プールサイド小景・静物 の商品レビュー
収録されている七つの…
収録されている七つの作品は、どれも日常的でありながらそのバランスが常に危うい。どうかすると、今にも崩れ落ちそうな予感を秘めているのである。それでも崩れずにとどまっていることが、まるで奇跡のようにすら感じられるほどだ。そして気づく。よくよく周囲を見渡してみれば、わたしたちの日常もそ...
収録されている七つの作品は、どれも日常的でありながらそのバランスが常に危うい。どうかすると、今にも崩れ落ちそうな予感を秘めているのである。それでも崩れずにとどまっていることが、まるで奇跡のようにすら感じられるほどだ。そして気づく。よくよく周囲を見渡してみれば、わたしたちの日常もそういう危険を孕んでいることに。
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なにげない家族の日常…
なにげない家族の日常の中に、家族に対する愛情、信頼、疑いなどが、こまやかに描かれています。「イタリア風」という短篇に出てくるおじいさんに、笑いつつも感心してしまいました。
文庫OFF
情景描写が少なく、内と外の心象風景を溶け込ませながら描く手法に不思議と惹かれた。出来事や情景を何らかの小説的意図で配置していくのではなく、「読むこと」によって意味自体や主題自体が立ち上がるような読み心地だった。単に保守的というだけでない、家父長制という制度に内包されていた家庭の平...
情景描写が少なく、内と外の心象風景を溶け込ませながら描く手法に不思議と惹かれた。出来事や情景を何らかの小説的意図で配置していくのではなく、「読むこと」によって意味自体や主題自体が立ち上がるような読み心地だった。単に保守的というだけでない、家父長制という制度に内包されていた家庭の平穏が、時代の流れによって崩壊していく様子(それは女性の社会進出の裏返し)を観測しているような感覚になった。
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何気ない日常の中に現れる、見て見ぬふりができてしまう程度の違和感がずっと書かれている。なのに美しくて読みやすい!
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人生はささやかな出来事の連続で、そういう暮らしを愛しく感じることが人生の肯定。色々あったけど今が一番いいんだ。これでもましな方なんだ(他と比べたり先の不安を想像しても仕方ない)と映画の台詞みたいに思う最近。その気分に沿うような本を選んでいた。危うさの只中なのに妙に平穏な日常家庭描...
人生はささやかな出来事の連続で、そういう暮らしを愛しく感じることが人生の肯定。色々あったけど今が一番いいんだ。これでもましな方なんだ(他と比べたり先の不安を想像しても仕方ない)と映画の台詞みたいに思う最近。その気分に沿うような本を選んでいた。危うさの只中なのに妙に平穏な日常家庭描く庄野順三著『プールサイド小景』
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前にエッセイか何か読んだときはそんなに感動しなかったけど、子の短編集は静かで心理描写がほどよい距離感でなかなか良かった。 「静物」がとくに好き。子どもたちがかわいい。
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庄野潤三の7編の短編を収めた短編集。その中の「プールサイド小景」という作品で、庄野潤三は第32回(1954年下半期)の芥川賞を受賞している。 1954年というと、今から約70年前のことだ。庄野潤三以降の芥川賞受賞者を見てみると、33回が遠藤周作、34回が石原慎太郎、38回が開高健...
庄野潤三の7編の短編を収めた短編集。その中の「プールサイド小景」という作品で、庄野潤三は第32回(1954年下半期)の芥川賞を受賞している。 1954年というと、今から約70年前のことだ。庄野潤三以降の芥川賞受賞者を見てみると、33回が遠藤周作、34回が石原慎太郎、38回が開高健、39回が大江健三郎。私自身は、庄野潤三の作品を読むのはこの短編集が初めてであるが、ここに書いた、庄野潤三以降の芥川賞作家、特に開高健や大江健三郎は多く読んでいる。また、本短編集に収載されている作品は、どれも時代背景や舞台設計は古いものであるが、登場人物の心の動きが主なテーマであり、70年経っていても、古びた感じを全く受けない。優れた文学作品というのは、そういうものであり、そういったものは、時を経ても生き残るのであろう。
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日常や普段の営みに焦点を当てて描かれた短編集。 全体を通して、会話が少なく物語上に大きな山や谷が現れず淡々と進んでいった。その淡々さが時間の流れの残酷さを思わせるようで、読み終わった読後感に寂しさを添えていた。 そういった時間の流れの残酷さが最もよく現れていたのが「イタリア...
日常や普段の営みに焦点を当てて描かれた短編集。 全体を通して、会話が少なく物語上に大きな山や谷が現れず淡々と進んでいった。その淡々さが時間の流れの残酷さを思わせるようで、読み終わった読後感に寂しさを添えていた。 そういった時間の流れの残酷さが最もよく現れていたのが「イタリア風」だと思う。日本に来ていたアメリカ人にニューヨークで再会する話だが、変わってしまった物やいなくなった時間や人への愛慕と憐憫が痛々しく綴られていた。 また、日常生活の脆さをテーマにした作品も多く、「プールサイド小景」と「静物」はその中でもかなり好きだった。「プールサイド小景」は芥川賞を取った作品で「静物」は村上春樹の薦める読むべき日本文学短編6選の中の一つだったりと、事前の期待も高かったが、両方とも題にあるように、一枚の風景画、静物画のように思える静謐さと細やかさを兼ね備えた作品だった。この二作品は他の短編とは違い、読後感に諦観のような爽やかなものを感じさせた。 個人的には戦犯になった兄を見送る「相客」も好きだった。どうしても抗えないことの中でもお互いを思い合う気持ちや日常の営みはなくならないことを示しており、人間の芯の強さを感じられた。 ただ、仕方ない部分もあるとは思うが、日常や生活の脆さを示す時に「時間」「不倫」「死」の描写が多く、またかと思うシーンもところどころあったのは残念だった。けれど、またいつか読みたくなる作品集だと思う。 4.5
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こちらの著書のものは随筆が好きで拝読(積ん読ともいう)してます。 本作は短編小説。 芥川賞作品。 全体的に静かな読み心地。 【プールサイド小景】 会社の金を使い込んでクビになったサラリーマンのお話。 雇われのつらさや家庭の不和がわじわとせまってくる感じ。 背後にある不穏さが静...
こちらの著書のものは随筆が好きで拝読(積ん読ともいう)してます。 本作は短編小説。 芥川賞作品。 全体的に静かな読み心地。 【プールサイド小景】 会社の金を使い込んでクビになったサラリーマンのお話。 雇われのつらさや家庭の不和がわじわとせまってくる感じ。 背後にある不穏さが静かさの中にどろりとした生活感を思わせる。 【静物】 物語的に特になにも起きないことに対しての安心と、読み手としてなぜか不穏を感じさせる行間。わりと好き。 ーーーーーーーーーーーーーー 短編の感想はちょっと苦手かな、短いからわかりやすいはずなのになんでだろう。 この著者の書き物として他に随筆の「野菜讃歌」も拝読しましたがブクログには登録がないよう。こちらも良かったのでぜひ。野菜が食べたくなること必至です。
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著者、庄野潤三さん、ウィキペディアを見ると、次のように書かれています。 ---引用開始 庄野 潤三(しょうの じゅんぞう、1921年(大正10年)2月9日 - 2009年(平成21年)9月21日)は、日本の小説家。庄野英二の弟。大阪府生まれ。九州大学東洋史学科卒。『愛撫』で認...
著者、庄野潤三さん、ウィキペディアを見ると、次のように書かれています。 ---引用開始 庄野 潤三(しょうの じゅんぞう、1921年(大正10年)2月9日 - 2009年(平成21年)9月21日)は、日本の小説家。庄野英二の弟。大阪府生まれ。九州大学東洋史学科卒。『愛撫』で認められ、『プールサイド小景』で芥川賞受賞。「第三の新人」の一人と目され、『静物』『夕べの雲』など、都市生活者の不安定な日常を、穏やかな描写と叙述で深く彫り上げた作品を多く発表した。晩年は、老夫婦の生活や孫とのふれあいをテーマに連作を書き継いだ。日本芸術院会員。 ---引用終了 で、本作の内容は、次のとおり。 ---引用開始 大金を使い込み、突然会社をクビになった夫。妻が問いただすと、つらい勤めの苦痛や不安を癒すため毎晩のようにバーに通いつめていたという。平凡な中年サラリーマンの家庭に生じた愛の亀裂――日常生活のスケッチを通し、ささやかな幸福がいかに脆く崩れやすいものかを描いた芥川賞受賞作『プールサイド小景』、家庭の風景を陰影ある描写で綴った日本文学史上屈指の名作『静物』等、全7編を収録。 ---引用終了 『プールサイド小景』は、静かながら、妙にリアリティーのある作品と思いました。 『プールサイド小景』は、芥川賞受賞作とのことなので、当時の受賞作を見ておきましょう。 第31回 「驟雨」 吉行淳之介 第32回 「アメリカン・スクール」 小島信夫 第32回 「プールサイド小景」 庄野潤三 第33回 「白い人」 遠藤周作 第34回 「太陽の季節」 石原慎太郎 第35回 「海人舟」 近藤啓太郎
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