静かな爆弾 の商品レビュー
耳の不自由な女性、響子と付き合うテレビ報道局に勤める俊平が、両親に彼女をあわせようとして 「うちの両親は、耳のことでいやな思いをさせるような人ではない」 と伝える場面がある。 彼女は静かに問う。 「あなたは、『耳が聴こえるけど、それを気にしない』といわれたことがあるか」と...
耳の不自由な女性、響子と付き合うテレビ報道局に勤める俊平が、両親に彼女をあわせようとして 「うちの両親は、耳のことでいやな思いをさせるような人ではない」 と伝える場面がある。 彼女は静かに問う。 「あなたは、『耳が聴こえるけど、それを気にしない』といわれたことがあるか」と。 そして続ける。 私たちはいつもいわれている 「耳が聴こえないことは、わたしは気にしない」と。 この場面が印象に残っています。
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さらーっと読んだ。意図しているテーマに素直についていけなかった。宏美との別れのシーンなどは読むのがつらい。 繰り返し使われるフレーズも浮いた感じがして、ピンとこなかった。 作成日時 2008年04月13日 15:56
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悪人 でよりを戻した吉田修一作品の新刊です^_^; 神経質になりがちなテーマを、好評だった悪人のあとによく扱ったなぁ・・と言う先入観がまずありました。 耳の不自由でない私にとっては、とても自然に音のない会話・二人の世界が描けていると思えました。 私は結構、意識しているのだと思...
悪人 でよりを戻した吉田修一作品の新刊です^_^; 神経質になりがちなテーマを、好評だった悪人のあとによく扱ったなぁ・・と言う先入観がまずありました。 耳の不自由でない私にとっては、とても自然に音のない会話・二人の世界が描けていると思えました。 私は結構、意識しているのだと思います。 それを証拠に、読んだ感想さえありのままに書くことが出来ません。 普段、障害を持った方と”普通”に接することが出来ると思っていますが、この”普通”ってのが曲者で、違う生活スタイルなのだから、そもそも”普通”が違うのだから、”普通”に接しられるわけないのです。 ”違う”と思って接する方が、むしろ正直なのでしょう。 ようは好きか苦手か、一緒に居たいか金輪際嫌か・・ とどのつまりはそこではないでしょうかね。 そう云った意味でも、吉田修一氏はすごいな・・・ 響子側の立場の人たちが、これをどう読むのか・・ふと思いました。 これを読んで、愛していると言ってくれ、や、星の金貨を思い出しました。 あれはテレビだったからか、どちらも積極的に手話を使ってコミュニケーションしていましたが、こちらは本だからか、手話と云う手段ではなく、筆談に終始していました。 筆談と手話、どちらが通じるのでしょうか・・? 本当は、似たような感覚、似たような間柄が私の中に芽生えているのですが、私が変に意識してしまっているので書けません。 例えば・・手話は、英語や他の外国語と同じような感覚? ただ、私には、突き詰めて外国語で感情的なところまで話したことが無いので、実感がないのですが・・ わたし的には、自分と違う感覚世界を持った人と、そういう状況になったら積極的にコミュニケーションを持ちたいと思ってはいるのですが・・・・
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あるテレビマンと耳に障害がある女性とのお話。 東京の喧噪と静謐の彼女の対比が素晴らしく。大人で品のある作品。 忙しさに任せてじょじょに彼女とのコミュケーションを面倒と思ってきてしまうところは、リアル。 人に何かを“伝える”ってことの大事さ、コアの部分を改めて考える1冊。
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いろんな読み方が出来る小説。 社会について疑問を覚えたり、 仕事について考え直したり、 恋愛について自省したり。 きっと、読む時々の自分の状況によって、いろんな方向から感じれる小説。 今回は、3つの観点それぞれから、なんとなく刺激された。 仕事の仕方。考え方。 仕事と恋の...
いろんな読み方が出来る小説。 社会について疑問を覚えたり、 仕事について考え直したり、 恋愛について自省したり。 きっと、読む時々の自分の状況によって、いろんな方向から感じれる小説。 今回は、3つの観点それぞれから、なんとなく刺激された。 仕事の仕方。考え方。 仕事と恋のバランスについて。 社会への意識について。 仕事の忙しいときの、恋愛について、ものすごく共感し、ラストの仕事への思いについても、すごく共感する。 「電話一本する時間もないの?」って確かに。 忙しいときは、その一分さえも仕事に使ってしまうのです。確かに。 自分のやりたかった仕事と、その仕事が伸びていくこと、今後の光が見えてきたことへの喜び、ただ、だけどその中に不安が見える。恋愛と絡んだ、生活と言うものがあるが故に。 その気持ち、良くわかる。 2時間で読める、とても静かな、リアルな、働く男の生活。
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装丁、いいなあ。 して、この装丁から受けるイメージからとは かけ離れてる・・とおもいきや 内包する問題など読後考えると腑に落ちる。 して、吉田修一、最近いいのかもしれん・・。 「景色あまり良くないだろ?」かなんか、 主人公が問いかけるところが、 すごく切なか...
装丁、いいなあ。 して、この装丁から受けるイメージからとは かけ離れてる・・とおもいきや 内包する問題など読後考えると腑に落ちる。 して、吉田修一、最近いいのかもしれん・・。 「景色あまり良くないだろ?」かなんか、 主人公が問いかけるところが、 すごく切なかった。そして辛かった。 彼女が振りむくことは、絶対にないから。 ラストは納得いかなかったけど。 途中のお花見のエピソードも。唐突だった。
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テレビ局勤務で、番組制作に携わっている俊平は、ある日神宮外苑で不思議な雰囲気をまとう響子と出会う、、、。 「ボーイ ミーツ ガール」の王道のような小説なのに、吉田修一の描く恋愛小説は、一味違う。主人公には悪いけどなんてことのない物語なのに、スクープを撮ろうとする焦りと不安と緊迫...
テレビ局勤務で、番組制作に携わっている俊平は、ある日神宮外苑で不思議な雰囲気をまとう響子と出会う、、、。 「ボーイ ミーツ ガール」の王道のような小説なのに、吉田修一の描く恋愛小説は、一味違う。主人公には悪いけどなんてことのない物語なのに、スクープを撮ろうとする焦りと不安と緊迫感が恋愛にも影を落とすのか、響子に心惹かれながらも素直に恋愛に没入できず、絶えず不安に心揺らしている主人公俊平の心理描写が続き、とても不穏な空気が漂う恋愛小説だ。タイトルからして、誰が甘い恋愛小説を期待できようか(笑)。 仕事で外に出ている時には絶えず「音」がまといつき、絶える間がない空間に身を浸していて、実際、読者としてもその音を聴いている感覚でいるのに、響子と一緒に内にいる時は、すぱっと「音」から切り離され、ただただ静寂があるのみ。小説を読みながら無音の静寂を感じるなんて、なんだか不思議な感覚だった。 響子のああいう設定のせいか、とても静謐で、都会的でスマートで、なぜかひんやりした凄味を感じる作品。暴力的な描写や悪意もしっかと描かれていて、流され踏みにじられそうになりながらも踏み止まり、なぜかさっぱりした後味がなかなかに好印象。ほっとした。こういう結末を迎えて、本当に良かった。 これ、響子サイドから見たら、どんな物語になるんだろう。ぜひ読んでみたい。
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