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われらの時代 の商品レビュー

3.8

37件のお客様レビュー

  1. 5つ

    8

  2. 4つ

    13

  3. 3つ

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2025/03/29

5.0/5.0 戦後まだ間もない時代の閉塞感と虚無感、そして戦争という劇的なものに対する一種の憧れみたいなニュアンスを感じた。 性、死、政治など様々なテーマが登場するけど、主人公である二人の兄弟は、これらをただの道具として「利用している」だけの印象を受けた。根底にある退屈や自尊...

5.0/5.0 戦後まだ間もない時代の閉塞感と虚無感、そして戦争という劇的なものに対する一種の憧れみたいなニュアンスを感じた。 性、死、政治など様々なテーマが登場するけど、主人公である二人の兄弟は、これらをただの道具として「利用している」だけの印象を受けた。根底にある退屈や自尊心を潤すための為の道具に過ぎず、天皇に手榴弾を投げつけようとする行為も、日本から飛び出そうとする行為も全て利己的。 時代を如実に内包した強烈な小説だった。

Posted byブクログ

2024/09/28
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

醜い脂肪を持った売春婦の情人のヒモをやっている兄とアンラッキーヤングメンという男根愛で戦争経験済みの朝鮮人と、血と争いに飢えた青年ふたりで形成されたバンドとで交互に進んでいく。 情人が精液を流すのに戸惑っている所から始まる、主人公はフランス文学部所属しており、フランス文学で受賞して温くて余生じみてる日本から脱出することを夢見ていた。が、情人は妊娠してしまい弟が殺人の嫌疑をかけられかけて気が狂ってしまったのと、大学の反フランスの同級生のアラブ人の友人に惚れ込んだ。情人と弟に関しては跳ね除けたのに 、アラブ人の友情(連携)を取ってしまった。 弟はアンラッキーヤングメンのみんなと天皇を見送ったら(誰が言い出しっぺか忘れたけど)天皇の車を朝鮮人の持つ手榴弾で爆発させてやろうと考えた。 いざ実行、朝鮮人は合図を、青年2人は手榴弾をトイレから投げる役、投げる前に便入れ?みたいな所に入れて置いたら直前で入ってきた女に生理用品を入れられてしまい投げることが出来なかった。 皆でうなだれている時に、弟じゃない方の青年がすすり泣きをし始めて2人は「男」らしくいられなかったその人に罪を着せることにした。 そして朝鮮人が西洋人の戦友と出会い性行をし、青年2人を軽蔑することになったが弟のためにトラックを強請ったことが西洋人の逆鱗に触れ、卑怯者、売春婦と罵られてしまった。それに朝鮮人が逆上し西洋人を絞め殺して金を奪い取った。その金を使って少し惚れ込んでいた弟と国外逃亡を測ったがもう1人の青年に聞かれてしまい「仲間はずれにするな、告発するぞ卑怯者」と言われ、落とし所を付けるために手榴弾を使った度胸試しをしたが2人とも死んだ。そのため全ての罪が警察から見た場合弟にかかりかねず、兄とアラブ人が保護してくれたのにも関わらず弟は疑心暗鬼になり「警察に捕まるくらいなら」と自害した。 男は男らしく血なまぐさい革命じみた戦いと進捗のある人生に身を置きたいという前提で物語が進んでいた。そして、日本は停滞していて人生は余命だとも。 最後の「俺にとって唯一の行動が自殺だ!おれたちは自殺が唯一の行為だと知っている、そしておれたちを自殺からとどめるものは何一つない。しかし俺たちは自殺のために勇気を奮い起こすことが出来ない。そこで俺たちは生きてゆく、愛したり憎んだり〜そしてふと覚醒しては、自殺の機会が目の前にあり決断さえすれば十分なのだと気づく。しかし大抵は自殺する勇気を振るい起こせない、そこで偏在する自殺の機会に見張られながら俺たちは生きてゆくのだ、これが俺たちの時代だ」という言葉もだ。 その代わりが「絶望ごっこ」だというのは結構現代にも刺さる事だと思った。 犬だらけの地下鉄だとか、レイプされた女がレイプされた猫に自己投影し同情してる所だとか、虹色の熱気でむせかえる惰性的なライブハウス、場面場面が昭和らしい叙情的さで平成生まれの私は新鮮で良かった。AKIRAとドストエフスキーの混合。

Posted byブクログ

2024/09/15

安部公房がインタビューで「小説は言葉になる前のある実態を提供する」と言ってたけど、その意味で大江健三郎はすごく優れた作家だと思う。特にこの作品とか、言葉にならないぐらいの衝撃があるのに文章にならない最たる例ではないか

Posted byブクログ

2023/08/17

実に面白い。 当時の若者の閉塞した世界で生きる、哀れみ、悲しみなどが、ジンジン伝わってくる。 終盤にかけての怒涛の展開は、もうサスペンスだった。 ドキドキしながら先を先をと読みふけった。 不幸な若者たち(アンラッキーヤングメン)というバンド名が面白い。まさに結果的にその通りだ。

Posted byブクログ

2023/03/19

行動しないことの絶望、行動したらしたでまた次の選択を迫られて結局行き詰まりとなる絶望、閉塞感。戦争に敗れた国を覆うそれらが性を通じて個人の不能として襲いかかる。言葉もまた、国語であるという点においても不自由をもたらす。プールの犯罪者が捕らえられたのちの静けさが好きだった。

Posted byブクログ

2021/08/03

面白い! 読みにくい比喩や暗喩かあり、読むのがしんどく不要なのではと思う部分もあったけど、終盤は小説の世界に没頭してしまった。

Posted byブクログ

2020/08/12

(01) 東京のひと夏の物語である。一組の男女がいて、三人一組のバンドマンたちがいる。その二組を兄弟の血縁が繋いではいるものの、物語はほとんどそれぞれの組を交互に描きながらパラレルに進んでいく。兄弟は近くこともあり、特に終盤では兄の人生の選択に、弟たちの失敗が絡まっていく展開をみ...

(01) 東京のひと夏の物語である。一組の男女がいて、三人一組のバンドマンたちがいる。その二組を兄弟の血縁が繋いではいるものの、物語はほとんどそれぞれの組を交互に描きながらパラレルに進んでいく。兄弟は近くこともあり、特に終盤では兄の人生の選択に、弟たちの失敗が絡まっていく展開をみせる。 テロリズムが示され、性が示され、国家と天皇とが性的な言葉と並列して語られていく。プール、トイレ、ベッドが舞台になり、それらの近代的な施設や設備は、どこか人間と馴染んでいない。アメリカ人やフランス人、アラブ人(*02)がここでも現れているが、日本人とどこかで噛み合っていない。近代や近代国家の行き詰まりが、若者たちの生を依代として語られていく。友情や連帯、性愛は、彼らの「われら」を強く結合させる(*03)ことはない。 (02) ジブラルタルと呼ばれる猫が現れる。地中海の西の出口にあり、ヨーロッパ大陸とアフリカ大陸の接点でもあるこのジブラルタルの絶妙な地理は、そのまま物語の妙となり、言葉を語ることのない猫に変換されている。 (03) 本書では、直接に宗教や道徳が語られることはない。その信仰のない危うさを逆に示しているとも言えるだろう。

Posted byブクログ

2021/01/27
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

敗戦を否定的に捉えた写実小説。めちゃくちゃ面白い!現代人からしたら、当時の若者が戦争に希望を抱いていたことは信じ難いことなのかもしれない。でも、これを現代におきかえてみると、彼らの心境を理解できると思う。 私達にとっての絶望ってなんだろう。 この本を読むことで息苦しさについて考えることができると思う。

Posted byブクログ

2017/11/12

若者は何を考え、活動に耽るのか?今の時代とのギャップは何なのか?想像してもきりがありませんが、果てしない世界がそこには広がっているんだとおもいます。

Posted byブクログ

2015/11/24

初めての大江健三郎。自分にとって大江健三郎は、人の良さそうなおじいちゃんというイメージだったのでびっくり。 時代の違いなのか、描かれている若者達が持つ焦燥感、閉塞感、性へのこだわりや嫌悪感、その場限りの衝動、くだらないこだわり等自分には理解できない。 突飛に感じる箇所も幾つ...

初めての大江健三郎。自分にとって大江健三郎は、人の良さそうなおじいちゃんというイメージだったのでびっくり。 時代の違いなのか、描かれている若者達が持つ焦燥感、閉塞感、性へのこだわりや嫌悪感、その場限りの衝動、くだらないこだわり等自分には理解できない。 突飛に感じる箇所も幾つかあり、正直言えば、大江健三郎の作品でなければ、途中で止めていたかもしれない。物語終了間際のストーリー展開には否応なしに引き込まれる。

Posted byブクログ