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赤と黒(下) の商品レビュー

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29件のお客様レビュー

  1. 5つ

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  2. 4つ

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  3. 3つ

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  4. 2つ

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2017/10/12
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

まさかの最後だった。 レナール夫人はあの手紙に書いたことを、真実として書いたのか、それとも・・・ 主人公が穏やかな気分になれたことが、救いだと思った。 ナポレオン戦争に関する書物を読んで再読したい一冊。

Posted byブクログ

2016/05/14

19世紀フランスの小説家・スタンダールの代表作の後半である。パリを代表する大貴族の知遇を得ることに成功し、社交界でそれなりに名前を知られるようになり、さらにはその大貴族の娘に求婚され、立身出世の会談を順調に歩んでいたジュリアン。ところがそんなある日、以前愛し合っていた夫人から届い...

19世紀フランスの小説家・スタンダールの代表作の後半である。パリを代表する大貴族の知遇を得ることに成功し、社交界でそれなりに名前を知られるようになり、さらにはその大貴族の娘に求婚され、立身出世の会談を順調に歩んでいたジュリアン。ところがそんなある日、以前愛し合っていた夫人から届いた手紙がきっかけで、彼の運命は大きく狂い始める…。 この巻の読みどころは、ジュリアンに執拗に求婚する大貴族の娘である。ジュリアン相手に繰り広げられる恋愛の駆け引きは、ハラハラドキドキの展開でほほえましい。だがジュリアンが事件を起こして投獄されてからの彼女の動きは、はっきり言って狂気じみている。こんな行動をとられては、ジュリアンでなくてもひいてしまうだろう。最後の場面は、明らかに「サロメ」からヒントを得たに違いない。彼女は狂っているのか?イヤ、本当に狂ったのかも知れない。

Posted byブクログ

2016/01/31

面白いけれども、恋愛が主題であり、ちょっと物足りなさもある。 後半の流れが支離滅裂だとサマセットモームは指摘していたけど、言われてみればそうかも。

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2015/08/05

ちゃんと全部読めたぞ。と言う感想。 今まで「罪と罰」にせよ日本の夏目漱石にせよ、純文学系は最後まで読めたことが無かったのだが、小沢章友先生の勧めで再チャレンジ。私の読解力や忍耐力が上がったのか、本小説が読みやすい方だったのか。 町長の夫人とその子らの家庭教師との恋愛。その後、...

ちゃんと全部読めたぞ。と言う感想。 今まで「罪と罰」にせよ日本の夏目漱石にせよ、純文学系は最後まで読めたことが無かったのだが、小沢章友先生の勧めで再チャレンジ。私の読解力や忍耐力が上がったのか、本小説が読みやすい方だったのか。 町長の夫人とその子らの家庭教師との恋愛。その後、高貴な娘と立場を越えての恋愛。許されざる恋こそ盛り上がると言うことなのだろう。 最初は、背景を長々と説明読みづらい。家族・家柄が重要な時代だから事細かに書いているのか。 やはり、率直な感想としては、国も時代背景も違いすぎて感覚が分からない(ラテン語原文を訳したところが何だって言うのだ!)まあ、恋は盲目と言う事なのだろうかね。 最後の方は、よくもまあこの情熱を方向転換できるものだなと引く。 マチルド嬢のコロコロ変わる女心は、昔の経験が思い出されたりして、恋って苦々しくも良いよねとも思い、何かしらの示唆かなと思う箇所もあるが、結局は心に響かない。

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2014/11/03

★2.5。 誤訳問題は当方には全く分からないので評価の対象外という前提だが、とにかく長く、それが少々苦痛を覚えるというのが最大の印象。その長さが年代記という性格からくるものに加えて、単に文章の拙さからも来ているような気がしてならない。結局訳の問題? まぁジュリアンの野心の描写のし...

★2.5。 誤訳問題は当方には全く分からないので評価の対象外という前提だが、とにかく長く、それが少々苦痛を覚えるというのが最大の印象。その長さが年代記という性格からくるものに加えて、単に文章の拙さからも来ているような気がしてならない。結局訳の問題? まぁジュリアンの野心の描写のしつこさが一番の原因だとは思うのですが。これは多分この時代の作品にある程度共通する特徴かも、そうでないかも。

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2015/07/23

2014年6月の課題本です。 http://www.nekomachi-club.com/side/12885

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2013/12/24

19世紀フランス、主に復古王政期から七月王政期に活躍した作家スタンダール(1783-1842)の代表的長編小説、七月革命を挟んだ1830年に執筆・刊行。副題は当初は「一九世紀年代記」だったが、執筆中に七月革命が熾きたことから、作品とフランス社会史との同時代性をより強調するために「...

19世紀フランス、主に復古王政期から七月王政期に活躍した作家スタンダール(1783-1842)の代表的長編小説、七月革命を挟んだ1830年に執筆・刊行。副題は当初は「一九世紀年代記」だったが、執筆中に七月革命が熾きたことから、作品とフランス社会史との同時代性をより強調するために「一八三〇年代記」と付け加えられたとされる。作家自身は、政治的である以上にロマン的であるが故に、共和主義者であったようだ。 フランス革命によって近代ブルジョア社会というものが本格的に立ち現れてしまった。如何な反動的な復古王政を以てしても、もはや旧体制へと時計の針を巻き戻すことはできない。人生は、個人のものとなった。それは支配階級/平民階級という身分=生まれによって決まってしまうのではなく、自己の才覚と行動次第によって階層間を上昇していくことができる社会だ。その象徴が一介の軍人から皇帝にまで上りつめたナポレオンだと云える。身分によって個人の生が固定されていた静的な社会から、能力によって階層移動が可能になった動的な社会へ。ロマン主義的な心性の持ち主であったスタンダールにとって、身分制によって惰眠が保証されているかの如き聖職者・貴族ら支配階級の俗物どもが跋扈する欺瞞と倦怠の裡に堕落した"社交界・サロン・上流社会"を軽蔑・嘲笑しながら自己の「立身出世」の踏み台にしていこうとする強かで情熱的なエネルギーを帯びた平民出の青年は、19世紀という新しい社会の英雄であったのだろう。作家は、そんな上昇への情熱と野心に憑かれた主人公ジュリヤン・ソレルを造形した。 然し、このジュリヤン・ソレルが志向したその上昇の先には何が在ったのか。彼は何処へ向かおうとしていたのか。それが物語を読んでいて全く判然としないのだ。彼の、現状からの脱却を目指す上昇志向には、現在の彼の生に対する彼自身が抱いている不全感があるのは間違いない。卑しい平民出身であることに対する強烈な劣等意識が貴族階級への憎悪となって、憑かれたように彼は上へ上へと走り続ける。上昇の為なら、信仰心など持ち合わせていなくても聖職者になろうとするのが彼である。まさに偽善者そのものと云っていい。彼はかのタルチュフを師と仰いでいる。目的達成の為には手段の道徳性を問わないマキャヴェリスト。初めから価値基準などというものを彼は持っていなかった。「利益」と「力」という即物的な無-価値観が、彼だけでなく、社会全体を支配するようになっていた、それが当時の時代状況である。ニヒリズムの到来だ。彼は「走る」。その行動それ自体に、スタンダールは英雄を視た。しかしジュリヤン・ソレルが上へ上へと向かうその「上」に終わりは無い、絶対的終結は無い、他者との比較に於いて相対的に位置が変位し続けるばかりだ。「上」の彼方のその無限遠にあるのは、虚無だ。何も無いところへ向かって彼は走っているのだ。内実無き上昇志向、即物的無思想。スタンダールとその時代は、幸いにもまだそのことに対する幻滅には到っていないであろうと、この作品からは読める。 19世紀という近代市民社会勃興期には時代を卓越する者で在り得たジュリヤン・ソレルこそ、新自由主義によって世界が覆い尽されてしまっている現代にあっては、最も凡庸な俗物だ。それが、21世紀に於けるこの物語のつまらなさとなるのであろう。何故なら、ニヒリズムの自覚と、その帰結としての即物への頽落が、現代という問題の始まりであるのだから。 □ 「ヴェリエールの町ですべてを握る決定的文句はこれである――「利益をもたらす」」 「ぼくの役割が終わるそのときまで、世の中はこういうものなんだろう。まわりは本物の敵ばかり。それにしてもつねに装いつづけなくてはいけないとは、何と大変なことなんだ」 「ああ、いったい何という違いだろう! ここにあるのは何だ? ぎすぎすした、高慢な虚栄心、あらゆる色合いのうぬぼれ、それだけじゃないか」 「凡々たる人生の焼けつく砂漠を、苦労して横断する身としては、渇きをいやしてくれる清冽な泉に出会ったようなものだ! ・・・。人生というエゴイズムの砂漠では、だれだって自分が大事なんだ」 「そういう法律ができる以前には、自然なものといったらライオンの力か、それとも腹がへったり寒かったりする人間の欲求があるばかり。つまり一言でいって欲求だ・・・・・・」 「ぼくは真実を愛したはずだが……真実はどこにある?・・・・・・どこもかしこも偽善ばかり、そうでなければいかさまか。・・・。だめだ、人間には人間が信用できない」 「死の間際になって、自分相手に話している時でさえ、僕はあいかわらず偽善者のままなんだ・・・・・・。ああ、十九世紀よ!」

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2013/11/23

物語はいいけれども、この本 残念ながら誤訳が多いのです。 (しかも残念なことにこのレーベル やたら誤訳が頻出します) なので、読み直す本になっています。 野望に燃えた男、ジュリヤンの 栄光と挫折、そして死。 たといどんなに燃えるような情熱「赤」があったとしても、 やはり彼が...

物語はいいけれども、この本 残念ながら誤訳が多いのです。 (しかも残念なことにこのレーベル やたら誤訳が頻出します) なので、読み直す本になっています。 野望に燃えた男、ジュリヤンの 栄光と挫折、そして死。 たといどんなに燃えるような情熱「赤」があったとしても、 やはり彼が抱く闇「黒」は消えはしなく 結局、死ぬまで彼を苦しめ続けました。 彼は確かに、自己中心的 人嫌い、何もいいところはないでしょう。 ただし、情熱だけは 取り柄だったでしょう。 しかし身分が卑しいゆえに それがあらぬ方向に向ってしまったのです。 悲しむべくこと。 深いお話でした。

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2013/04/28

登場人物が極端な人が多すぎるけど、人間の社会と感情をえぐり出した小説としてとても面白く読んだ。ジュリアンの中身のない暗さ、マチルドの狂気、レナール夫人の優しさ、それぞれがしかるべき道を通って破滅に導かれる。ジュリアンの恋愛の駆け引きは陰険だけどそれなりに今でも通用するだろう。 T...

登場人物が極端な人が多すぎるけど、人間の社会と感情をえぐり出した小説としてとても面白く読んだ。ジュリアンの中身のない暗さ、マチルドの狂気、レナール夫人の優しさ、それぞれがしかるべき道を通って破滅に導かれる。ジュリアンの恋愛の駆け引きは陰険だけどそれなりに今でも通用するだろう。 To the happy few

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2013/04/09

上巻であれだけ読むのに苦労したので、下巻はその分厚さに、読む前から尻込みしていた。 ところがである。面白い。下巻に入った途端、私のこの本への評価が一変してしまった。 舞台は、地方都市から大都会・パリの社交界へ。すると、それまでまどろっこしかったスタンダールの筆が、人が変わったよ...

上巻であれだけ読むのに苦労したので、下巻はその分厚さに、読む前から尻込みしていた。 ところがである。面白い。下巻に入った途端、私のこの本への評価が一変してしまった。 舞台は、地方都市から大都会・パリの社交界へ。すると、それまでまどろっこしかったスタンダールの筆が、人が変わったように生き生きと感じられた。躍動感に溢れ、個性的で、したたか。フランスの歴史や当時の時代背景は全くわからないけれど、人間模様の面白さで惹きつけられる。 そして、侯爵令嬢マチルドとの、あまりに熾烈で、同時に凍りつくような恋。 主人公・ジュリヤンのあまりにも「感じやすい」激情と、マチルドの「高慢すぎる」退屈が、とんとん拍子に進むわけがない。駆け引きと打算、プライドと欲求、読んでいるこちらの方がひやひやする危なっかしさだ。 二人はお互いの中に恋を求めながらも、その中に自分しか見ていないのだと思う。だから恐ろしく計算的でありながら、同時に主観的だ。その相反する感情に引き裂かれながらも、ただただ自らの身を焼き尽くそうとするかのような二人の恋に、私はひどく同情してしまった。彼らを哀れだと思ったのである。 ・・・というわけで、私はこの本は下巻の前半三分の二くらいをとても面白く読み、その評価を☆5にしたいくらいなのだが・・・ 最後の最後の終わり方が意外にもあっさりしたものであったこと、レナール夫人の魅力がどうにも最後までしっくり来ず、いまいちその部分が納得できないこと、などを考えると、やっぱり☆4かなぁ、と思う。 けれど、前半であれほどげんなりしたのに下巻でこんなにスリリングな読書ができたので、途中で放り投げないでよかったなあ、とも思った。

Posted byブクログ