密会 の商品レビュー
どこにも行きつかないが、人生の一編を切り取ると、そこに余韻が。 ひりひりとか、ため息とかでるような。
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※このレビューにはネタバレを含みます
<死者とともに>Sitting with the dead ☆5 <伝統>Traditions ☆3 なんか、気持ちが悪かった あまり好きな話ではない <ジャスティーナの神父>Justina's priest ☆5 もぅ、なんやろ… ジャスティーナもメーヴも愛おしい ジャスティーナ:学習障害がある メーヴ:ジャスティーナ姉 子供なし ミクシー:メーヴ夫 酒好き Mr.ギルフォイル:ミクシー父親 老人病 クロヘシー神父:54才 <夜の外出>An evening out ☆4.8 見知らぬ男女が出会ってお互い満足して心地よく家路に着く 単調な日々の繰り返しの中で、こういう夜があってもいいな…と思わせる。この終わり方逸品です <グレイリスの遺産>Graillis's legacy ☆4.5 P110 ❝秘密の影のなかに、暗黙の愛を大切に思う裏切りの影のなかに、あの冬の花がひっそりと散らばっていた。❞ 何も言いません。暗黙の愛ですから…。 <孤独>solitude ☆5 上手い。余分な説明がなく、読者のイマジネーションを鍛えさせる <聖像>Sacred statues ☆3.8 この終わり方じゃ救いがないよ~ どなたか、この夫妻に救いの手を… <ローズは泣いた>Rose wept ☆3.5 ブーヴェリー夫人とミスター・アザムは、別にローズが想像する仲ではないと思う。いくらなんでも、階下に夫と生徒がいて肉体不倫はないじゃろ 多感なローズが、あれやこれや勝手に想像して、それを友人たちにさも真実のようにベラベラ話た挙句、結果自己嫌悪に落ちて泣けてきたってことかな。。。 思春期少女の心情描写が上手くて参りました <大金の夢> Big bucks ☆4.5 アメリカを夢見る若い男女 フィーナ&ジョン・マイケル リアルな話だ。世界中にいまだにアメリカンドリームを夢見る若者たちはいるんだろうな <路上で>On the streets ☆5 いや、もぅ文句なくキモかった 伏線の散らばり具合に唸りましたわ <ダンス教師の音楽> The dancing-master's music ☆4.5 19世紀 だんだん斜陽してくる貴族社会(←好物です) この時代の話も書いてくれて嬉しい <密会>A bit on the side ☆4.5 W不倫だったが女性が離婚したと聞いたとたん男性が別れたくなってしまった話(あるあるやね笑) ❝二人の愛のルールは破られなかった❞ 大人やなぁ なんか、おフランスの香りがしたわ ロンドンの日本カフェってどんか感じなのかな どの短編も冗長と感じるものが一編もなく、枝葉をバッサバッサと切りまくり、相変わらず読み手に押し付けのなさのイマジン文体 しかし、見事なまでに情景も匂いも文章から滲み出ている それにしても、時代、個々の主人公達の背景がこれほど多岐に渡っているにもかかわらず、どれも逸品とは、さすが巨匠 表題<A bit on the side>直訳は<浮気、不倫>でもそれを<密会>と訳すとこに品が感じられる 訳の素晴らしさはもちろんながら、兎にも角にも表紙の雰囲気がたまらんです 文庫本でも出してほしいな もちろんこの表紙でね
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海外の短編小説好きとして、前から読みたかった本でした。 読み終わった今、とても不思議な感覚に包まれています。登場人物は皆恵まれているわけではないというか、辛い境遇にいることが多い。また彼らも素晴らしい人物であるということもない、むしろ困った人たちが多い。そして最後まで行っても決...
海外の短編小説好きとして、前から読みたかった本でした。 読み終わった今、とても不思議な感覚に包まれています。登場人物は皆恵まれているわけではないというか、辛い境遇にいることが多い。また彼らも素晴らしい人物であるということもない、むしろ困った人たちが多い。そして最後まで行っても決して何かが報われたり、希望が見えてくるというわけではないのです。それでも共感とは少し違う、応援したくなる気持ちが湧いてきます。 特徴的なのは視点がぽんぽんと移っていくことです。それによって、それぞれの登場人物の精一杯の思いが伝わってくるように感じます。そのためそれぞれの人生をジャッジするということがほとんどなく、ある種淡々とそれぞれのひたむきさを描いていくというスタイルのようです。 結果として、作者の人生に対する賛歌というか慈しみの思いというか、優しさが残ります。 冗長な記述というのがほとんどないので、なかなか読む方は気が抜けません。何度も読み返したほうがいいような気もします。「正しい人生」というものを押し付けられて辟易としている人にぜひ読んでもらいたい素敵な本です。
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作者は長篇も書いていて、映画化もされているものもあります。しかし本領発揮は、本書のような短篇集においてでしょう。 スタイルとしてはリアリズムの枠内に収まる作風です。イギリスやアイルランドを舞台にして、人間関係(特に男女)における憂いを絶妙な抑制をもって描いています。表題作のよう...
作者は長篇も書いていて、映画化もされているものもあります。しかし本領発揮は、本書のような短篇集においてでしょう。 スタイルとしてはリアリズムの枠内に収まる作風です。イギリスやアイルランドを舞台にして、人間関係(特に男女)における憂いを絶妙な抑制をもって描いています。表題作のように不倫や浮気を描いている作品がいくつか含まれていますが、そのようにどちらかというと通俗的な人間関係にもきちんと機微を見出すことで、しっかりと読ませます。 個人的には、本作は映画『マンチェスター・バイ・ザ・シー』を想起させる作風でした。どちらも人間関係における憂いを基調としています。
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「現代のチェーホフ」「英語圏で現存する最高の短編作家」と言われる著者による短編集。 アイルランドの漁村から一攫千金を夢見てアメリカへ渡った恋人が迎えに来るのを待つ娘は、彼のことを好きなのではなく、アメリカでの暮らしに憧れていただけだった…「大金の夢」 図書館員が文学作品を通じて心...
「現代のチェーホフ」「英語圏で現存する最高の短編作家」と言われる著者による短編集。 アイルランドの漁村から一攫千金を夢見てアメリカへ渡った恋人が迎えに来るのを待つ娘は、彼のことを好きなのではなく、アメリカでの暮らしに憧れていただけだった…「大金の夢」 図書館員が文学作品を通じて心を通わせたことのある女性から遺産を残されて困惑する「グレイリスの遺産」 母親の浮気相手を階段から突き落としてしまった少女が一家3人で家を捨て、ヨーロッパを転々とする「孤独」 自分の課外授業の間に若く美しい妻が浮気をしていると知っている老教師とそれを知って生徒としての良心の呵責を感じる「ローズは泣いた」などなど。 読むほどにじわっと来る。
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鋭く胸を抉る話を特徴とするトレヴァーだが、この短編集において老成した著者の筆は鈍い痛みや暖かみを伴った刻印を私の胸に刻みつけるかのよう。一編を読み終わるごとにそれぞれの運命をそれぞれに背負った人物たちを見つめる作者の深いまなざしに圧倒させられる。特に絶品だったのが「孤独」。読み終...
鋭く胸を抉る話を特徴とするトレヴァーだが、この短編集において老成した著者の筆は鈍い痛みや暖かみを伴った刻印を私の胸に刻みつけるかのよう。一編を読み終わるごとにそれぞれの運命をそれぞれに背負った人物たちを見つめる作者の深いまなざしに圧倒させられる。特に絶品だったのが「孤独」。読み終わった後、不思議と胸に鈍い哀しみ、切なさと暖かさが同居していて、じんわりと心に染み渡っていった。こんな思いをさせてくれる物語はなかなか無い。入門編として国書刊行会の短編集をまず一冊読み、本書に取り掛かることを強くお勧めします。
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好きな内容じゃない。でも、ここには何かがある。一言で表現しようとするわたしと違う。一言で言えない、言い切れない何かを短編の形で描いている。来年の藤本義一賞にはこういう話でチャレンジしたい。
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この本でウィリアム・トレヴァーを知りました。 短編の巨匠。 無駄のない研ぎ澄まされた文章に静けさと奥行きを感じます。特に余韻を残す物語が多く、読んだあと、心の中ではっきりとしないけれど爽やかな淡い感覚が広がってゆくのを感じます。 ほとんどが悲しかったり、渋い物語なのに、感傷的にな...
この本でウィリアム・トレヴァーを知りました。 短編の巨匠。 無駄のない研ぎ澄まされた文章に静けさと奥行きを感じます。特に余韻を残す物語が多く、読んだあと、心の中ではっきりとしないけれど爽やかな淡い感覚が広がってゆくのを感じます。 ほとんどが悲しかったり、渋い物語なのに、感傷的にならず淡々と、しかしスッキリと読者にゆだねているあたり、感服します。 彫刻もやっていたらしく、無駄のない文章にらしさを感じました。あとがきに載っていて、あぁやっぱりと納得したのは、まずは登場人物の詳細な情報までたくさん書き出し、削っていくというもの。今、大好きな作家のひとりです。
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ひとつひとつ丁寧な短編だと思うが、調子が似ていて、数遍を読んだところで飽きてしまった。たぶん個人的にアイルランド系の文学が合わないのかもしれない。通読していないので評価なし。
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(再読)決して多くを語らない男女の関係が、置かれている状況の描写で明らかになっていく手腕が見事。 学生寮でカラスを飼っていた賢い学生がガールと呼ばれる年老いたメイドのことを気にしながらモームの『お菓子とビール』を読んでいる、というようなシーンがいい。こういうところが芸が細かい!
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