SINKER の商品レビュー
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プゾーとの面会が1番面白かった。 多重人格者の合いの手もクセが増えて良い。 確かに、羊たちの沈黙を彷彿とさせた。 特に、プゾーの話術のみで、まともな人間が発狂する様など。一体どんなことを話したのか詳細が明かされないのが尚面白い。 思ったよりグロい場面は少なかったが、グロさは予想より上手だった。頭蓋に手を突っ込んで爪を立てると、眼球を上に向けながらグギギギギ…と強い歯軋りを反射的にする被害者の様といったら。 タイトルの沈むとは、人の中に憑依する特殊能力のことで、ビトーはその力を買われて事件解決に向け参加する。しかし代償として、自身が“反射“と呼ぶ、沈む対象者から元の自分に戻ってきた後、対象者の嗜好や癖など何かしらを貰い受けることになる。暗にジグに沈むよう促されるが、異常すぎる犯罪者に沈んで、果たしてどんな副産物を得てしまうか。 本編中、プゾーは異常者の第2の育て親のようなものとして助言するに過ぎず、ジグが異常犯罪を繰り返す。キタガミ警部がジグを捕まえるべく、ビトーの存在を知り、手伝ってもらう。 ジグはキタガミの孫(両親が死に、親族に引受先もなく養っている)・香奈、ビトーの恋人・ジジを誘拐。ビトーは遂にジグに沈むが、鏡を見るとジグはジジの顔の皮を被っていた。 ジグは女だった。とにかく場所を覚え、プゾーがヒントを出していた“本“に注目し、机の上に開かれていた本のページを記憶し、元に戻る。 それはお得意様用の贈呈本の解剖書であり、高額な医療本を扱うだけにほぼ病院など大手向けであったが、一般の人間にも送っていた。月に20万以上通販経由で購入していたという。そこから、ジグの居場所がわかった。 ジグは解剖書を真似て“勉強“していた。 解剖写真のように人体から骨を取り出して種類別に並べたりしていた。 ビトー、プゾー、ジグ、などの名前が覚えずらいのもあったが、少し読みずらかった。
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本作はしばしば、羊たちの沈黙の様だといわれるが、ただの亜流作品ではない。 事実、平山さんはトマス・ハリスの件の本を何度も読んだというので、オマージュはあるだろうが、 純粋に面白い。 レクター博士も魅力的だが、 意識に沈み込むビトーもまた印象深かった。 虐待への著者の言葉も刺さる一...
本作はしばしば、羊たちの沈黙の様だといわれるが、ただの亜流作品ではない。 事実、平山さんはトマス・ハリスの件の本を何度も読んだというので、オマージュはあるだろうが、 純粋に面白い。 レクター博士も魅力的だが、 意識に沈み込むビトーもまた印象深かった。 虐待への著者の言葉も刺さる一冊。
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凄まじい情報量で読み応えありました。陰惨さやグロだけの小説ではない重いテーマがビシッ!と通っていて感動しました。なかなか手に入らなかったので、何より読めて良かった。来年の復刊と続編刊行が待ち遠しいです。
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思いっきり羊たちの沈黙だった!もっと過激で残酷だけど。最初から最後まで残虐だった。面白かった!! クソみたいな奴は野放しで、もうちょっとスカッとしたかったけど、かなり好みの作品。プゾー面白い。
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事前に和製「羊たちの沈黙」という刷り込みがされていたので、楽しめるのか不安でしたが、圧倒的なテンポの良さと素晴らしいキャラクター造形で全く無問題でした。 ホラーやサイコスリラーを読む際は「最悪の結末はなんだろう」と想像しながら読む癖がついてしまっているので、ストーリー展開自体は容...
事前に和製「羊たちの沈黙」という刷り込みがされていたので、楽しめるのか不安でしたが、圧倒的なテンポの良さと素晴らしいキャラクター造形で全く無問題でした。 ホラーやサイコスリラーを読む際は「最悪の結末はなんだろう」と想像しながら読む癖がついてしまっているので、ストーリー展開自体は容易に予想がつき、新鮮味は正直無いです。今2016年だし。ですが、1996年に出版されて20年の時間経過では全く古びていないのはさすがの筆力だと思います。 ストーリーに予想はつくとは言いましたが、子を持つ親としては平山作品のゴア描写は正直堪えます。しかしながらこの読書(毒書)を堪能して現実世界に還元されるのはやっぱり「愛」なのです。 ※プゾーが新聞を入手するくだりだけ意味が分からなかった。
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『暗く過激で残酷。しかし救いもある』 ある人物視点では報われないの一言。 サイコパスとオカルト(超能力者系)をスリラーとして丁寧に料理した作品。 良い意味でB級感が漂うおもしろさを感じました。 物語全体の傾向としては暗いばかりでなく緩急があり飽きさせない作り。 残酷な描写...
『暗く過激で残酷。しかし救いもある』 ある人物視点では報われないの一言。 サイコパスとオカルト(超能力者系)をスリラーとして丁寧に料理した作品。 良い意味でB級感が漂うおもしろさを感じました。 物語全体の傾向としては暗いばかりでなく緩急があり飽きさせない作り。 残酷な描写もありますが総じて淡々と描かれている為か、 自分はそこまで気分が悪くなる事もありませんでした(それはそれで異常かもしれませんが)。 とはいえ、バラバラ死体が描写されていたり拷問まがいの描写もあるので全く受け付けない方は避けた方が無難です。 人物が淡々と書かれている所は趣味が分かれるかもしれません。 作中の登場人物には過去が有り、そして現在置かれている立場も良いと言える人物は少なく、 それぞれの悩みや葛藤も作中で確り描かれているのですが、その部分が強調して描写はされません。 作中で起きる出来事は過激に書かれているのですが、人物の内面の描写は抑え気味に書かれている印象があります。 自分としてはそのカラリとした描写は好みでしたが、人によっては物足りなく感じるかもしれません。 最後まで読ませる力は流石。
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ホラーミステリ。 平山氏お得意のスプラッタ描写は本デビュー作から ぶっ飛んで表現モリモリですが、 言葉遊びなど、文字として言葉として音としての芸術的描写力は まだそれほど現れていないです。 悲しいくらい事件は終わっても誰も救われません。 評価は高い作品ですが、平山氏の後続作...
ホラーミステリ。 平山氏お得意のスプラッタ描写は本デビュー作から ぶっ飛んで表現モリモリですが、 言葉遊びなど、文字として言葉として音としての芸術的描写力は まだそれほど現れていないです。 悲しいくらい事件は終わっても誰も救われません。 評価は高い作品ですが、平山氏の後続作品が私はより好きです!
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立て続けに起きた三件の幼女惨殺事件。それを捜査するキタガミは、ある能力を持つビトーという男に捜査の協力を依頼するが・・・。 『羊たちの沈黙』のレクター博士を彷彿とさせる、プゾーなる人物をキーに持ってきたり、のっけから面白そうだなと思わせる手腕はさすが。 これがデビュー作とは...
立て続けに起きた三件の幼女惨殺事件。それを捜査するキタガミは、ある能力を持つビトーという男に捜査の協力を依頼するが・・・。 『羊たちの沈黙』のレクター博士を彷彿とさせる、プゾーなる人物をキーに持ってきたり、のっけから面白そうだなと思わせる手腕はさすが。 これがデビュー作とは驚きです。 しかもキーとなる人物よりすごいのが犯人のジグの存在。 こちらの方が、断然インパクトが強かったです。 圧倒的な存在感。犯人だけ見たら、本家を上回っているんじゃないでしょうか。 確かにグロテスクな描写が多いのですが、単純な残虐性を描いているわけではないところもいいですね。 ヘヴィな人物たちが織りなす、めまいがするような悪夢。 じっくり浸らせてもらいました。
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かなり凄惨な内容ではあるものの、面白さはかなりのモノ。 もう10年以上前の作品ながら、日本のホラーミステリー系ではトップクラスなのでは?
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※このレビューにはネタバレを含みます
登場人物の関係性がまんま「羊たちの沈黙」。拷問や殺し方がひたすら嫌な感じで被害者に全く救いとなる要素がないので、残虐趣味小説であるにも関わらず、殺人や拷問はよろしくないというメッセージがあるように感じた。凶悪事件の捜査に半ば脅迫によって巻き込まれ、精力的に手伝いをした人物にとって、物語の結末は考えられる中で最も悲惨な結末であり、救われないあたり、非常に後味が悪い。後味の良い凶悪事件なんてあるわけがないけども。
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