ブンナよ、木からおりてこい の商品レビュー
生きることとは、死ぬこととは 弱肉強食の世界という現実の中、生き続けるわれわれ。 すべての者に感謝したくなる。 そんな一冊。 子どもに読み聞かせてもいい。身近な生き物から命を学ぶことができると思う。
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舞台劇用に作られた作品ということで、舞台で演じられるところが目に浮かぶような内容だった。 カエルでありながら、椎の木のてっぺんを目指し、そこで遭遇するトンビに連れ去らわれてきた様々な生き物の様子を描く。 日頃、強さを装っているものでもあっても、そうした姿だけではないという一面を描...
舞台劇用に作られた作品ということで、舞台で演じられるところが目に浮かぶような内容だった。 カエルでありながら、椎の木のてっぺんを目指し、そこで遭遇するトンビに連れ去らわれてきた様々な生き物の様子を描く。 日頃、強さを装っているものでもあっても、そうした姿だけではないという一面を描くとともに、他者の気持ちを理解することと、日々生きていくことの価値を描き出す。 舞台を見てみたいと思った。
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読む前は、童話であり、お寺近くに住まうカエルや動物たちが出てくる話だから、ホッコリするものかと思いきや、壮絶な物語でした。 冒険大好きで跳ぶことが得意なトノサマガエルは大きな木を見つけ、好奇心から高いところまで登りますが、危険な場所にたどり着き、そこから大きく物語が始まります。...
読む前は、童話であり、お寺近くに住まうカエルや動物たちが出てくる話だから、ホッコリするものかと思いきや、壮絶な物語でした。 冒険大好きで跳ぶことが得意なトノサマガエルは大きな木を見つけ、好奇心から高いところまで登りますが、危険な場所にたどり着き、そこから大きく物語が始まります。 色んな動物たちの優しさや思いやり、時には非道さや残酷さが描写され、自然ってこんなに弱肉強食の世界なんだな、でも、美しいところもあるんだなと感じました! 少し教育じみてる部分もありましたが、改めて普段の生活では気づけない大切な事を学べました!
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トノサマがえるのブンナは、ある日椎の木のてっぺんに登った。しかし、そこは鳶が餌を貯蔵するところだった。雀や百舌、鼠、へび、牛がえるが次々に運ばれてきて、誰もが生きたいと泣き、後悔し、あがき、そして鳶に食べられた。ブンナは恐ろしくて降りられなくなった。そして、生と死について考えるよ...
トノサマがえるのブンナは、ある日椎の木のてっぺんに登った。しかし、そこは鳶が餌を貯蔵するところだった。雀や百舌、鼠、へび、牛がえるが次々に運ばれてきて、誰もが生きたいと泣き、後悔し、あがき、そして鳶に食べられた。ブンナは恐ろしくて降りられなくなった。そして、生と死について考えるようになった。果たしてブンナは生きのびて木から降りられるのだろうか。水上勉が子どもたちのために、そして大人たちのために編んだ童話。
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1972年初版、1980年改版。トノサマガエルの主人公がシイの木の上で見聞きした話。弱肉強食の世界と不合理を受けいれ、生きる上で大切なことを考えさせてくれる。2018.6.10
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幼い頃に相国寺の塔頭に小僧に出された経験のある水上勉さんらしい輪廻転生や今を生きることの大切さなどをわかりやすく物語にした児童文学です。 トノサマがえるのブンナくんが高い椎の木のてっぺんに登るんだけど、そこは恐ろしい鳶がエサを貯蔵しておく場所だったんだ。 そこで半殺しの状態で死を待つだけの状態になったかつての天敵たち:ヘビやモズなどの会話をこっそりと聞くんだけど、そこからブンナくんはいろんなことを学んでいくってお話でした。 過去の悲しみや世間の不条理は常にあるけれども、生きるよろこびを謙虚に受け止めて、今を生きていこうってお話でした。 素晴らしいお話だったよ! ちなみに「ブンナ」って名前は、お釈迦さまのお弟子さんの名前からとったんだそうです。
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いつ読むのが正解なのだろうか。それがこの作品を読んだ正直な感想。童話のような仕立てでありながら、残酷な地獄絵図さえ見せる生き様の物語。子供のころ読んだらうなされそうな気がする。 ブンナは両親とは死に別れ、ツチガエルの仲間と暮らす孤独なトノサマガエル。特技は木登りで、椎の木のてっぺんに登って生活がしたいと考えるようになり、登ってみるが、そこは鳶のえさ場だった。次々運ばれてくる獲物たち。生への意地汚いほどの執着、死の恐怖。 学生のころ、よくこの作品がの演劇が近所の公会堂などで演じられているのを広告で目にして、題名は知っていた。恐らく教育的な内容のものだろうな、と漠然としたイメージしかなかった。鳶のえさ場に落とされた、傷ついた獲物の姿、その言動は、まるで戦争映画の残虐な場面を集めたような生々しさで。仏教の曼荼羅のような、丁寧で鮮やかさな筆致に目が眩む。自分が子供だったら読みたくないと思う。子供にはかなりきつい内容、しかし大人としては教えたい、この葛藤。読み終わってしばらく経った今も悩んでいる。
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この本は、童話であると作者はあとがきに記してますが、ファンタジーではありません。むしろ、テーマは仏教の思想に近く思われ、それを下敷きにした子ども向けの説法とすると本の位置付けが丁度よく納まります。物語は、カエルの住む下界から天界に近い椎の木の高みでひょんなことから死神に手を引かれ...
この本は、童話であると作者はあとがきに記してますが、ファンタジーではありません。むしろ、テーマは仏教の思想に近く思われ、それを下敷きにした子ども向けの説法とすると本の位置付けが丁度よく納まります。物語は、カエルの住む下界から天界に近い椎の木の高みでひょんなことから死神に手を引かれた生者が死の間際に呟く悔恨の言葉や生に固執しあがく様を見ることになったカエルのブンナの話である。話自体に警句があふれ、凡人たる読者である実世界での行ないになぞらえてしまう。心配は要らない、パンドラの箱にも最後には希望が飛び出したように本書でも最後に救いが書かれている。
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時々、まさにちょうどそれを必要としていたんだ、というタイミングで、そういう本に出会う事があるけれども、この本はまさしくそういう本でした。 内容は全く知らずに、ただ単にカエルが主人公だという情報のみで手にとって読んだのですが、これはとても大事なことを教えてくれる本でした。 こどもに...
時々、まさにちょうどそれを必要としていたんだ、というタイミングで、そういう本に出会う事があるけれども、この本はまさしくそういう本でした。 内容は全く知らずに、ただ単にカエルが主人公だという情報のみで手にとって読んだのですが、これはとても大事なことを教えてくれる本でした。 こどもにも読めるような語り口調の文章でありながら、その内容は重く、せつなく、でもとても大きなメッセージを含んだものだと思います。 「きょう一日を生きてゆくよろこび」。この命は、おおぜいのいのちの一つ。それは、ただ単に食物連鎖の話をしているだけではないと思う・・・。 この世に何も残してゆけない私だけれど、どうか願わくば、死んだあとは焼かれて骨つぼに収められるのでなく、土に還ってそこから虫や植物が生まれ育ちますように・・・。そうして私もまた、このイキモノたちのおおぜいのいのちのひとつに加わりたいなあ、と思うのでした。
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水上作品にしては珍しく可愛らしい、そんな印象の本です。 私は水上さんの作品では「般若心経を読む」が一番好きです。 この本に流れている思想は「ブンナ」にも描かれているのではと考えます。 そこで、ちょっとだけ「般若心経を読む」の紹介も書きます。 これは、小説ではなくて、水上さんがご自...
水上作品にしては珍しく可愛らしい、そんな印象の本です。 私は水上さんの作品では「般若心経を読む」が一番好きです。 この本に流れている思想は「ブンナ」にも描かれているのではと考えます。 そこで、ちょっとだけ「般若心経を読む」の紹介も書きます。 これは、小説ではなくて、水上さんがご自分の一生を、般若心経の教えに鏤められている「色即是空」と、照らし合わせて書かれているエッセィーです。 私は、それまで多くの「般若心経」の解釈や解説を読みましたが、 水上さんの本ほど、頭をガ〜〜〜ンと打たれ、 一言で言えば、 「壮絶」 なのです。 本の帯には、こう書いてあります。 〜〜〜〜〜〜 人間はなぜ瑣事に悩み、色に惑うのか。 悩み、惑い続けながら、なぜ「生」に執着し「色」に執着するのか。 自ら煩悩の熱い炎に焼かれ身悶えしながら、なお人間の真実に迫ろうとする水上勉が、一筋の光明を求め、「心経」を一休和尚に問い、正眼国師に質す。 その苦悩の果ての悟りとは、、、、、 〜〜〜〜〜〜 のたうち回り、自らを「愚かだ」、おろかだと、言い、 這いずり回って、その生を生き抜いた水上勉。 読者が「安心」できる本でした。 人間の極限に追い詰められた「愚かさ」は、まさに自分のものであり、 自分こそが、「この のたうち回っている水上勉である」。 「生きる」ということが、どんなに凄まじいものであるかを、教えてくれます。 そして、 「不浄である」人間に一縷の光を、確かに指し示してくれる本であると、私は思います。 人間が、間違いを犯す者であることは、古今東西、多くの哲学、文学で語られています。 間違いをおかす 故、 神(仏)は無謬である、と思いたい。 しかし、その神(仏)とて、人間が愚かな知恵で生み出したものである。 神(仏)もまた然り。 人は、神(仏)と共に、 愚かさを共有して、生きていかなければならないのでしょうか??? ひたすら、 愚かに、生きまくった水上勉。 ブンナもそうでしたが、 作者は読者に近い位置にいるんだと、改めて思うものです。
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