チューバはうたう の商品レビュー
表題に惹かれて読んでみた。 短編が三作。 文章を詰め込みすぎて、しんどい。 中で良かったのは表題の「チューバはうたう」。 26歳の会社員の女性が中学でふとしたきっかけ(背が高い)でチューバと出会い、 それを自分なりに続けている。 好きなことを好きだ!と言う妥協しないスタンスは良...
表題に惹かれて読んでみた。 短編が三作。 文章を詰め込みすぎて、しんどい。 中で良かったのは表題の「チューバはうたう」。 26歳の会社員の女性が中学でふとしたきっかけ(背が高い)でチューバと出会い、 それを自分なりに続けている。 好きなことを好きだ!と言う妥協しないスタンスは良いな。
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音楽の前に楽器がある。 特にtubaはそうなのかもしれない。 ベースラインを弾くことは旋律に比べ正直単調だけれど、 響きの美しさとか大きな曲の流れだとか、ものすごく奥が深くて楽しい。 一歩はなれたパートだし、いい吹き手だからこそ全体が良く見えているのかもしれない。 文中で「本当...
音楽の前に楽器がある。 特にtubaはそうなのかもしれない。 ベースラインを弾くことは旋律に比べ正直単調だけれど、 響きの美しさとか大きな曲の流れだとか、ものすごく奥が深くて楽しい。 一歩はなれたパートだし、いい吹き手だからこそ全体が良く見えているのかもしれない。 文中で「本当に不幸なことだと思う。」と彼女は言った。 ある意味で正しくて、ある意味で正しくないと自分は思う。 音楽は薄く軽くもあり、深く重くもある。 確かに重さ、深さを知らないことは不幸だと思う。 しかしそれを知らない人間を哀れに思うのは違う。 誰だって最初は知らないし、深さを知るには時間がいる。 深いところに行き着くには何よりも他者が必要だ。 それが彼女の周りには無かったのかもしれない。 曲が生まれた土地の原風景を見ることができたらそれは幸せなことだと思う。 中央アジアの平原に立ってみたい、ちょっとそう思った。 三話目の星の話。 見えないものに感動できることってすばらしい。 むしろ大事なことは目に見えないのかもしれない。 そして大事なことは誰かに伝えたい。
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「何かにこだわること」に、理由なんていらないんだ。ただ、「好きだから」それだけでいい。表題作「チューバはうたう」では中学から26歳までひたすらチューバと共にある女性が描かれる。彼女は自分自身チューバを吹くことにあれこれと理屈を捏ね回してなかなか今いる場所から動けないのだけれど、理...
「何かにこだわること」に、理由なんていらないんだ。ただ、「好きだから」それだけでいい。表題作「チューバはうたう」では中学から26歳までひたすらチューバと共にある女性が描かれる。彼女は自分自身チューバを吹くことにあれこれと理屈を捏ね回してなかなか今いる場所から動けないのだけれど、理由も意味もなくていいただ好きだから、と吹っ切った瞬間の潔さが心地いい。他2編も遠回りしながらも少しずつ自分の求めるものへと近づいていく人々が優しい目で描かれていて読後とっても幸せな気持になれる。特にラスト「百万の星の孤独」の中でロンゲの兄ちゃんが言う、「見えないもんまで、人間、見てんだよ。」に素直に感動。
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中高なんかで吹奏楽部に所属していたチューバ吹きにとっては、誰しも実感を持てる箇所がどこかしらある作品だと思います。 自分もその一人です。 「チューバって、吹いてて楽しいんですか?」 という問いに、答えることの難しさ、説明することの煩わしさみたいなのって、チューバ吹きの誰しもが...
中高なんかで吹奏楽部に所属していたチューバ吹きにとっては、誰しも実感を持てる箇所がどこかしらある作品だと思います。 自分もその一人です。 「チューバって、吹いてて楽しいんですか?」 という問いに、答えることの難しさ、説明することの煩わしさみたいなのって、チューバ吹きの誰しもが経験しているところでしょう。 チューバと共に過ごした青春期の回想。 吹奏楽やオケでチューバを吹くことへの違和感、というか束縛感。 チューバという楽器を吹く上での驚くべきジャンルの狭さ。 吹奏楽やオケというものにのめりこめず、それでもチューバを吹きたいと思った私としては、主人公の気持ちや置かれている状況は十二分に判りました。 そのため、私は(作中でも名前だけが出てくる)ディキシーランドジャズへと、その道を求めたのだけれど。 自分の吹きたい音楽をジャンルに縛られず自由に吹く姿には憧れさえも覚える。 彼女は、割と稀であろう幸せなチューバ吹きの一人だと私は思います。 惰性で読んだ、表題作以外の2作品も意外と面白かった。
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元チューバ吹きなので迷わず買いました。 「私はチューバを吹くだろう。この男のクラリネットがいくら歌っても、それを支える大地は必要だ。クラリネットが歌を歌うとき、私は横たわる黒土となるのだ。」うわ、わかるわかる、そうそう、と思いながら読みました。彼女は何故チューバを吹くのか?...
元チューバ吹きなので迷わず買いました。 「私はチューバを吹くだろう。この男のクラリネットがいくら歌っても、それを支える大地は必要だ。クラリネットが歌を歌うとき、私は横たわる黒土となるのだ。」うわ、わかるわかる、そうそう、と思いながら読みました。彼女は何故チューバを吹くのか?これを読めばはっきりとわかると思います。 チューバを吹くという行為を通して、音楽観、幸福観を描いた小説でもあると思います。音楽観については徹底して「様式」を、ロックやジャズやヒップホップすらも、排除しているので反感を抱かれる方もいるかもしれませんが、これがなかなか堂に入っていて小気味よく感じました。「彼女はなぜチューバを吹くのか?」、幸福観については全てこの問いにかかっているものと思います。 全体としては独白が長すぎてリズムが崩れかけた箇所がありましたが、最後の開放感で全て帳消しになります。気持ち良かった。 余談ですが気になる言い回しがありました。108ページの「さらには木琴や鉄琴、つまりはマリンバやシロフォン」、なじみのある呼び方ならば「さらにはマリンバやシロフォン、つまりは木琴や鉄琴」です。しかし音楽経験者としてはありの表現です。
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表題を含む短編3作。 表題の『チューバはうたう』しか読まなかった(読めなかった)。 文章が中途半端に理屈っぽく、言いたいことが伝わりにくく、まどろっこしさを感じ、 なかなか先に進まなかった。 と言うわけで挫折。
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200805読了! 2007年度太宰賞受賞作。 チラチラ気にしていたけれどようやく本になったようで、さっそく読んでみた。 表題作は中編。短い。 最初から、終盤ギリギリまで、「だから、何?」的な文章が続いていく。 うん、わかった。状況も、熱意も、経緯も、わかった。 うん、うん、...
200805読了! 2007年度太宰賞受賞作。 チラチラ気にしていたけれどようやく本になったようで、さっそく読んでみた。 表題作は中編。短い。 最初から、終盤ギリギリまで、「だから、何?」的な文章が続いていく。 うん、わかった。状況も、熱意も、経緯も、わかった。 うん、うん、だから?だから何!? あーつまらん。じぶんのこと、語ってるだけ・・・だよね? とくにドラマティックなこともない人生、どれだけチューバがすきかってこと、訥々と。 あ、しっぱいしたかな?と思いながら読み進めていく。 と、ダラダラ読んでいたら、最後の最後ですごいトリハダ展開来た!!!!! あまりのいきなりさにド肝を抜かれた・・・ ななななな、なんだこれ。 行間から、聴いたこともないはずのバルカンの音楽たちがすごい勢いで飛び出してきた。 あんなふうに音楽って文字にできるのか!! ひとつ文句を言えば、彼女がチューバにであってからたった15年目で、運命の瞬間が訪れるのは早いと思う。 ラジオで聴いてからはさらにたった10年だ。 神的瞬間にであうのはもうちょっと熟してからのほうが好み。(わたしの好みでは!) 残りの2編はまあ、可もなく不可もなく。 題材はいいんだけど、文章が好みではなかった・・・。 わたしは、文章萌えする性質なので、こればかりはしょうがない。ごめんなさい。 でも、表題作のすごさに敬意をあらわして、ほしよっつ。★★★★
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