います。
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刀城言耶シリーズ4作目、怪奇譚好きの作家である刀城言耶が今日も怪奇譚を求めて行った先で連続殺人事件に巻き込まれる。六地蔵様にまつわる童唄、正体不明の山魔に山女郎、真犯人はいかに。 推理の中に実はとか後出しのことがなく、しっかりと今までの内容で展開されるのが好ましく面白い。真犯人も...
刀城言耶シリーズ4作目、怪奇譚好きの作家である刀城言耶が今日も怪奇譚を求めて行った先で連続殺人事件に巻き込まれる。六地蔵様にまつわる童唄、正体不明の山魔に山女郎、真犯人はいかに。 推理の中に実はとか後出しのことがなく、しっかりと今までの内容で展開されるのが好ましく面白い。真犯人も色々な推測の上に二転三転し最後はそこまで行くかというシツコイくらいの真犯人推理でした。
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シリーズものと知らずに読み始めました。冒頭の原稿の恐ろしいこと…鳥肌がたつほどの表現力に打ちのめされ、はまりました。ラストは少しくどい感じもしましたが、独特の世界観を読むという意味ではかなり楽しめた1冊です。その他のシリーズも読もうと思います。
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故郷の生家はその集落の筆頭地主。四男として生まれた郷木靖美は兄達と違い、ひ弱で内向的だったために、父や兄弟たちからは馬鹿にされ育つ。大学生活を東京で過ごし、そのまま東京で教職に就いていた靖美がしぶしぶ受けた「成人参り」。身の毛のよだつその一夜の経験が、のちの惨劇を引きだす元とな...
故郷の生家はその集落の筆頭地主。四男として生まれた郷木靖美は兄達と違い、ひ弱で内向的だったために、父や兄弟たちからは馬鹿にされ育つ。大学生活を東京で過ごし、そのまま東京で教職に就いていた靖美がしぶしぶ受けた「成人参り」。身の毛のよだつその一夜の経験が、のちの惨劇を引きだす元となります。 靖美の成人参りで山に入って行くところから、もう気味が悪くて怖いです。そして迷い込んだ忌み山でパニック状態の時に老婆に出会うとこなんか、あの有名な横溝作「悪魔の手鞠歌」を思い出しました。 その後、靖美が一夜の宿を求めた山中の一軒家で童歌らしきものを聞いてしまうシーンでは「ああ、やっぱり~」と思い、とても怖いけれどニヤリとしていました。 その後も忌み山に入って行くシーンは何度も出てきますが、その度に恐ろしげな空気を醸し出しています。その山は言い伝え通りのことが今にも起こりそうで、とてもとても怖かった。 今回は、成人参りの後、東京に戻った靖美の様子を見て心配した従兄の依頼を受けた刀城言耶が、訪れた地で殺人事件に巻き込まれて推理していきます。 人の良さそうな好印象な青年の言耶ですが、怪奇譚を知りたいと思うこの執念。人柄まで変わって感じられて面白いですねぇ。彼の推理はあくまでも「仮説」という事で進むので、訴えかける要素は弱いものの「なぁるほどなぁ…」と思えました。 やはり、はじめは読みにくさを感じたのですが、今回は言耶がたくさん登場した事に加え、ストーリーの雰囲気にこの進展具合や推理の方法に、懐かしさを感じ、何故か読んでいると血が騒ぐように思いましたよ(笑)そして、言耶の「この世には理屈や理論だけでは解決できない何かがある…」という考えは好きです。鳥肌を立てつつも楽しく読み終わりました。
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”一家まるごとなりすまし”って私にとっては斬新だった。 それからの~?が待ってるし、三津田先生はホラーとロジックをキモいくらいに融合させるのに成功してる。
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刀城言耶シリーズの第4弾。都会に出ていた青年が、地元の成人の儀式をする為に入った忌み山で人目を避けるように暮らしていた一家が忽然と消えた。六地蔵の見立て? タイトルが似てるから、久々だとどれかわからない…前より読みやすかった感じ。最初の山の描写が怖い。刀城言耶がいつの間にか美形に...
刀城言耶シリーズの第4弾。都会に出ていた青年が、地元の成人の儀式をする為に入った忌み山で人目を避けるように暮らしていた一家が忽然と消えた。六地蔵の見立て? タイトルが似てるから、久々だとどれかわからない…前より読みやすかった感じ。最初の山の描写が怖い。刀城言耶がいつの間にか美形に?w
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この作家の特徴なのか、どんでん返しに次ぐどんでん返しで、しかもそれが意表を突くような効果が有るわけでもなく、単純に「またですか・・・」と思うだけのような展開だった。途中のどんでん返しを少し省略して最後の犯人を見ると、なかなかにわかる動機だし納得もできるのだが、これだけどんでん返し...
この作家の特徴なのか、どんでん返しに次ぐどんでん返しで、しかもそれが意表を突くような効果が有るわけでもなく、単純に「またですか・・・」と思うだけのような展開だった。途中のどんでん返しを少し省略して最後の犯人を見ると、なかなかにわかる動機だし納得もできるのだが、これだけどんでん返しが多いと、「じゃあ今までの推理はなんだったの?不確定ならぺらぺらしゃべるべきじゃないんじゃないの?」とつっこみを入れたくもなる。エラリイ・クイーンを狙っているのかどうかわからないが、これだけやられると、正直言ってしつこい。 主人公も巻を経るにしたがって何故か美形になってきてるし・・・。割とつっこみどころ満載だけど、何故か嫌いにはならずに続きをまた図書館で予約している自分がいる。
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