トゥルー・ストーリーズ の商品レビュー
ちょっと強引な偶然だろうと感じる小噺(例えば、サン・テグジュペリを巡るはなし)も若干挟まれていたものの、全体としては、こんな偶然ってあるんだな、という感想。 目を見張る尾は、柴田氏の翻訳技術。アメリカの昔の法律を訳すのに、カタカナと旧仮名遣いを駆使しているあたり、脱帽である。
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赤いノートブック なぜ書くか その日暮らしー若き日の失敗の記録 事故報告 スウィングしなきゃ意味がない 折々の文章
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柴田さんの翻訳についての本は色々読みましたが、ポールオースターの作品は初めて読みました。 ポールオースターの書いた文でありながら、でも言葉の選び方などに翻訳者の柴田さんのカラーを感じる部分もあり (具体的にどこがというのは難しいですが…)、こういう楽しみ方もあるのか、というのは...
柴田さんの翻訳についての本は色々読みましたが、ポールオースターの作品は初めて読みました。 ポールオースターの書いた文でありながら、でも言葉の選び方などに翻訳者の柴田さんのカラーを感じる部分もあり (具体的にどこがというのは難しいですが…)、こういう楽しみ方もあるのか、というのは個人的な発見でした。 先入観無しで読むのが本来の姿なのかも知れませんが、先入観があっても面白いものは面白い、ということで。
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題名から短編集だと思って手に取った本作、実はエッセイだった。 「事実は小説より奇なり」な事例を淡々とつづる「赤いノートブック」を筆頭に、オースターの小説ってこういう経験の積み重ねが作り上げてるんだなぁという内容のエッセイがたくさん載っていて、ページ数の割に贅沢な読書時間を過ごせる。 行動を起し、何かを感じ、感じたものから気付きを得て、また行動していく。その繰り返しがあるからこそ人生は転がっていくし、感覚も精錬されていく。その道中には自分ではどうしようもない出来事も起こっていくが(この本では9.11、俺らだと震災とか台風になるのだろうか)、それらから何を感じ、どう行動を起すか…なんだろうなぁと思う。 エネルギーに溢れた!…という感じのエッセイではないが、行動せよ、と静かに訴える気持ちのこもった1冊だった。
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「事実は小説よりも奇なり」を地で行く"ウソのような本当 の話"や、自伝的長編エッセイ、短いエッセイを集めた 「折々の文章」などからなるオースターのエッセイ集。 "ウソのような本当の話"は、なんでこれほどの偶然が 重なるのか!と言い...
「事実は小説よりも奇なり」を地で行く"ウソのような本当 の話"や、自伝的長編エッセイ、短いエッセイを集めた 「折々の文章」などからなるオースターのエッセイ集。 "ウソのような本当の話"は、なんでこれほどの偶然が 重なるのか!と言いたくなるような話ばかり。 でも、以前に読んだ本の一節…人と人との出遭いは、 知らず知らずに行動した結果が導いてくれる巡り会わせ …を思い出した。 オースターも、偶然は偶然じゃなくて、こうした巡り 合わせだ、と信じている人なのかもしれない。 「折々の文章」に収められたエッセイは、書かれた時期 がワタシがアメリカにいた時期とほぼ重なるので、どれ も共有感の高いものばかり。 ただ、自伝的長編エッセイ「その日暮らし」だけは少々 退屈してしまった。収穫は、柴田さんの名訳をいくつか 抜き書きしたことくらい。
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エッセイというか、ショートショートと言おうか、”事実は小説より”云々と手垢の付いた表現を繰り出したくもなるが、これが著者の持ち味なのだろう。 冒頭の「赤いノートブック」以外のお話も、著者曰く”本当の話”。 『樽とタタン』(中島京子著)という小説の登場人物である老小説家が、こう嘯く; 「小説家に聞いちゃいけない質問が一つだけある。『それはほんとう?それとも嘘?』ってやつだ。これだけは、絶対に、聞いてはいけない。ほんとだよ。答えはまず返ってこない。」 恐らく、ポール・オースターに、本書の内容を問うても、答えは返ってこないのだろう(あるいは、本当の話と言い張るだろう)。そんなエピソードを、ふと思い出す、なんとも、不思議な偶然が積み重なる小話が連なる。 話の真偽はともかく、著者が稀代のストーリーテラーだというのは十分に味わえる作品集だ。こんな一文が目に止まる。 「書き手になるというのは、医者や政治家になるといった「キャリア選択」とは違う。選ぶというより選ばれるのであって、自分がほかの何にも向いていないのだという事実をひとたび受け入れたら、あとは一生、長く辛い道を歩く覚悟を決めるしかない。」 ”選ばれ”て書き手となった、覚悟に満ちた文章が心地よい。選ばれし書き手は日常のこんなことにも目を止めるのだと、摩訶不思議な感性に舌を巻く。そんな小話も良いが、オースターが”書き手”になる以前、職を転々としていた赤貧の頃を綴った「その日暮し」という掌編も、著者の素顔が垣間見えると共に、金儲けと理想との葛藤が、どことなく往時のアメリカっぽくていい。 そんな著者の筆致も巧いと思うが、訳者の柴田教授の筆も悪くない。エスプリの効いた訳文が(珍しく)読みやすかった。 どことなく、遠い昔の、憧れをもって眺めていたアメリカや西欧のごくありふれた暮らしぶりが描かれているのかと思えば、最後は、9.11.前後の小文で締めくくられる。直接9.11.に触れた文章の直後の「地下鉄」は、当時の人々の心情を表しているようで、実に興味深い。ラッシュアワーの地下鉄を描写した文庫本見開きにも満たない小文。理由も判らず停電し止まる地下鉄の中で、 「わがニューヨーカー仲間たちは、闇の中でじっと、天使の忍耐強さとともに待っている。」 車両には様々な人種が乗り合わせている。著者は”人間というトランプの無限のシャッフル”と記す。その地下鉄は何のメタファかは自明か?!
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「その日暮らし」について。ユーモラス。自分の独立心を持て余しつつとにかく大切にしているのが伝わってきてよい。
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本当にエッセイなのか、と思うような、オースター小説みたいなエッセイ。 blackbird booksで購入。
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『そこにはある種のロマンスがあったのだと思う。自分をアウトサイダーとして肯定する必要が、よき人生とはいかなるものかをめぐる他人の考えにはいっさいおもねらず一人でやって行けることを証明したいという欲求があったのだと思う。 自分の立場を守りつづけ、屈服を拒むことによって、拒むことに...
『そこにはある種のロマンスがあったのだと思う。自分をアウトサイダーとして肯定する必要が、よき人生とはいかなるものかをめぐる他人の考えにはいっさいおもねらず一人でやって行けることを証明したいという欲求があったのだと思う。 自分の立場を守りつづけ、屈服を拒むことによって、拒むことによってのみ、私の人生はよきものになるのだ。 芸術は神聖であり、その呼び声に従うことは、求められる犠牲をすべて払うこと、最後の最後まで目的の純粋さを保ちつづけることだ、そう私は思った。』 ポール・オースターは小説は大好きだけど、短編集とエッセーはそんな好きじゃないな。 『シティ・オヴ・グラス』、『鍵のかかった部屋』『幻影の書』がまだあるから、早く読みたいな(@ ̄ρ ̄@)
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ポール・オースターが日本の読者の為に編んだエッセイ集。したがって本国ではこれに対応する原書は出版されていない。まさに日本のファンのための本である。「赤いノートブック」はうそのような本当の話、まるで村上春樹の『回転木馬のデッドヒート』のような。『ガラスの街』の元ネタはオースターの実...
ポール・オースターが日本の読者の為に編んだエッセイ集。したがって本国ではこれに対応する原書は出版されていない。まさに日本のファンのための本である。「赤いノートブック」はうそのような本当の話、まるで村上春樹の『回転木馬のデッドヒート』のような。『ガラスの街』の元ネタはオースターの実体験らしい。長篇エッセイ「その日ぐらし」はオースターが作家になる以前の貧乏時代に職を転々としていたころの話。作家ポール・オースターの素顔が垣間見える傑作エッセイだ。
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