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漂泊の王の伝説 の商品レビュー

4.1

26件のお客様レビュー

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2024/03/25

詩のコンクールで貧乏なじゅうたん織りハンマードに負けた王子ワリードは、ハンマードに、難しい命令ばかりを出す。じゅうたんを織る命令のときに、ハンマードが死んでしまったのをきっかけに、ワリードは罪をつぐなう旅に出る。 ドキドキしておもしろいお話だった。じゅうたんには、世界の歴史が過去...

詩のコンクールで貧乏なじゅうたん織りハンマードに負けた王子ワリードは、ハンマードに、難しい命令ばかりを出す。じゅうたんを織る命令のときに、ハンマードが死んでしまったのをきっかけに、ワリードは罪をつぐなう旅に出る。 ドキドキしておもしろいお話だった。じゅうたんには、世界の歴史が過去も未来も織り込まれていて、見た人は死んでしまう。みんながじゅうたんに呪われたように死んでしまうのに、ドキドキした。ワリードは賢者だから(賢者になれたから)死ななかった。 ハンマードの息子たちが、ワリードを許すところが好きだった。ワリードの、つぐないのためのがんばりが認められた。 ぼくは、登場人物の中で、大きくなってからのワリードに似ている。投げやりなところが同じだと思った。ワリードのような人生はこわい。他の人の考えや気持ちも、ちゃんと考えてから行動したい。 国語の教科書に紹介されていて、学級文庫にもあったけど、だれも読んでいなかった。ぼくも難しそうかなと思ったけど、読んでみたらちょうどよかった。(小6)

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2022/11/05

かつてキンダ王国で大罪を犯した王子が様々な人々と交流をして、罪償いをする物語。 どの章でも臨場感があり、ページを繰る手がとまらなくなった。絨毯が三人の泥棒にした仕打ちが恐ろしかった。

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2022/08/17
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

アラブの昔話や伝説…詳しく知らないですが、きっと色々な話がうまく取り入れられているんだろうなと感じました。赤いターバンの老人や、行く先々にいる絨毯織りの息子たちなどなど。マリクとなったワリードが人間としてどんどん成長していくところも読み応えがありました。 ハンマードがすごすぎる…おもしろくて一気に読みました。 小学6年生の平行図書ですが、子どもには読みにくいのかもな…(なじみのない砂漠が舞台、名前が難しい)けどどうにか魅力を伝えたいな…という作品でした。 グサッときた箇所 ・「よく聞け。われわれはみな、自分のすることに責任がある。よい行いにも悪い行いにも。そして人生はかならず、おまえのした分だけ返してよこす。忘れるなよ。人生は、そのつぐないをさせるということを…。」 ・舌は人間の半分。もう半分は心。あとは血と肉のみ。

Posted byブクログ

2021/09/21

6年教科書掲載本 読み応えありました。 ワリードが転落していく様子は辛かったですが、国を離れてからの展開はよかった。 何より砂漠の国と絨毯という取り合わせに浪漫を感じました。

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2021/07/04

ずいぶん前から気になっていた本。やっと読んだ。 噂に違わず面白かった。 イスラム教が支配する前のアラビアを舞台にした物語で、子どもたちには「アラジンの世界」と言えばイメージしやすいだろう。 主人公の王子ワリードは見目麗しく、賢く、人格も優れており、次の王にふさわしいと本人含め全...

ずいぶん前から気になっていた本。やっと読んだ。 噂に違わず面白かった。 イスラム教が支配する前のアラビアを舞台にした物語で、子どもたちには「アラジンの世界」と言えばイメージしやすいだろう。 主人公の王子ワリードは見目麗しく、賢く、人格も優れており、次の王にふさわしいと本人含め全国民が思うような若者だった。当時のこの地方では詩を詠む才能は何よりも尊ばれていた。詩にも非凡な才能があったワリードは世界中の詩人が集まる大会に出たいと父王に告げる。父は賢明な王であったため、先に国内で同様の会を開き、そこで優勝できたら行っても良いと答える。(書いたものを発表するのではなく、詩人とは別のラーウィーと呼ばれる詠み手が聴衆の前で詠唱する。)そこで国内の大会が開かれたが、ワリードが優勝すると全員が思っているところに、みすぼらしい無名の詩人が現れ、優勝する。確かに彼のほうが素晴らしいと認めざるを得ないほどの才能だった。ワリードは初めて憎しみや嫉妬という感情を知る。次の年も、その次の年も大会を開くが、やはり彼が現れ優勝をさらっていった。ワリードの彼への憎悪は頂点に達し、本職はしがない絨毯織りであった彼に不可能な課題を出す。 この前半部分だけでも、十分面白い。 大会の審査委員長である偉大な詩人が、ワリードにあなたは本当の旅をしたこともなければ、本当に女性を愛したこともない、と言う。優勝した詩人の詩には本物の旅が、本物の愛がある、と。そう言われてもワリードは納得できない。自分は王子としてたくさんの外国を旅してきたし、目もくらむような美女も見た、と。優勝した詩人がどうということもない平凡な女を妻だと言って紹介し、詩に謳った女性は妻なのですと告げると、こんな取るに足りない女を謳い上げるなんてと嗤う。 しかも、この詩人は文盲だったのだ。 高い能力を自他ともに認める人間が、一見何のとりえもない人間に三度も敗北した時、いかに、残忍で冷酷な仕打ちをするか。 後半すべてを失ったワリードが漂泊の旅人となり、様々な人々に助けられたり、心から人を愛したりすることで変わっていく、という点ではビルドゥングスロマンと言ってもいい。それだけでなく、詩人が織った因縁の絨毯が盗まれそれを探すというミッション、詩人とその家族への贖罪が絡み合って飽きる暇がない。 エピソードはきちんと回収され、後味はとてもいい。 いい児童書はすべてそうだが、大人が読んでも楽しめる。 難しいところはないが、アラブ系の男性の名前がたくさん出てくるので、(ワリード、ハキーム、アミール、マスール、ハサーン、ラシードなど4文字で三番目が「-」の名前が多い)子どもはちょっと混乱するかも。 登場人物の多い外国文学を読むときは(日本文学だってそうだけど)、登場人物をその特徴とともに書いていくと混乱しないし理解も深まるが、(それをしないとロシアや南米の文学は私は読めない)そこまでする子どもはなかなかいない。よく読める子どもにはこの本などをきっかけに、メモしながら読むとこれからもっと複雑な物語も楽しんで読めるようになる、と教えてあげると良いかもしれない。

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2021/01/17

かっこいい児童文学でした。そこらへんの安っぽいミステリーを読むよりドキドキハラハラしたし、そこらへんの安っぽい自己啓発本を読むより、自分の生き方に響きました。【2020年9月30日読了】

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2018/01/03

砂漠の王国キンダの王子ワリードは、自分こそ詩の名人で並ぶものはないと考えていた。しかし、貧しい絨毯売りによって夢と名誉を奪われたことから、憎しみにかられたワリードは絨毯売りに難題を押し付ける。 ワリードは自分の罪に気づき、「漂泊の王」として砂漠に出て、あの男の絨毯を取り戻す旅に...

砂漠の王国キンダの王子ワリードは、自分こそ詩の名人で並ぶものはないと考えていた。しかし、貧しい絨毯売りによって夢と名誉を奪われたことから、憎しみにかられたワリードは絨毯売りに難題を押し付ける。 ワリードは自分の罪に気づき、「漂泊の王」として砂漠に出て、あの男の絨毯を取り戻す旅に出る。 「人生は必ず、その人がしたことをしたように返してくる」

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2017/11/14

「外国の本っておもしろい! ~子どもの作文から生まれた翻訳書ガイドブック」の「3. ファンタジー・冒険」で紹介されていた10冊のうちの1冊。

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2016/07/20

イスラム以前のアラビア、うぬぼれた王子が、嫉妬から災厄を王国に招いてしまう。何もかも無くした王子は、裸足で歩き始める。 ゲド戦記的なイニシエーションストーリー。より華やかで、ファンタジーあり、ロマンスあり、冒険あり。素早い物語運びで、一気に読ませる。 ドラマティックすぎるのと...

イスラム以前のアラビア、うぬぼれた王子が、嫉妬から災厄を王国に招いてしまう。何もかも無くした王子は、裸足で歩き始める。 ゲド戦記的なイニシエーションストーリー。より華やかで、ファンタジーあり、ロマンスあり、冒険あり。素早い物語運びで、一気に読ませる。 ドラマティックすぎるのと、消化不良的なエピ(赤いターバンの老人、歴史の絨毯、ジンたちなど)が気になるけど、とても面白く、ハッピーエンドで読後感も良い。

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2015/10/02

タイトルと紹介文からして、冒険物なのかなぁと読み始めたら、精神に重きをおいたファンタジーでした。 楽しみにしていた砂漠の描写があまりなかったのは残念でしたが、よかったです。 強い嫉妬は身を滅ぼす。元から持っていた長所も失われ、過ちを犯す。でも例えしてはいけない過ちを犯しても、猛省...

タイトルと紹介文からして、冒険物なのかなぁと読み始めたら、精神に重きをおいたファンタジーでした。 楽しみにしていた砂漠の描写があまりなかったのは残念でしたが、よかったです。 強い嫉妬は身を滅ぼす。元から持っていた長所も失われ、過ちを犯す。でも例えしてはいけない過ちを犯しても、猛省と努力で報われる日がくる。あるいは来ないかもしれないが。そんな風に受け取りました。 やはり実体験に勝る創作はないという事、辛い状況がかえって創作意欲を沸き立てる事も再確認させられました。 絨毯織りは織りたくて織った――勇気づけられる真実でした。

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