龍を見た男 の商品レビュー
藤沢周平の小説には大…
藤沢周平の小説には大きく分けて3つのジャンルがある。「蝉しぐれ」や「よろずや平四郎」に代表される武家物。「漆の実の実る国」や「義民が駆ける」などの歴史物。そして、「龍を見た男」「本所しぐれ町物語」に代表される市井人情物。どのジャンルを読んでみてもそれぞれに味わい深い淡い水墨画のよ...
藤沢周平の小説には大きく分けて3つのジャンルがある。「蝉しぐれ」や「よろずや平四郎」に代表される武家物。「漆の実の実る国」や「義民が駆ける」などの歴史物。そして、「龍を見た男」「本所しぐれ町物語」に代表される市井人情物。どのジャンルを読んでみてもそれぞれに味わい深い淡い水墨画のような「情」が漂っている。「哀感」が漂っている。表題作「龍を見た男」に登場する漁師の源四郎は「自分の力と運を信じ、神仏など全く信用しない」偏屈な男。漁に出て遭難しかかった男の取った行動とは。男は空に駆け上がる龍の姿を見た。そして、何
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藤沢周平の短篇時代小説集『龍を見た男』を読みました。 藤沢周平の作品は先月読んだ『秘太刀馬の骨』以来ですね。 -----story------------- 暗い水底で息を潜める、巨大な気配。 不可思議な力に導かれた男女の機微に迫る。 傑作時代短編集。 天に駆けのぼる龍の火柱...
藤沢周平の短篇時代小説集『龍を見た男』を読みました。 藤沢周平の作品は先月読んだ『秘太刀馬の骨』以来ですね。 -----story------------- 暗い水底で息を潜める、巨大な気配。 不可思議な力に導かれた男女の機微に迫る。 傑作時代短編集。 天に駆けのぼる龍の火柱のおかげで、見失った方角を知り、あやうく遭難を免れた漁師の因縁(表題作「龍を見た男」)。 駆落ちに失敗して苦界に沈んだ娘と、幼な馴染で彼女をしたう口がきけない男との心の交流(「帰って来た女」)。 絶縁しながらも、相手が危難の際には味方となって筋を通す両剣士の意地(「切腹」)。 その他、市井の人々の仕合せと喜怒哀楽を描いて卓抜な技倆を示す傑作時代小説集。 ----------------------- 1983年(昭和58年)に刊行された作品です。 ■帰って来た女 ■おつぎ ■龍を見た男 ■逃走 ■弾む声 ■女下駄 ■遠い別れ ■失踪 ■切腹 ■解説 小松重男 面白かったですねー 特に『おつぎ』と『女下駄』は良かったなぁ、、、 次に挙げるなら『帰って来た女』、『逃走』、『弾む声』かな……どの作品も愉しめましたけどね。 爽やかなんだけど、ちょっと涙しそうになる……そんな魅力に溢れた作品ばかりでした、、、 描写のリアルさ、そして文章の巧さが読み手を物語に惹き込むんだと思いますね……良かった。
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♪~下駄を鳴らして奴が来る 腰に手ぬぐいぶらさけて~♪ かまやつひろしさん、我が良き友よ、2017.3.1没、享年78。藤沢周平「龍を見た男」、短編9話、1983.8刊行、1987.9文庫。下駄を預けられた感じの作品(余韻を残す作品)、「おつぎ」と「弾む声」、とてもよかったです。「弾む声」が一番です。「逃走」は面白かったですw。
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解説に「味読」とあるが、藤沢周平の小説はその言葉といい文章といい、味わって読むという表現がとてもふさわしい。 本書は、市井もの7篇武家もの2篇をおさめた短編集だが、読後こころにポッと灯りがともるような作品ばかり。 『帰ってきた女』『おつぎ』は、こうなってほしいという読者の藻いを裏...
解説に「味読」とあるが、藤沢周平の小説はその言葉といい文章といい、味わって読むという表現がとてもふさわしい。 本書は、市井もの7篇武家もの2篇をおさめた短編集だが、読後こころにポッと灯りがともるような作品ばかり。 『帰ってきた女』『おつぎ』は、こうなってほしいという読者の藻いを裏切らない結末にホッと。 『女下駄』は、女房に男がいるのではと疑った夫(その心の揺れ動く描写に親近感さえ)が、その疑惑が解消された様にも、ホッと。 武家もののひとつ『切腹』は、葉室麟の小説を連想。 どれも、再読再再読したくなる作品ばかり。
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帰って来た女 おつぎ 龍を見た男 逃走 弾む声 女下駄 遠い別れ 失踪 切腹 市井の人々の仕合せと喜怒哀楽を描いて卓越な技倆を示す傑作時代小説集。
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短編9作。盛り上がりのない普段の話に、じわっと迫るものがある。「失踪」「切腹」が良かった。2015.3.28
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天に駆けのぼる龍の火柱のおかげで、見失った方角を知り、あやうく遭難を免れた漁師の因縁(表題作「龍を見た男」)。駆け落ちに失敗して苦界に沈んだ娘と、幼馴染で彼女をしたう口がきけない男との心の交流(「帰って来た女」)。絶縁しながらも、相手が危難の際には味方となって筋を通す両剣士の意地...
天に駆けのぼる龍の火柱のおかげで、見失った方角を知り、あやうく遭難を免れた漁師の因縁(表題作「龍を見た男」)。駆け落ちに失敗して苦界に沈んだ娘と、幼馴染で彼女をしたう口がきけない男との心の交流(「帰って来た女」)。絶縁しながらも、相手が危難の際には味方となって筋を通す両剣士の意地(「切腹」)。その他、市井の人々の仕合せと喜怒哀楽を描いて卓抜な技りょうを示す傑作時代小説集。 1.帰ってきた女(★★★★☆) 2.おつぎ(★★★☆☆) 3.龍を見た男(★★☆☆☆) 4.逃走(★★☆☆☆) 5.弾む声(★★★★☆) 6.女下駄(★★★☆☆) 7.遠い別れ((★★★★☆) 8.失踪(★★☆☆☆) 9.切腹(★★★★★) 切腹はいい!
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短編集。 「帰ってきた女」 藤次郎の妹おきぬは破落戸と駆け落ちした。女郎として死に掛けている事を知り藤次郎は助けに行くべきか躊躇する。子飼の職人音吉は生来言葉が喋れなかったが、おきぬだけとはやりとりが可能だった。音吉はおきぬを助けに行ってくれと話せぬながらも頼み込む。良い結末。 「おつぎ」 三之助は借金を綺麗にするためにと大店の出戻り娘との縁談を進められる。迷う最中、料理茶屋で働く幼馴染おつぎと再会する。相思相愛となるが、おつぎは三之助の事情を知って姿を消す。三之助には幼い頃に人殺しの嫌疑を掛けられたおつぎの祖父を救う証言をしなかった後悔があった。二度と後悔はしないとおつぎを探す決意をしたところで終わる。どうなるのかな…。 「龍を見た男」 漁師の源四郎は村の仲間とは協力せず一匹狼で漁に出る。己の腕のみを頼みとし、勝手気ままに生きていたが、甥を死なせ、自らも海に呑まれそうになった時、龍神に助けを乞う。源四郎に従うばかりに見える妻が時折見せる強さが頼もしかった。 「逃走」 銀助は小間物売りの姿で金のある家を物色する盗人。ある日、夫婦喧嘩の末に男が出て行くところに居合わせる。残された女と赤ん坊を気にかけているとどうやら女は新しい男を連れ込み赤子を始末しかねない様子。自らが捨て子であった銀助は堪らず赤子を盗み出す。結末もいい。銀助がどこかでヘマをしませんように、と思わず祈ってしまう。 「弾む声」 隣家からいつも聞こえてくる元気な女の子の声は隠居した身である助左衛門夫婦にとって毎日の彩りだった。しかしその声が聞こえなくなり心配した夫婦は事情を知って…。優しい話。女の子が幸せになれるといい。 「女下駄」 下駄職人の清兵衛は女房お仲が若い男と歩いていたと知らされる。疑心暗鬼で仕事も手につかず、お仲のために作った下駄を捨てそうになる。拗れることなく誤解が解けてよかった。 「遠い別れ」 糸問屋の主である新太郎は借財を返しきれず、店を畳むことになった。かつて捨てた女おぬいに救いの手を差し伸べられ、散々に迷った末に…。 「失踪」 呉服屋を営む徳蔵夫婦。商いは順調だったが徳蔵の父・芳平が呆け始め徘徊するようになってしまう。女房のおとしは疲労困憊、奉公人を雇おうかと話しているうちに芳平がかどわかされる。犯人から身代金を要求されるが、徳蔵はそれを値切り続ける。テーマは重いがどこかコミカル。 「切腹」 助太夫と甚左衛門は道場仲間だった。かつては親密な交流があったが、根っこのところでどうも相性が悪い。互いに納得ずくで決裂していたが、甚左衛門が切腹したと聞くなり助太夫は事の真相を探り、甚左衛門の汚名を晴らす。相性が悪いながらも上役に推挙したり、命をかけたり。最後まで互いを認め合っていた。厄介な友情というか、絆。
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帰って来た女 おつぎ 龍を見た男 逃走 弾む声 女下駄 遠い別れ 失踪 切腹 このごろ藤沢作品を味読しながら思わずこぼしてしまう涙は、初期の諸作品に接した時のような悲しい涙でなくて、おおむね爽やかな”うれし涙”である
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この人の短編集はまるで宝石箱のよう(^o^* 一つ一つの話に全く違うストーリィ、驚きと面白さ・結末があり。 人ってほんとにわからないものだ、と思い知らされる。 この中に収録された話で私が気に入ったのは、「帰ってきた女」。 口の利けない男と出戻った娘おきぬ、二人の不思議な交流がなん...
この人の短編集はまるで宝石箱のよう(^o^* 一つ一つの話に全く違うストーリィ、驚きと面白さ・結末があり。 人ってほんとにわからないものだ、と思い知らされる。 この中に収録された話で私が気に入ったのは、「帰ってきた女」。 口の利けない男と出戻った娘おきぬ、二人の不思議な交流がなんともいえず暖かい。 多くを望まず、けれど一途におきぬの幸せだけを思う音吉の気持ちを切り取るように描かれているところが、切ない。 また「切腹」は、ふとしたことから互いの性格の違いが元で絶交した仲のよい友人同士の話しで、昔親友であった男が陰謀に巻き込まれ切腹したことの原因を探るため、助太夫という主人公が単身内情を調べて回り、友の汚名を晴らすため奔走するという友情の物語である。 でも最後に・・・切腹した友甚左衛門の奥さんがぽつりと言った一言 「このように夫のためここまでしてくださるくらいなら、なぜもっと早く仲直りしなかったのだ」 と言う場面がとても印象的^^; いや、ほんと。 どんなに仲が良くても、きっとこの二人互いに凄く頑固だったんだろうと思う。 互いに認めておりながら、どうしても気に入らないところがあり、それが我慢ならなかったのだろう。 一度喧嘩してしまうと引っ込みがつかなくなり、些細なことなのにそれからぱったりと交流が途絶えてしまう。・・ 今の私達にも、よくあることだ。それが実力ある人間同士だと、尚更ねw
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