東京奇譚集 の商品レビュー
車中の共に選んで~すべて、既読3回目 だが何度読んでも底が深く、新たな視点や見える深奥の景色が異なっていく。 5編の短編作品が掲載・・私的には色、匂い、温度感が共通しているように思えた。 東京、現実味のある風景~ハルキ氏の自叙伝的要素も感じられたのもあって、混迷の中での読書では...
車中の共に選んで~すべて、既読3回目 だが何度読んでも底が深く、新たな視点や見える深奥の景色が異なっていく。 5編の短編作品が掲載・・私的には色、匂い、温度感が共通しているように思えた。 東京、現実味のある風景~ハルキ氏の自叙伝的要素も感じられたのもあって、混迷の中での読書ではなく、サクッと読めた。 今回は「ハナレイ・ベイ」が最も視覚的に立ち上がってきた想い。 前回読んだ時、これが映画化されたのは知らなかった。 今回読むと、まさに視覚化にそぐう。 【イワクニから機関の米国人とサチとの対峙・・その場面を思い浮かべると・・・・米国人の言い分が当時のアメリカの最大公約的に感じられたし、若者2人の感触は当時の日本人の最大公約的に感じ取れた。 「どこであれ・・・」の作品の淡白さが逆に、何とも軽快なリズムで脳に響き、楽しかった~ようこそ、三角形の世界へ戻ってきてくれてという語り、不安神経症の母親とアイスピックのようなヒールを履いた妻。なんということのない表現に煌めきを覚える。 「日々移動する・・」の作品・・哲学的というか腎臓石が眼前で見えるような感覚を覚えさせる。謎めいて、訳が分からない展開。綱渡りの女性と相まっての効果が半端ない。 「品川猿」これは不条理の極めつけ・・ありえない設定の基に存する役所課長。カウンセラーがその妻って・・もっともらしく語りをする猿・・アハっていう読後。 東京に片隅を切り取るシーンがくっきり映像を結ぶ
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短編集だけど、良い読後感でした。村上作品にしては説明書きがあって分かりやすいなぁと感じた。 5つどれも面白いけど、日々移動する腎臓のかたちをした石が個人的には1番気に入ったかな。失って初めて気づくんだよね。最初から意味があるかどうかではなくて、それは後で勝手に決めればいい。一つ一...
短編集だけど、良い読後感でした。村上作品にしては説明書きがあって分かりやすいなぁと感じた。 5つどれも面白いけど、日々移動する腎臓のかたちをした石が個人的には1番気に入ったかな。失って初めて気づくんだよね。最初から意味があるかどうかではなくて、それは後で勝手に決めればいい。一つ一つを大切にしてその時にできる精一杯をやる。そうして良い経験を重ねたいと思った。
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「偶然の旅人」★★★ 「ハナレイ・ベイ」★★★ 「どこであれそれが見つかりそうな場所で」★★ 「日々移動する腎臓のかたちをした石」★★★ 「品川猿」★★★
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新作『街とその不確かな壁』を読んだことで春樹熱が高まって手にとった。 幻想的で日常と非日常の境があいまい、といういつもの村上春樹作品とは雰囲気を異にする。「日常のすぐ隣にある不思議」といった感触の話たちはいわば、村上春樹のショートショート。 かなり読みやすくて村上春樹ビギナー...
新作『街とその不確かな壁』を読んだことで春樹熱が高まって手にとった。 幻想的で日常と非日常の境があいまい、といういつもの村上春樹作品とは雰囲気を異にする。「日常のすぐ隣にある不思議」といった感触の話たちはいわば、村上春樹のショートショート。 かなり読みやすくて村上春樹ビギナーに勧めるとしたら本作だ。★5 なかでも印象的だったのは、水難事故で亡くした息子に対する心の整理のために事故現場のハワイに毎年通い続ける母親の話、「ハナレイ・ベイ」。映画化もされているようだ。文中にとても印象的な言葉があったので備忘録として以下に残しておく。 --------------- 正直なことを言えば、サチは自分の息子を、人間としてはあまり好きになれなかった。もちろん愛してはいた。世の中のほかの誰よりも大事に思ってはいた。 しかし人間的にはーそれを自分で認めるまでにはずいぶん時間がかかったのだがーどうしても好意が持てなかった。 --------------- 愛していたし大事に思ってはいたが、好きになれなかった。この感覚がとてもよく分かる。というよりも、最近抱えている人間関係の悩みは「まさにこんな気持ち!!」と膝を打ったほど。 最後に、別エピソードについて自分の妄想を述べて終えることにする。 短編「日々移動する腎臓のかたちをした石」は、村上春樹が"医師を揺さぶる石の意思"というダジャレから想起•発展させたショートショートではないか、と勝手に想像してニヤニヤしている。
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エッセイから短編まで、村上さんの色々なテイストの作品を少しずつ味見できる素敵な短編集! 個人的には『ハナレイ・ベイ』『品川猿』が好みでした。
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村上春樹の作品は自分的には、そんなに合ってない部分もありますが、短篇の面白さが、十分出ている。 「ハナレイベイ」は映画も観ましたが、小説の方が良かった。
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普通にそれなりに楽しめる。短編ながらもしっかりと村上春樹らしさがあり、好きな人は面白いはず。初めての人はこんなもんなのかと思うかもしれないが、、、
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昔読んだ作品。 この本は、5つの話が収録されているのですが、1つあたり、50ページで読める作品なので、手軽に読めて良かったです。 特に私が印象に残った話は、5つ目のお話の、「品川猿」というお話です。 この話は、1年ほど前から、自分の名前だけが思い出せなくなる、という症状を持った1人の女性が、区役所が運営しているカウンセリングに参加し、そこのカウンセラーさんが、なんで自分の名前だけを思い出せなくなるのかを探ってくれます。 実はその原因は、主人公の女性の学生時代の時に関係することでした。 主人公の女性は学生時代に、1つ下の後輩に、「私の名札を預かってほしい」と言われ、受け取るが、その数日後、後輩は自殺で死んでしまう。 名札をどうするか困った主人公は、誰にも打ち明けず大人になる。 そんなある日、主人公が持っていた後輩の名札と自分の名札が盗まれてしまう。 そしてその盗んだ犯人は猿でした。 その猿は、素敵だと感じた名前を、その人から盗んでしまう、という病気の持ち主でした。 主人公は、猿に名札を盗まれたことによって、自分の名前を思い出せなくなっていました。
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階段のお話は、読者に実際に徒労を体感させるというお話であったように感じます。 最後まで読んでみたけど結局どゆこと?…謎のまま。この「徒労体験」を予感させる要素が、作中の"矛盾するものごと"(でしたっけ?)として散りばめられていたのではないのでしょうか。
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中性的なゲイのピアノ調律師が主人公の『偶然の旅人』、息子がハワイでサーフィンをしていたらサメに足を食いちぎられ死んでしまった母親サチの奇妙な物語『ハナレイ・ベイ』、自分の名前を忘れてしまう女性みずきが自分と向き合う『品川猿』等の短編小説5作品。 個人的なお気に入りはジャズあり、喫茶店の描写あり、女性との出会いありでハルキ節全開な『偶然の旅人』で、この作品の本質はLGBTQではなくユングの集合的無意識と超常的なシンクロニシティ(意味のある偶然の一致)だ。 そんな私も、つい最近ユング心理学の本を読んだばかりなのだが、その後偶然にも村上春樹の数ある作品の中からこの作品に辿り着いたのかと考えるとちょっと鳥肌が立つのである。これもシンクロニシティか。
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