DNAでたどる日本人10万年の旅 の商品レビュー
本書では、y染色体の型(現在の分類では10個弱)を追いかけることで、日本人、日本文化の成り立ちを探る。これによると、日本には希少なy染色体の持ち主がたくさんいる。これがなにを物語るかといえば、現在の日本人が負け組であること。つまり、希少y染色体の祖先は、大陸での生き残り戦争にまけ...
本書では、y染色体の型(現在の分類では10個弱)を追いかけることで、日本人、日本文化の成り立ちを探る。これによると、日本には希少なy染色体の持ち主がたくさんいる。これがなにを物語るかといえば、現在の日本人が負け組であること。つまり、希少y染色体の祖先は、大陸での生き残り戦争にまけて、アジアの片隅にある日本に漂着したのである。しかも、この希少y染色体は複数個ある。したがって、現在の日本人は、さまざまな負け組みの混血である。その割には、現在の日本人はよくやっているのではないだろうか。
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遺伝子と文化の関係性を知りたくなり、まずは自分たちの民族がどのようなDNAから言語などの文化を取得してきたのかに興味を持ち手に取る。 DNA解析の結果を用いて民族の文化や歴史を振り返り、文化の起源から世界観との関連性を紐解く。 日本人はもともとのアフリカの3大グループのY型染...
遺伝子と文化の関係性を知りたくなり、まずは自分たちの民族がどのようなDNAから言語などの文化を取得してきたのかに興味を持ち手に取る。 DNA解析の結果を用いて民族の文化や歴史を振り返り、文化の起源から世界観との関連性を紐解く。 日本人はもともとのアフリカの3大グループのY型染色体を持つ人々が移住し、それらを持つ人々が今でも共存しあっている多様性の高い民族だという。 シベリアから来たC3型、渡来人として複数やってきた O2b型、縄文時代の先住民族であるD2型(日本とチベットでしか高い分布を示さず、言語の構造には共通点が多くみられる)などが現在も共存しているため、高い多様性と寛容性があるという。 さらに縄文文化を強く残すアイヌの人々は神と人間と自然が同等にあるとみなしているため、自然や動物に畏敬の念をもって過ごしている。 キリスト教の文化では絶対的な価値観を重視しがちなため、他者や別の民族を排他的に扱いがちであるという。 コミュニケーションの得意さと排他的もしくは懐疑的な価値観は関係がないように個人的には考える。 また言語に関しては、もともとは日本の文化は黄河文明を伝承する渡来人から伝えられてきたということだったが、DNAの分布を解析していくと現在の日本語を発現させる遺伝子ではないことがわかった。 もちろん言語の普及と遺伝子の普及には乖離も起こりうるが、もともとの長江文明が淘汰され、東南アジアへ移動した人々の言語には共通点が少ない。 特に筆者が述べているのは、琉球、日本本州、アイヌという極めて遺伝子が異なるヒト集団で日本が構成されていることがとても貴重であるということである。 このような日本が持つ多様性は地政学的にも恵まれ、自然が豊富だったことも起因しているそうだが、縄文時代にはすでに雑穀を用いて定住する文化の中で伐採などを過剰に行わないように気をつけていたことからもそういった貴重なD2型の染色体が共生という概念をもたらすという安易な仮説ですらも信じたくなる。 日本は欧米諸国の帝国主義的な進出に対して立ち向かおうと、国民国家として近代化を図り革新的な変化によって取捨選択をしてきた。 それによって国としての均質化を避けられなくなり、多様性を失う圧力がかけられてきたという。 いまや欧米の覇権的、支配的な考えをもう一度見直そうという動きはかなり多くある。 そもそもマスコミュニケーションとの相性もよかったためにそういうことが起こってしまったのかもしれないが、今後インターネットというメディアによって一方的で偏った情報によって左右されることは抑えられ、多様性を育む方に文明が進むように感じる。 こういった流れにキチンと乗るべきであるように感じる。 しかし近年の「おもてなし」などは日本人の個性の「よさ」を打ち出し、強制し偏った圧力をかけているように感じられ、文化としての価値を下げているように感じてしまう。 そうではなく、他者や変化、多様性に対して寛容でかつ繊細な感性を持つような正しい姿勢を持つ方が望ましいように思われる。 グローバル化によって共通言語を学ぶ必要性は年々声高になってきているが、グローバル社会だからこその個性をのばす方向性にシフトするべきであるように感じる。 成功事例をただ当てはめるようではまた近代化による弊害を生むだけであるように思われる。 最近こういった「共生」や「世界全員が幸せになる新しい主義や概念」を遺伝子などから科学的に解明する方法論にすごく興味があることに再確認できたことも非常に収穫であった。
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DNA解析から日本人のルーツを探る本 大陸で生存競争に敗れた人類のいくつかの系統が、日本では生き延びているという指摘は興味深かった。日本列島は安全地帯か? 今の日本人論の根拠の一つになるかも。
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近年の研究成果の網羅性は高く、それでいて一般向けにも分かりやすく書かれている素晴らしい著です ここまで詳細に研究が進んでいたとは驚きでした 近い将来に、全容が明らかにされるのが楽しみです
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DNA系統解析だけでなく、考古学・歴史学、言語学の見解ともあわせて考察されており、いくつもの学問分野を横断的に取り組む姿勢に敬服する。 縄文人が華北から朝鮮半島経由でやってきたD2系統のほか、細石刃文化のC3系統、貝文文化のC1系統などで構成されること、渡来系弥生人が長江文明の...
DNA系統解析だけでなく、考古学・歴史学、言語学の見解ともあわせて考察されており、いくつもの学問分野を横断的に取り組む姿勢に敬服する。 縄文人が華北から朝鮮半島経由でやってきたD2系統のほか、細石刃文化のC3系統、貝文文化のC1系統などで構成されること、渡来系弥生人が長江文明の末裔であること、その後の黄河文明からの渡来人とあわせて、さまざまなルーツで構成されることが明瞭に示されている。埴原氏が提唱した二重構造モデルの問題点もすっきりと整理されている。 <Y染色体分析> ・C3系統:九州で8%など。シベリアに高頻度にみられ、細石刃文化と関連すると想定される。マンモスハンターであることがほぼ確実。サハリン経由と朝鮮半島経由が想定される。 ・Q系統:シベリアとアメリカ先住民に限定。石刃技法の担い手として想定される。マンモスハンターであることがほぼ確実。 ・D2系統:日本各地で26〜48%を占める。縄文系に由来することがコンセンサスとなっている。日本以外に見られない。 ・C1系統:九州で4%など。南方系と想定され、貝文文化との関連が注目される。日本以外に確認されていない。 ・N系統:日本列島では少数。ウラル系に特徴的。 ・O2b系統:東京で26〜36%。渡来系弥生人の可能性が高く、長江文明の末裔であることがほぼ間違いない。朝鮮半島で51%を占める。分岐時期は3300年前、移動時期は2800年前。 ・O3系統:日本各地で14〜26%を占める。華北の漢民族に高頻度のほか、モンゴル、チベット、華南、東南アジア、朝鮮半島に分布。黄河文明と関連するO3e系統は東京で9%。ミャオ族の特徴であるO3c系統は日本列島にはほとんど見られない。5000年前に黄河上流域から南へ移動した。 <Y染色体分析:日本以外> ・C2系統:インドネシア東部、パプアニューギニア、ポリネシアに分布 ・D1系統:東アジア南部に分布 ・D3系統:東アジア北部に分布 ・O1系統:台湾先住民に高頻度。オーストロネシア系との関連が想定される。 ・O2a系統:華南から東南アジアのタイ・カダイ系、ミャオ・ヤオ系、オーストロネシア系、オーストロアジア系、シナ・チベット系漢民族に高い頻度。長江文明との関連性が推定される。 <考古学・歴史学> ・長江文明は黄河文明の拡大によって春秋時代末に崩壊した。長江文明の担い手はオーストロアジア系と推定され、長江流域に越が興っていることからヴェトナムとの関連性が推定される。北東方向に逃亡したグループの一部が倭と呼ばれていた(鳥越)。日本語の水稲文化に関する用語にオーストロアジア系言語との近親性がある。 ・朝鮮半島では、3000年前から無文土器時代となり、その後水稲耕作が山東半島から伝わった。BC473年の呉の滅亡、BC334年の越の滅亡は、朝鮮半島における水稲農耕の拡大の時期と一致する。 ・ミャオ族のホームランドは黄河流域で、南下して水稲農耕文明を引き継いだ(鳥越) <アイヌ> ・続新石器時代(BC3〜AD7世紀)に存在した4つの文化圏のうち、道央の江別文化が勢力を拡大してサハリン南部やクリル諸島南部まで達した。アイヌ民族の母胎と推測される。南方へも東北地方や上越地方まで拡大し、律令国家との衝突を招いた。 ・擦文文化(7〜13世紀)は、平安文化の影響を受け入れたもの。 ・ドビニタイ文化(9〜13世紀)は、道東にてオホーツク文化と擦文文化が融合した過渡的文化。 <琉球> ・グスク時代(11〜12世紀以降)に、長崎産の石鍋が流通する経済圏が形成され、九州からの人の流れによる日本語系の琉球語への転換が起きた。形質人類学の観点からは列島の集団とあまり相違しない。
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20080910 男系Y遺伝子と女系ミトコンドリア遺伝子で日本人の祖先をたどる さらに言語や文化も
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日本人のルーツを、DNAや様々な研究を頼りに紐解いた本。DNAの型の分布状況から日本に住む人々のルーツを分析し、アイヌや琉球を含めた日本の文化や言葉の多様性を論じています。日本は世界でも有数の豊かなDNAの型をもつ国であり、アイヌや琉球など独自の文化や言葉を後世に残すことの大切さ...
日本人のルーツを、DNAや様々な研究を頼りに紐解いた本。DNAの型の分布状況から日本に住む人々のルーツを分析し、アイヌや琉球を含めた日本の文化や言葉の多様性を論じています。日本は世界でも有数の豊かなDNAの型をもつ国であり、アイヌや琉球など独自の文化や言葉を後世に残すことの大切さも書かれています。様々な分野の研究をまとめた、視野の広い研究成果となっている本と言えます(2008.6.24)
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