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嵐が丘 の商品レビュー

3.9

27件のお客様レビュー

  1. 5つ

    10

  2. 4つ

    5

  3. 3つ

    6

  4. 2つ

    3

  5. 1つ

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2018/06/25

人間関係が狭すぎるが故の愛憎、思い入れの濃さ、逃げられなさ…。その人しかいない、という気持ちの強さの表現は凄い。

Posted byブクログ

2018/01/21
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

ずっと本棚に置きっぱなしになっていた小説。古いイギリスの小説らしく、主従関係や異民族を見下すのが当然という風習をベースに登場人物間の愛憎が繰り広げられていて、時折その表現の露骨さや登場人物の吐くセリフに生理的嫌悪感を催すこともありますが、読み応えのある小説です。 200年ぐらい前の小説を読むと、多くの場合は単に時系列で話が進んでいって、登場人物も時間軸に応じてどんどん入れ替わることがあるのですが、この作品はかなり人間関係が複雑。そのうえ、一応はこの小説の主な登場人物の一人であるはずのロックウッド氏の生きている時の数十年前の時代が小説の軸であり、その軸の部分を語るのがロックウッド氏の仮住まいに仕える女中、ネリーであるという入れ子構造が、この小説の階層を厚みのあるものにしています。 ネリーは、ストーリーの多くに関わってはいたものの、嵐が丘に住んでいるヒースクリフやヘアトン・アーンショーやキャサリン・リントン、かつてそこに住んでいたヒンドリー・アーンショーやリントン・ヒースクリフ、さらにロックウッド氏が借りているスラシュクロス邸にかつて住んでいたエドガー・リントンやキャサリン・リントン(母)、イザベラ・リントンに比べると、少しだけ人間関係の枠の外にいる立場です。その立場から、第三者の視点で物語を語っているため、「自分で見たこと以外は分からない」という話し方になります。今の小説では普通の手法だと思いますが、昔の小説でこのパターンを取るものはあまり多くない気がします。その分、語り手であるネリーの推測なども恐らく混じっているはずで、そこに人間臭さというか、不完全な語り手の妙が感じられます。 上巻は、アーンショー家にジプシーの子であるヒースクリフが拾われ、ヒースクリフとキャサリンの友情が育まれる一方でヒースクリフとヒンドリー・アーンショー、エドガー・リントン、イザベラ・リントンと諍いが生じていった少年期がまず展開されます。そして、長じたヒースクリフとキャサリン・アーンショウがお互いを愛し、必要としながらも、身分の違いからキャサリンがエドガー・リントンを夫とし、それに絶望したヒースクリフが失踪した時期、さらに数年後にどこかで富を蓄えたヒースクリフが嵐が丘に戻り、ヒンドリーやその息子であるヘアトン、キャサリンを奪ったエドガー、そして自分を裏切った愛憎入り混じるキャサリンへの復讐を始める時代へと展開していきます。上巻の最後にキャサリンは発狂して死に、お腹の中にいた赤子は助かって母親と同じキャサリンという名を与えられたことまでが述べられています。 下巻でヒースクリフの復讐と愛情、憎しみがさらにどのように進んでいくのか。ワクワクする楽しみではなく、暗い楽しみではありますが、下巻のストーリーにも期待しています。

Posted byブクログ

2015/05/16

ヨークシャーを旅する前にと読み始めましたが、旅行後に読了。最新の翻訳は評判がイマイチなので、敢えてこちらの版を選択。女流作家の描いた恋愛小説と思いきや、とっても激しい展開で引き込まれました。さわりの部分で出てくる子供の亡霊がキャサリン・アーンショウでなくキャサリン・リントンを名乗...

ヨークシャーを旅する前にと読み始めましたが、旅行後に読了。最新の翻訳は評判がイマイチなので、敢えてこちらの版を選択。女流作家の描いた恋愛小説と思いきや、とっても激しい展開で引き込まれました。さわりの部分で出てくる子供の亡霊がキャサリン・アーンショウでなくキャサリン・リントンを名乗ったのが不思議だけれど、20年間も彷徨っていたんだから、お母さんの方だと納得しました。ヒースクリフではなくリントンと結婚したことを、ムーアで迷ったけど家に帰ったから中に入れて、だんなんて言っちゃうのが凄い。女は亡霊も怖い。

Posted byブクログ

2016/04/15

2014.10.22(水)〜上巻 P.22 「人間嫌い」 人は己の性向と似た他者に親しみを覚える「引力」に導かれる。特に己よりその質がはっきりしている者に対して理解を示したい傾向がある。田舎と人間嫌いはセットで考え得る世の真理なのだろうか。希望を持って都会に向かい、其処で人間関係...

2014.10.22(水)〜上巻 P.22 「人間嫌い」 人は己の性向と似た他者に親しみを覚える「引力」に導かれる。特に己よりその質がはっきりしている者に対して理解を示したい傾向がある。田舎と人間嫌いはセットで考え得る世の真理なのだろうか。希望を持って都会に向かい、其処で人間関係に傷付いた者が、人間不信に陥り田舎に引っ込んで、失念の元で狂ったように復讐を誓い、新たに暮らしを再開する構図は、自然な定め、生命的法則のように思われる。

Posted byブクログ

2014/01/08
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

 同じ新潮文庫から新訳もでているが,昔読んだ古い訳でもう一度読みたかったのでアマゾンのマーケットプレイスで購入。  かつて一度だけ読んだのは中学校2年生の時で,内容について憶えていることといったら,ヒースの花咲くイングランドの田舎の一軒家が舞台でヒースクリフという悪魔のような男が出てきたってことだけ。ただひたすらヒースクリフが恐ろしく,やたらと人が死に,暗く鬱々とした空気が物語を包み,しかし相対するようにイングランドの自然描写が魅力的だったということが印象に残っていて,その両方をもう一度味わいたいと長年思っていたが,この本に手を伸ばすには何だか覚悟が必要だった。気楽に読むわけにはいかないという感じで。ヒースクリフの毒気に耐えなければならないという気持ちで。  『嵐が丘』は究極の恋愛だなんて言われるが,私には悪魔の生まれ変わりたるキャサリン母とヒースクリフが周囲を不幸にする話にしか見えなかったりする。ヒースクリフの死に方は勿論異常だけれど,キャサリン母だって相当なものだ。「あたしはヒースクリフです!」とか,情熱的を通り越して気が狂っているし。二人の幽霊はきっといるに違いない。酷い育ち方をしたはずのヘアトンが好青年であることが,私にはただ一つの救いのように思われた。  とりあえず一度読み返して満足はしたものの,もう一度くらい別の訳で読んでみたい気がする。

Posted byブクログ

2013/05/11

ふと思い浮かんで再読してみましたが、少々時期が悪かったか、通勤の合間に読む本ではそもそもなかったか、あまり良い印象を持てなかった。 それにやっぱり訳がなぁ、、、原作で読めばと一蹴されるだけだがいまいち。 例えば「茶碗」って訳しちゃだめでしょ、時代がそうさせているのかもしれないがや...

ふと思い浮かんで再読してみましたが、少々時期が悪かったか、通勤の合間に読む本ではそもそもなかったか、あまり良い印象を持てなかった。 それにやっぱり訳がなぁ、、、原作で読めばと一蹴されるだけだがいまいち。 例えば「茶碗」って訳しちゃだめでしょ、時代がそうさせているのかもしれないがやっぱりこういうところは作家でないから仕方ないのかも。 ただ一旦読み終わった後に幾つかの章を再読したら印象が違う部分がある、世界の古典の底力ってやつです。

Posted byブクログ

2013/05/06
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

NHK Jぶんがくで取り上げていたので手に取りました。 Jぶんがくで、主要な登場人物と主要な場面の説明があったので、なんとか読み進めることができました。 興味が沸かない題材だと感じた場合には、別の視点を掴むといいかもしれないことが分かりました。

Posted byブクログ

2012/08/10

名作なんでしょうが、 どこがいいのかさっぱり解りませんでした。 とにかく出てくる登場人物が全員嫌。 好感の持てる人物が一人でもいればもっと違ったかと思うのですが、 全員嫌だったもので読んでて不快感しかありませんでした。 ただ海外の作品は翻訳する方によって全く印象が変わってくる...

名作なんでしょうが、 どこがいいのかさっぱり解りませんでした。 とにかく出てくる登場人物が全員嫌。 好感の持てる人物が一人でもいればもっと違ったかと思うのですが、 全員嫌だったもので読んでて不快感しかありませんでした。 ただ海外の作品は翻訳する方によって全く印象が変わってくるので、 違うものを読めばまた感想も変わってくるかもしれませんが、 とにかく今回は読んでて腹が立つやら辛いやら・・・。 ジェーンエアは面白かったんですけどね~。

Posted byブクログ

2012/04/12
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

『嵐が丘』は、色々な人の訳で読もうとして、なかなか冒頭を突破できず、度々挫折した作品。 『ジェーン・エア』は好きなので、きっと『嵐が丘』も好みに違いないと見込んで、しつこく自分に読める訳を探し続けた結果、田中西二郎訳に辿りつくことに。 とにかく初めはロックウッドの存在が、「まどろっこしくて」仕方ない。本題になかなか入らないし、舞台は暗いし…ロックウッドって、必要?と思わざるを得なかった。ラストには物語の幕切れを見届ける人間として彼を受け入れられたけれど、物語の手法としては他にもやりようはあった気がする。 ロマンスなので、ロマンスらしい泥沼愛憎劇。『ジェーン・エア』とはやはり好一対になっているけれど、モームが『嵐が丘』を選んだというのが、さすがというか、笑える。『嵐が丘』の方が『ジェーン・エア』より救いがないというのが私の印象。痛々しい感じが堪らないといえば堪らない。 翻訳については、上手いとか下手とかよりも、相性な気がする。さすがに時代も時代なので、田中訳は古臭い。古臭いけれど、古臭いからこそかえって原作のニュアンスを表現できてよいのかもしれない。現代風のさらりとした訳では、冒頭がやたら長く感じられたから読み切れなかったのだと思う。 原作には悪い言葉遣いが入り乱れているうえ、英語に比べて日本語は罵詈雑言のバラエティが貧相だから、ところどころ違和感を感じずにはおられなかった。けれど、これを原作で読むことに比べたら、多少読みづらい訳でも日本語訳を読むほうが楽だと思う。

Posted byブクログ

2011/09/01

見ていて楽しいものでないのに、無くてはならない。自分が、ヒースクリフだと。キャサリンにそこまで言わせたものは何だったんだろう。読めば読むほど、満たされるどころか、どんどん無駄なく渇いていく。そこが、いい。

Posted byブクログ