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生きながら火に焼かれて の商品レビュー

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26件のお客様レビュー

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2026/02/26

この作者は今も隠れて生きている。名前も偽名だが職業を持ち三人の子供にも恵まれ、5人家族の幸せな家庭を築いている。 この本から<名誉の殺人>を知った。 彼女は、ヨルダン川を遡り、政治や法律も届かない奥地の村で生まれた。 女に生まれただけで、家畜以下の労働を強いられ、父親の暴力は激...

この作者は今も隠れて生きている。名前も偽名だが職業を持ち三人の子供にも恵まれ、5人家族の幸せな家庭を築いている。 この本から<名誉の殺人>を知った。 彼女は、ヨルダン川を遡り、政治や法律も届かない奥地の村で生まれた。 女に生まれただけで、家畜以下の労働を強いられ、父親の暴力は激しく、仕事以外は塀の外に出ることができない。外の文化も知らず、教育もなかった。日々働くことだけの暮らしだった。 村は男社会で、男には自由があった。家庭の中でも男だけが人間だった。 女の子は、成長して結婚の機会があれば、家の名誉のため、見得のためにできるだけ派手に支度をして、宴を開く。 そして男の子を生まないといけない。女ばかり産むと虐待されときには殺されることもある。 必要の無い子供が生まれるとソッと殺してしまう。こともある。 そして、女の子は、男を見てはいけない、手足を見せるような服を着てはいけない、結婚までは処女でいなくてはいけない。もしその掟を犯したなら、家族の名誉のために殺され、排除されてしまう。 嫁に行かない妹は弟が首を絞めて殺したようだ。 著者のスアドは、1970年後半、17歳で向かいの青年に恋をする、妊娠してしまうと、恋人は逃げ、母に知られてしまう。 彼女の処置について家族会議が開かれていた。どういう方法で誰が殺す役を引き受けるか。 身に危険を感じながらおびえていた数日後、井戸端で洗濯中に、義兄からガソリンか、灯油のような液体を頭から掛けられて火をつけられる。 燃えながら走り気を失なってしまう。目が覚めると病院にいた。一命を取り留めたが、治療も受けず乱暴に体に水をかけられベッドに寝かされていた。 そして意識ももうろうとしたまま7ヶ月で男の子を生む。 そこに<人間の土地>と言う福祉団体で働いている、ジャックリーヌがきた。医師を説得し、両親に国外で死なせることを約束し、子供も探しだす。 子供とともにスイス行きの飛行機に乗せる。初めての文化に触れ、適応していくために指導を受ける。子供は養子にして預け、仕事にも就く。 文字は少しだが読めるようになり、20回の皮膚移植を受け、家庭を持つことができた。 過去のストレスから開放されず、何度もうつ状態にもなる。 だが今でも世界で「名誉の殺人」と言う名の下に、逃れて名を変え、隠れて暮らしていても見つかり殺されている。 彼女はこの本を書いて多くの人に現実を理解して欲しいと訴えている。ずいぶん古い時代のことにも感じられるが。 私は以前同じ出版社の「イヴと7人の娘たち」(このテーマとは関係なくとても興味深い内容だった)と言うノンフィクションを読んだ。その時この強烈な題名を見た。 題名が恐ろしい。中世の魔女裁判なのか。 最近 女性の隔離収容所が舞台のミステリを読んだ。その後、イギリスの「マグダレンの祈り」という純潔を失うことは家の恥であるというテーマの映画を思い出した。「家の恥」のもとになった娘を修道院に終生隔離する話だった。(逃げ出した娘から事実が明るみに出て閉鎖されたようだが) 今も行われている中東を中心にした<名誉の殺人>と言う現実を知った。 今は法的にも認められてはいない。でもとふと思った。日本のあだ討ち、上意討ち、果し合い、御前試合。武士の名誉は命がけだったなと。 外国でも決闘が有り、(今は決闘法ができたとか)それでも人は名誉を守るために命をかける。命を奪う。 名誉が命より大事だと思う人々の犯す罪は、深い深い人の根源に連なっていて、ひとつの思想が認識されるのには100年かかると言う、形は異なっていても因襲の中に囲われ人生を終わる無残さは、目を覆うばかりに過酷で悲惨である。 これから「予告された殺人の記録」(G・ガルシア・マルケス)の本を読もうとして、この本は、解説などから、あるいは名誉の殺人の影があるのかもしれない、(全く見当違いかもしれないが)と思いつつ。まだまだ知らない世界がありすぎる。

Posted byブクログ

2025/12/06
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本当は、読みたくはなかったんだよ。 20年くらい前にベストセラーになった本書。 中居くんが「読んでいるとすごくつらいけど、知っておかなくちゃだめだと思って。こういう本も読まないとだめだと思って読んでる」と言っていたので、意を決して読みたい本リストに載せて20年。 ようやく読みました。 未だに女性の地位が低い国は、私が思っているよりもたくさんある。 時折、家族に殺されたり嫁ぎ先の家庭で殺されたりする女性のニュースを聞くことがある。 中東だったり、インドだったり、アフリカだったり。 この本の語り手であるスアドは、女性が男性と話をするだけでも、父親からせっかんを受けるような国(地域)で、初恋の男性との子どもを身ごもってしまい、家族に殺されかける。 洗濯をしている時、灯油か何かを頭からかけられて、火をつけられたのだ。 これは「名誉の殺人」と言い、家族に恥をかかせた娘を殺さないと、家族が村八分にされてしまうのだ 女の子は学校に行かせてもらうことはなく、朝から晩まで家事や家畜の世話、畑仕事などにこき使われる。 父親は「娘なんてものは、家畜ほどにも役に立たない」と、常日頃からぶったり蹴ったりの乱暴を働く。 結婚前の少女は、一人で外を歩くことも許されず、結婚をすると父から夫に隷属先が変わるだけ。 それが女の一生なのだ。 スアドはそれが当たり前と思って、それ以外の人生があるとは思いもしないで生きてきたが、偶然殺されかけたところを助けられ、九死に一生を得た。 福祉団体の力によって、ヨーロッパに脱出し、今は結婚して二人の娘にも恵まれているが、それでも体中の火傷と火に対する恐怖は一生残り、今でも正体と居場所がわかると家族が殺しに来るかもしれないのである。 なんというか、とにかくすべてが想像以上におぞましい。 妊娠を告げたとき、初恋の男は姿を消してしまい、絶望にかられたスアド。 全身の火傷を負いながら、入院した病院でも手当てをされることもなく衰弱していくスアド。 衰弱し、朦朧としたなかで、7ヶ月の男の子を早産するが、病院の人にすぐに連れ去られてしまう。 息子マルアンとは、ともにヨーロッパに行ったものの、彼女が育てられるわけもなく、別々の人生を送ることになるが、その後再開して、スアドの新しい家族とも同居することになる。 めでたしめでたしで、よかったね。 とは言えないくらいの壮絶な人生を送った彼女に、かける言葉が見つからない。 だが、何事もなく故国で暮らすことができていたら、一切の人としての尊厳を奪われた人生を送らなければならなかったわけだ。 そんな女性たちをなくすために、スアドが声をあげたのが20年前。 それでも今も、家族に殺されていく女性のニュースを耳にすることはある。 悔しい。

Posted byブクログ

2020/01/19

名誉の殺人の数少ない被害者本人の証言を元に語られるストーリーは凄まじいものでした。 女性だけに限らず、誰にも読んで見てほしい作品です。

Posted byブクログ

2018/03/16

内容(「BOOK」データベースより) 一九七〇年代後半、中東シスヨルダンの小さな村で、ある少女が生きながら火あぶりにされた…恋をして、性交渉を持ったために。重度の火傷を負いながら奇跡的に生き延びた彼女は、本名を明かすことも素顔をさらすこともないまま、この知られざる事実を証言するこ...

内容(「BOOK」データベースより) 一九七〇年代後半、中東シスヨルダンの小さな村で、ある少女が生きながら火あぶりにされた…恋をして、性交渉を持ったために。重度の火傷を負いながら奇跡的に生き延びた彼女は、本名を明かすことも素顔をさらすこともないまま、この知られざる事実を証言することを決意した。残された命のすべてを賭けて。―これは、遠い過去の話でも、フィクションでもない。今なお虐待と死の危険にさらされている女性たちの、衝撃のノンフィクション!文庫化にあたり、書き下ろし特別原稿「日本の読者のみなさんへ」収録。 女性の権利や地位が向上して、今や男以上にパワフルに活動している女性が無数にいます。所があり得ない位に女性の地位が低く、勉強などもってのほか、自分の考えを持つなど考えもよらず、家長の意に染まないと殺されたりする世界もまた現存します。 この本を書いた女性の境遇もまたあまりにも惨いものでした。現在もイスラム国の問題の中で女性への性奴隷としての扱いという言語道断な話もあります。根本的な女性への尊敬を育てていくのはこれからの国際的な命題ではないかと思います。

Posted byブクログ

2015/02/11

シスヨルダンで起った実話。 女性差別など、テーマ的には興味深いが、 文学的には、あまり好みではない。

Posted byブクログ

2015/01/16
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

今でもイスラム圏地域で幅広く行われている「名誉の殺人」。未婚の女性が男性と話したり、目を合わせたりするだけで、家族の恥とみなされ、家族に殺される。本書は生き延びた被害者の著者が、悪夢の体験と、再生後の第2の人生と、様々な葛藤を記した本である。 未だにこういった習慣がある地域があるというのは驚きである。著者は17歳の頃、恋をして肉体関係を持っただけでなく妊娠までしてしまい、親に火あぶりにされた。著者の生まれた地域では、女性に生まれるだけで奴隷のような人生を送ることになるようだ。未だに両親が彼女を見つけて殺しに来ないか心配で、偽名で本を書き、顔も隠しているという。 彼女の写真が裏表紙に載っているが、確かにとてもひどいやけどで、目を背けたくなる。殺されると分かっていて妊娠までしてしまうのは不注意だと思った。しかも、何とか亡命できた国で子どもを見捨てて、自分は新しい家族を築き、人生をやり直すのはなんだか腑に落ちなかった。もちろん、罪悪感に悩み、全身のケロイドに悩み、新しい家族に自分の過去を告白することに苦しみ、その結果うつ病になり、苦労は想像を絶する。 本を出版してすべてを告白することが、捨てた子どもに対する著者の懺悔である。

Posted byブクログ

2014/03/05

イスラム圏に住んでいた、「名誉の殺人」を生き延びた著者が振り返る壮絶な過去。例えば結婚したその次の朝、村中の人々は主人が干したスーツに新婦の(処女でなくなった印の)血がついているかどうか確認しに集まること、絶対男尊女卑制度、そして今も残る「名誉の殺人」について。こんな世界が、今も...

イスラム圏に住んでいた、「名誉の殺人」を生き延びた著者が振り返る壮絶な過去。例えば結婚したその次の朝、村中の人々は主人が干したスーツに新婦の(処女でなくなった印の)血がついているかどうか確認しに集まること、絶対男尊女卑制度、そして今も残る「名誉の殺人」について。こんな世界が、今もなお私たちの社会と平行に存在しているのかと、驚かずにはいられなかった。

Posted byブクログ

2013/09/08
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※このレビューにはネタバレを含みます

 所属する社会の中で、約束事を犯しただけで、申し開きや第三者の介入のないまま、家族が手を下す「名誉の殺人」。  スアドが自分の存在を明らかにし、そしてこの因習から虐待を受けている女性や子供に救いの手を差し伸べている非営利団体の存在を伝えていると言うことだけでも、この本の存在は大きい。  男尊女卑、女は子孫を絶やさぬだけの道具としての考え方は、まだまだ根強く、その社会の支配層に有利な行使と判断で、法律の前でも殺人ですら無罪としてしまう。スアドの暮らした中東シスヨルダンは決して今日食べるものに困窮している土地ではない。先進国の価値観を押し付けるのは、そこに住む人の為にならないのは分かっているが、世界の文盲の廃絶と人、文化の交流を気長に続け、内側からこの様な因習を解いていかなければならないと思う。  イスラム文化圏は分からない事だらけだなぁ。  

Posted byブクログ

2012/09/23

読み進めながら胸痛められた。 この真実を知って何ができるかわからないけど知れてよかった。後半見えてくる著者や家族の人柄が凄く好き。 多くの人に読んでほしい本

Posted byブクログ

2012/01/12

 驚いた。  以前に「大地の子エイラ」という本を読んだ時に、女性のあまりの扱いの悪さに驚いた。しかしながら、あの物語の中では、女性の地位は低かったけれど、女性にも女性なりの価値があった。  現代においても、女性の参政権が認められなかったり、遺産を受け継ぐ権利がなかったりということ...

 驚いた。  以前に「大地の子エイラ」という本を読んだ時に、女性のあまりの扱いの悪さに驚いた。しかしながら、あの物語の中では、女性の地位は低かったけれど、女性にも女性なりの価値があった。  現代においても、女性の参政権が認められなかったり、遺産を受け継ぐ権利がなかったりということがあるのは知っていたけれど、要はそれって「女性は個人ではなく(男性にとっての)価値ある財産」の扱いなのかな……と。  しかしながら、この本を書いたスアドという女性は、シスヨルダンに暮らす女性たちは、財産ですらない。人間として扱われていない。性が違うというだけで、学ぶことも許されず、絶えず暴力を振るわれ、それが当たり前であるというのだ。  淡々と書かれているけれど、想像も付かないような多大なストレスの中で生きている。しかもこれは過去の話ではなく、現代の話なのだ。  スアドはタイトルの通り生きながら火に焼かれ、生き延び、ヨーロッパで暮らしている。  世界を知らず、文字を知らない彼女が、生まれ育った場所からヨーロッパに行き、さまざまなことを学んだのだろうと思う。いつの間にか客観的な冷静な観点を持っていることがすごい。自分を好きになるということが簡単ではない、そして身の回りのみんなを大切に思い、愛しているということがすばらしい。  内容からして陰鬱な気持ちとなるのかと思ったけれど、スアドの姿勢に励まされるような気持ちとなった。

Posted byブクログ