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明治・父・アメリカ の商品レビュー

4.2

29件のお客様レビュー

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2016/01/24

生誕90年を迎へる星新一であります。ショートショートで有名な人ですが、ここでは『明治・父・アメリカ』が登場します。書名の通り、星氏の父君である星一の評伝小説であります。 父を描いた作品としては、既に『人民は弱し 官吏は強し』といふ傑作がございますが、これは星一が既に製薬事業を成功...

生誕90年を迎へる星新一であります。ショートショートで有名な人ですが、ここでは『明治・父・アメリカ』が登場します。書名の通り、星氏の父君である星一の評伝小説であります。 父を描いた作品としては、既に『人民は弱し 官吏は強し』といふ傑作がございますが、これは星一が既に製薬事業を成功させた後の話でした。その前の段階を語つたのが、『明治・父・アメリカ』であります。 星一は明治6年、父・喜三太と母・トメの長男として生まれ、佐吉と名付けられました。幼名ですな。 喜三太は怖い存在だが学問に理解があり、自身は地元の戸長や村長を歴任した人。トメはとにかく働き者で勤勉家。親切で慈母のやうに慕はれたと伝へられます。星一の性格は、この母親譲りではないでせうか。現在に残る星一の写真を見ると、何とも慈悲深い顔つきであります。 学問に目覚めた佐吉は、地元(現在のいわき市)の学問所では飽き足らず、上京して親元を離れます。成人すると、父から「一」の名を与へられ、更に米国留学を目指すのであります。両親の理解があつてのことで、当時は「学問なぞすると、理屈ッぽくなつていけねえ」などと言つて、家の手伝ひをさせる親が多かつた時代に、実に先進的な家庭でした。 米国では他人に頼らず自活しなくてはいけません。アルバイトを何度も首になりながらも、次第に周囲の信頼を得るやうになるのです。そして渡米2年で、目標のコロンビア大学入学を果すのであります。 かう書くといかにも順調に事が進んだかのやうですが、これがまあ苦難の連続で、浮き沈みを繰り返しながら、前進するのでした。 何よりも、星一が道を切り拓いて行けたのは、本人の努力に加へ、当時の米国に自由の気風が満ち満ちてゐたからだと存じます。金の工面に困り、授業料が半額しか出せないから、とりあえず半年分だけ受講させてくれ、残りは必ず金を作つて払ふから、なんて申し出にも、熱意を認めてOKを出すとか。官僚的なところが無いのが嬉しい。 無論米国にも暗黒面があり、侵略と略奪の歴史とも言へるでせう。それでもなほ、明治日本が手本にするだけの度量を備へた国家であつたと申せませう。 『人民は弱し 官吏は強し』では、国家権力と結びついた官憲に行く手を阻まれる姿が痛々しいのですが、本書ではひたすら明るい未来を感じさせる、実に爽やかな青春物語となつてゐます。 文章も平易で読み易く、しかし通俗に流れない格調の高さも併せ持つてゐます。年少者にも薦めたい一冊と申せませう。 http://genjigawa.blog.fc2.com/blog-entry-607.html

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2013/10/14

誕生日を機会に、自分の歳に父親はどんなことを考え、何をやっていたのだろうかと、ふと思った。まぁ、答えはでないが。本書は星新一が父親の星一について描いた伝記。

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2013/04/21

「人民は弱し・官吏は強し」を読んで、さらに星一に対して興味がわいたので、読んでみました。 星一の行動力や困難にも立ち向かって乗り越えていく姿は、ある種の漫画の主人公的な感じで、読んでいてワクワクしました。 また、歴史上の有名な人物も出てくるので、そのような偉人たちとも交流があった...

「人民は弱し・官吏は強し」を読んで、さらに星一に対して興味がわいたので、読んでみました。 星一の行動力や困難にも立ち向かって乗り越えていく姿は、ある種の漫画の主人公的な感じで、読んでいてワクワクしました。 また、歴史上の有名な人物も出てくるので、そのような偉人たちとも交流があったんだと感心しました。

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2012/07/16

星新一の作品はほとんど読んだことないのに 彼の父親に関する作品は取り寄せてまで読んでう。 明治の偉人達が身近に感じられる。

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2012/07/07

ふと自分を振り返りたい時、じわっとヤル気がでる本。高校生の時は感じなかったいわきの気質、著者の年齢に近くなり父への想いを馳せる。

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2012/06/10

「明治・父・アメリカ」3 著者 星新一 出版 新潮社 p66より引用 “自助の精神こそ、個人の発達の根本であり、 その結果が国家の活力の源泉となるのである。 外部からの助けは、人を弱くする。” ショートショートの代名詞とも言える著者による、 著者の祖父と父とを描いた伝記。 ...

「明治・父・アメリカ」3 著者 星新一 出版 新潮社 p66より引用 “自助の精神こそ、個人の発達の根本であり、 その結果が国家の活力の源泉となるのである。 外部からの助けは、人を弱くする。” ショートショートの代名詞とも言える著者による、 著者の祖父と父とを描いた伝記。 江戸の末期から大正初期まで、 激動の時代に生きた有名人たちとの交流と共に記されています。 上記の引用は、 西国立志編の要約引用の孫引き。 自助努力の普遍性の高さは、 現在でも同じ著書が翻訳され版を重ねている事から、 疑う余地のないところだと思います。 歴史上の有名な人物と思っていた野口英世らとも、 著者の父である星一氏が交流を持っていたというのは、 時代の面白さだと思います。 この著書の中での出来事のあと、 少し前に紹介した「人民は弱し官吏は強し」へと話は続きます。 ーーーーー

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2011/10/09

SFの巨匠 星新一による実父の伝記。 文章は読みやすく、明治を代表する実業家である父 星一の偉大さが良く描かれ、 星新一の父への深い愛情が感じられる。 絶版という噂を聞いたが、まだ買えるようなので、 購入できるうちに是非買うべき一冊。

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2011/09/16

お盆の帰省の長距離バスの中で読みました。なんとなく星新一さんのどれかを読もうと思って、図書館の本棚でぱっと眼に留まったのがこの本。いやあ、面白かったというかこの当時の日本人のハングリーさにびっくりした。

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2011/09/07
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

もう何度再読したか判らない。 それでもときおり無性に読みたくなる1冊。 星新一の作品の中では、この本は売れ行きが良くなかったらしいけど、個人的にはいちばん好きだし、ことによると星新一自身、いちばん書きたかったのは父親のこと ―― 不当な扱いで失脚した父親の復権をしたかったのではないかと思う。 野口英世とか後藤新平といった歴史に名を残す人物がものすごく普通に登場して、その辺の仰々しさがまるっきりないところがまた面白い。 きっとまた読むだろう。

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2011/08/13

「粗食でもいいから十分に食え,十二分に食うな。栄養をとったら,くたびれるまで十分に働け,十二分に働くな。くたびれたら十分に眠れ,十二分に眠るな。」ショートショート作家の「星新一」の父「星一」の生涯を綴った一冊である。無計画な野心は身を滅ぼすだけだが,向学心を失わず計画と行動力と才...

「粗食でもいいから十分に食え,十二分に食うな。栄養をとったら,くたびれるまで十分に働け,十二分に働くな。くたびれたら十分に眠れ,十二分に眠るな。」ショートショート作家の「星新一」の父「星一」の生涯を綴った一冊である。無計画な野心は身を滅ぼすだけだが,向学心を失わず計画と行動力と才能があれば人生なんとでもなるらしい。意味もなく「国際国際!」という意識の高さは早々に打ち砕き,自分が本当に学びたいことは何か,そこに人生を賭すことができるのか今のうちに真剣に考えたほうが良さそうである。そこに生まれる「意識の高さ」は人を惹きつけ,自分を高める助けになるのかもしれない。

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