発達障害の子どもたち の商品レビュー
何となく発達障害について信じていたことが見事に打ち砕かれた。人生というスパンで見て実用的、実践的な内容である。発達障害は当然のこと、健常児の教育、育児についても益するところ大である。 ・不妊が生じるにはそれなりの理由がある。 ・非行のような、日本では環境因が決定的と思われている...
何となく発達障害について信じていたことが見事に打ち砕かれた。人生というスパンで見て実用的、実践的な内容である。発達障害は当然のこと、健常児の教育、育児についても益するところ大である。 ・不妊が生じるにはそれなりの理由がある。 ・非行のような、日本では環境因が決定的と思われている問題も、生物学的な素因と環境因を比較すると、前者の方が圧倒的に高い。 ・強いトラウマ反応を生じる個人は、もともと扁桃体が小さい。小さい扁桃体は遺伝もあるが、被虐待体験が大きい。 ・国語力の不足が内省力の不足に直結し、悩みを保持することができず、非行に走りやすい。 ・逆転バイバイと疑問文による要求on自閉症児。 ・自閉症は統合失調症とは逆に語ることは困難であるが、書かせると容易になる。 ・自閉症は基本的な感情は同一。 ・一度に複数の情報を提示しない。 ・不登校外来を受診した5割になんらかの発達障害が認められ、その8割は高機能。 ・高機能は広汎性発達障害は8割が深刻ないじめを受けていた。 ・文脈から理解することが困難で、人の気持ちを読むことや人の気持ちにあわせて行動することができない。 ・広汎性発達障害の子どもは迫害体験があるために、対人関係のあり方を被害的に読み誤ることを繰り返す。 ・早期診断、虐待、いじめから守る。触法行為から守るために。 ・中学生から仕事の練習の機会を持つことが必要。 ・被虐待児は5才以下…反応性愛着障害、6才から…解離性障害、12才から非行の割合が増える。 ・虐待的絆の考慮。その後の愛情だけでは困難。 ・10才までに身についた言語や、非言語が一生の基本になる。 ・完璧な親はしばしば重大な問題になる。親子関係よりも夫婦関係が重要。 ・言語療法、作業療法はお稽古事同じ。 ・日本の生徒は中退、不登校、非行、殺人どれも欧米の数分の一から十数分の一。
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この新書にしても、本当に必要とされているところに正しい情報を届けるには読んでもらうしかないんだよなー
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本書は、児童青年期精神医学の専門家である杉山登志郎氏が、発達障害とその治療について、その誤解と偏見を解くために書かれた本である。 本書は、著者が発達障害外来で出会った、発達障害とその治療に関する誤解や偏見、例えば: ・発達障害は一生治らないし、治療方法はない ・発達障害児も普通...
本書は、児童青年期精神医学の専門家である杉山登志郎氏が、発達障害とその治療について、その誤解と偏見を解くために書かれた本である。 本書は、著者が発達障害外来で出会った、発達障害とその治療に関する誤解や偏見、例えば: ・発達障害は一生治らないし、治療方法はない ・発達障害児も普通の教育を受けるほうが幸福であり、また発達にも良い影響がある ・養護学校卒業というキャリアは、就労に関しては著しく不利に働く ・発達障害は病気だから、医療機関に行かないと治療はできない ・なるべく早く集団に入れて普通の子どもに接するほうがよく発達する などについて、それらが誤っていることを指摘する内容となっている。 第二章では発達障害の生物学的な要因について説明し、発達障害についてDSM-IVおよび、著者独自の分類に基づくグループ分けがなされている。後者の特徴は、子どもの虐待による発達障害症状が1つのグループとして提示されていることである。これについては著者の他著「発達障害のいま」に詳しい。 第三~七章ではそれぞれ精神遅滞、自閉症、アスペルガー症候群 (広汎性発達障害)、ADHD・学習障害、子ども虐待による発達障害、について実例とともに、それぞれの症状、成長に伴う推移、治療法について解りやすく述べられている。特に、成長に伴い症状がどう推移していくかについてはインターネットなどで断片的な知識や、個人の体験談をそれぞれ調べるより圧倒的に把握しやすい。 第八・九章では発達障害の早期療育および特別支援教育について述べられている。ここではまず両親が発達障害についての正しい知識、対処方法を学ぶこと、そして、日常の規則正しい生活が大切であることが強調されている。 本書は全体を通して平易な文章で書かれており、内容も簡潔でありながら、読者の知りたいことが適切に分類されていると感じた。特に、単に療育を受ければ効果があるというものではなく、正しい知識と対処に基づいた、家庭における日常の生活および親との関わり合い (愛着形成) が大切であることが理解できると思われる。 初学者にはとても参考になる文献と思われるので★5つとしたいと思う。
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発達障害についての知識が必要になったため、最初に読んでみた。一部専門性が高い箇所がある。何回も読み返すことで、基礎は押さえられる。
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教育に携わる人にぜひ読んでほしい。 なんらかの障がいを持つ子供たちの人生を決める要因の一つに、 「教師」の存在があることを再認識しました。 ※なお,本書では教育についてのみ書かれているわけでは有りません。 学習障害を抱える子供が、 学校教育〜就職におけるパスの選択違いによる不幸...
教育に携わる人にぜひ読んでほしい。 なんらかの障がいを持つ子供たちの人生を決める要因の一つに、 「教師」の存在があることを再認識しました。 ※なお,本書では教育についてのみ書かれているわけでは有りません。 学習障害を抱える子供が、 学校教育〜就職におけるパスの選択違いによる不幸を避けられるように、留意しておくべきことが書かれていると思います。 私が教育の現場について無知であるので、あくまで感想として述べました。
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概要 精神科医である著者は,以下のような意見を発達障害を子どもを抱える家族から聞くことが多い。 ・発達障害は一生治らないし,治療方法はない ・発達障害児も普通の教育を受けるほうが幸福であり,また発達にも良い影響がある ・通常学級から特殊学級(特別支援教室)に変わることができるが...
概要 精神科医である著者は,以下のような意見を発達障害を子どもを抱える家族から聞くことが多い。 ・発達障害は一生治らないし,治療方法はない ・発達障害児も普通の教育を受けるほうが幸福であり,また発達にも良い影響がある ・通常学級から特殊学級(特別支援教室)に変わることができるが,その逆はできない ・養護学校(特別支援学校)に一度入れば,通常の学校には戻れない ・通常学級の中で周りの子どもたちから助けられながら生活することは,本人にも良い影響がある ・発達障害児が不登校になったときは一般の不登校と同じに扱い登校刺激はしないほうが良い ・養護学校卒業というキャリアは,就労に関しては著しく不利に働く ・通常の高校や大学に進学できれば成人後の社会生活はより良好になる ・発達障害は病気だから,医療機関に行かないと治療できない ・病院に行き,言語療法,作業療法などを受けることは発達を非常に促進する ・なるべく早く集団に入れて普通の子どもに接するほうがよく発達する ・偏食で死ぬ人はいないから偏食は特に矯正しなくても良い ・幼児期から子どもの自主性を重んじることが子どもの発達をより促進する そこで,著者は,これらの意見が一般的に誤っていることを,さまざまな症例を挙げて丁寧に説明する。 感想 発達障害についてほとんど知識がなかったので,必要に迫られて読んでみた。著者の見解が医学的にどこまで正しいのかは門外漢の私にはわからない。それでも,非常に興味深い内容―特に自閉症児の体験世界―であり,発達障害についての概観できたので,役に立った。 本書を読んで気になったのが,青年期になるまで治療教育が施されなかった発達障害を抱える少年たちに対しても,治療教育がどれだけ効果があるのかという点である。弁護士という仕事を通して出会う少年は,中学校の高学年以上であることが多いので,この点が気になった。 たった一冊の発達障害の入門書を読んだだけにすぎないが,社会内処遇は必ずしも少年を鑑別所や少年院に送ることより,少年本人にとって良いとは限らないのではないかと思った。成人の刑事弁護だと,どうしても一日でも早い身柄拘束からの解放が重視されるけれど,少年事件の場合には成人の事件とは同じように考えてはいけないのではないか。少年事件の弁護人や付添人としての活動を通して,この疑問の答えを見つけいけたらと思う。 最後に,司法修習生のときに,少年事件の社会記録を見る機会や,児童養護施設の見学する機会があった。本書を一度でも通読していたら,より充実した修習を過ごせていたかもしれないと思うと残念だ。
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とても読みやすかった。 早期発見、早期対処はどの病気にも言えることだが、子どもの成育にはより適切な対処が必要であること、そして、周りの認知が必要であることが分かった。特に親が受け入れられるか否かで、子どもが適正な教育を受け入れられるかどうかが決まる。冷静な判断が必要だと思う。 発...
とても読みやすかった。 早期発見、早期対処はどの病気にも言えることだが、子どもの成育にはより適切な対処が必要であること、そして、周りの認知が必要であることが分かった。特に親が受け入れられるか否かで、子どもが適正な教育を受け入れられるかどうかが決まる。冷静な判断が必要だと思う。 発達障害の子どもが、どんな世界で生きているのかを知るのにとても良かった。 言葉はいつでも曖昧だ。いかに彼らに分かってもらうかは、やはり可視でなければならないようだ。
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発達障害について、断片的だった知識がスッキリまとまりました。 臨床心理学を専攻していくうえで、より知識を身につけなければと思う領域です。 薬物療法についての記述も分かりやすかったです。
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発達障害といえど、色々な子どもたちが世にはいる。 一度の人生、できるだけ沢山の人と心を通わたい、 そんな思いもあり、手にした1冊です。 各章毎にキーワードがあてられており、 その基本知識、また、章によっては、 かなり専門的な解説もされている。 自分自身、発達障害の...
発達障害といえど、色々な子どもたちが世にはいる。 一度の人生、できるだけ沢山の人と心を通わたい、 そんな思いもあり、手にした1冊です。 各章毎にキーワードがあてられており、 その基本知識、また、章によっては、 かなり専門的な解説もされている。 自分自身、発達障害のことはよく知らないので、 本書からの気づきは大変多かったものの、 少し内容が難しく感じるところがありました。 また、改めて手にとって読んでみたいと思います。 第1章 発達障害は治るのか 第2章 「生まれつき」か「環境か」 第3章 精神遅滞と境界機能 第4章 自閉症という文化 第5章 アスペルガー問題 第6章 ADHDと学習障害 第7章 子ども虐待という発達障害 第8章 発達障害の早期療育 第9章 どのクラスで学ぶか -特別支援教育を考える 第10章 薬は必要か
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良著。 発達障害を症状や症例だけあげて説明するのではなく、発達障害児側の世界についても説明していたので、なぜそういった症状が起こるのか今までより深く理解できた。また、学校教育(特殊学級)の必要性や虐待との関連、薬物療法など、社会的・生物学的な側面からのアプローチについても述べられ...
良著。 発達障害を症状や症例だけあげて説明するのではなく、発達障害児側の世界についても説明していたので、なぜそういった症状が起こるのか今までより深く理解できた。また、学校教育(特殊学級)の必要性や虐待との関連、薬物療法など、社会的・生物学的な側面からのアプローチについても述べられていて、勉強になった。
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