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静かな爆弾 の商品レビュー

3.5

87件のお客様レビュー

  1. 5つ

    9

  2. 4つ

    29

  3. 3つ

    32

  4. 2つ

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2011/04/27
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

テレビ局報道で働くちょっと気の荒い男の人が耳の不自由な女の人と過ごす。 彼女の世界に音はなくて、彼女と過ごすことでふと我に返ったり不安な気持ちになったり。 そばにいたくてもこうも忙しいとどうしようもないんだろうなあと思った。 それでも一緒にいたくて、誤解したりされたりしながら二人で作っていく日常を期待した。

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2011/03/06

バーミヤンの大仏爆破について取材をするジャーナリストと、耳の不自由な女性との恋愛の話。 他の著作にもれず、今回も読みやすかった。 そして、吉田修一は余白が多い作家だとつくづく思った。 文字数が少ないとかそういうことではなくて(この本は、実際ページ数も文字数も少なく、あっという間...

バーミヤンの大仏爆破について取材をするジャーナリストと、耳の不自由な女性との恋愛の話。 他の著作にもれず、今回も読みやすかった。 そして、吉田修一は余白が多い作家だとつくづく思った。 文字数が少ないとかそういうことではなくて(この本は、実際ページ数も文字数も少なく、あっという間に読み終わったのは事実だが)、余分なことを書かないというか、読み手に委ねる部分が多いというか、そういうこと。 だから、言葉は少ないのに、いろいろな思いが胸中に膨らんでくる。 やはり、うまい作家なのだと思う。 本作はあまり物語の起伏は多くなく、作中度々語られる、怖いような「静けさ」は妙に伝わってくる。 そのあたりもあってのことだとは思うが、最後、彼女に起きたことについて具体的には全く触れられていないのが、ちょっと消化不良気味かな…。

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2011/04/18
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

≪内容≫ テレビ局に勤める早川俊平は ある日公園で耳の不自由な女性と出会う 取材で人の声を集める俊平と、音のない世界で暮らす彼女 やがて恋に落ちる二人だが (本書帯より引用) ≪感想≫ 届かないかもしれないし、どれだけ伝わるかもわからない。 それでも僕達は誰かに何かを伝えようとする。 当然のことなのかもしれないが、そんなことを再認識させられた。 響子と出会い過ごす時間がどこまでも静謐である一方で、俊平が仕事に取り組む時間は喧騒と共に慌しく流れていく。音のある世界と音の無い世界が巧みに書き分けられており、各場面での音量の違いが活字を通して伝わり読み手の聴覚を刺激する。吉田修一の創意工夫と筆致の確かさを改めて感じることができる一冊だと思う。 あと、「姿の見えない密告者」というアパートの管理についての挿話は妙に納得させられたので覚え書き。

Posted byブクログ

2011/02/01

 耳が聞こえない女性と付き合う男性の話。  テレビ局勤務の男性が主人公で、今は報道を外されて腐っているのだけど、タリバンの大仏破壊のスクープ情報を得て情報を追うことで自分のやりたい仕事に集中していく。一方で、耳が聞こえない女性と出会い、付き合うようになり、彼女を守ろうとするのだ...

 耳が聞こえない女性と付き合う男性の話。  テレビ局勤務の男性が主人公で、今は報道を外されて腐っているのだけど、タリバンの大仏破壊のスクープ情報を得て情報を追うことで自分のやりたい仕事に集中していく。一方で、耳が聞こえない女性と出会い、付き合うようになり、彼女を守ろうとするのだけれども、番組製作で忙しくなると、「守る」ことができなくなる。  耳が聞こえない女性響子の静かなあり方が魅力的なのだけど、たんに魅力的というだけでなく、すれ違いもさまざまな形で書かれていく。障害に対する意識もそうだし、男性の側で彼女が怒らないことに対して向こうの方が優位だ、と感じたり。  ストーリーの表面上の最大の困難は、仕事と恋愛の時間のリソースにおける折り合いということになるのだけど、単に恋愛小説というわけではなく、 彼女が語った「神様」の話を主人公が悟るくだり、そして野球場の群衆の顔が脳裏から離れないというくだりなど、この小説はもっと微妙なところを書こうとしているように思える。恋愛を素材として語り、一度は他者の理解、自己理解、世界への理解へとたどり着きそうになりながら、結局はわかりやすいところには落ち着かず、「わからなさ」へとたどりつく。  『静かな爆弾』はかなりおすすめ。吉田修一はここ数年やたらと作品数が多くて、一定の水準で仕事としての小説を濫作しつつ、『悪人』や『横道世之助』といった勝負球を出してるイメージだったけれど、『静かな爆弾』は意外な良作です。

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2010/11/07

吉田修一さんのよく描くタイプの男性と 耳の聞こえない女性との恋愛小説(?) “自分が勝者だと分かっているくせに、敗者に負けを認めさせたがる声も” という言葉がどうしても気になってしまう 確信があれば確認の必要はないはずだなと… そんなことはわかっていて、相手を無理に上げて 自分...

吉田修一さんのよく描くタイプの男性と 耳の聞こえない女性との恋愛小説(?) “自分が勝者だと分かっているくせに、敗者に負けを認めさせたがる声も” という言葉がどうしても気になってしまう 確信があれば確認の必要はないはずだなと… そんなことはわかっていて、相手を無理に上げて 自分と切り離そうとしているように思えるから そのことにちょっと情けない気持ちになる…

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2010/10/04

耳の不自由な人とのお話。物語全体静寂に包まれていて読んでいるこっちもその世界に浸ってしまう。主人公・俊平の人間的成長と響子への接し方が印象的。言葉にするとは違って文字に自分の感情を乗せて伝えるというのは難しいこと。最後の言葉選びが非常に印象的であった。

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2010/09/20

何かを起こすとき、何かをするとき、何かが起こるとき、それぞれになんらかの理由や事象や事情があることをすっかり忘れていたことに気づかせてくれた小説でした。

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2010/08/30

耳が聞こえない女の人と、恋愛するジャーナリストのお話。 とても吉田修一さんらしい作品だと思います。 この二人の行く末が幸せなものでありますように。

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2010/08/13

TV番組制作スタッフの早川と耳の不自由な響子のお話。 響子と過ごすことで音のない静かな世界を知る。 言葉があれば、もっと楽なのに。そう思わずにいられなかったり 言葉がなくても通じ合えるんだ…とも思う。 読んでいて、昔のドラマ「愛してると言ってくれ」が頭をよぎった。

Posted byブクログ

2010/07/10

タイトルにぴったりの内容。耳の不自由な恋人、というのはレインツリーと同じだけどこちらはもっと静かで、大人の愛の模索という印象です。静かに染みてきます。

Posted byブクログ