中島敦 の商品レビュー
Kindleで掲載された多くの部分が重なっているが、「木乃伊」を読みたくて本書を図書館で借りた。 ペルシャ軍の少将がエジプト人捕虜の言葉がなぜか分かるようになって、不思議がる。全く接点のないエジプトの言葉がわかるのはなぜか? マトリョーシカ?合わせ鏡?みたいな話。 本当にこ...
Kindleで掲載された多くの部分が重なっているが、「木乃伊」を読みたくて本書を図書館で借りた。 ペルシャ軍の少将がエジプト人捕虜の言葉がなぜか分かるようになって、不思議がる。全く接点のないエジプトの言葉がわかるのはなぜか? マトリョーシカ?合わせ鏡?みたいな話。 本当にこんな事態になったら同じように気が狂うかもしれない。
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中島敦、全部で19の短編小説集。 まず表紙が良いですね♪ ちくま日本文学シリーズはそれぞれ、表紙も作品のセレクトも良くて、持ち運びしやすいのもあってファンです。 どの作品も甲乙付け難く素晴らしい。 書いている作者自身、なるべく自分というものを作品の中の登場人物に投影しないでおこう...
中島敦、全部で19の短編小説集。 まず表紙が良いですね♪ ちくま日本文学シリーズはそれぞれ、表紙も作品のセレクトも良くて、持ち運びしやすいのもあってファンです。 どの作品も甲乙付け難く素晴らしい。 書いている作者自身、なるべく自分というものを作品の中の登場人物に投影しないでおこうと思いつつ、でも中島敦がダダ漏れなところが魅力。 それぞれの作品中の主人公の悲しさ、思慮深さ、優しさ、真面目さ、寂しさ、どれを取っても中島敦、その人に感じられて。 でもなかなかシャレというかブラックユーモアが感じられる作品もあってそこも好き。 あとがきで池澤夏樹さんが、作品のひとつ、文字禍 なんかはボルヘスが書いたと言われても納得してしまうかも、と書いていた。 確かにー!この感じなんよな.ボルヘスっぽい! 和歌でない歌なんかは遊び心もあるし、河馬は中島敦ならではの動物観察眼がめちゃくちゃ楽しい。 いやぁ良い本だこれは。
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知人に「悟浄出世」を勧められて読み始めた本。 悟浄の何に対しても何故と問う姿勢が私と似ていた。考えることも大切だが、考えすぎることも身体に毒というか、なるようになるという思考で何事も全力で生きることも大切なんだということを教えてもらった。ので、どちらかというと「悟浄歎異」が刺さっ...
知人に「悟浄出世」を勧められて読み始めた本。 悟浄の何に対しても何故と問う姿勢が私と似ていた。考えることも大切だが、考えすぎることも身体に毒というか、なるようになるという思考で何事も全力で生きることも大切なんだということを教えてもらった。ので、どちらかというと「悟浄歎異」が刺さった。 「弟子」みたいな真っ直ぐな生き方、「李陵」のように迷いながら適応していく生き方、どちらも正解であってそれぞれの生き様。悟浄のように考えながらも悟空のように全力で生きる、これからはそういうふうに生きたい。それが難しいから生きるって大変。
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なんと言っても「李陵」が圧倒的に秀逸である。 匈奴に敗れ軍門に降る李陵の生き方、同じく囚われた蘇武の処し方をみて幾重にも煩悶する李陵の心の葛藤。武帝のもと「帝を取り巻くものは、佞臣にあらずんば酷臣であった」なかで、太史令である司馬遷は李陵を擁護することで宮刑となりその絶望の中から...
なんと言っても「李陵」が圧倒的に秀逸である。 匈奴に敗れ軍門に降る李陵の生き方、同じく囚われた蘇武の処し方をみて幾重にも煩悶する李陵の心の葛藤。武帝のもと「帝を取り巻くものは、佞臣にあらずんば酷臣であった」なかで、太史令である司馬遷は李陵を擁護することで宮刑となりその絶望の中から生み出す「史記」、父司馬談の遺訓を体現する歴史家としての壮絶な人生。 この作品が教科書に広く登用される理由がよく納得できる。 人生の厳しさや信念、誠実さの価値を如何なく訴える圧倒的な名作である。 他の作品も各々教訓的なモチーフを暖かい筆致の名文で書かれた佳作である。
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時代柄出てくる言葉は難しいけど、文体はそうでもなく、むしろ分かりやすい。人に宛てて書いている感じがする。著者は学校の先生だったからかな。 お気に入りは「マリヤン」。南の島の快活で聡明な女性がステキで、一緒にいたら元気をもらえそう。 「和歌でない歌」を読んで、この人の読書っぷりが凄...
時代柄出てくる言葉は難しいけど、文体はそうでもなく、むしろ分かりやすい。人に宛てて書いている感じがする。著者は学校の先生だったからかな。 お気に入りは「マリヤン」。南の島の快活で聡明な女性がステキで、一緒にいたら元気をもらえそう。 「和歌でない歌」を読んで、この人の読書っぷりが凄まじいなと思った。本棚を見てみたい。 解説の池澤さん、めちゃくちゃ中島敦好きだな、と思わせる解説でした。ここ読んで私も中島敦より好きになった。
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「山月記」は主人公の嘆きが、大人になった今なら、より一層わかるような気がする。 自分の中の人間の心が、すっかり消えてしまった方が、虎の自分の幸せになるだろうなと思うところが……特に……。
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全く古さを感じさせない作品集。 読みながら、自分の中の何かにも問いかける如き… 池沢さんの後書きも趣き深し。
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"甃石には凍った猫の死骸が牡蠣のようにへばりついた。その上を赤い甘栗屋の広告が風に千切れて狂いながら走った。" 「巡査の居る風景」の冒頭が好きすぎる
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
「名人伝」★★★★ 「山月記」★★★ 「弟子」★★★ 「李陵」★★★ 「狐憑」★★★★ 「木乃伊」★★★ 「文字禍」★★★ 「幸福」★★★ 「夫婦」★★★ 「鷄」★★★ 「マリヤン」★★ 「盈虚」★★★ 「牛人」★★★ 「巡査の居る風景」★★★ 「かめれおん日記」★★ 「悟浄出世」★★★ 「悟浄歎異」★★★ 「和歌でない歌」 「河馬」
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無人島に持っていきたい本ナンバー1。ちくま日本文学全集のしかも旧版の質感が好き。セピア色のルビや脚注も。一番好きなのは悟浄歎異と悟浄出世のわが西遊記2部作。100回は読んだと思う。意識の毒汁を脱して現実へダイブせよ。
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