風の歌を聴け の商品レビュー
デビュー作、再読。 まだぎこちなく、熟達していないせいか、やっぱり所々に古臭さを感じる作品ですが、それでもユニークでいいと思います。始まりもなく、終わりもない、流れる方向もわからない。大河の一部を切り取ってそのまま真っ白の画用紙に貼ったような感じを受けました。
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夏休み、故郷に戻ってきた「僕」は、なじみのバーで「鼠」と飲んだり、小指のない女の子と知り合ったり、文学について考えたりする。 村上春樹らしさは出ているが、取り留めのない物語という感じ。
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(2013年10月10日読了) この前に読んだ「ダンス・ダンス・ダンス」は、この「風の歌を聴け」「1973年のピンボール」「羊をめぐる冒険」三部作から四年後の話だと、背表紙に書かれてて、シリーズだったのだと知り、では最初から読んでみようと思った。 「ダンス・ダンス・ダンス」と同じ主人公。鼠と呼ばれる男との出会いからともに過ごした日々。ジェイズバーで過ごした時間。今まで付き合った彼女達のこと。つらつらと日常が書かれている。不思議な感覚のある日常。それを文章にすることの意味が、今の私でも理解できなかった。 この本が世に出た頃には、読むことはなかっただろうと思う。
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家族や親しい人が死や最後の別れで永遠に失われてしまった時、その人の何をとどめて置こうと思うだろうか? それは、その人のある時の、楽しそうだったり、怖がっていたり、何か言いたそうだったり、といった、その時とどめて置かなければ、100年後は誰も覚えていないような、そんな日々通り過ぎて...
家族や親しい人が死や最後の別れで永遠に失われてしまった時、その人の何をとどめて置こうと思うだろうか? それは、その人のある時の、楽しそうだったり、怖がっていたり、何か言いたそうだったり、といった、その時とどめて置かなければ、100年後は誰も覚えていないような、そんな日々通り過ぎては失っていく思いの断片こそが、一番その人自身のことなのではないだろうか? 世の中はそういうもので成り立っているのだ、と。今回こそ作者のテーマを探り当てたような気もするが、5度くらい再読して、これほど毎回読むたびに以前読んだ時の記憶がさっぱり忘れさられている小説は他に経験がない。死ぬまでにもう何回か読むことになる気もするが、その時はまた違ったことを思うかもしれない。
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深く深く潜っていくような思考の落とし穴にはまったみたいだ。 村上春樹作品は回りくどく展開も好きじゃなかったが、この作品はとても好感がもてる。静かに進んでいく僕と鼠と4本指の女の子とハートフィールドのお話。初めて村上春樹作品をすきになった。
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まず、舞台が外国?アメリカ?と錯覚するくらい、会話や文体が粋で垢抜けているな、と思いました。 何を言いたいの?と最初はとまどいましたが、なんとなく言わんとすることが後半つかめてきてからはよかったです くどくどしてなくて、でも深いスルメ小説。
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わたしは中学生の頃に村上春樹全作品集を通読したから、この本と初めて出会ったのは中学生の時。もうほとんど何も覚えてなかったので、ここで今一度大学生を描いた村上春樹を感じようと奮起して、読み返しました。 村上春樹はかなり優れた文章家だと思う。本当に無駄なく正確に伝えたいことをきちんと...
わたしは中学生の頃に村上春樹全作品集を通読したから、この本と初めて出会ったのは中学生の時。もうほとんど何も覚えてなかったので、ここで今一度大学生を描いた村上春樹を感じようと奮起して、読み返しました。 村上春樹はかなり優れた文章家だと思う。本当に無駄なく正確に伝えたいことをきちんと、しかし意図的に遠回りもしながら全て自分の意志で司っている、そんな気がしていた。でもこの作品は処女作ということもあって、そこまでの洗練された作品とは言い難いのかな、とも思った。伝えたいことや書きたいことを全てとにかく詰め込んだせいで、ぶつぶつと切断されて真意が見えない印象。あくまで、印象だけれども。 しかし、この本ほど村上春樹らしい本もないとおもう。作家が「この作品を書かずして死ねない」と思ったから生み出されたのが処女作であり、処女作とそれ以外の作品の決定的な差異はそこにある、と昔教えてもらったのを思い出した。 わたしは風の歌が聴きたい。
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今年は村上小説を発表年順に 片っ端から読み返していこう。 そんなふうに意気込んで 久しぶりに手にした一冊。 ぼくは、ささやかなコダワリとして 村上さんの作品はなるべく文庫ではなく ハードカバーで集めている。 良い映画は映画館で鑑賞したいように 良い小説はハードカバーで読むに...
今年は村上小説を発表年順に 片っ端から読み返していこう。 そんなふうに意気込んで 久しぶりに手にした一冊。 ぼくは、ささやかなコダワリとして 村上さんの作品はなるべく文庫ではなく ハードカバーで集めている。 良い映画は映画館で鑑賞したいように 良い小説はハードカバーで読むに限る。 というわけで、まだぼくが生まれるより ずっと前に発売されたこの本は、 バーコードさえ付いていないし、 印刷も古き良き活版印刷である。 活版独特の滲みや揺らぎが たまらない一冊です。 本書は村上春樹さんがまだジャズ喫茶を 営んでいた最中に突然の閃きを得て 書かれた一冊で、たまたまその原稿を 出版社に送ったら新人賞をゲットして しまって… といった具合に本になってしまった デビュー作なのです。 ほんとうに世の中には色々なかたちの キッカケがあるものです。 そういった初々しさのようなものも 含めてとても古き良き処女作です。 読むのにかかった時間:2時間 こんな方にオススメ:これから小説を書いてみたい方
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村上春樹の処女作を読んでみましたが、サクサクとページが進みました。 村上春樹の独自の価値観で綴った私小説とのことですが、共感できる描写もあり退屈しない。 良い意味での滑稽さが滲むお洒落な文章。 全体の雰囲気もお洒落だ。 そして僕(村上春樹)と鼠が言う言葉は、卓越した滑稽さが...
村上春樹の処女作を読んでみましたが、サクサクとページが進みました。 村上春樹の独自の価値観で綴った私小説とのことですが、共感できる描写もあり退屈しない。 良い意味での滑稽さが滲むお洒落な文章。 全体の雰囲気もお洒落だ。 そして僕(村上春樹)と鼠が言う言葉は、卓越した滑稽さがあり妙な説得力がある。
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初読1979年8月29日。高校生の時、出版された直後に第2刷を買った。第1刷7月25日、第2刷8月10日なのですごい勢いで売れたのだろう。帯には吉行淳之介氏の評が書かれている。さらりと読めるのに内容的には高校生の私には理解できなかった。21歳の僕は、海の見える街で夏を過ごしビールばかり飲んでいたという印象。「あらゆるものは通りすぎる。誰にもそれを捉えることはできない。僕たちはそんな風にして生きている。」という文だけがやたらと印象的だった。30年以上経っての再読だが,心地よいながらもやはり難しかった。
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