裸者と裸者(上) の商品レビュー
北関東を中心とした適度なスケール感と移動や時間経過などの緻密な構成。経済破綻から来る日本国内の内戦勃発と孤児の参戦。その有り得なくもないギリギリのリアリティに少し身震いしながら、不思議なくらい引き込まれた。 武器や軍隊構成単位など軍事知識が未熟であったことと、物語の中における各人...
北関東を中心とした適度なスケール感と移動や時間経過などの緻密な構成。経済破綻から来る日本国内の内戦勃発と孤児の参戦。その有り得なくもないギリギリのリアリティに少し身震いしながら、不思議なくらい引き込まれた。 武器や軍隊構成単位など軍事知識が未熟であったことと、物語の中における各人や各部隊の思惑をもっと深く理解・共感したいとの思いから上下巻通して2回連続で読み返した。 上巻では、両親を奪われ兄妹弟の慎ましい生活さえも戦争に奪われながら、その妹弟と大切な仲間を守るために自ら戦争に身を投じていく海人が言った『三人が三人とも善人では生きていけない』は悲しいが、っその通りと思えた。それを自覚しながら戦争の狂気の中で冷静さを保てる精神力こそ本当の強さであり、その精神力の源として他人を想う気持ちってのは大切なんだと思った。
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今の日本も今後こうなってもおかしくない。 内戦状態の日本で、孤児の少年が、妹、弟を守るために力強く生きる。 暗い時代背景で、置かれた状況は悪いけれど、なにか、わくわくさせてくれる主人公。 いろんな人と出会って成長していく姿。 良いですね。 下巻がかなり気になる感じです。
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近未来戦争フィクション。日本での悲惨な戦争を舞台に主人公が成長していく物語。 描写が非常に過激で、読むのに耐えられない人も多いと思うが、戦争の悲惨さを感じるには良いのかとも思った。 主に関東近辺を舞台にしており、個人的には知っている土地が多くそういう意味で楽しめた。 あまりオスス...
近未来戦争フィクション。日本での悲惨な戦争を舞台に主人公が成長していく物語。 描写が非常に過激で、読むのに耐えられない人も多いと思うが、戦争の悲惨さを感じるには良いのかとも思った。 主に関東近辺を舞台にしており、個人的には知っている土地が多くそういう意味で楽しめた。 あまりオススメしません。
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おもしろい。 内乱の戦時下という日本で、少年少女たちが生き抜いていく。 主人公の海人が、這い上がっていく中で様々な問題にぶつかり、時には残酷な決断も強いられる。性というテーマを戦時下の日本、少年少女たちを通して描いている。 「裸者と裸者」「愚者と愚者」「覇者と覇者」とシリーズを通...
おもしろい。 内乱の戦時下という日本で、少年少女たちが生き抜いていく。 主人公の海人が、這い上がっていく中で様々な問題にぶつかり、時には残酷な決断も強いられる。性というテーマを戦時下の日本、少年少女たちを通して描いている。 「裸者と裸者」「愚者と愚者」「覇者と覇者」とシリーズを通して◎ 作者の遺作となった「覇者と覇者」が未完なのが残念でならない>_<
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「十八人のうち男はたった二人だ。女の比率が異常に高いのはなぜだ」 「構造的な差別の問題よ」金髪の女が言った。 「おまえたちは抑圧された女の組織ということか」中尉が訊いた。 「基本的にはそうです」黒髪の女が言った。 「女の解放の彼方に、すべての抑圧された者の、解放を夢見ているのか」...
「十八人のうち男はたった二人だ。女の比率が異常に高いのはなぜだ」 「構造的な差別の問題よ」金髪の女が言った。 「おまえたちは抑圧された女の組織ということか」中尉が訊いた。 「基本的にはそうです」黒髪の女が言った。 「女の解放の彼方に、すべての抑圧された者の、解放を夢見ているのか」 「理念としてはそのとおり」金髪の女が言った。 ファルス中心主義的世界観から、徐々に女性の台頭、孤児軍の活躍、マイノリティー武装勢力の抵抗が起こってくる。かなり面白い。海人の活躍は、浅田次郎の『蒼穹の昴』のチュンルを彷彿させる。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
多分今までで最も衝撃を受けた本。 なにより描写がものすごく美しいと思った。セックスも死についても。 対してキャラクターの乾いた明るさもすごく魅力的で、みんな自分の足で立って生きているのを強く感じること。 そしてこれはファンタジーではなく今も地球のどこかで起きているきっと現実の一部であるということ。 わたしも海人に惚れています。
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『裸者と裸者』の舞台となる日本は、長い内乱状態にある。金融システムの崩壊にともなう経済恐慌と財政破綻、そんななか、国の軍隊が政府軍と反乱軍とに分裂して戦火を交える。政府軍はアメリカ軍の支援のもと、大規模な空爆で反乱軍の鎮圧に乗り出したが、その結果は反乱軍の武装集団化と戦線の拡大を...
『裸者と裸者』の舞台となる日本は、長い内乱状態にある。金融システムの崩壊にともなう経済恐慌と財政破綻、そんななか、国の軍隊が政府軍と反乱軍とに分裂して戦火を交える。政府軍はアメリカ軍の支援のもと、大規模な空爆で反乱軍の鎮圧に乗り出したが、その結果は反乱軍の武装集団化と戦線の拡大をもたらし、内乱は泥沼化する一方となった。略奪行為やレイプ、拉致、ありとあらゆる破壊と恐怖と憎悪と飢餓が全国を覆い尽くす苛酷な世界――本書はそんな、あらゆる常識や倫理観が徹底して崩壊してしまった世界を生きていかなければならなかった孤児たちの物語。 秩序が崩壊し略奪、強姦、殺人がまかりとおる世界を描写しながらも陰惨で悲劇的な物語ではなく登場人物たちは時代に適応して悲観にくれることなく生き抜いている。上巻は海人の成長の物語。
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「裸者と裸者」上巻。孤児部隊の世界永久戦争。 近未来の日本「応化」と呼ばれる時代、北関東を舞台にした戦争小説。茨城県常陸市で育った佐々木海人は、七歳で両親を失い孤児となる。幼い妹「メグ」、弟「リュウ」を養うため、学業を断念し懸命に働くのだが。。 前半は秩序が崩壊し、略奪、殺人がま...
「裸者と裸者」上巻。孤児部隊の世界永久戦争。 近未来の日本「応化」と呼ばれる時代、北関東を舞台にした戦争小説。茨城県常陸市で育った佐々木海人は、七歳で両親を失い孤児となる。幼い妹「メグ」、弟「リュウ」を養うため、学業を断念し懸命に働くのだが。。 前半は秩序が崩壊し、略奪、殺人がまかり通る世の中、主人公の海人、しっかり者のメグ、短気なリュウの3人が慎ましく生活する姿が描かれる。謎の武力勢力の登場から一気に物語が動き出し、目が離せない。上巻は心身ともに少しずつ大人になっていく海人の成長物語でもある。戦争と登場人物の行方を気にしつつ下巻へ突入。
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上巻、下巻で話が変わります。 上巻は、孤児の長男、海人の話。混乱の中を生き抜く強さを早い展開でスリリングに描く。 下巻は、海人がであった双子の話。スリリングさはあるものの、何か物足りないし、展開も爽快でない。 ということで、この続編にあたる「愚者と愚者」、「覇者と覇者」には手が...
上巻、下巻で話が変わります。 上巻は、孤児の長男、海人の話。混乱の中を生き抜く強さを早い展開でスリリングに描く。 下巻は、海人がであった双子の話。スリリングさはあるものの、何か物足りないし、展開も爽快でない。 ということで、この続編にあたる「愚者と愚者」、「覇者と覇者」には手が伸びませんでした。
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表紙で敬遠していたのが本当に悔やまれる。面白かったです。淡々とした文体だけれど、一気に読み終えてしまった。リアルにファンタジックでごりごりした少年の成長期。
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