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にぎやかな天地(上) の商品レビュー

3.9

15件のお客様レビュー

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2024/08/06
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

糠漬、納豆、くさや、熟鮓、酒、酢、味噌、醬油、鰹節―日本伝統の発酵食品に人間の生と死を重ね合わせた著者渾身の長編。 32歳でフリー編集者の船木聖司は、謎めいた老人・松葉伊志郎の紹介により、豪華限定本の編集・製作を手がけている。 今回の依頼は、日本伝統の発酵食品を後世に伝えるための本であった。 一方、祖母・篤子が遺した「ヒコイチ」という言葉の正体や、ある事故で父・佑司を死に至らしめた男・佐久間久継の消息が判明し、聖司の周辺はにぎやかに動き始めるのだった。 約20年前に新聞連載された長編小説ですが、今なお響くものを感じます。 何せコスパ、タイパ、「秒」の時代とは真逆の、「発酵」という早送りができないモチーフが取り上げられてますから。 発酵という、「時間」をかけて微生物がなす営みは、人の手が及ばない世界。 人ができるのは、環境を整えてひたすら待つことのみ。 まぁ、先を急ぎなさんな。そう諫められているような感慨に浸りながら、下巻へ。

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2024/07/07

902 357P 宮本輝の小説の中の人が言う言葉が好きなんだよね。名言ぽいというか示唆に富むというか。特ににぎやかな天地での登場人物の言葉が良すぎる。ストーリーに起伏があるわけじゃないからこそなのか、読み終わる時に幸せな日常が途切れちゃうんじゃないかみたいな寂しい感覚になる。...

902 357P 宮本輝の小説の中の人が言う言葉が好きなんだよね。名言ぽいというか示唆に富むというか。特ににぎやかな天地での登場人物の言葉が良すぎる。ストーリーに起伏があるわけじゃないからこそなのか、読み終わる時に幸せな日常が途切れちゃうんじゃないかみたいな寂しい感覚になる。 宮本輝 1947(昭和22)年、兵庫県神戸市生れ。追手門学院大学文学部卒業。広告代理店勤務等を経て、1977年「泥の河」で太宰治賞を、翌年「螢川」で芥川賞を受賞。その後、結核のため二年ほどの療養生活を送るが、回復後、旺盛な執筆活動をすすめる。『道頓堀川』『錦繍』『青が散る』『流転の海』『優駿』(吉川英治文学賞)『約束の冬』『にぎやかな天地』『骸骨ビルの庭』等著書多数。

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2019/01/20

宮本さんの小説には必ず一回は「静謐」って言葉が出てくるよね。 この本も今のところ「糠床という静謐な暗闇」って出てきた。 とりあえず下巻wktk

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2018/12/22

読売新聞朝刊に1年3ヶ月にわたって連載された長編小説。納豆、酒、酢、味噌、醤油、鰹節など日本の優れた発酵食品を網羅し、後世に残すための書物の制作依頼を受けた主人公が、至高の発酵食品を求め日本各地を取材する中で、微生物の営みと人間の生と死を重ね合わせていく。 「必死で自分のなかか...

読売新聞朝刊に1年3ヶ月にわたって連載された長編小説。納豆、酒、酢、味噌、醤油、鰹節など日本の優れた発酵食品を網羅し、後世に残すための書物の制作依頼を受けた主人公が、至高の発酵食品を求め日本各地を取材する中で、微生物の営みと人間の生と死を重ね合わせていく。 「必死で自分のなかから引きずり出した勇気っていうのは、その人が求めていなかった別のものも一緒につれて来る・・・その人のなかに眠ってた思いも寄らん凄い知恵と・・・この世の中のいろんなことを大きく思いやる心」

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2013/08/26
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

甲陽園、苦楽園口、夙川が舞台、阪神大震災を9年前の思い出として振り返るという非常に懐かしい場面設定です。主人公の製本技術者・船木聖司、姉涼子、母路子・そして縁あってパン屋の若奥様・大前美沙緒などが、7年前に死んだ聖司の祖母、そして32年前に胎内の聖司を遺して死んだ聖司の父の思い出と重なりつつ、現在の生活をしつつ語る物語。聖司が美沙緒と阪急苦楽園口で出会い、夙川経由で三宮まで共に乗っていく場面など、周りの情景が目に浮かんできそうです。聖司が仲間たちと発酵食品の取材で南紀ほか各地へ旅行する場面や漬物、酒、味噌、醤油、パン、コーヒーなど発酵食品の説明が展開する部分は今ひとつ乗り切れませんが。宮本氏の柔らかい関西弁の世界を読むといつもホッとします。

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2013/01/18
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

主人公は、豪華装丁本を作る32歳ぐらいの男性。発酵食品の本や個人的な詩集などを依頼される。祖母の生き別れた息子の子供の奥さんを好きになったり、自分の父親を

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2012/11/09

発酵の世界、人の生死、縁の不思議。 読みやすくてどんどん進んでいきます。 一流になるには一流の人たちと接することが大切かと感じました。

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2012/06/12

特殊な本を注文制作する主人公。 祖母が自作の漬物に魅了されて、祖母亡きあと、残された糠床を 大切に受け継ぐ。 我流ながら糠床の世話をするうちに、極微小の宇宙世界(糠床の) 不思議な生命の営みに魅せられて…。 自身の生きる地球、宇宙を貫く生命の神秘を・・・。

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2011/09/18

すみません、発酵食品、食べてません。納豆もぬか漬けも苦手です。と、あやまりたくなるような。ちょっと「食育」っぽい? とはいえ反発を感じるほどではなくて、いろいろな意味で、ちゃんと生活しないとな、と思わされるような。なにげない生活の一場面を描くのがうまいなあと。やっぱり関西弁がいい...

すみません、発酵食品、食べてません。納豆もぬか漬けも苦手です。と、あやまりたくなるような。ちょっと「食育」っぽい? とはいえ反発を感じるほどではなくて、いろいろな意味で、ちゃんと生活しないとな、と思わされるような。なにげない生活の一場面を描くのがうまいなあと。やっぱり関西弁がいいのかも。ゆったりと、ほっとするような。

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2011/08/23

母が読んで、父が読んでしばらく放置されていたのを読みました。うう~ん、なんと言うのかどっちつかずな話だなあ、と。 豪華本作成の話と発酵食品の話とおばあちゃんの秘密と恋愛とがすべてなんとな~く進んで行きなんとな~く終わる、みたいな。劇的な展開が待っているわけでもなく、発酵食品に...

母が読んで、父が読んでしばらく放置されていたのを読みました。うう~ん、なんと言うのかどっちつかずな話だなあ、と。 豪華本作成の話と発酵食品の話とおばあちゃんの秘密と恋愛とがすべてなんとな~く進んで行きなんとな~く終わる、みたいな。劇的な展開が待っているわけでもなく、発酵食品に対して深い造詣を示すわけでもなく、豪華本の作成に関して専門的な話になるでもなく。ちょっと欲張りすぎかなあ、と思いました。たぶん作者が一番書きたかったことは日々の営みと生と死、ということなのだろうとは思うのですが。

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