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冬の旅 の商品レビュー

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34件のお客様レビュー

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2009/10/04

矯正の姿を描いた作品で、人口に膾炙し、評価も定まっているといえば、冬の旅。 少年院を舞台に、少年達がいかにして生きるかを綴ると同時に、主人公に託した作者の倫理を描いた作品であると私は読んだ。 主人公の宇野行助を大学時代の友人の山村が評して言う、「宇野は損な性分にうまれついてい...

矯正の姿を描いた作品で、人口に膾炙し、評価も定まっているといえば、冬の旅。 少年院を舞台に、少年達がいかにして生きるかを綴ると同時に、主人公に託した作者の倫理を描いた作品であると私は読んだ。 主人公の宇野行助を大学時代の友人の山村が評して言う、「宇野は損な性分にうまれついている、と思っているだけさ、あいつは、正義漢じゃないんだ。正義漢ならまわりから道場をよせられるが、あいつの正確には、こちらがはいりこむ余地がないんだな。なんといえばいいかな、あいつは倫理そのものだよ」という言葉に惹かれた。 「これは、自分の内面の問題ですから」をキーワードに現代的に読むのも可能。いろいろな読み方ができる素晴らしい作品であると思う。

Posted byブクログ

2009/10/04

幼い頃に父を亡くし母の再婚した先には年の変わらぬ子がいて弟となる。その弟のせいで主人公「行助」は2度も刑務所にはいる。なんでこんないい子が… とても感動した1冊でした

Posted byブクログ

2009/10/04

とても長い話なのですが、あっという間に読み終えてしまいました。それだけ中身が濃く、人を引き込む本。行助はとにかく深い。彼の人生を初めから最期まで見たくなるくらいです。

Posted byブクログ

2020/08/18

この作品の主人公は、ものすごく強い。金もない、地位もない、義兄の罪をかぶって少年院に入れられた少年の話しだ。何を持っていなかったとしても、ただこの少年は確固とした自分というものを持っている。自分の身と、信念さえあれば、人は立派に生きていける、というようなことを感じさせる話しだ。 ...

この作品の主人公は、ものすごく強い。金もない、地位もない、義兄の罪をかぶって少年院に入れられた少年の話しだ。何を持っていなかったとしても、ただこの少年は確固とした自分というものを持っている。自分の身と、信念さえあれば、人は立派に生きていける、というようなことを感じさせる話しだ。 僕は、冬に冬の野菜を食べ、夏に夏の野菜を食べることが、いちばんいいことではないか、と思っています。・・矢部隆はそんなひとだったと思います。もちろん宇野理一はりっぱな人です。しかし僕は、冬は冬の野菜をたべ、夏は夏の野菜をたべる生き方をしたいのです。それ以上のことは望んでいません。僕が宇野電機にはいったら、これはまちがいなく出世しますよ。修一郎を蹴落とすなど簡単なことです。でも、虚しいじゃありませんか。僕は夏には夏の野菜をたべた方がいいと思っているわけです。欲がないのではなく、矢部隆の息子だからですよ。矢部隆は詩人でした。詩人は冬に夏の野菜をたべないものです」(p.549)

Posted byブクログ