虎よ、虎よ! の商品レビュー
だれもが言っている通り、テンポが良い。 復讐のみを目的にして生き続けた男が、自分の罪を認め、自分で罰を与えた。 何がきっかけとなり、フォイルが改心したのかがよくわからなかった。 パイアを民衆に与えた場面がある。現在、情報化社会によって情報を一部の権力者が独占している状況が想定され...
だれもが言っている通り、テンポが良い。 復讐のみを目的にして生き続けた男が、自分の罪を認め、自分で罰を与えた。 何がきっかけとなり、フォイルが改心したのかがよくわからなかった。 パイアを民衆に与えた場面がある。現在、情報化社会によって情報を一部の権力者が独占している状況が想定される。フォイルは民衆に与えたが、現実の政治家はそうはしないだろう。 「民衆を子供扱いするのはよせ。そうすれば彼らは子供のように振る舞うのをやめるだろう」 この言葉は真理かもしれない。
Posted by
読了。世界観のスケールがでかいのと、それだけで1冊の本にできるのではっていうレベルのアイデアがモリモリ出てきてすげえ。 モンテ・クリスト伯を下敷きにしてるって話で、復讐劇という部分ではそうなんだろうけど、それ以外の脱獄するところとか大金持ちになって名前を変えて活躍するところは本題...
読了。世界観のスケールがでかいのと、それだけで1冊の本にできるのではっていうレベルのアイデアがモリモリ出てきてすげえ。 モンテ・クリスト伯を下敷きにしてるって話で、復讐劇という部分ではそうなんだろうけど、それ以外の脱獄するところとか大金持ちになって名前を変えて活躍するところは本題ではないので、インスピレーションを得たぐらいの話ではないのかと思った。 ラストのフォントいじってるところはあまりしっくりこなかった(日本語だから?)し、観念的でどう考えたものかなあと思った。2001年とかもそうだけど、壮大なSF作品ってのは最終的にそういう話になりがちだよね。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
SF的な要素とミステリー要素、そして作者からの根源的なメッセージを含んだ、紛れもない古典SF(というより古典海外文学)の名作だった。 とある宇宙船にて記憶を失った状態で目覚めたガリヴァー・フォイル。救難信号を出したものの受理されることはなく、彼は復讐に燃えることになる。 この導入部分のシンプルさが、まず良い。 救難信号を無視したのは誰だったのか。その真相を探る行程はミステリー小説さながら。 一方で、SF小説としても、もちろん大いに楽しめた。 25世紀の宇宙では”ジョウント”と呼ばれるテレポートが一般的となっており、一般市民やホームレスでさえ、テレポートをすることが普通になっている。 そしてテレポートのみならずテレパス能力や赤外線を観る能力なども登場するので、SFファンとしては心をくすぐられた。 内衛生連合(地球、金星、水星など)と外衛星連合(木星、土星、及びそれらの衛星)が敵性関係にある、という更なるマクロ的な世界観も良い。 あとは、細かい点だけど、何気ない社会的な描写も良かった。 例えば、富裕層の間ではジョウントが”ダサい”とされ、自動車のような旧来の移動手段が富の象徴となっている、等。 テレポート社会のリアルさを強固にしているという点で、非常に良かった。 そして何より、ガリーが"時空間ジョウント"を発現させるシーンはSF史に残る名場面だった。 終盤には「人間とは、社会とはどうあるべきか」というメッセージが投げかけられる。単なる空想物語で終わらないのも、この作品が長く読み継がれるポイントの1つなのかもしれない。 ただ、女性があまりにヒステリックに描かれていて、そこは少し時代を感じてしまった。
Posted by
ジョウント、という瞬間移動できる能力が身についた世界。移動のコツや、「上流」の作法や、家の作りや、それでも起きる限界や、社会の仕組みが変わって面白い。そんな中で主人公ががむしゃらに戦い、明かされる秘密。 SFといえば名の上がる本の1つ。 主人公と女性の関係がわからなくて、ここは...
ジョウント、という瞬間移動できる能力が身についた世界。移動のコツや、「上流」の作法や、家の作りや、それでも起きる限界や、社会の仕組みが変わって面白い。そんな中で主人公ががむしゃらに戦い、明かされる秘密。 SFといえば名の上がる本の1つ。 主人公と女性の関係がわからなくて、ここは憎みあってるの?愛し合ってるの?いつのまに?という感じで、地の文が少ない分、状況がたまにわからなくなった。なんとなく、ガッチリ構成されたSFの世界や、キャラクターの緊迫感みたいなものが足りない思いがする。 なんでも盲目的に「科学的だ!」で済ませる未開の部族の人々がユーモアがあった。
Posted by
バイオレンスSFの最高傑作。サイボーグ009の加速装置の元ねた。大友克洋「AKIRA」にもその残像をみる。SFのアイデアてんこもり。「分解された男」から発展したアバンギャルドな活字構成にもクラクラ。
Posted by
ぴょんぴょんとジョウントするストーリーに追いつけない。なんでこんな状況になっているのかうまく理解できないところが多かった。しかしながら数々のSF的ツールを発明したと言う点で高い評価を与えるべき作品。
Posted by
とあるゲームに出てくる虎の獣人の元ネタだったため着手。 ドロドロとしていそうという理由で、今まで復讐譚は避けてきたが、想像していたよりもさっぱりとした終わり方だったことに驚いた。 内容自体も面白かったと思う。ただ所々想像が追いつかない描写があったので、また挑戦したい。
Posted by
キングの短編『ジョウント』を読んで再読したいなーと思ったが、物置だの納戸を探すまでもなく積読の中に新判があったのであったw
Posted by
表紙のカッコよさに惹かれ衝動買い。しかし予想外の強烈な読書体験だった。 テレポーテーション(ジョウント)、テレパシー(共感覚)、加速装置、感情の昂ぶりにより浮き出る虎の刺青。その後のSF作品の定番となった能力や設定がいくつも盛り込まれている。そのアイディアの豊富さ、そして読者を置...
表紙のカッコよさに惹かれ衝動買い。しかし予想外の強烈な読書体験だった。 テレポーテーション(ジョウント)、テレパシー(共感覚)、加速装置、感情の昂ぶりにより浮き出る虎の刺青。その後のSF作品の定番となった能力や設定がいくつも盛り込まれている。そのアイディアの豊富さ、そして読者を置き去りにしかねないほどの疾走感と馬力は凄まじい。 作品を「味わう」よりも「感じる」タイプの小説。 一つずつ文章を読み込んだり、内容を考察するのではなく作品のテンポに合わせガンガン読み進めた方が遥かに面白い。 さらに場面を頭の中でイメージするとより一層楽しめる。 決して万人受けする作品ではない。まったく合わない人もいればハマる人にはとことんハマる。 それでも発表から60年以上の時間を経て尚そのエネルギーとスピード感がまったく色褪せないという意味では間違いなく古典的名作と言えるだろう。
Posted by
トニックウォーター味の空気に、軽快なハンマー音が見える! 思わず出来損ないのオマージュもどき短編を書いてしまったくらい、衝撃を受けた作品。読めばきっと貴方も酩酊します。現実からずっと遠くへ瞬間移動(ジョウント)したい貴方へ
Posted by