昭和史発掘(8) の商品レビュー
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1978年刊行。「相沢公判」「北、西田と青年将校運動」の2本。 何れも二・二六事件前史。公判記録自体を分析対象としている所為もあってかなり細かいが、読み応えはある。 一方、これら右翼のテロ活動に関して、憲兵隊が把握していた情報の多様さ・豊富さには驚かされる。 もちろん、憲兵の中には、これら右翼活動へのシンパも多く、中にはメンバーだった者がいた所為もあるが、その中には表には出ていない二重スパイの可能性も示唆されよう。 そもそもこのようなテロ活動が二・二六事件まで下火にならなかったのは殺人やその未遂に対して刑事上、厳正な処断がなされなかったから。 しかも、殺人という外形的・客観的な行為よりも、その主観・動機を過度に重んじ、かつそれを許容する刑法理論が蔓延していたが故。 同事件の前史の概要が検討される本書を続けて読むと、そんな疑問が抜き差し難く生じてしまう。
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