女教皇ヨハンナ(下) の商品レビュー
最後の終わり方が良かった。歴史の勉強やキリスト教内部の戒律、その頃の社会の受け取り方(正直今も変わらんが)、色々じんときました。
Posted by
セルギウスの側に付くきっかけになった、初めて診断する時の悪巧みを暴いたその言葉が自分に帰ってきちゃったんだなぁ。
Posted by
いわゆる中世前期の暗黒期の話。完全な男尊女卑の風潮の中で、女性であることを隠しながら教皇になったといわれるヨハンナの伝説を小説のかたちで描いたもの。サスペンスタッチでとても面白かったです。
Posted by
暗黒の中世とか言われてるけど、この小説の記述からすると全くその通りって感じ。やはり当時は文化的にはビザンチン帝国が繁栄していて、西ヨーロッパはカール大帝が皇帝として戴冠されたものの、文化的に置いていかれていた様子。中世の生活の貧しさや習慣の重苦しさ、独善的な宗教感、政治情勢等を鑑...
暗黒の中世とか言われてるけど、この小説の記述からすると全くその通りって感じ。やはり当時は文化的にはビザンチン帝国が繁栄していて、西ヨーロッパはカール大帝が皇帝として戴冠されたものの、文化的に置いていかれていた様子。中世の生活の貧しさや習慣の重苦しさ、独善的な宗教感、政治情勢等を鑑みれば、主人公のヨハンナとその恋人のゲロルト伯の考えはかなり現代的だから、時代になじめないのも当たり前というか、生きる時代が悪かったとしか言いようがありません。ヨハンナはその知性と強運(ほんと強運)でローマ教皇にまでのぼりつめるのだけど、後半教皇になってからはかなり駆け足で話が進むのでちょっと尻切れとんぼ気味でした。セルギウスの主治医として活躍しているあたりが一番面白かったかも。この話は歴史書ではなく、あくまでフィクションであるという前提だと、こういう時代に生まれて懸命に生きる一人の女性に、現代に生きる自分たちを重ね合わせて共感できる部分が多いのですね。そういう意味では女性向けだと思います。それにしても、修道院で10年暮らしていてバレないとは。実在したということだけど今となってはバチカンが認めない限りは真相は闇の中なのでしょう。
Posted by
おもしろかった!文句なし。 女教皇ヨハンナの存在は、カトリック教会が認めず公式記録から抹殺したため証明されていないということだが、あとがきを読んでいると、きっと実在したんだろうと思えてくる。そうでなければ、なぜわざわざ古い写本にそんな記述があったり、フスの裁判で誰からも反論が出な...
おもしろかった!文句なし。 女教皇ヨハンナの存在は、カトリック教会が認めず公式記録から抹殺したため証明されていないということだが、あとがきを読んでいると、きっと実在したんだろうと思えてくる。そうでなければ、なぜわざわざ古い写本にそんな記述があったり、フスの裁判で誰からも反論が出なかったりしたのか?読み書きできる人が限られていて文献に乏しい中世の、特に教会にとって実在しては都合の悪い人物について、記録にないから歴史的事実ではない、とは言えないのではないか。 物語は実際にあった事件や実在の人物を絡めて描いており、当時の人々の暮らしや信仰についてもよく分かる。現代から見れば非科学的すぎる病気の治療法や裁判の仕方など、驚くばかりだ。 聡明で思いやり深いヨハンナだが、その時代の人間にしては思想が現代的すぎ、革新的すぎる気もする。愛する男性と結婚することはできないが、そばにいて重責を担う自分を支えてほしいというヨハンナの願い、彼女を重荷から解き放って二人で生きたいと願いながらも、その重荷を捨てられずに使命を全うしようとする彼女を支えるゲロルトの恋がせつなかった。 衝撃的な女教皇の最期は、知ってはいたが物語で読むとまた印象が格別。どうやって記録から抹殺され、またどうやって写本に記述が残ったか、というあたりが、そんなこともあったかもしれないと思えて納得できた。
Posted by
去年に発行された本ですが、やっと読みました。 実在した人物か否かはともかく、 これは小説として面白い。 女性が勉強をするのは罪だとされ、 男性より劣っていると、女性蔑視されていた時代。 しかし知識欲溢れるヨハンナは、その知性で 男装して修道士となり、陰謀渦巻く教皇...
去年に発行された本ですが、やっと読みました。 実在した人物か否かはともかく、 これは小説として面白い。 女性が勉強をするのは罪だとされ、 男性より劣っていると、女性蔑視されていた時代。 しかし知識欲溢れるヨハンナは、その知性で 男装して修道士となり、陰謀渦巻く教皇庁で巻き込まれつつ、上手く乗り切り、教皇となっていく。 女であることは隠したまま。 ピンチになるとノルマン人が攻めてきたりと、 不自然な程に、とても運がいい。何故か助けが入る。 知性があるということで、高慢になっている感じも受ける。 下巻は、恋人であるゲロルトを求める感が強く、 上巻はよかったのに、結局は恋愛モノなのか?とも思わせる節もありますが、それでも面白いね。 ラストの行列シーンは、想像しながら読んでいたら強烈でした。
Posted by
本人作家の書いた本で、ヨハンナの存在は知っていた。 昔、男性を装いローマ法王まで上り詰めた女性。 博学ではあったが、少々節操に欠けるタイプで男の人と駆け落ちしたり、彼女が彼女であるとばれたのも儀式の最中、出産したから。 というもので、 本書 『女教皇ヨハンナ』を読まなければ、ヨ...
本人作家の書いた本で、ヨハンナの存在は知っていた。 昔、男性を装いローマ法王まで上り詰めた女性。 博学ではあったが、少々節操に欠けるタイプで男の人と駆け落ちしたり、彼女が彼女であるとばれたのも儀式の最中、出産したから。 というもので、 本書 『女教皇ヨハンナ』を読まなければ、ヨハンナに対する私の知識的価値観はこのままだっただろうし、『女教皇ヨハンナ』しか読んでいない読者は、本書のヨハンナ像がそれとなることだろう。 9世紀、ドイツで生まれた女の子が、ローマ法王となり、公的儀式の最中に出産した。 彼女の存在は封印され、永久に抹殺された。 というのは同じなのだが、 ドナ・W・クロスは主人公ヨハンナを、9世紀男尊女卑の風土に生まれたひとりの少女の人生をドラマティックに描ききっている。 そもそも、歴代教皇名簿からは完全抹消され千年以上前に生まれたヨハンナが実在したかどうかも疑わしい。 しかし、ヨハンナ伝説は根強く残っており、その存在を実在と仮定する(信じる)ことからこの物語ははじまっていく。 作者のドナ・W・クロスもヨハンナが実在したかどうかは断定できないとし、ヨハンナはインゲルハイムの生まれで父親がイギリス人、一時期フルダの僧院に身を置いていたこと以外にはほとんどわからないとも書いている。 したがって、本書は、フィクションとして読む方が楽しめる書物といえるのかもしれない。 本書の中でヨハンナは恋をするが、その愛は純粋で、産み落とす子供も生涯たったひとり愛した男性の子である。 聡明で節度を保ち、運命の悪戯からローマ法王の側近となって、気がつけば法王の椅子に座らされていた。 民衆のことを思い、他方で秘められた愛の炎を燃やしつつ精一杯生きているヨハンナは健気ですらある。
Posted by
女の身でありながら、めきめきと薬学の知識をつけ人を救い、尊敬される教皇へと上り詰めながらも、愛する気持ちを強く持ち続けるヨハンナ。彼女の人生は封印されてしまうのか?
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
9世紀に実在した可能性のあるキリスト教史上唯一の女性教皇となったヨハンナを主人公とする歴史小説。歴史家達はヨハンナを伝説上の人物とみなしており歴史上からその存在は抹消されています。 そんな謎に包まれたヨハンナは女性が男性より劣り、女性が知識を得ることが許されない中世ヨーロッパに生まれます。彼女のあくなき探究心と運命のいたずらによって教皇という多大なる権力を持つ地位までのぼりつめる物語です。そんな地位までのぼりつめるヨハンナですがその地位は彼女が望んで手にしたものではなく、運命のいたずらによって得られた地位。 女性の地位が低かった暗黒の時代、自身の心の声に従って自分の生きる道を選択し、恋をし、男性として生き成長していくヨハンナの姿は現代社会における男女差別に苦しむ女性の姿とは違い、男装しているからこそ出来ることも多いものの、学ぶべき点が多くあるように感じました。何よりも、権力やお金に対する欲望ではなく、自分の考えを持ち、それに基づいて行動することで教皇という地位にのぼりつめる彼女の生き様にすがすがしさを感じます。 社会通念に縛られることなく、その人それぞれの持って生まれた才能を開花させて行くことの大切さを感じることができる作品です。 塩野七生さんの作品が好きな方には楽しんでいただける作品です。 大人向け歴史小説なので、中学生に薦める場合はその生徒の根気と興味に配慮が必要かと思います。キリスト教と思想・哲学に興味がある子向けかもしれません。
Posted by
上巻に同じ。 「人の心は計り知れない。あきらめることで平静を得ていたはずが、ほんの一瞬の思い出に失ったものがよみがえる。」 一番共感した一節。
Posted by
- 1
- 2
