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中島敦 の商品レビュー

4.2

32件のお客様レビュー

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    16

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2020/03/07

もう10年以上前、中学生か高校生かのとき、今は亡き祖父が買ってくれた本。一緒に本屋に行ったときに買ってくれたような気がしているけど、もはやその記憶も定かではない。祖父が本をくれたのは後にも先にもこの一冊だけ。今から思えば、なぜこの本をくれたのだろうかと不思議に思う。たぶん、自分が...

もう10年以上前、中学生か高校生かのとき、今は亡き祖父が買ってくれた本。一緒に本屋に行ったときに買ってくれたような気がしているけど、もはやその記憶も定かではない。祖父が本をくれたのは後にも先にもこの一冊だけ。今から思えば、なぜこの本をくれたのだろうかと不思議に思う。たぶん、自分が好きだったんだろう。 なんだか難しそうで、特に読む気にもならないままずっと本棚にねむっていたのをふと思い出して読んでみた。 残念ながらぼくは特に好きにはなれなかったけど、なんだか祖父のことを懐かしく思い出した。

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2017/10/16

新潮(218ページ)・角川(256ページ)・岩波(421ページ)からも文庫版が出ているが筑摩(480ページ)以外の選択肢はない。なぜなら「文字禍」が収められているからだ。 https://sessendo.blogspot.jp/2017/10/blog-post_16.html

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2014/10/11

教科書に載ってる「山月記」は有名だけど、そういえば他の作品はあんまり読んでないかも、とトヨザキ社長&岡崎氏の『百年の誤読』で気がつき、とりあえず文庫で手頃な一冊を購入してみました。 「名人伝」「山月記」「李陵」「弟子」「盈虚」「牛人」など、中国の古典に題をとった、最も世に知られて...

教科書に載ってる「山月記」は有名だけど、そういえば他の作品はあんまり読んでないかも、とトヨザキ社長&岡崎氏の『百年の誤読』で気がつき、とりあえず文庫で手頃な一冊を購入してみました。 「名人伝」「山月記」「李陵」「弟子」「盈虚」「牛人」など、中国の古典に題をとった、最も世に知られている作品群のほかに、「狐憑」「木乃伊」「文字禍」と、より広く古代東洋に題をとった作品、「幸福」「夫婦」「雛」「マリヤン」「巡査の居る風景」など、日本の支配下にあったパラオ島や朝鮮を舞台にしたもの、世にうまく馴染めない青年としての中島自身の煩悶が色濃く投影された悟浄ものや「かめれおん日記」、さらに詩歌もくわえ、中島敦の作品世界の全体像をつかむのに手頃な一冊だと思います。 東西の古典に通暁していたことを実感させる、極めて洗練された文章の美しさは論じ尽くされた感があるけど、この作品集で初めて気付かされたのは、彼自身の生きた時代をはるかに超えていくような視点は、古代だけに向けられていたのではなかったのだということです。 パラオ島に赴任していた時の体験に題をとった「雛」や「マリヤン」は、審美的エキゾチシズムでも、あくまで日本や日本人を批判するための道具立てとしてもなく、日本の植民地行政の末端官僚としての自身と、その支配下にありながら別の尺度を生きている島人たちとの交流のなかに生じる微妙な摩擦を描き出しています。 より暴力的なかたちで植民地支配が噴出する朝鮮を舞台とした「巡査の居る風景」では、朝鮮人の青年につきまとう漠とした恐れと、日本人の紳士から丁寧な扱いを受けて喜んでしまう心理を描き、なんと、関東大震災における朝鮮人虐殺さえ示唆している。いわゆるプロレタリア作家ではなかった中島敦がこれほど植民地主義に敏感な視点を獲得していたのは、自身が日本社会の中で溶け込めないという意識をもっていたせいだったのでしょうか・・・ 身体が弱かっただけでなく、これほど敏感で繊細な心をもっていた中島が当時の日本で生きていくのは大変だったのだろうなと、「かめれおん日記」や「悟浄」の連作を読むとつくづく思います。せめてあと数年生き延びて終戦後まで創作活動を続けていたらどんな作品を残しただろう。最後に収録された動物たちを詠んだ短歌からユーモラスな一面もうかがえるところもいいです。

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2014/08/12

国語の教科書に載っていて授業を受けた「山月記」が忘れられなくて。 中島さんの書かれる文体が好きなのか、もりもり貪るように読みました。読んだ後は満足感が半端なかったです。

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2014/02/23

ある方のねとらじ放送を聞いて興味が。 非常に若くして夭折された作家であるため、残されている作品が少なく、これまで手にとって読もうとは思わなかったジャンルの本である。 昔むかしに読んだ「名人伝」や、人間の内面を掘り下げた「山月記」、西遊記であまりスポットライトを浴びる機会のない沙悟...

ある方のねとらじ放送を聞いて興味が。 非常に若くして夭折された作家であるため、残されている作品が少なく、これまで手にとって読もうとは思わなかったジャンルの本である。 昔むかしに読んだ「名人伝」や、人間の内面を掘り下げた「山月記」、西遊記であまりスポットライトを浴びる機会のない沙悟浄を主役に据えた「悟浄歎異」など。 きっと若い頃に読んだら途中で放り出していただろうが、今になって出会えた事でその面白さを感じる事が出来る。 やはり本には出会うべき年令があるんだなと感じた1冊である。

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2014/01/26

始めの4編以外は初読。特にすきなのは『木乃伊』と『文字禍』の2編。『木乃伊』は入れ子構造がすごい。『文字禍』はソシュールを思い起こされた。あと『かめれおん日記』は共感というか、漠然と頭の中にあったことを言語化された感じ。『和歌でない歌』はこれだけの作家や哲学を30前に網羅している...

始めの4編以外は初読。特にすきなのは『木乃伊』と『文字禍』の2編。『木乃伊』は入れ子構造がすごい。『文字禍』はソシュールを思い起こされた。あと『かめれおん日記』は共感というか、漠然と頭の中にあったことを言語化された感じ。『和歌でない歌』はこれだけの作家や哲学を30前に網羅しているのがすごいと思った。『河馬』は駱駝、再び山椒魚について、象の歌が特にすき。

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2013/10/01

私が高校の頃耽読し、我が身と重ね合わせた文学は、太宰治でもサリンジャーでもなく、中島敦だった。 『山月記』の孤独、『李陵』の孤高、『名人伝』のユーモア…。どの話も面白いが私にとってのベストは『悟浄出世』『悟浄歎異』二部作である。一人の人間がその身を捧げるに足るイデオロギー、あるい...

私が高校の頃耽読し、我が身と重ね合わせた文学は、太宰治でもサリンジャーでもなく、中島敦だった。 『山月記』の孤独、『李陵』の孤高、『名人伝』のユーモア…。どの話も面白いが私にとってのベストは『悟浄出世』『悟浄歎異』二部作である。一人の人間がその身を捧げるに足るイデオロギー、あるいは生き方は存在するのか?考えさせる内容である。 漢文学者の家系でありながら英語の教師になり、南洋という異文化にも接した中島敦。彼は世界のどの文化にも共通する普遍的な「生きる道」を追求し、作品を紡いでいった。彼のような人こそ、現代日本は必要としている。

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2013/04/13

中島敦の代表作をまとめ、注釈も入った良書。『妖氛録』以外の中島敦の中国物は全部読める。個人的には私小説のような『かめれおん日記』が一番面白かった。作品のイメージと違い、病弱な中島敦は「優しいパパ・明るい性格」だったという。「漢字が多い中島敦は苦手」という人にもお勧め。

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2012/09/20

『弟子』が、ほんとうにほんとうにだいすき。この作品に出逢えただけでも、幸福な一冊。 漢文をもっとちゃんと勉強しておけば、もっともっと味わえたのに、と自分の勉強不足が恨めしくなりました。 『山月記』のイメージが強かった中島敦の、違った一面も窺える、充実した一冊でした。

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2011/12/28

中島敦は高校生のころから大好きな作家のひとり。何度も繰り返し読む。読むほどに感服する。文字禍・名人伝が好きだ。山月記の主人公の孤独には涙してしまう。大人になってから読むとまた格別。

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