回転木馬のデッド・ヒート の商品レビュー
私は村上春樹の短編が…
私は村上春樹の短編が好きなのですが、その中でも一番のお気に入り。これは本当に起きたことなのか、創作なのか、そんなことはどうでもよくなる魅惑的な物語。
文庫OFF
タクシーに乗った男 2ページ目 インタヴュアーはそのインタヴューする相手の中に人並みはずれて崇高な何か、鋭敏な何か、温かい何かをさぐりあてる努力をするべきなのだ。どんなに細かい点であってもかまわない。人間一人ひとりの中には必ずその人となりの中心をなす点があるはずなのだ。そしてそれ...
タクシーに乗った男 2ページ目 インタヴュアーはそのインタヴューする相手の中に人並みはずれて崇高な何か、鋭敏な何か、温かい何かをさぐりあてる努力をするべきなのだ。どんなに細かい点であってもかまわない。人間一人ひとりの中には必ずその人となりの中心をなす点があるはずなのだ。そしてそれを探りあてることに成功すれば、質問はおのずから出てくるものだし、したがっていきいきとした記事が書けるものなのだ。それがどんなに陳腐にひびこうとも、いちばん重要なポイントは愛情と理解なのだ。
Posted by
所詮、あなたと私じゃ育ちが違い過ぎるのよ。ご飯とライスの違いかな!文章は確かに美しいと思う。でも鼻持ちならないのです。此方のひがみだと重々承知の助なのですが・・・
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
村上春樹氏の作品というと、アンニュイでアンビバレントな青年主人公が何らかの精神的傷やトラウマティックな事象をかかえ、そのストーリー進行の過程で、テロンテロンに濃ゆい性的描写が微熱的に描かれ、最終的に自己を回復する、的な展開がなかなかにある気がします。 が、本作はむしろエッセイ・ノンフィクションに近いかと思います。 村上氏が見聞きしたちょっと不思議な話を紙に書き起こしてみるという、言わば村上版「ナショナルストーリープロジェクト」とでも言った作品でありました。 ・・・ 収録作品は、あらすじを語ると実に味気ない素描しかできないほど、普通のお話になりそうなもの。 「レーダーホーゼン」は突然離婚してしまった母親の話ですし、「タクシーに乗った男」は画廊経営者がかつて米国で得た三流画家のかいた作品にまつわる話。 内容は、ありふれた話というわけでもないですが、とても珍しい話というわけでもない。ただ、村上氏のエッセンスをスポイトで2、3滴落としたことで、お料理の味がぐっと変わってしまった、という類のお話かと思います。 その中でも、友人の連れ合いを寝取るのが趣味?である男が嘔吐に悩まされる「嘔吐1979」や、男と別れて会社も辞めてそれでも余った時間にふと体を金で売ってみる女性の「雨宿り」、これらは何というか、惹きつけられるものがありました。 ・・・ 「雨宿り」でもさらりと書かれていますが「僕はごく単純にセックスというのは無料だと考えていた」とあります。私が村上氏の作品についつい入り込んでしまうのは、ここなのかな。 現実には恋人や夫婦ではそうですが、おいそれとそんなにサラリと体を重ねるなんて経験は、望んだり努力してもなかなかできないものである気がします。でも、村上氏の話の中の男性はさらりと他人と夜を共にしてしまう。 きっと私はそういう器用な人間でないですし、そうした性的能力の行使に強い憧れを持っていたのかなあと、今更ながらに感じるところであります(文学好きではなく単なるエロ好き!?)。知らんけど。 逆に、女性からみた村上作品の良さってのはどういう所なのか、とふと疑問に思った次第です。他の男性諸氏も村上作品のどういうところが好きなのでしょうね。 ・・・ ということで村上氏の割と初期のころの作品(1985年)でした。 時に現実を幻想的な描写をするのも村上氏らしく、また性描写がさらりと描かれるのも村上氏らしかったと思います。 短い冊子ですので、気分転換等に読んでいただくには丁度よいかもしれません。昭和の文学、などとそろそろ言われるのでしょうかね。
Posted by
今年2度目。レーダーホーゼン、今は亡き王女のための、野球場など印象深く覚えている作品もあれば、ほとんど覚えていなかったものも。はじめにで著者が書いているようにこれは小説ではなく、<スケッチ>!いろんな人の話を聞いてメモッたものだそうで、実話とのこと。そしてそれが「話してもらいたが...
今年2度目。レーダーホーゼン、今は亡き王女のための、野球場など印象深く覚えている作品もあれば、ほとんど覚えていなかったものも。はじめにで著者が書いているようにこれは小説ではなく、<スケッチ>!いろんな人の話を聞いてメモッたものだそうで、実話とのこと。そしてそれが「話してもらいたがっている」ためにこの本になったとのこと。著者らしい表現だが、「わかるような気がする」!この書の題名の意味合いがこの中で書かれている。いろんな人たちの人生が回転木馬のように巡回し、通り過ぎていっているということなのだ!
Posted by
以前も何度か読んだ作品。 特に「プールサイド」には影響を受けて、人生の折り返しポイントをしっかりと意識しながら、今も生きている。 私の生き方を変えた本だ。 どの話に描かれた「心」も、じわじわと私にしみ込んでいくような思いがする。 昔よりも理解ができる気がする。 「理解」というより...
以前も何度か読んだ作品。 特に「プールサイド」には影響を受けて、人生の折り返しポイントをしっかりと意識しながら、今も生きている。 私の生き方を変えた本だ。 どの話に描かれた「心」も、じわじわと私にしみ込んでいくような思いがする。 昔よりも理解ができる気がする。 「理解」というより、私の中にも同じようなものがある、という感覚かもしれない。 捨てられない本だ。 2002.7.11 現実におこった、とは、やや信じがたいような話もいくつかあった。 みんな、何かしらをかかえて生きているのだなぁ、と思う。 回転木馬。 まさしく、そうかもしれない。 己がつくり出した敵と、必死になってたたかっている。 たいてい、そういったことなのかもしれない。 ひとつ、今の私の心に残った言葉がある。 「今は亡き女王のための」のスポイルされた彼女を妻とした男の言葉。 「とにかく、僕は彼女を愛していました。たとえ彼女が彼女自身や僕やまわりの何もかもを傷つけまわったとしても、僕は彼女を手放す気はありませんでした。夫婦というのは、そういうものです」 正直、私はそんな女を妻とした男をバカなだけだ、と思っていた。 今でも、完全に疑問が払しょくされたわけではない。 でも、彼は、この美人の自己中女を本当に愛していることだけはわかる。 すごいなぁ、と思う。 私はどうだろう。 苦しい時、ちゃんと一緒にふんばろうと努力できるだろうか? きっとそうしよう、と思う。
Posted by
人から聞いた話を大筋に なるべく雰囲気を壊さないように 文章にうつしたそうだが、 それでも溢れる村上春樹感が凄い
Posted by
作者が人から聞いた事実の(ような?)話の短編集。面白かったが中にはありそうな話(レーダーホーゼン)もあるが、ほとんどが現実味に欠ける話(嘔吐1979とか)だったように思う。「事実は小説より奇なり」(バイロンの"Truth is stranger than fiction...
作者が人から聞いた事実の(ような?)話の短編集。面白かったが中にはありそうな話(レーダーホーゼン)もあるが、ほとんどが現実味に欠ける話(嘔吐1979とか)だったように思う。「事実は小説より奇なり」(バイロンの"Truth is stranger than fiction."の和訳らしい)と言う言葉もあるくらいだしそこは問題ではない。また作者の周りの環境は自分よりも確実に変わった話を持った人が集まってくるような気がするし。しかし他人から聞いた話を第三者にその面白さを損なうことなく話すことは自分にとってとても難しく(たとえ脚色したとしても)、それを考えると作者の技術は読んでいて感嘆をせざるを得なかった。
Posted by
事実を基にした短編が8本入ってる つかみどころのない話や感情を上手く形にしている 読みやすくて黙々と作業読んでしまった
Posted by
「はじめに」で先制パンチ的に純な小説でなく、事実に基づくなんて言ってるが、実のところは闇の中?若しかしてシンプルに作家の言葉を信じれば良いのかもしれんが、それには歳を取りすぎたかな?当方は。 まぁ確かに練られた風もなく、偶然の契機で世に現れた感じ。でも確かに村上春樹の手になるもの...
「はじめに」で先制パンチ的に純な小説でなく、事実に基づくなんて言ってるが、実のところは闇の中?若しかしてシンプルに作家の言葉を信じれば良いのかもしれんが、それには歳を取りすぎたかな?当方は。 まぁ確かに練られた風もなく、偶然の契機で世に現れた感じ。でも確かに村上春樹の手になるものという気はするところ、当たり前だがプロの仕事かな。 個人的には『野球場』が好きかな。野球好きとは無関係に何だか普通の人間の壊れる様を見せられているようで。他作品もまぁいけると思います。
Posted by