衣裳戸棚の女 の商品レビュー
4 密室トリックそのものは独創的というわけではない。しかし、本作のプロットを成立させるための手段として、この密室トリックは不可分であり、その存在自体がミスディレクションになっていることに感心させられる。その計算された構成美こそが何よりも独創的で知的である。
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街のホテルの一室、窓もドアも施錠された状態で男の射殺体が発見された。部屋の衣装戸棚の中にはホテルのメイドが閉じ込められていたが、彼女は手足を縛られて気絶していたという。被害者に関係のある人物が次々と明らかになっていくが、全員が彼を殺害したい動機を持っており……。 さすが、戯曲『...
街のホテルの一室、窓もドアも施錠された状態で男の射殺体が発見された。部屋の衣装戸棚の中にはホテルのメイドが閉じ込められていたが、彼女は手足を縛られて気絶していたという。被害者に関係のある人物が次々と明らかになっていくが、全員が彼を殺害したい動機を持っており……。 さすが、戯曲『スルース』を書いた劇作家兄弟が合作しただけあり、とても演劇的。各キャラクターが「いかにも」っぽく、かつお茶目な文体で表現されてて、読んでて楽しい。サブタイトルに『陽気な探偵小説』とつけてありますが、まさにその通り。英国のユーモアですな。 密室のトリックも衝撃で、こういうの大好き。 登場人物のイラスト入りで楽しかった。
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『図説・密室ミステリの迷宮』で「プロが選んだ本当にすごい密室」に載っていたので読んでみた。 ドアも窓も鍵のおりたホテルの一室で射殺死体が発見された。その直前にはドアや窓から部屋に出入りした二人の男がおり、密室内の衣裳戸棚には女が閉じこめられていた… 探偵役は『ベヴァリー・クラブ』...
『図説・密室ミステリの迷宮』で「プロが選んだ本当にすごい密室」に載っていたので読んでみた。 ドアも窓も鍵のおりたホテルの一室で射殺死体が発見された。その直前にはドアや窓から部屋に出入りした二人の男がおり、密室内の衣裳戸棚には女が閉じこめられていた… 探偵役は『ベヴァリー・クラブ』と同じく素人探偵のヴェリティ。この作者のキャラや淡々としたユーモアはいまいち好きになれないのだが、この作品にはぴったり。イラストも素晴らしい。描き方によってはかなり違った印象にもなるであろう真相がわかった時は笑ってしまった。たしかに、本当にすごい密室と言ってもいいかも。
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正直探偵役の人は面白い人だと思いつつもなかなか好意を持てなかった。でも事件の複雑さと展開の軽妙さが相俟って飽きることなく読み進めることが出来た。ほぼ全篇が謎解きで構成されているかのような感じでいくつもの解決案が提示される。そして最後の密室トリック。うわー、こうきたか。思わず唸らさ...
正直探偵役の人は面白い人だと思いつつもなかなか好意を持てなかった。でも事件の複雑さと展開の軽妙さが相俟って飽きることなく読み進めることが出来た。ほぼ全篇が謎解きで構成されているかのような感じでいくつもの解決案が提示される。そして最後の密室トリック。うわー、こうきたか。思わず唸らされてしまった。
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