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蝦蟇の油 の商品レビュー

4.2

10件のお客様レビュー

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2025/10/11

黒澤明の、幼少期から「羅生門」で世界的巨匠になるまでの自伝。 小学生から旧制中学時代までのことは比較的細かく書いていて、よく覚えているものだと感心する。厳格な父、風変わりな兄、後に映画で協働することになる同級生。 刮目すべきは、10代の頃に見た映画のリストが記されていることだ。...

黒澤明の、幼少期から「羅生門」で世界的巨匠になるまでの自伝。 小学生から旧制中学時代までのことは比較的細かく書いていて、よく覚えているものだと感心する。厳格な父、風変わりな兄、後に映画で協働することになる同級生。 刮目すべきは、10代の頃に見た映画のリストが記されていることだ。「散りゆく花」(グリフィス)ををわずか九歳で、「グリード」(シュトロハイム)を十五歳で!!サイレント期の傑作にリアルタイムで接した経験は、やはりこの人の血肉となっているのだろうと思わせる。 画家を志したものの美術学校に落ち、やがてPCL(のちの東宝)で天職に巡り合う。助監督についた山本嘉次郎からいかに多くを教わったか、そしてそれがデビュー作「姿三四郎」の成功に繋がっていったかが丁寧に書き込まれている。 すでに戦時下、内務省の検閲官の愚かさには口さがない。 戦後は「我が青春に悔いなし」から出発するが、すでにこの作品から今度は労働組合の横槍が入り始める。そして東宝争議。黒澤も映画が撮れなくなり、大映、松竹でメガホンを取る。その成果が「羅生門」なのだが、一方で東宝争議のさなか多数の助監督を馘首し、結果的に人材育成に失敗して10年にわたる停滞を招いた東宝経営陣への批判は容赦がない。設立当初のPCLの社風の中で育ったが故に、極度に資本の論理に傾斜した経営陣にはいくつも言うことがあったのだろう。 ただ監督として自立してからの作品群にはあまり細かく触れていないのがもったいない気がする。

Posted byブクログ

2024/11/15
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

ウェブ上でバラバラに読んだ記述の、おおもと。 いいボイス。 兄の自殺……中上健次。 @ 日本を代表する映画監督黒澤明が自らの半生を回想した自伝.少年時の思い出に始まり,映画との出会い,美術・文学・音楽の経験,助監督時代を経て,鮮烈なデビュー作「姿三四郎」から「羅生門」でヴェニス映画祭グランプリを受賞するまでが,大正・昭和の世相を背景に感動的に語られる.巨匠の創造の秘密に迫る貴重な証言.(解説 淀川長治) 1978年3月から9月まで『週刊読売』に連載。加筆・訂正の再構成のうえ、1985年の映画『乱』公開前の1984年に岩波書店より単行本にて刊行された。以降1991年に同時代ライブラリー版が、2001年に岩波現代文庫版が刊行された[1]。 目次  1 旧友交歓 ……幼時の頃 幼年の頃 森村小学校 黒田小学校 旧友交歓 少年のいる風景 つむじ風 剣道 棘と毒 書道 紫式部と清少納言  2 赤く長い煉瓦屏 ……明治の香り 大正の音 神楽坂 天狗の鼻 蛍の光 お茶の水 赤く長い煉瓦屏 大正十二年九月一日 闇と人間 恐ろしい遠足  3 迷路 ……仰げば尊し 私の反抗期 遥かなる村 系図 富樫の伯母 苗 迷路 私の兵役 弱虫小虫 浮世小路 書きたくない話 ネガとポジ  4 長い話 ……危い曲り角 峠 P・C・L 長い話(一) 長い話(二) 疳の虫 好人 悪戦 私の山  5 用意、スタート ……用意、スタート 「姿三四郎」 一番美しく 「続姿三四郎」 結婚 虎の尾を踏む男達 日本人  6  「羅生門」まで ……「わが青春に悔なし」 「素晴らしき日曜日」 どぶ沼のある街 「酔いどれ天使」 賽の河原 「静かなる決闘」 鮭の繰言 「野良犬」 「醜聞」 「羅生門」   ◇黒澤明監督作品  ◇解説 黒澤明の命の本 淀川長治

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2024/03/14

読んだのは単行本。角背の箱入りという、昔はよくある体裁だが今ではたいへん贅沢なつくり。 それはさておき。 映画、邦画が好きなら一度は読んでおかんといかんと思っていた本書、ちょっと期待外れ。 というのは、私は黒澤監督の子供時代などどうでもよく、彼の映画論やエピソードを期待していたの...

読んだのは単行本。角背の箱入りという、昔はよくある体裁だが今ではたいへん贅沢なつくり。 それはさておき。 映画、邦画が好きなら一度は読んでおかんといかんと思っていた本書、ちょっと期待外れ。 というのは、私は黒澤監督の子供時代などどうでもよく、彼の映画論やエピソードを期待していたのであって、たしかにそれらにも触れられているが、それも『羅生門』まで。 それ以降の『生きる』『七人の侍』『蜘蛛巣城』『隠し砦の三悪人』『天国と地獄』etc.etcに関する話が読みたかったのである。 本書は黒澤監督の生の声が聴けるという利点はあるが、黒澤映画についてなら佐藤忠男氏の『黒澤明解題』のほうが充実して面白かった。 そちらを読み直そう……。

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2020/12/21

黒澤明監督が67歳くらいの時に「週刊読売」に連載していたものに、加筆・修正したもの。監督が産まれてから『羅生門』で受賞するまでについて書かれている。 幼少期の家族との関わりや学校での事なので、興味深いエピソードが満載。ひ弱で苛められていたのが、剣道やって強くなるところなど黒澤映...

黒澤明監督が67歳くらいの時に「週刊読売」に連載していたものに、加筆・修正したもの。監督が産まれてから『羅生門』で受賞するまでについて書かれている。 幼少期の家族との関わりや学校での事なので、興味深いエピソードが満載。ひ弱で苛められていたのが、剣道やって強くなるところなど黒澤映画と同じように爽快だった。 兄妹の多くが端役に亡くなられていたり、お兄さんからの影響が強かったりと、ルーツ的な部分にも触れられています。 助監督時代や監督になってから撮影した作品についての話も、作品を観てるとさらに楽しめると思います。 一時期はプレミアが付いていたようですが、再発されたからか今は普通の価格で販売されています。 黒澤ファン、映画ファンには是非読んで頂きたい本です。

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2019/03/03

「兄」の傑物ぶりが強烈。被災地巡りの件は自分が連れ回されているような気分になり、その日はもうページを繰る気にはなれなくなってしまった。 「今の音はデジタルだらけ、昔は生の音で溢れていた」という言葉を全肯定は出来ないけれども、我々平成育ちは彼ら大正育ちの半分くらいしかものごとを経験...

「兄」の傑物ぶりが強烈。被災地巡りの件は自分が連れ回されているような気分になり、その日はもうページを繰る気にはなれなくなってしまった。 「今の音はデジタルだらけ、昔は生の音で溢れていた」という言葉を全肯定は出来ないけれども、我々平成育ちは彼ら大正育ちの半分くらいしかものごとを経験しないまま成人を迎えているのではないか。あの時代を生きた人々の自伝は、どれを読んでも身につまされる。

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2014/02/19

日本映画界の巨星の自伝のようなもの。 『羅生門』辺りで終わらずにもう少し語って欲しかったと思うのは欲張りか。 どの時代・世界でも小人が虚勢を張りたがる様は滑稽だが、そう見えるのは第三者ないしは時間が経過した後振り返る当事者のみ。真っ只中の当事者にとっては、腸煮えて仕方ないんでしょ...

日本映画界の巨星の自伝のようなもの。 『羅生門』辺りで終わらずにもう少し語って欲しかったと思うのは欲張りか。 どの時代・世界でも小人が虚勢を張りたがる様は滑稽だが、そう見えるのは第三者ないしは時間が経過した後振り返る当事者のみ。真っ只中の当事者にとっては、腸煮えて仕方ないんでしょう。 また良き師匠・友・家族等、巨人の巨人たる所以は、周りに恵まれるというか、周りを吸い寄せるところでしょうな。この人もご多分に漏れず。 しかし『用心棒』の衝撃的オープニングなどは偉大なる師の山さんの影響あってのことかな?人間にとっての縁とは何かを考えさせてくれる味わい深い本でもあります。

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2012/09/12

世界のクロサワさんの自伝。明治から昭和の「激動の時代」をがむしゃらに生きてきたおじいちゃんが、表現豊かにその半生を綴っている本。

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2012/07/22

黒澤明監督に関する書籍では必ず参考文献とされる自伝だが、長く増刷されなかったせいかなかなか読む機会がなかった。幼年期から綴られた本著は、著者が遺してくれた数多の名作を抜きにしても興味深く、その流麗な文章と豊かな記憶力、そして観察力の鋭さに圧倒される。もちろん後半生の40年分には触...

黒澤明監督に関する書籍では必ず参考文献とされる自伝だが、長く増刷されなかったせいかなかなか読む機会がなかった。幼年期から綴られた本著は、著者が遺してくれた数多の名作を抜きにしても興味深く、その流麗な文章と豊かな記憶力、そして観察力の鋭さに圧倒される。もちろん後半生の40年分には触れずに筆を置いてしまったのは悔やまれるが、映画監督はその作品で語るべきだという著者の意見はもっともであり、妥協を許せなかった潔さでもある。

Posted byブクログ

2011/06/25

伝説も多い人だけれど、普通の偏屈じいさんっぽさも持ち合わせていて。何より、自分にとっての映画は、「どですかでん」のロクの電車と同じだ、と。 ロクの電車を持つ人生の、なんと幸福なことか。

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2010/11/26

黒澤明監督の自伝、ようやく再刷されて読むことが出来ました。 明治生まれで大正、昭和と激動の時代を生きる黒澤少年(青年)のが見た情景と、その思い出。映画とは関わりのない時期のエピソードも面白い。 なぜこの本を原作に映画やドラマが製作されないのだろうと思いました。 巻末の淀川長治氏の...

黒澤明監督の自伝、ようやく再刷されて読むことが出来ました。 明治生まれで大正、昭和と激動の時代を生きる黒澤少年(青年)のが見た情景と、その思い出。映画とは関わりのない時期のエピソードも面白い。 なぜこの本を原作に映画やドラマが製作されないのだろうと思いました。 巻末の淀川長治氏の解説からにも熱量を感じます。

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