SINKER の商品レビュー
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絶版なので図書館で借りて読んだ。 残酷でグロテスクなシーンの描写はさすが平山夢明で、ジグが登場する場面では、一体何をするつもりなのかと身構えてしまい、秀逸なホラー映画にも劣らない緊張感を覚えてしまう。 が、ラストの展開で、ビトーの能力がいまいち活かされてないような気がして肩透かしを食らったのは僕だけだろうか。異常犯罪者に対して、人の心に「沈む」超能力者という人物設定をしておきながら、結局、ジグの心理の内面はほとんど描かれず...。むしろエピローグで「解らない」と明記されていたような気も。もちろん、作中できっちり沈んだ人についても、別に心理を暴くような描写はないので、そういうことを書くつもりではないのだろうけど。だとすると、人の心に沈む「超能力者」という不自然な設定は何故必要だったのだろう? レクター教授もどきのプゾーの関心を惹く特殊な餌として? そうすると、プゾーとビトーの会話の中に、この作品の重要なメッセージが織り込まれているのだろうか? うーん、もう一度読まないと分からんな...。
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悲しくてやりきれません。 久々に本読んで号泣しました。 無関心はいかん… ジグこえええ ジジとカナが拉致されてからは助かってお願いと祈りながら読みました。 心の痛むお話でございました。 おもしろかったとはよう言わんけども、ぐいぐい読ませてくれたので。
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…絶句!圧倒的!読了直後しばし呆然…。鬼畜でお馴染み、平山夢明がこんな途方もないデビュー作を書き上げていたとは…! この作品、ハリスの「羊たちの沈黙」をベースにしているのは一読瞭然。但し、サイコ、ホラー、バイオレンス、ミステリ、サイキック、警察機構、政治、法律、科学、化学、医学等...
…絶句!圧倒的!読了直後しばし呆然…。鬼畜でお馴染み、平山夢明がこんな途方もないデビュー作を書き上げていたとは…! この作品、ハリスの「羊たちの沈黙」をベースにしているのは一読瞭然。但し、サイコ、ホラー、バイオレンス、ミステリ、サイキック、警察機構、政治、法律、科学、化学、医学等の濃いすぎる知識をいかんなく投入して、本家よりもさらに暗く深い穴に叩き落とすような、トンでもない物語を作り上げている。 句点で短く切り詰められた文体のタイトなリズム感。場面転換も映画的で短く早い。しかし、その短いセンテンスの中にコッテリした情報を無駄なく落とし込む手腕。お話が面白くてサクサク読めるが次第に気分がヘビーになっていく…でも止められないという、ダウナー系ドラッグめいた読書体験が得られよう。 メインとなる登場人物はすべてカタカナ表記。ベテラン刑事・キタガミ、他人の意識下に沈み(SINKER)、行動を操作できる超能力者・ビトー、その恋人・ジジ、殺人者・ジグ、そしてレクターを思わせる天才精神科医・プゾーという面々。 なかでもプゾーのキャラクター造形は「よくもこんな人物を創りあげたモンだ!」と座り小便したくなるほどの素晴らしさ。物語にしてもそうだが、エクステリアをレクターに似せることは出来ても、内面的なもの(セリフ含め)がオリジナルでなければ陳腐になるわけで、そのへん見事に「似て非なる」キャラクターとして昇華させていると思う。しかし、ここまでのキャラクターを一回こっきりにしておくのが勿体ない!…というかまあ、プゾーを再登板させるためには、彼を魅力的に踊らせる舞台の構築でかなり困難を極めそうだが…(ハリスがレクターで失敗してるの見てるワケだし)。 殺人者ジグもすごいですよホント…身の毛もよだつとはこのことか!ってくらい凶悪かつ醜悪かつ悪臭。ネタバレ要素も含むので書けないが、ひとつの深刻な社会問題を裏テーマに捉えている作品であり、ただの鬼畜でも京極さんと馬鹿やってるだけでもない、作家・平山夢明の真摯な部分をビシバシ感じる。 しかし、矯めつ眇めつも、この作品が絶版ってのが残念で仕方がない。時期尚早に文庫化していただき、多くの人々に読んでもらいたい(まあ、平山耐性の有無って問題はあるが)。なので、もし文庫化のアカツキには5〜6冊購入していろいろな人に配って勧めたい…そんな作品である。
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2007/5/25 読了 「このミス」第1位作品がピンと来なかったので、初期の長編をリベンジ読書。 表現は超グロイけれど、圧倒的な内容。色々な意味ですごい作品です。
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