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赤めだか の商品レビュー

4.3

216件のお客様レビュー

  1. 5つ

    89

  2. 4つ

    80

  3. 3つ

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2016/01/14

「落語とは人間の業の肯定である」と始まる立川談春の真打になるまでのエッセイ。その狂気と人情が軽やかに描かれている。

Posted byブクログ

2015/12/06

形式にとらわれないこと。 何が求められるているのか、何が出来るのか思考錯誤すること。 落語はね、この逃げちゃった奴らが主人公なんだ。人間は寝ちゃいけない状況でも、眠きゃ寝る。酒を飲んじゃいけないと、わかっていてもつい飲んじゃう。夏休みの宿題は計画的にやったほうがあとで楽だと...

形式にとらわれないこと。 何が求められるているのか、何が出来るのか思考錯誤すること。 落語はね、この逃げちゃった奴らが主人公なんだ。人間は寝ちゃいけない状況でも、眠きゃ寝る。酒を飲んじゃいけないと、わかっていてもつい飲んじゃう。夏休みの宿題は計画的にやったほうがあとで楽だとわかっていても、そうはいかない。それを認めてやるのが落語だ。寄席にいる周りの大人をよく見てみろ。昼間からこんなところで油を売ってるなんてロクなもんじゃねえよ。でもな、努力して皆偉くなるんなら誰も苦労はしない。努力したけど偉くならないから寄席に来てるんだ。落語とは人間の業の肯定である。よく覚えときな。 君の今持っている情熱は尊いもんなんだ。大人はよく考えろと云うだろうが、自分の人生を決断する、それも17歳でだ。これは立派だ。 世の中のもの全て人間が作ったもんだ。人間が作った世の中、人間に壊せないものはないんだ。 心配するな。どっちを選ぶかはお前次第だ。 落語を語るのに必要なのはリズムとメロディだ たとえ前座だってお前はプロだ。観客に勉強させてもらうわけではない、あくまで与える側なんだ。そのくらいのプライドは持て。お辞儀が終わったら、しっかり正面を見据えろ。焦っていきなり話し出すことはない。堂々と見ろ。大きい声でしゃべれ。 相手の進歩に合わせながら教える。 学ぶ楽しさ、師に褒められる喜びを知ることが第一歩。 まぁ、ゆっくり生きろ。 己が努力、行動を起こさずに対象となる人間の弱みを口であげつらって、自分のレベルまで下げる行為、これを嫉妬と云うんです。一緒になって同意してくれる仲間がいれば更に自分は安定する。本来なら相手に並び、抜くための行動、生活を送ればそれで解決するんだ。しかし人間はなかなかそれが出来ない。嫉妬している方が楽だからな。だがそんなことで状況は何も変わらない。よく覚えておけ。現実は正解なんだ。時代が悪いの、世の中がおかしいと云ったところで仕方がない。現実は事実だ。そして現状を理解、分析してみろ。そこにはきっと、何故そうなったかという原因があるんだ。現状を認識して把握したら処理すりゃいいんだ。その行動を起こせない奴を俺の基準で馬鹿という。 現状を変えるには、行動を起こすんだ。 最後には己の人生と己の語る作品がどこまでフィットするか、この問題にぶつかってくると思います。 落語はもはや伝統ではありません。個人です。演者そのものを観に来る時代になっているのです。 あのな、誰でも自分のフィールドに自信なんて持てない。でもそれは甘えなんだ。短所は簡単に直せない。短所には目をつぶっていいんだよ。長所を伸ばすことだけを考えろ。お前、スタートラインに立つ覚悟もないのか。 葬式、つまり儀式を優先する生き方を是とする心情はオレの中にはないんです。そんなことはどうでもいい。何故なら…オレの心の中には、いつも小さんがいるからだ。

Posted byブクログ

2015/11/28

立川談春の青春期ながら、弟子の視点から立川談志という人がよく書かれている。「落語とは業の肯定である」という言葉を談志が言った場面、嫉妬の意味、儀式について、様々な場面での談志哲学を、笑わせながら泣かせながら書くのその筆力には素晴らしい。彼の落語を見たことがあるが、その時も洗練され...

立川談春の青春期ながら、弟子の視点から立川談志という人がよく書かれている。「落語とは業の肯定である」という言葉を談志が言った場面、嫉妬の意味、儀式について、様々な場面での談志哲学を、笑わせながら泣かせながら書くのその筆力には素晴らしい。彼の落語を見たことがあるが、その時も洗練された技に腹を抱えて笑った。彼の落語やこの本を読んで談春は言葉を掴もうと努力をし、言葉に祝福された稀有な人なのではないかと思う。

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2015/09/07

立川談志の弟子、談春さんのエッセイ?になるのかな。立川談志のことはあまり知らなくて、それでもおもしろい。咄家さんてすごいなぁと思うのは、自身のことを語っているのに面白おかしくまとまっている。本人や談志師匠の人となりが、文章から透けて見えてもっともっとという感じ。笑いたいときにぴっ...

立川談志の弟子、談春さんのエッセイ?になるのかな。立川談志のことはあまり知らなくて、それでもおもしろい。咄家さんてすごいなぁと思うのは、自身のことを語っているのに面白おかしくまとまっている。本人や談志師匠の人となりが、文章から透けて見えてもっともっとという感じ。笑いたいときにぴったり。

Posted byブクログ

2017/09/05

しょっぱなから文章上手いなあと思い、 講談社エッセイ賞受賞という賞を受賞した作品だと知ってで納得しました。 ひょっとしたら、編集者の手が大きく加わったのかもしれないし、 別の書き手が手伝ったのかもしれません。 が、そんなことはどうでもいいです。 落語家になるための苦労と、おそ...

しょっぱなから文章上手いなあと思い、 講談社エッセイ賞受賞という賞を受賞した作品だと知ってで納得しました。 ひょっとしたら、編集者の手が大きく加わったのかもしれないし、 別の書き手が手伝ったのかもしれません。 が、そんなことはどうでもいいです。 落語家になるための苦労と、おそらく後に引けない意地と、 立川談志との師弟愛、 そういうのがちゃんと伝わってきて泣けます。 いや、泣いてないのですが、ぐっときます。 そして、談志師匠が料理作ったり、海で泳いだりしているエピソードを知ると 想像していた姿と違っていて、かわいいと思いました。 弟子たちからすると、無理難題な手伝いを大量にまかされて大変なので かわいいなんてものじゃないと思いますが。 でも、そういう落語家の師弟のような関係性って 今はなかなかないと思うので、ほんの少しうらやましくなりました。

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2015/08/14

話しのテンポ、落ちのいれ方、間合い、人情味のあるエピソード、いろいろなことから学ぶ力、全てが素晴らしい本でした。

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2015/05/07

図書館にて。すばらしい本に出会えました。仕事に向き合う姿勢・人と人の繋がり。ちりばめられている宝物のような言葉の数々でした。

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2015/04/18

立川談志師匠の弟子として入門してからのことを書いている。落語の徒弟制度、師匠と弟子の関係というのは、こんなにも濃いものなのかと驚いた。

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2015/03/21

立川談春『赤めだか』(2008、扶桑社)を読む。 東京生まれの著者は幼い頃から競艇選手に憧れ、競艇場に通い続けるも身長が伸びすぎたため選手になれず。失意の日々に談志の落語に出会い、高校を中退して弟子入り。 落語半生記といった趣です。 談志の無茶振りにつきあって築地で一年働い...

立川談春『赤めだか』(2008、扶桑社)を読む。 東京生まれの著者は幼い頃から競艇選手に憧れ、競艇場に通い続けるも身長が伸びすぎたため選手になれず。失意の日々に談志の落語に出会い、高校を中退して弟子入り。 落語半生記といった趣です。 談志の無茶振りにつきあって築地で一年働いたり、年の違う兄弟弟子と苦労を共にし…。 タイトルになっている「赤めだか」は、談志家の金魚のことで、いくらエサをやっても大きくならないために金魚じゃなくて赤めだかじゃないのか、と弟子たちがささやいたことに由来するそうです。 【本文より】 ◯十分ほどしゃべって、談志(イエモト)は云った。 「ま、こんなもんだ。今演ったものは覚えんでもいい。テープも録ってないしな。今度は、きちんと一席教えてやる。プロとはこういうものだということがわかればそれでいい。よく芸は盗むものだと云うがあれは嘘だ。盗む方にもキャリアが必要なんだ。最初は俺が教えた通り覚えればいい。盗めるようになりゃ一人前だ。時間がかかるんだ。教える方には論理がないからそういういいかげんなことを云うんだ。」 ◯後年、酔った談志(イエモト)は云った。 「あのなあ、師匠なんてものは、誉めてやるぐらいしか弟子にしてやれることはないのかもしれん、と思うことがあるんだ」 ◯改めて、談志(イエモト)は談春(ボク)を見て云った。 「俺は忙しい。昔ならともかく今は覚えるための教材も機械もたくさんある。だから下手な先輩に教わる必要はないんだ。名人のテープで覚えちまえばいい。覚えたものを俺が聴いてやる。直してやる。口伝を否定はしないが、教える側の都合にお前たちの情熱を合わせる必要はないんだ。恵まれた時代なんだ。」

Posted byブクログ

2015/03/16

誰かの指示に従わねばならない時がある。親、教師、上司、先輩。 たとえその人が好きでも、尊敬していても、従いたくないことはあり、従わない自由もあると皆思っている。 その自由がなく、住むところも収入も将来の保証もないときたら、普通そういう世界には入らない。 それを承知で入る。その世界...

誰かの指示に従わねばならない時がある。親、教師、上司、先輩。 たとえその人が好きでも、尊敬していても、従いたくないことはあり、従わない自由もあると皆思っている。 その自由がなく、住むところも収入も将来の保証もないときたら、普通そういう世界には入らない。 それを承知で入る。その世界で親であり社長である人にほとんど冷めない恋愛のような崇拝の念を抱く。周りには同じ覚悟で、同じ思いを抱く仲間兼ライバルがいる。 普通の人は、そんな世界に関わらずに死んでいく。果たしてそれは幸せか。 そんな気持ちがわき上がってくるのを押さえられなかった。 著者が入門を決意した17才の頃、与えられた環境でのうのうと暮らしていたことを考えれば、著者の感じた幸福を味わえないことは当然かもしれない。 それにしても、なんと濃密な人生であることか。 著者だけでなく、周りの人々も。 リスクを引き受ける者だけが感じられる恍惚と不安。 引き受ける度胸のない、自分のような人間には生涯無縁の、その喜びが羨ましくないと言ったら嘘になる。 しかし、この本で垣間見ることができたのは幸福だった。真の幸福を与えてくれる本。

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