日本人の美徳 の商品レビュー
日本人が失ってしまったもの、美しい言葉、恥じらいの気持ち、他人への思いやり、家族の形。挙げたら切りがないが、時代の変化とともに日本人が大きく変わったと感じるのは近代以降、特に欧米に遅れながらも明治維新によって産業・技術が飛躍的に発展し、富国強兵が高らかに叫ばれるなか、海外に植民地...
日本人が失ってしまったもの、美しい言葉、恥じらいの気持ち、他人への思いやり、家族の形。挙げたら切りがないが、時代の変化とともに日本人が大きく変わったと感じるのは近代以降、特に欧米に遅れながらも明治維新によって産業・技術が飛躍的に発展し、富国強兵が高らかに叫ばれるなか、海外に植民地を求めて打って出たあたりからではないだろうか。日本は四方を海に囲まれ、海運、航空技術が発達する以前は、ヨーロッパやアジアの他の国と比べて他の民族、文化、言葉に触れる機会が少なかっただろう。必然的に日本という島国の中で人々が平穏安定的に暮らすには、他者との共存が重要になってくる。家族、隣人を愛し、食べ物を分け合い、困った時には村の仲間が助けてくれる。そんな時代には他者との「共存」を如何に柔軟・強固に作り上げるかに重きが置かれたであろうことは容易に想像できる。 日本が太平洋戦争へと突き進み、敗戦を経験したものの戦後の脅威的な発展により一躍世界のトップクラスの経済に上り詰めた。その過程で海外との友好関係を再構築し、日本海外双方向への文化交流が頻繁になり、世界がネットワークで結ばれるようになる。当然の如く、国民は日本とは異なる文化に興味を持ち、熱狂しつつ真似ていく。特に探究心の塊である若い世代ほど、強く憧れ、自らに取り入れようとしたのではないか。家屋は鉄筋コンクリートに代わり道路はアスファルトの片道3車線、テレビの中では日本人とは違う顔をした外国人が、吹き替えで日本語を話している。国会議員までもがカタカナばかりで一体何を言いたいのか分かりづらい。なぜ日本語で喋らないのか。亡くなった安倍元首相が「美しい日本」を掲げた際には少し期待感はあった。だがそれは、美しさの定義が現代日本の流行りモノを基準としてるようで、決して今の日本が古き良き時代から見て憧れる美しい国とは言い難い。愛国心を育てる背景にも憲法改正と日本の軍事力強化(覇権主義とまでは言わないが)がチラついてるようで、一体どこへ向かうんだという不安が付き纏う。残念ながら道半ばにして亡くなってしまったという事もあるが。 本書筆者の櫻井よしこ氏は「今日の出来事」で見る、知的ではっきり物事を言う強い女性、各種著書で感じる明確に物申す男まさりな雰囲気が漂っている。本書の中に見る同氏は、それとは対照的に優しさと思いやり、しなやかさに満ちた方であることがわかる。海外生活の際に感じた日本人らしさを改めて見つめ直し、そこに自身の母の教えを絡めてストーリーは進んでいく。氏が志したことや考え方、生き方、その根底には、常に周囲に対する気配りや優しさが滲み出ている。やはり強い女性ではあるものの、そうさせているのは、自身がいつも10年先のあるべき姿・ビジョンを持ち、そこへ向かう道のりをくよくよせずに進み続ける前向き思考があるようだ。また海外生活で日本的な考え方・行動が失われる姿を客観的に眺める事もできたであろうし、それへの危機感が氏を突き動かしてきたのではないだろうか。 技術進歩や異文化交流は社会の構造を変え、そこに住まう人々を中庸的な姿に変えていく。これはやむを得ない事ではあるが、サミュエル・ハンチントンが定義した、世界の他の文明・文化とは異質な「日本文明」とその基礎にある日本的なものの考え方、行動を今一度考え直してみるべきと感じた。きっとそこには隣人には家族と同じように接し、親元で暮らしす中で祖父母や両親の死の間際までも共に過ごす家族の在り方、共存を支える何か大切なものが見えてくるに違いない。孤独死が社会問題化する現代日本とは違った形がそこにはあるはずだ。
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書かれていることは大切なことばかりです。でも月並みな感じで、キレがなく、さっと一読しました。櫻井よしこ「日本人の美徳」、誇りある日本人になろう、2008.2発行。共感箇所は: 責任をおざなりにした戦後憲法。憲法第3章「国民の権利及び義務」。権利が19回、自由が9回、義務が3回、責任が3回。確かに権利と自由ばっかり。
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少し古い本ですが面白かったです。 「夢」を実現するために今の収入を捨てる勇気はなかなか持てないと思います。 しかし時間は有限で限られた時間で金儲けを優先してしまうと自分の「夢」に向かって動けないんですよね。 特にその「夢」が自分の「使命」と明確に結びついているときは何をか言わんや...
少し古い本ですが面白かったです。 「夢」を実現するために今の収入を捨てる勇気はなかなか持てないと思います。 しかし時間は有限で限られた時間で金儲けを優先してしまうと自分の「夢」に向かって動けないんですよね。 特にその「夢」が自分の「使命」と明確に結びついているときは何をか言わんやです。 最近は嫁ブロックなる言葉が流行ってますが自分の夢を目標に落とし込んで説明を続けるときっと先につながるものと思います。
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●ものから自由でありたい:ものをたくさん所有していることは、豊かであることの一つの側面ではあるが、同時に精神の自由を縛られることもある。 ●どんな本を読むべきか、教える時代になった:今、世界中にだいたい3400万点の書籍がある。昔は「何でもよいから好きなだけ読みなさい」と言われた...
●ものから自由でありたい:ものをたくさん所有していることは、豊かであることの一つの側面ではあるが、同時に精神の自由を縛られることもある。 ●どんな本を読むべきか、教える時代になった:今、世界中にだいたい3400万点の書籍がある。昔は「何でもよいから好きなだけ読みなさい」と言われた。乱読したところで、本の点数がそんなに多いわけではないからどこから始めても到達すべきところにだいたい到達できた。今は「多すぎることによる不幸」。今こそきちんとした読書指導が必要な時代。
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とても優しく柔らかい文体で書かれています。 日本人の性質を考えるのに縄文時代にまで遡ったり、たくさんの知識と深い考察を感じます。 日本人として大切にしなければならないことを的確な言葉で著してくれており、読むたびにはっとします。 学ぶこと、考えること、公正な目を持つこと。それが櫻井...
とても優しく柔らかい文体で書かれています。 日本人の性質を考えるのに縄文時代にまで遡ったり、たくさんの知識と深い考察を感じます。 日本人として大切にしなければならないことを的確な言葉で著してくれており、読むたびにはっとします。 学ぶこと、考えること、公正な目を持つこと。それが櫻井さんの優しさにも繋がっているような気がします。
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先日、とある番組で櫻井よしこさんが、 韓国、中国のジャーナリストの方たちと対談されているのを見ました。 普段、テレビを見ることがほとんどないのですが、 発言の力としなやかさに魅了されて、最後まで見ちゃいました。 そんなこともあり、手にした1冊。 櫻井よしこさんという方をもっと知...
先日、とある番組で櫻井よしこさんが、 韓国、中国のジャーナリストの方たちと対談されているのを見ました。 普段、テレビを見ることがほとんどないのですが、 発言の力としなやかさに魅了されて、最後まで見ちゃいました。 そんなこともあり、手にした1冊。 櫻井よしこさんという方をもっと知りたい、 それと、自分は日本人として日本を知らなすぎる気がして。 大変読みやすく仕上げられていますが、 本書からは自分が、今、ほしいと思っていたエッセンスが 沢山吸収できたし、書籍からすごく体温を感じることができました。 自分にとって、今まさにこのタイミングに必要な本だったと思います。 …ということで、久しぶりに☆を5つつけました♪ 印象に残った言葉。 今の日本人にこの言葉はどれくらい響くのでしょうか。 「権利の裏には責任があり、自由の裏には義務がある」 第1章 価値観と私らしさ 第2章 日本人が忘れつつある大切なこと 第3章 大人が子供に伝えるべきこと 第4章 歴史の中の日本人 第5章 読書と言葉 第6章 仕事と夢 第7章 旧を知り、新しきを目指す
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一本筋が通っていて、強くてかっこいい大人の女の人だなあと思いながら読んだ。現代を語るのに縄文時代が出てきたりとか考えたこともない視点からの語りかけに、んーなるほどーって、腑に落ちる点も多かった。ただ著者とわたしとでは圧倒的に経験の差があるから、櫻井さんが危惧している現代日本の問題...
一本筋が通っていて、強くてかっこいい大人の女の人だなあと思いながら読んだ。現代を語るのに縄文時代が出てきたりとか考えたこともない視点からの語りかけに、んーなるほどーって、腑に落ちる点も多かった。ただ著者とわたしとでは圧倒的に経験の差があるから、櫻井さんが危惧している現代日本の問題は、これから先わたし自身が時間をかけて体感すべきことなんだなと思った。そのきっかけになる本でした。「読書」と「仕事」の章は今まさに欲しい言葉がたくさんあってなんだかうれしかった。気持ちがふらつくときに読み返したいです。
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テレビで櫻井さんを拝見すると、 知識の深さ、相手の意見をまずは聞く冷静さ、 主張するべきことを分かりやすく伝える能力に感嘆する。 著書を読むのは初めてだったが、文章もさすが、読みやすかった。 ただ、若者向けに書いた本なのか、櫻井さんにしては易しい文章で、あまり突っ込んだ内容が出なかったのが残念。 興味深かったことの1つに「卑弥呼」という呼称の解説があった。 卑弥呼は「卑しい弥と呼ぶ」と書く。おかしくないか?と。 名前の由来は諸説あるが、当時は中国という大国が背後で支えていて、商人が日本へ来た時、貿易を取り仕切っていた女親分がいた。 その彼女を中国人は卑弥呼と呼んで家来のように扱っていた、とも言えると。 言われてみて初めて、卑弥呼という漢字は差別的であると気づく。 そこから中国と日本は対等な関係ではなかったと分かる。 だから聖徳太子は常に対等な立場で外交をするよう努め、成功もした。 また聖徳太子は宗教においても業績を残す。 日本古来の宗教=神道と新しく広まった仏教、両方とも受け入れたのだ。 「新しい宗教を受け入れるが、それは枝と葉っぱであって、神道は幹だ」という教えとともに。 宗教の問題は海外では戦争にもなる問題。 そういった歴史から日本人は穏やかで寛容だけれど、その中に自立心や誇りを持っていたことが分かる、と。 それを我々現代の日本人は知る必要がある、受け継ぐべき、という考えは私も大いに賛成することだった。
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櫻井よしこさんのことは以前から大変女性として、そして大人として魅力的な人だと思っていました。著書を見かけ、そのタイトルに惹かれて購入しました。少し前の著作ではあるのですが、日本人としての自覚に関して、とてもやわらかい言葉で述べられていました。ですので、大変読みやすい本であると言え...
櫻井よしこさんのことは以前から大変女性として、そして大人として魅力的な人だと思っていました。著書を見かけ、そのタイトルに惹かれて購入しました。少し前の著作ではあるのですが、日本人としての自覚に関して、とてもやわらかい言葉で述べられていました。ですので、大変読みやすい本であると言えます。これから社会人になる方や、学生さんにもおすすめできます。ただ、少々、個人の感想論で終わってしまっているのが残念というか、もう少しそれこそお話を伺いたいのに…ということで、星を4つにしました。
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[ 内容 ] 日本人が忘れかけている、とても大切なことを取り戻そう。 櫻井よしこが大切にしてきた生き方のエッセンスが満載。 [ 目次 ] 第1章 価値観と私らしさ 第2章 日本人が忘れつつある大切なこと 第3章 大人が子供に伝えるべきこと 第4章 歴史の中の日本人 第5章 読書...
[ 内容 ] 日本人が忘れかけている、とても大切なことを取り戻そう。 櫻井よしこが大切にしてきた生き方のエッセンスが満載。 [ 目次 ] 第1章 価値観と私らしさ 第2章 日本人が忘れつつある大切なこと 第3章 大人が子供に伝えるべきこと 第4章 歴史の中の日本人 第5章 読書と言葉 第6章 仕事と夢 最終章 旧きを知り、新しきを目指す [ POP ] [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆ 文章 ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性 ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性 ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度 共感度(空振り三振・一部・参った!) 読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ) [ 関連図書 ] [ 参考となる書評 ]
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