エデンの東(4) の商品レビュー
アメリカの文豪 ジョン・スタインベックの著書。 長編小説の中で 随所にスタインベックの哲学が 散りばめられている。 内容は正直僕には重すぎて、 読んでいて憂鬱な気分に なることが何度もあった。 これだけの数の登場人物を それぞれ人間関係も含め とても上手く描いているところは...
アメリカの文豪 ジョン・スタインベックの著書。 長編小説の中で 随所にスタインベックの哲学が 散りばめられている。 内容は正直僕には重すぎて、 読んでいて憂鬱な気分に なることが何度もあった。 これだけの数の登場人物を それぞれ人間関係も含め とても上手く描いているところは さすが文豪と呼ばれることだけある。 また、少し昔のアメリカの生活環境が 垣間見れたりするのも良い。 一番印象に残ったのは、 第4部冒頭で 「人は皆幸せになりたいと願うが、 そこに辿りつくために 過ちを犯すことがある」 というようなことをまとめていたところ。 そして物語でも重要なキーワードである 「ティムシェル」。
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キャル(ケイレブ)は密かにケイト(実母キャシー)の店を訪れ、ケイトと対面。ケイトが何かを恐れていることを見抜く。アダムはレタスの冷蔵輸送計画を立ち上げるも失敗。財産を失い、トラスク家は町の失笑を買う。この件で最も傷ついたアロンは、町を出て牧師になることを決意する。 レタス輸送で...
キャル(ケイレブ)は密かにケイト(実母キャシー)の店を訪れ、ケイトと対面。ケイトが何かを恐れていることを見抜く。アダムはレタスの冷蔵輸送計画を立ち上げるも失敗。財産を失い、トラスク家は町の失笑を買う。この件で最も傷ついたアロンは、町を出て牧師になることを決意する。 レタス輸送で失った財産の補填。そして何より、愛する父に認めて貰うため。キャルは野菜の先物取引で得た利益を、父アダムに譲ろうとする。しかし、マネーよりも教養や人格陶冶を重んじるアダムに拒まれる。傷ついたキャルは、無知なアロンをケイトの店へ誘う。 実母キャシーの正体を知ったアロンは絶望から軍隊へ志願、そして戦死してしまう。アダムは脳卒中で倒れ、刻一刻と死期が迫る。キャルはアダムに己の罪を告白。「汝能(あた)ふ」という言葉を残し、アダム・トラスクは逝った。
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原罪を背後に厳然と据えながら、人間の美しさ、醜さを徹底的な冷徹さで描いていく。 あなたは罪を治めなければならない。 彼はその原罪を許されたのだろうか。
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アダム、アロン、キャル、アブラ、キャシー、リーの人生。 自分の母親の正体を知ったアロン。アロンにキャシーの正体を知らせたキャル。軍に志願するアロン。キャルの贖罪。 市川図書館 2009年10月9日読了
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この4巻の中で一番分厚い巻である。 本当に文庫本にしては分厚い。 読み応えはたっぷりである。 双子は、大きく成長し、世代の悲しい繰り返しが始まる。 そして、母親との存在の対峙である。 父の愛に枯渇するキャル。 夢見がちなアロン。 迷える父アダム。 本当にこの親子は...
この4巻の中で一番分厚い巻である。 本当に文庫本にしては分厚い。 読み応えはたっぷりである。 双子は、大きく成長し、世代の悲しい繰り返しが始まる。 そして、母親との存在の対峙である。 父の愛に枯渇するキャル。 夢見がちなアロン。 迷える父アダム。 本当にこの親子は不安定で繊細である。 話の展開に私は、今回想しているときに思った。 いとうせいこうの全く関係のないドキュメントといっていい植物について 書いた文庫本を読んだのだが、植物についてこう説明している。 「毎日が昨日と違うこと。 自分を繰り返さぬこと。 だが、1年を経てまたその差異を保ち、繰り返すこと。」(ボタニカルライフ著いとうせいこう) ここに生き物の1つの真実をみることができると思う。 私たちにこれから起こることは決まっている。 常に毎日死に向かって直進し、成長し、老いてゆき、死んで行く。 それは世代間でも同じだし、時代も人種もさらには生き物も星とも一緒なのである。 だけれども今日も明日も毎日に起こることは違う。 なのに一様にいきものは皆同じ方向を向いて生きて死ぬのだ。 ここには、同じような過程をだどるというのに、 その内容が違うことを指していると思う。 人間の人生にとって、この内容が大切なのだ。 ここは繰り返さぬこととあるが、むしろ繰り返すことができない である。 繰り返せることがあるはずがないのだ。 毎日に何一つとして同じことなどない。 これをこの物語に当てはめると、双子には大きな悲しみが世代を超え降りかかるが、 彼らには母がおり、迷ってはいるが父がおり、そしてサムとリーがいてアブラがいるのである。 アブラは、ライザのような強固さはもっていないが、 もっと懸命で彼女も少女から女性に成長する過程で現実を得ることになる。 この力が そして、古書店をひらくといいながらも、アダムの家の家族になって、すべてを見守り 切り盛りしてきたリーの力が この悲しみの繰返しを繰り返させない力なのである。 繰り返すことのない毎日であるからこそ、 私たちはあの腕を上げる父親の姿の涙し、 希望を見ることができるのである。 繰り返されることはないのだ。 許されてもいいのだ。 すべては繰り返されるという呪縛。 その幻が破れ、許され未来に笑うことができることがどれだけ素晴らしいことか。 私たちは、能ふことができるのだ。 選ぶことができるのだ。 こんなちんけな言葉では言い表せないが、汝能ふ(あた) ということの人間の根源と言えるような力。 その人間の大切な本質的な力にこの長く壮絶な物語の中で教えられた。 今表現できることはこのように、ただただ文字数を連ね、 言葉をつくすしかない自分が情けないが、 ぜひ皆様に読んで頂きたい作品である。 私は人生に衝撃を与えるいい作品に出合ったと今でもこの物語を思い出して 感動しているのだ。
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